ハジメと光輝の橋渡しとしてオリ主にしましたが上手い事動かせませんでした。
第一話
「―――なあ、一緒に遊ばないか?」
ある晴れた夏の日。
照りつける日差しが肌を焼く日。
公園の砂場にて灰色の少年がいた。
砂場ということもあり、灼熱を帯びた場所には少年以外の人影は見当たらない。
しかし少年はたった一人でずっと一人で黙々と山を作っている。
時たま、何が気に入らないのか山を崩し、また積み上げている。
誰もが遠巻きにする中―――大人も、青年たちも、全ての人間が腫物を避けるようにしていた。
しかし。
たった一人、たった一人の少年が手を伸ばした。
茶髪の少年には何もなかった。
唯、善意だけがあった。
―――だから少年は、その手を取ることにした。
△▼△
「―――なあ、勉強、大丈夫か?」
ある学習塾の休憩室にて、一人の少年が話しかける。
話しかけられた少年は、いきなり見ず知らずの人間に声をかけられ、戸惑っている。
「見ず知らずってのは酷いだろ……。ほら、隣の席に
そう言われて、少年はハッとする。
油石―――その名前には覚えがあった。
講習前に見た名簿帳で、自分の隣の席に描かれていた名前だ。
「小テスト、成績酷かっただろう? それに肝心の講習もずっと寝てたし。……もしかして、分からない所があるんじゃないか?」
そう言われて少年はうっと、呻き声を漏らす。
図星だった。
というか何なら全部分からない。
そんな様子を見て、色々と察した少年は講習の時と同じように隣の席に座る。
「……仕方ない。復讐がてら教えるよ。ええと、君は……。」
「南雲、南雲ハジメですっ! ええっと、分からない所は―――」
―――そして、数か月後の合格発表の時、彼等三人は出会った。
本来ならあり得ぬ出会い。
その出会いは果たしてどのような変化をもたらすのか?
そも、変化をもたらすことさえ、誰にも分からなかった。
▼△▼
「―――で、今日も遅刻ギリギリか。ハジメ。」
昼休みの屋上。
清涼な空気が流れるこの場所で二人の少年が弁当を広げている。
「うっ……。でも、それは……そう、復習、昨日の復習してたからだよ!」
「嘘つけ。」
言い訳を見つけた少年――南雲ハジメ――の言葉をばっさりを切り捨てるのはもう一人の少年―――油石
中学三年生から高校二年生という二年間の短い付き合いではあるが、お互いの人柄を知るには十分な期間だった。
「……どうせソシャゲの周回、それか積みゲーの消化だろ。」
「うっ……!」
「……成績、大丈夫なのか? コースが違うせいでクラスもカリキュラムも違うから、早く言ってくれないと困るぞ。」
黒終の責めるような、でも同時に思いやりを含んだ視線に耐え切れなくなったハジメは思わず頭を下げて、その視線から逃げる。
「ううっ……。黒終が何で僕の家庭教師なんかに……僕の生活と将来設計が無茶苦茶だよ……。」
「元々、無茶苦茶だったものが正常化しただけだ。ゲームクリエイターでも最低限の常識や知識、学歴は必要だろう?」
正論に次ぐ正論でボコボコにされるハジメ。
項垂れていると、扉の開く音が聞こえた。
「―――ごめん、待たせた。」
扉を開き、現れたのは高身長で輝くような風貌を持つ少年―――天之河光輝だった。
「いや、あんまり待ってない。……ほら、ハジメ、何時まで項垂れているんだ。光輝が来たぞ。」
「うー……天之河君、こんにちは。」
「ああ、南雲。こんにちは。……今日はどうしたんだ? 相談があるって聞いたけど。」
ポケットから缶ジュースを取り出して、座る天之河。
天之河が座ると同時にハジメは恐る恐る口を開く。
「白崎さんのことなんだけど……。」
「「あー……。」」
白崎、白崎香織。
天之河と油石の幼馴染であり、ハジメに想いを寄せる少女。
それだけなら微笑ましい少年少女の青春で終わる―――のだが、残念なことにこれで終わらない。
「白崎さんが世話を焼くのは……もう諦めたんだけど……。」
クラスメイト―――特に不良グループからの視線を思い出し、遠い目をするハジメに二人は頭を抱えるしかない。
しかし、そんな様子の二人に更なる爆弾が降りかかる。
「―――最近は、帰り路でも……よく会うんだよね。」
「別にそれは偶然なんじゃ……。」
「……帰り路を変えて、初めてのルートだとしても? それが三回以上だとしても?」
その瞬間、天之河のDOGEZAが炸裂した。
△▼△
昼休みの終わりを告げる予冷が鳴り、クラスの違うハジメが先に教室へ戻る。
「……いい加減、頭を上げたらどうだ?」
変わらずDOGEZAを続ける幼馴染に憐みと共に言葉を投げる。
肝心の幼馴染は頭を上げると憔悴しきった顔を隠そうともしない。
「……龍太郎や谷口には見せられない顔だな。……幼馴染がストーカーにもなれば仕方が無いがな。」
「恵理にも、だよ……。はあ、どうしたらいいんだ……?」
「まあ、ストーカーを除けばハジメも何処か満更でもない風だしな。あんまり深く考えなくていいんじゃないか?」
何処か諦めた油石の台詞。
しかし、諦めらぬと天之河は言う。
「……俺にはそう見えなかったぞ……。仕方ない、雫に頼むか……?」
「止めとけ、止めとけ。これ以上、あいつに気苦労をかける必要はないだろ。」
「―――ふ~~ん。光輝君ったら
不意に食らった台詞で二人の動きが止まる。
特に天之河は氷漬けになったかのように動かない。
「恵理、誤解しないでくれ。話を聞いたのはさっきが初めてだ。別に何時もみたいに君を遠ざけてた訳じゃ―――」
「ふーん、つまり光輝君は何時も意図的にボクを遠ざけてた訳、なんだね?」
(自滅したな、光輝のやつ。……仕方ない、助け船を出すか。)
「待て、中村。そんなにそいつを責めてやるな。そいつだって悪気があって―――」
「雫ちゃんに色々バラすよ?」
「心の底から勘弁してください。」
廊下のど真ん中で油石はDOGEZAを炸裂させる。
しかし、そんな彼の様子などどうでも良いナチュラルボブの少女―――中村恵理は天之河の首を掴み、引きずる。
「じゃあ、今までボクを―――許嫁をおざなりにした罰を与えなきゃね……。」
「待て、待って恵理! ちょ、力強……ッ!? 次の授業、次の授業はどうするんだ!?」
「次は自習だよ。課題は来週提出だから問題ないね。」
その言葉を最後に哀れ天之河はドナドナされるのであった。
「……強く生きろよ、光輝。」
油石が手を合わせた時、一人の少年の断末魔が響いた気がした。
▼△▼
「はい、これが課題。……あなたも大変ね。」
憐みと共に渡されるのは一枚のプリント。
それを受け取り、問題を解き進めながら油石は目の前の少女―――八重樫雫との会話を続ける。
「……別に俺はそこまで、さ。君だって、いや君の方がもっと大変だろう。」
因みにだが、八重樫は気づいていないが油石の頬には赤みがかっており色々と御察しであった。
実際、少し席の離れた所で谷口鈴がにやついている程だ。
あのちみっこをどう調理してやろうかと思案を巡らせながら課題を終わらせ、放課後になる。
この時間になると流石に天之河は這う這うの状態であるが何とか帰還していた。
「……生きてたか。」
「生きとるわッ! お前、何で見捨てた! あとちょっとで喰われる所だったんだぞ!?」
がばりと起き上がった天之河の勢いは凄まじく、油石が思わず仰け反る程だ。
「許嫁なんだろ? 同棲しているんだろ? じゃあしょうがないな。」
「どこがだっ!! あと、許嫁は恵理が勝手に言っているだけだ!」
男子高校生らしく二人が騒がしくしていると、更なる喧噪に出会う。
「何だ? 何が―――ああ、そうか。ハジメも大変だな。」
「香織と南雲か? ……釘を刺すのを忘れてたな。」
疲れた顔をする天之河と共に教室へ入る。
人気者である天之河が入ってきたことにより更に教室の喧騒は大きくなる。
放課後ともなり、クラス関係なく盛り上がる教室でハジメは居心地が悪そうだった。
「香織。南雲も困っているだろう? 少し落ち着いたらどうだ?」
「そうよ。南雲君困っているわよ?」
天之河の言葉に八重樫が重ねる。
少しバツが悪そうな表情をする香織。
そしてその隙を逃すハジメではない。
そそくさと荷物を纏めると、教室の外に―――出れない。
「ッ!? 何よ、これ!」
「何だ!? 何が―――!」
「皆さん、落ち着いて! 早く教室の外に―――!!」
足元で輝く『魔法陣』。
眩いばかりの光と共にまるで
閉ざされた空間は次第に振動を始め―――
「光輝! ハジメ! 龍太郎! ……ああ、クソっ! 一体何が……!?」
ゆっくりと消えていく友人を前に歯噛みする油石。
「黒終!」
「八重樫ッ!?」
手を伸ばす八重樫。
助けようと手を伸ばす。
しかし、重なるその瞬間。
八重樫が消失する。
一拍置いて、最後に油石が消え去る。
「おーい、遅い……ぞ?」
誰かが扉を開いた。
しかし、その中には人っ子一人も残っていなかった。