「ファンだぁ……?はっ、何言ってやがるクソガキ。いいか?俺はなあ……お前の父親に五年前、家族同然だった盗賊団を壊滅させられたんだよ!!」
「!!」
(まさか北部の盗賊団の生き残りか!?)
「だからあのクソ野郎の大事なものをめちゃくちゃにしてあいつが後悔して絶望して咽び泣く姿を見てやるんだ!!ひゃははは!クソガキ、恨むなら自分の父親を恨めよな!?」
「ま、待て!さっきも言ったが俺はれっきとした男でーー……!」
「うるせえ!」
俺の制止を無視した青年はそのまま俺の服を掴むと、ブチっと力任せに引きちぎった。途端、現れる発達していない幼い少女の裸体に笑みを深める。が、それも一瞬の事ですぐにその表情は困惑と驚きに染まり、そして震える声で青年は呟く。
「な、なんだよこの身体は……」
「え?身体?」
そう言われて俺は改めて自分の体を見た。三年前に毒竜にやられて出来た身体の広範囲にわたる爛れて凹凸に隆起した火傷跡に、冒険者になってから受けてきた大小様々な裂傷、咬傷、刺傷、打撲跡などなど……俺にとっては見慣れた身体だが、どうやら目の前の青年にとってはそうではないようでしきりに「なんだよこの傷だらけの体は……」「この刺し傷とか致命傷じゃねえか……」「なんでこんな小さな子供が……」とか真っ青な顔をしてぶつぶつと呟いている。
(ど、どうしたんだ……?)
明らかに様子がおかしい青年の様子に不思議に思った俺が声を掛けようとしたその時。青年は忌々しそうに俺を見て、ガシガシと乱暴に頭を掻き毟って舌打ちをした。
「……っち、興がそがれた。おい、クソガキさっさと服を着ろ」
「え?」
「あ゛?聞こえなかったか?その醜い体を隠せって言ったんだよ。全く気持ち悪りぃ体しやがって……ほら早く服を着ろ!」
「お、おう……?」
俺は訳も分からぬまま頷き、青年に言われるまま青年に破かれた服をいそいそと着直そうとした。が、破れた服を着直そうとした瞬間、すかさずパシンと頭に青年の手刀が飛んできた。
「おい何やってんだこのアホガキ!その破れた服じゃなくてちゃんとした服を着ろって言ったんだよ馬鹿が!!」
「いやだって、これしか着られる服ないし……」
「はあ!?お前、あの伝説級冒険者の娘の癖して服を一着しか持ってないって……ああああもうクソ!クソが!!あの虐待の野郎絶対帰ってきたら殺してやる!!畜生がっ!!ほら、クソガキその服を貸せ!」
「え?」
「あ~~もうっ!!その破れた服を直してやるつってんだよクソガキが!!」
「あ、ああ……ありがとう……?」
俺から奪い取るように破れた服を受け取った青年は鬼の形相でどこからか取り出した針と糸を使い、チクチクと破れた服を縫い始めた。