科学国家「サイエンス国」   作:コラーゲン 

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アレク・フォン・ロマノの統治(中編)

魔王軍と人類の全面戦争が始まって以来サイエンス国には他国からの避難民がよく来るようになった。避難民は魔王軍によって故郷が破壊された者か魔王軍からの被害を逃れようと魔王軍と交戦していないサイエンス国に逃げてきた者ばかりであった。

 

この避難民の数は最初10〜100人ぐらいだったのが魔王軍と人類の戦争が1年、2年と長引いていく内にどんどん増えていき遂には1日に10000人近くの避難民が来ることも屡々あった。

 

最初は快く避難民を受け入れ仕事も与えていたサイエンス国だが来る避難民があまりにも多くなり始めてからは避難民の受け入れ制限をするようになる。

 

しかし避難民たちは制限なぞお構いなしに制止する国境検問所の警備兵を振り切ってサイエンス国内に侵入していった。大量の避難民の流入によりサイエンス国内の治安は悪化、街では強盗や殺人などの犯罪が増え農村では農具や作物が盗まれた。しかも避難民に仕事を与えたせいで元々サイエンス国に住んでいる国民の仕事先が無くなってしまい失業者が溢れる事態にまで陥ってしまった。

 

さらにループが首都スキエンティアに移動させたユハン・サイエンスの墓を荒らそうとする輩も現れ始めた。だがこれはループが首都に墓移動させたときに念のため配置した守備兵士たちの活躍により防ぐことができた。

 

このサイエンス国の現状にサイエンス国民は不満を溜め指導者であるアレクにこれらの問題を解決するよう強く求めた。これを受けアレクは街の警備を強化したり公共事業を行ったがアレクが期待したような効果は無かった。

 

全くサイエンス国の状況が変わらないことでサイエンス国民はさらに不満を溜め込みアレクのサイエンス国統治を疑問視する者まで現れ始めサイエンス国民の一部はロマノ家館の門前まで抗議をしに押しかけてきた。

 

押しかけてきた国民の中にはロマノ家によるサイエンス国支配を否定する者も現れ館内まで侵入しようとしていたが近衛兵により阻止された。

 

アレクは何をやっても成果がでないことで自信を喪失、多大なストレスを感じるようになる。ストレスのせいでアレクは白髪が増え、夜眠れない日々が続き情緒が不安定となり無闇に側近に対して当たり散らかすようになった。

 

そんなアレクの惨状を側近の報告で知ったループはアレクに会いにロマノ家館を訪問、アレクに暫く政務から離れて休息をとった方がいいと言った。アレクはこれを拒否したが側近たちもループに便乗して休息をとった方がいいと進言した。

 

みんなからの説得を受けアレクは3ヶ月間休息を取ることを決め休息の間はループの実家でありアルフレートが当主のハプスルン家で過ごすことにし父であるループを「サイエンス国指導者代理」に任命、妻子と一部の近衛兵を引き連れてハプスルン家へ向かった。

 

アレクが休息でハプスルン家にやってくることはループからアルフレートに伝えてあったためアレクたちがハプスルン家にやって来たときアルフレートはアレク達を歓迎した。

 

ハプスルン家でアレクは政治のことは一切忘れて優雅なひとときを過ごしアルフレートの家族たちとの交流を純粋に楽しみアレクにとっていい休息となった。

 

一方サイエンス国指導者代理となり15年ぶりに政治の表舞台へと戻ってきたループは国内の治安悪化の原因である避難民の対応に取り掛かった。

 

まずサイエンス警察と各地方の役所に協力して貰い避難民登録をしていない避難民を総力を挙げて徹底的に摘発した。見分け方はとても簡単で避難民登録をした避難民には国境検問所の警備兵から「避難民承認証」と書かれた腕章が与えられる。

 

この腕章がないと避難民として正式に認められないため絶対に肌身離さないようにと忠告している。サイエンス警察はそれを頼りに避難民登録をしていない「不法避難民」を探した。

 

発見された不法避難民はその場でこの国から出ていくか、それともここで死ぬかの2択を迫らせる。不法避難民たちは情に訴えて自分たちを見逃してくれと懇願するがサイエンス警察は不法避難民が情で訴えてきた場合ループから問答無用で殺害するように命令されているため警察たちは泣く泣く殺害していった。

 

無論この命令を無視する警察官もいたがその警察官はもれなく命令違反となり「国家治安放棄罪」が適用され裁判抜きで斬首に処された。そしてこの斬首は公開処刑であり他の警察官たちもいる中で処刑されその死体も見せしめに吊るされることになる。

 

こうしてループは「命令に従わなければ命はないぞ」ということを見せつけることによって警察官たちを恐怖心で支配して無理矢理この命令を遂行させた。

 

そして自分がこんな命令を出すことによりこんな命令を今まで出してこなかったアレクの評価をあげさせるのもループの目的であった。実際これ以降アレクの評価は上がっていくことになる。

 

次にループはサイエンス国にやってくる避難民の対応を始め国境検問所にサイエンス国軍を配備しサイエンス国に侵入しようとする不法避難民を武力を持って鎮圧させた。

 

街や農村にも配備し犯罪を犯した者は避難民であろうが不法避難民であろうが問答無用で殺害させた。

 

ループのこの一連の政策によりサイエンス国内の治安は好転し徐々に秩序を取り戻していった。

 

国内の治安問題解決後、ループは失業問題の解決に取り掛かり始める。ループは新たに生糸工場の建設を決めその工場を建てるための労働者として雇い入れさらにサイエンス国内に幾つか巨大な農園を作りその農園の従業員として雇ったり生産した作物を失業者や避難民たちに無料で配るなどの政策を行なった。

 

ちなみにこの農園で生産された作物の中には「カラボキ」という野菜もありこれはこっちの世界の「とうもろこし」みたいなもので失業者や避難民に大人気で生でも食べることができそれを焼いた「焼きカラボキ」も後に販売された。

 

これを見た日本人転生者は「とうもろこしにそっくりだな。」と発言した。

 

この失業政策が効果を発揮したのはループが指導者代理から辞めてからであったがおかげで失業者も減り食料が配られるようになってからは街や農村での犯罪も少なくなり軍隊が鎮圧する事例は無くなった。

 

そしてループが指導者代理となってから3ヶ月が過ぎアレクが休息から復帰した為ループはアレクから指導者代理の任命を解かれた。

 

サイエンス国最高指導者に復帰したアレクはまず徐々に問題となって来ていた「サイエンス国参戦問題」の解決をすることを始める。

 

「サイエンス国参戦問題」とは現在行われている魔王軍と人類の戦争にサイエンス国が参戦するかどうかという問題である。戦争勃発当初サイエンス国は「当面の間は中立を維持する。」と解答しただけで参戦はしないと言ってなかった為諸外国はサイエンス国がいつ参戦するのか待っていたのである。

 

しかしそれが1年、2年と過ぎ流石にしびれを切らしたのか諸外国がサイエンス国に国書を送り今次の戦争に参戦するように求めて来たのである。遂には神聖帝国から使節団が来訪し「今度今次の戦争に参加してる国家の代表を集めて会談を行うのですがサイエンス国にもその会談にご参加して頂きたい。」との旨を伝えてきた。

 

アレクはあんまり乗り気ではなかったもののこれはもう行くしかないと腹を決め会談が行われる神聖帝国首都マギアに赴いた。会談の場に現れたアレクを諸外国の代表は拍手で出迎えた。

 

行われた会談は順調に進み、諸外国は魔王軍へ総攻撃を仕掛けることをこの会談で決定した。さらにここで神聖帝国の帝国宰相である「ブッフェ・ドール」がアレクに「それでは最後にアレク殿、あそこに。」と言って壇上に行くことを勧めた。アレクは(やはり、これかぁ...)と心の中で察した。

 

アレクは座っていた椅子から立ち上がって壇上に上がり自分に注目している他国の指導者たちを一瞬見たあと深く深呼吸をしてから話し始めた。

 

「先ずはこの名誉な会談に我が国を呼んで頂きサイエンス国最高指導者として心より感謝を申し上げます。現在、世界は魔王軍と人類の戦争が以前として続き一刻の猶予も許されない状況であり今我々が会談している間にも沢山の尊い命が亡くなり魔王軍の恐怖に怯えている人々がいると思うと胸が大変苦しくなる想いであります。そして世界ではサイエンス国が今次の戦争に参戦することを今か今かと待っている人たちがたくさんいることも十分熟知しています。なので今回の会談を持って我が国は宣言したします。...........我が国はサイエンス国は.......此度の戦争に参戦することはありません。」

 

アレクが参戦することはないと言った瞬間、アレクに注目していた諸外国の指導者たちの目が鋭くなった。アレクは周りの雰囲気が変わるのを肌でヒシヒシと感じながら言葉を続けた。

 

「魔王軍と交戦していない国は私の知りうる範囲ではサイエンス国だけでありそのサイエンス国には現在他国から沢山の避難民が毎日国境検問所に押し寄せ我が国に避難しようとしています。避難民の避難先となっている我が国が参戦すると魔王軍と交戦していない国が存在しなくなります。これは避難民が安心して過ごせる国が無くなるのと同義でありせっかく魔王軍の被害が及ばない安全な国に避難してきたのにまたいつ来るかわからない魔王軍の恐怖に日々悩ませれることになってしまうのです。さらに我が国サイエンス国は建国されてからまだ50年も経っていない新米国家であり戦争に参加している他国と違いまだまだ国内が不安定でありまだ戦争できる程の国力もないのです。ですが我が国はただの中立ではなく戦争勃発以来ずっと諸外国に救援物資を輸出し続けております。これからも救援物資の輸出は続けさらに財政難になりそうな国には我が国が資金援助をそして条件付きではありますが軍隊の派遣もやぶさかではありません。........以上です。」

 

言い終わったアレクは壇上から降り用意されていた自分の席に戻った。アレクが壇上から席に戻る最中拍手は一切なかった。その後会談が終わりアレクはサイエンス国に帰国した。




かなり更新が遅れて申し訳ないです。暫くの間は1ヶ月に1話更新のペースでいくと思います。
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