そう言って青年に向けていた視線を少女がラインハルトに向けた瞬間。ラインハルトは大きく目を見開き、指先を震わせた。だって忘れようがない。王国ではよくありふれた瞳色だというのに一度見たら絶対忘れない生命力に溢れた意思の強い瞳。間違いようがなかった。あの日、自分を毒竜アニスから救った命の恩人――
「アイザック様!!?」
「え?」
「は?アイザック?」
思わず声を上げたラインハルトの言葉に少女は驚いた顔をし、青年は怪訝そうな顔をする。が、ラインハルトは二人のそんな様子を気にも留めず、青年の腕から手を離すと少女に駆け寄り跪いた。
「ああ、アイザック様!おひさしゅうございます!まさかこのような形で再びお会いすることが出来るなんて……!」
「え?え?」
「気付くのが遅れて申し訳ありませんでした!その、あの頃よりだいぶお姿がお変わりになられましたのですぐにアイザック様だとは気づくことが出来ず……!ですが、間違いない。その生命力に溢れた漆黒の瞳、そして何よりその雄雄しい魔力……アイザック様以外の何者でもない!ああ、アイザック様!私はあの日から貴方のことを片時も忘れたことがございませんでした……!あの後死んだ副団長の代わりに副団長に任命されたり、かと思えば両親が急死し急遽家督を継ぐことになって、それが落ち着いたかと思えば騎士団長直々に次期騎士団長として指名されたりして多忙を極めなかなかお会いする時間がありませんでしたが……貴方様に再び会える日をずっと待ち望んでおりました……!!」
「え?え?騎士って……」
「それにしてもあのギルド長から『戦えない体』になったとは聞いていましたが、まさかこのようなお姿になっておられたとは……なんとおいたわしい……一体何があったのですか?まさか、アイザック様を恨みを持つ輩に……ああ、こうしてはいられない!アイザック様今すぐ私の屋敷に来て下さい!私の屋敷なら貴方様に恨みを持つ輩からあなたをお守り――……」
「おいこの変態騎士!さっきからなに訳の分かんねえことごちゃごちゃ言ってんだ!このクソガキがアイザックな訳ないだろ!?目ぇ腐ってんのか!?」
「……と、そうでした。詳しい話はこのクズを処理したあとでゆっくり……」
「……クズはお前の方だろ」
「え?」
唐突な少女の言葉にラインハルトの表情が固まる。だが、少女は固まるラインハルトをじとりとした目で見ると、唾でも吐き捨てるかのように言った。
「思い出したぞ……お前、俺を散々こき使って魔物の囮にした挙句いちゃもんをつけて治療費も報奨金も払わなかったクズ騎士団の一人だな!?」
「!?」