部活や生徒会のない木曜日の放課後、湊は順平と二人でラーメン屋のはがくれに来ていた。『前回』は順平と二人で連れ立ってどこかに行くことはあまりなかったが、『今回』は放課後の時間を度々一緒に過ごしている。
湊にすれば、順平はコミュニティの担い手だから折に触れて誘っているのだが、順平も大抵は応じてくる。順平からどこかに行こうと誘ってくることもあるし、湊も他に予定がない限りは応じるようにしている。
そんな調子だから、級友たちからは仲の良い二人組、と言った具合に見られていることであろう。『前回』その役割を担ったのは友近と宮本だったが、彼らとコミュニティを築けなかった『今回』は、現在のところクラスで最も親しく接しているのは順平である。
一時期は仲違いした『前回』を思えば、これは大きな変化と言える。ひょっとすると、『今回』はずっと良好な関係のまま最後まで行けるかもしれない。これも絆を教える『我』が裏で何かしているのだろうか。
コミュニティの担い手が友近から移ってしまった4月はどうしようかと思ったものだが、実はより良い絆を持てたと言えるかもしれない。
ついでに言うと、男相手のコミュニティは女相手のそれより概して気楽である。何しろ特別な関係になる恐れがないのだから。無論、世の中にはそっち方面が好きな男もいるが、知り合いにそういうタイプはいない。いないはずである。多分。
敢えて言うなら通販会社社長のたなかは、そっちの気があるかもしれない。しかし、たなかは商売以外のことに関しては意外と良識がある。だから一時期は湊を養子にしようと考えていたようだが、世間に何と思われるかと心配して撤回していた。運のいいことだ。
「お前、ちゃんと怪談のこと調べてる?」
ラーメンを啜る合間に、ふと順平が話しかけてきた。月曜に行われた伊織順平アワーの成果として、怪談話の真相を調査することになった件である。あれからゆかりは部活にさえろくに出ず、生徒たちに噂を聞き回っているようである。そしてその確認会は明日に予定されている。
「全然」
これは本当である。『前回』はそれなりに人に尋ねたりもしたが、『今回』は何もするつもりはない。怪談の真相など、既に分かっているからである。
「そうだよな。噂ってなあ、女の子の領分だもんな! 二人に任せときゃいいよな!」
仲間を見つけて気を良くした順平が言う通り、調査しているのは主に二人。ゆかりと風花である。
(どんな結果が出るやら……)
もし調査しているのがゆかりだけなら、結果は『前回』と同じになるだろう。それに風花が加わることで真相に辿り着けるか、より遠ざかるか、或いは変わらないか。これは明日にならないと分からない。だが湊は特に気にしていない。明日の確認会で二人が何を報告しようと、事前の計画通りに進むように場を誘導するつもりでいるからだ。
よって今日も調査などしないし、ゆかりと風花に経過を尋ねることもしない。そんなことより魔術師のコミュニティを優先して、こうして順平に付き合っているわけだ。
「岳羽も変だよな。夜の学校は平気なくせに、お化けは怖いんだから」
これは冗談である。傍から見れば確かに変だが、『前回』にゆかりと深い付き合いをした湊はその心理に察しがついている。
『前回』の確認会で本人も言っていたが、ゆかりは目に見えないものを恐れる。目に見えないとは、広い意味では幽霊の類もそこに含まれるが、ゆかりが最も恐れるものは世間の悪意というものである。中傷とか陰口とか、肥大した自意識とか。
要するに、子供の頃に父親の件で世間から辛く当たられた経験が、実体が掴めないものを恐れる心理に繋がっているのだろう。だがそうした事情を、今の時点で他人に詳しく説明することはできない。だから単に順平の気持ちを代弁するつもりで、冗談めかして言ったのだが――
「……」
予想していた笑いは起こらなかった。一瞬の沈黙の後、順平は声色を落として呟いた。
「ゆかりッチは……平気なのかな。夜の学校が」
(ん……?)
その後、順平はあまり口を聞かなくなった。始終喋っていないと落ち着かない順平にしては珍しいことである。急な重みが発生した雰囲気の中で食べるラーメンは、どことなく油っぽい味がした。
はがくれを出た後、二人は真っ直ぐ寮には戻ることはせず、長鳴神社に立ち寄った。順平の態度に引っ掛かるものを感じた湊が誘った為である。
巌戸台商店街から寮を素通りしてしばらく進むと、やがて大きな鳥居が見えてくる。そしてそれをくぐった先に長い階段がある。真田は普段からよくここを駆け上がったり下りたりしているらしい。曰く、階段ダッシュは心肺機能と下半身の強化に最適だそうである。もちろん二人にそんなつもりはないので、ゆっくり歩いて階段を上った。
階段を上りきると広場があり、その正面奥には神社の境内が鎮座している。本来は厳かな場所なのだが、向かって左側にはジャングルジムや滑り台などが置かれている。エリザベスに言わせると、真の聖域には形ばかりの厳かさなど不要、というものだそうである。実際、他に人はおろか犬もいない今の神社は、神聖さと遊び心が調和した、不思議な雰囲気を醸し出している。
順平は遊び場スペースの端にあるベンチに腰を下ろし、両肘を膝の上に置いて地面を見つめている。湊はそのベンチの脇に立ち、眼下の街並みを眺めている。
「ここって、結構遠くまで見えるよな」
「……」
順平は答えない。場所を変えても、雰囲気は重いままで変わらない。一見すると気まずい感じだが、その気まずさ自体がコミュニティの重要なポイントの到来を表しているように、湊には感じられる。
絆を教える『我』の無言の声が、普段の順平の軽い仮面を僅かにずらし、その下の内面をさらけ出そうとしている。そう言っても間違いではあるまい。女子のコミュニティでは迷惑にも感じる『我』だが、こういう時には役に立つ。はがくれでの順平の最後のセリフを足掛かりに、湊は一歩踏み込んだ。
「学校も見えるぞ」
「……」
順平はなおも黙ったままだ。だが顔を上げてベンチから立ち上がり、湊と同じ方向を眺めた。
二人の視線の先では、ムーンライトブリッジとモノレールの橋梁に挟まれた青い海が、傾いた日差しを受けて光を放っている。そしてその先の人工島にある、月光館学園の白い校舎が微かに見える。
「夜になると……あれがタルタロスになるんだよな……」
順平はそう言って再びベンチに座り込んだ。湊も釣られるように、何気ない動きで並んで座った。そうしてしばらく二人とも黙っていると、順平はおもむろに語り出した。
「俺さ……ペルソナがあるって知って、嬉しかったんだ。何か特別な……ヒーローの使命みたいなもんが、俺にはあるんじゃないかって。でも最近は違うような気がしてよ……。でもそれを認めるのも嫌っつーか……」
(おや……)
『前回』にも薄々感じてはいた。順平はマンガやテレビのヒーローになったつもりで戦っていたが、やがてそれに疑問を持ち出したことを。
ただ『前回』はそれとなく感じていただけで、順平自身の口からこんなに直接的に話されたことはない。これはやはり『我』が順平の無意識に何かを囁きかけた為に、より深く気を許すようになったのかもしれない。
だが重要なのは、内心を話してくることそれ自体ではない。疑問を持ち始めるのが早すぎはしないか、ということだ。『前回』は湊と順平の実力差が顕著になってきた頃、具体的に言うと7月の満月の辺りからだ。あの頃から順平の態度は硬化した。湊の見る限り、それとほぼ同時にヒーローに疑問を持ち出した。夏休みには態度は軟化したが、それは表向きだけだ。真の意味での信頼関係を築けたのは1月になってからだ。だが今はまだ6月。
「どうしてそう思う?」
「だってよ……俺ら、いつも苦労しまくってんじゃん。タルタロス行けば毎回ボロボロになるし。マジで死ぬって思ったの、一度や二度じゃねえだろ? んでもって、次の日はベッドから起き上がれねえくらいヘトヘトになんだ。んなヒーローっているか? 俺らの使命って、どんなんだよ?」
(なるほど)
湊は得心した。思い返してみれば、『前回』のタルタロス探索は慣れれば意外と楽なものだった。要所ごとの番人や満月のシャドウには苦労することもあったが、それらは飽くまで例外だ。真の意味で死を覚悟させられるレベルの敵は、実は数えるほどしかいなかった。だから暇潰しにタルタロスに行こうなどと順平も気楽に言えて、湊もそれに応じてきたのである。
だが『今回』は違う。タルタロスでは一瞬たりとも油断できず、湊も順平も何度も死にかけている。無論ゆかりや真田もそうだし、今週から前線に出てきた美鶴もそうだ。チーム内の実力差など意識する暇もないほどの、激烈な緊張の連続だ。
現時点での特別課外活動部のメンバーの実力を客観的に評価すれば、最も強いのは『前回』同様に湊だ。だがそんな背比べに、どれだけの意味があるだろう。井の中の蛙の最強など、現実の過酷さの前では虚しいだけだ。
「だからよ……もしかして、俺は使命なんかない……ただの捨て駒なんじゃねえかって、思っちまうんだ」
その現実がもたらした結果がこれだ。『前回』の順平が抱いた悩みはチームのリーダーでない脇役止まりかも、という甘いコンプレックスに過ぎなかった。『今回』も順平は5月の満月の時は、湊がリーダーを務め続けていることに不満を持っていた節があった。だがあれから一ヶ月近く戦い続けて、更に学校ではヒーローそのもののように思われている真田や美鶴まで一緒になってボロボロになる様を見せられて、そんな不満はどこかへ放り捨てられてしまったようだ。
つまり『今回』の順平が背負ったのは、劣等感ではない。そんなものより遥かに深刻な、そして純粋な死の恐怖だ。
「……」
湊は『愚者』である。愚か者は死を恐れない。だから順平の気持ちを頭では理解できても、心では無理だ。だがそうした無理を曲げて相手の共感を得るのは、『前回』からコミュニティで何度もやっていることだ。だからここで、気持ちが分かると嘘を吐くことはできるし、むしろ得意とするところなのだが――
「使命か……そんなの、ない方がいいぞ」
「何でだよ?」
「使命があったら、逃げられないだろ?」
順平は眉を顰めた。めったに見られない本気の表情だ。下級生から口も頭も軽いと評される仮面の下にある内面に合わせるように、声色も低くなった。
「嫌なら逃げろっつってんのか?」
「そうじゃなくて……使命があるなら、逃げても無駄だ。使命の方から追いかけてくる。だから立ち向かう。でもそれなら、強制されてやるのと変わらないだろ」
「えーと……どういうこと?」
順平は寄せた眉を解き、声色を普段通りに戻してきた。理解が追いついていない。もう少し噛み砕いた言葉が必要なようだ。湊は視線を順平から外し、学校のある方角へ向けてから言葉を連ねた。
「だから、使命があったら逃げられない。ないなら逃げられる。逃げられるのに逃げない方が、勇気があるってことだろう」
これは口から出任せではない。順平は特別課外活動部の中で最も使命、と言うか戦う目的に乏しかった。しかし『前回』の順平は、ニュクスの来訪を知った時は激しく取り乱したが、結局最後まで逃げなかった。
普通に考えれば、ニュクスはおろかタルタロスで戦うことだって恐ろしいことのはずなのに。『今回』に比べれば『前回』の戦いはずっと楽だったが、それでも死の危険はないわけではなかったのだ。そんな中で最初から最後まで戦い抜いた。特にこれと言った目的がないのに。
敢えて言うなら、チドリに貰った命を無駄にしない為、というものはあっただろう。だがそれは使命や目的ではなく一種の意地であって、そうした自分一人だけの内面を拠り所にして継続的な恐怖に立ち向かうのは、余程の精神力がなければできることではない。父親の目的を受け継いだゆかりと美鶴とは異なるし、荒垣の遺志を二人で共有していた真田と天田とも異なる。
仲間たちの中で最も勇気があるのは、美鶴でも真田でもなく、実は順平である。湊はそう思っている。
「カッコいいこと、言ってんじゃねえや……」
順平は帽子のつばを押さえて、ベンチから立ち上がった。手と帽子で顔を隠しているが、不機嫌になっているところは見て取れた。コミュニティの活動としては、失敗の部類に属する結果だ。関係の後退や破綻にまでは至らないが、仲が進展したとも言えない状況である。大嘘吐きの『愚者』にしては珍しく、本音を言ってしまったのが良くなかったようだ。
(ちょっと失敗したかな……。僕らしくない物言いだった)
使命があったら逃げられない――
これは4月にファルロスと話し合って確認したことそのままだ。自分はシャドウから逃げられない。逃げてもシャドウは追いかけてくる。だから立ち向かうしかないのだ。そんな有様だから、逃げようと思えば逃げられる順平を心のどこかで羨ましく思っていたのかもしれない。湊は自分らしからぬ言動の原因を、そう分析した。
順平は道路へ下りる階段へと一人でさっさと向かい、湊がその後に続く。前を行く背中から立ち上る不機嫌な気配が、後でどうやってフォローしようかと悩ませた。何しろ予定では、明後日に少々辛い思いをしてもらうことになっているのだ。
そんなことを思っていると、階段を下りた先で意外な相手を発見した。いや、場所からすれば意外でも何でもない。
(おや……ちょうど散歩から戻ってきたところか?)
階段を下りた先、鳥居の柱の下に一匹の白い犬が座っていた。ぶち一つない真っ白な毛並みが初夏の夕暮れの景色に映えて、長閑な雰囲気を醸し出している。長鳴神社を住処とするアルビノの柴犬、コロマルだ。
「お? お前って確か……」
「ワン!」
順平は地面に膝をつき、優しい手つきで犬の頭を撫でた。コロマルも尻尾を振って、大人しく撫でられている。コロマルは元から人間に慣れているが、警戒感は完全にと言っていいほどない。
「知ってるのか?」
「ああ、4月だったかな。ポロニアンモールで見かけたことあんだ」
(そうだったのか)
湊は少し驚いた。『前回』コロマルと初めて会ったのは6月20日で、場所は寮の玄関前だ。そこに居合わせたゆかりと風花は既にコロマルを知っていたようだが、この時期に順平も知っていたとは思わなかった。意外な繋がりがあったものだ。
「そう言えば……お前と会ったあの日だったな」
「何がだ?」
順平は膝をついたまま振り返り、歯を見せて笑った。先ほどまでの本気の顔ではなく、いつもの軽い仮面に戻っていた。
「初めて影時間を体験した日! 棺桶だらけのコンビニでマジベソかいてて、真田さんに目撃されちゃった日!」
(マジか? 意外どころじゃないな)
今度は本当に驚いた。順平は影時間の適性を身に付けた時、コンビニで泣いているのを真田に発見されたとの話は、4月21日の加入の際に聞いている。だがそれが正確には何日のことだったのかは聞いていなかった。だがまさかその日に、後に仲間となるコロマルと出会っていたとは驚きだった。これはもう運命的と言うべき繋がりだ。
だがそれをこの場で指摘することはできない。表情には出さずに内心だけで驚く湊から順平は視線を外し、改めてコロマルと向き合った。
「しかしお前、ここに住んでんのか?」
「ああ、そいつはな……」
湊は『前回』に通りすがりの主婦から聞いた話をした。コロマルという名で、ここ長鳴神社の飼い犬だったのだが、半年ほど前に神主が『事故』で亡くなってしまったこと。それ以来決まった散歩コースを夕方に歩く以外は、事故現場であるここを動かないということを説明した。ただその事故が、実はタルタロスの外に現れたイレギュラーと呼ばれるシャドウの仕業であることは、この時点で湊が知っているのは不自然すぎるので話さなかった。
「この辺りじゃ有名らしいぞ」
「へえ、忠犬じゃねえか」
順平は再びコロマルの頭に手を乗せた。最初よりも強く、がしがしと音を発しそうな勢いで撫でた。
「ワフッ……」
だが撫でる手は突然止まり、それと共に順平の雰囲気が変わった。湊には背を向けたままで、顔は見せていない。それでも変わったことが、『愚者』には察せられた。
「俺の親父は……酒ばっか飲んでた」
(ん……?)
順平の家庭事情は『前回』から少し聞いている。12月10日の会合の時、父親が不動産投機で失敗して酒に溺れるようになったことを、順平は話している。
順平は変わり身が早い。それは普段は軽薄な印象を人に与えるものだが、言い方を変えると空気を読むことができ、かつまた空気を入れ替えることができるという意味でもある。更に言い方を変えると、仮面を操るのが上手いということでもある。それを知っている湊は、一見すると脈絡のなさそうな話に黙って耳を傾けた。
「あの日も飲んだくれた親父と揉めて、家を飛び出してよ……。結局行くとこもねえから、コンビニで立ち読みしてたんだけどな。今にして思うと、何かこう……つまんねえ現実をスパッと変えられるような、何かを欲しがってたのかもしんねえな」
「それで力が目覚めたのか」
実際のところは、デスを宿す湊と接したことが覚醒の最大の原因であろうが。だが家庭環境に起因する、現実への不満も影響していた可能性は高い。何しろ順平に限らず、特別課外活動部の面々は家庭に問題を抱えている者ばかりである。
ただ家庭の問題で言うならば、何も特別課外活動部に限らない。順平と似たような問題を抱えている人は、湊の知り合いには大勢いる。そうした人々の中で、一体いかなる条件によって順平が選ばれたのか。それは謎である。
「ま、目覚めたら目覚めたで、しんどいんだけどな!」
順平はコロマルから手を離して立ち上がり、湊に向き直ってきた。その表情からは、先ほどのまでの不機嫌さはすっかり消えていた。
「悪いな、ちっと愚痴っぽくなっちまった。女の子だって戦ってんのに、男の俺らが弱音吐いてちゃいかんよな!」
「そうだな」
『今回』のタルタロス探索で死にそうな思いをしているのは、誰もが同じだ。そして過酷な分だけ、攻略の為の戦力はより必要になる。だから順平の力も『前回』以上に必要なのだ。父親への反発でも男の意地でもいいが、とにかく戦うモチベーションは維持してもらわないと困る。
もう少し月日が進めば、チドリとの出会いによって順平の内面には更なる変化が訪れるはずである。また『今回』はチドリを死なせないつもりなので、順平は地の勇敢さに加えて明確な戦う目的をも得ることになる。それまでは、とにかく頑張ってもらうしかない。もっともその目的を果たせるかどうかは、また別の話なのだが――
(コロマルに礼を言うべきかな……)
コロマルとの予期せぬ遭遇が思わぬ形での追加の告白に繋がり、順平の機嫌を直してくれた。『前回』からコロマルの存在は殺伐とした戦いの日々に貴重な癒しをもたらしてくれていたが、今日もいい仕事をしてくれた。ある意味、絆を教える『我』より効果的かもしれない。
ついでに言うと、勇敢さという点ではコロマルも相当なものである。それこそ順平といい勝負だろう。
コロマルの加入は夏休みになってからだが、その時は高級ドッグフードでも買ってやろう。そんなことを思いながらコロマルと別れ、順平と二人並んで寮に戻った。