ペルソナ3 滅びの意志   作:三尺

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崖へ向けて(2009/4/21)

 夜の時間、昨日に続いて集合がかかった。ただし場所は作戦室ではなく、一階のラウンジである。

 

 巌戸台分寮を拠点にしている特別課外活動部の人数は、現時点で四人。顧問の幾月を含めても五人しかいない。たったそれだけの人間が生活する為には、この寮の設備はいささか過剰な感がある。中でも皆が今集まっているラウンジは、元はホテルだった頃の名残が至る所にある。特にソファーセットは立派なものだ。

 

 元から育ちの良い美鶴や何年も住んでいる真田はまだしも、ここへ来て日の浅いゆかりなどは、少なからぬ居心地の悪さを感じることもあるだろう。そんな普通の高校生には違和感のある寮に、新たな異分子がやって来た。

 

 「テヘヘ、どうもっす」

 

 「えっ、順平!?」

 

 ゆかりと湊にとってはクラスメイトの、伊織順平が玄関からラウンジに入ってきた。抱えきれないほどの大荷物と、いかにも軽そうな笑顔を添えて。

 

 「二年F組の伊織順平だ。今日からここに住む」

 

 驚くゆかりを余所に、真田が事情を簡単に説明した。数日前の影時間にコンビニで泣いているのを、真田が目撃して適性が発見された、との話だった。もっとも順平自身はそれを覚えていないらしい。

 

 「記憶の混乱とか、ありがちらしいんだよね。君たち、そういうの知ってた?」

 

 「……」

 

 順平の問いに対して、湊は答えなかった。ただ内心では少々考えを巡らせてみた。影時間への適性やペルソナ能力に覚醒した当初は記憶障害が起きやすい、とは確かに言われている。だが自分はそうしたことはなかった。

 

 『前回』の4月9日に初めてペルソナを召喚した時のことは覚えている。マジシャンの攻撃でゆかりは召喚器を落としてしまい、自分はそれを拾ってオルフェウスを召喚し、更にそれが変容してタナトスが発現した様を覚えている。『今回』のその時も、死の直前の走馬灯かと思ったりしたが、タナトスがマジシャンをめった切りにする光景とかは、しっかり覚えている。ペルソナ使いの中でも特殊なワイルドの能力を持つ為か、それとも単に記憶力に自信がある為か、とにかくペルソナ覚醒時の記憶の混乱はあまりない。

 

 ただ『前回』の経験の中で、記憶から抜け落ちている箇所が一つだけある。1月31日にニュクスと相対した時だ。ベルベットルームでコミュニティの人々の声を聞き、宇宙のような空間を飛翔してニュクスの懐まで行き、ユニバースを発動させた。そこまでは覚えているが、ユニバースを使って具体的に何をどうしたのかは覚えていない。それはなぜか――

 

 (ユニバースの覚醒に伴う記憶障害……ってことかな?)

 

 特に根拠はない。ふとした思い付きに過ぎないが、そんなものかもしれない。ついでに言うと、2009年以前の出来事では『前回』からずっと消えている記憶がある。十年前のムーンライトブリッジで起きた事故だ。両親が死んでデスを封じられたその時のことを、何も覚えていない。ひょっとすると、それが影時間の適性の覚醒に伴う記憶障害なのかもしれない。

 

 「今夜0時から、いよいよタルタロスの探索を始めようと思う」

 

 湊が考え事をしている間に、ラウンジでは話し合いが進んでいた。幾月が部の現状を改めて確認して、そして今夜の出撃が決まった。ただし怪我をした真田は、タルタロスまで同行はするが探索はしない。幾月はそもそもペルソナを使えない為、寮に留まる。順平の加入から始まったこの日の流れは、ここまでは『前回』と同じだった。

 

 「先輩の分は俺がバッチリ、カバーしますって!」

 

 「不安だな……」

 

 そして順平がやたらと張り切っているのも、ゆかりが不安そうにしているのも同じだった。ただ『前回』は湊も漠然とした不安を感じていたが、『今回』はそれがない。

 

 (心配いらないさ)

 

 今日の探索は小手調べで、危険などないに等しいものであることが、あらかじめ分かっているから。

 

 

 23時59分に、メンバー全員で月光館学園高等部の正門前まで来た。なぜここで、と順平は訝しがるが、美鶴は見ていろとだけ言う。

 

 残り数秒の普通の時間の間、色のない夜の空気の中で全員が沈黙した。誰のものか、時計の秒針のコチコチと鳴る音が奇妙な鮮明さを持って耳に届いてくる。嫌に長く感じる数秒が過ぎて、0時になった。

 

 瞬間的に空気が緑色に変わり、夜空に浮かぶ月が元の数倍に巨大化した。そして校舎が鳴動し、地面から無数の塔が生えてきた。それらはいずれも天空へと高く伸び、やがて一本の歪な建造物として収束した。順平やゆかりは絶句しているが、何度も見てきた湊にとってさえ異様に感じる光景だ。

 

 タルタロス――

 

 ギリシャ神話では原初の神の一柱であり、冥界の最奥に位置する奈落そのものである。内部は神々すら恐れる暴風が吹き荒れており、ヘカトンケイルやティターンなどの巨人族が幽閉された牢獄でもある。シャドウの巣窟の呼び名としては、これ以上相応しいものもなかろう。

 

 ただし神話では、タルタロスは大地に開いた穴とされている。それなのに、現実には塔として聳え立っている。これは一体どういうことなのか。

 

 (実はやっぱり穴で、地上が奈落の底だから……かな?)

 

 人間の世界こそが冥界の底の底。いわば地獄。よってタルタロスとは地獄と天、即ち月を繋ぐ穴――

 

 ストレガのタカヤが聞いたら、まさにその通りと完全な同意を得そうなことを閃いてしまった。

 

 (いや、神話とは関係ないだろ。きっと桐条グループの誰かが、適当に名付けたんだろ)

 

 湊はおかしな方向に進みそうな思考を矯正した。神話のタルタロスと今ここにある塔は、名前こそ同じだが別物のはずだ。例えば自分たちのペルソナはギリシャ神話に登場する神や英雄の名で呼ばれるものが多いが、だからと言ってペルソナは神話の存在そのものではないはずだ。

 

 ペルソナ召喚はゲームなどでたまにある、悪魔召喚とは違うのだ。心の海から呼ばれた精神の一形態が、ビジョンとなって立ち現れた姿だ。神の名で呼ばれるのは、神話もまた同じ場所から汲み取られたイメージを元にしているからだろう。つまり起源が同じだから、名前も同じに過ぎない。

 

 「おい、ボサッとしてないで行こうぜ!」

 

 いつの間にか立ち直っていた順平に催促されて、湊は我に返った。見れば他のメンバーは、既にタルタロスの入口へと向かっていた。

 

 

 タルタロスのエントランスは、一見するとそれこそギリシャ風の神殿のような装いがされている。ただそうした雰囲気と明らかに異なる要素として、時計のモチーフが随所に見受けられる。

 

 例えばなぜか治療の機能がある時計台とか、周囲を取り囲む黒い壁に浮かんでいる歯車の模様とかだ。そしてエントランスの中央に置かれた長い階段の先にある、巨大な扉はまさしく時計そのものの形をしている。美鶴から簡単な説明をされてから、二年生の三人はシャドウの巣窟への入り口である、その時計扉まで向かっていった。

 

 三人の先頭に立っていた湊は、扉の前でしばらく立ち止まった。無念さに似た感情が湧き上がるのに耐えながら、眼前の時計を見つめた。

 

 「……」

 

 幾度も通ったこの扉を再び開かねばならない日が来るとは、『前回』の2月以降は思いもしなかった。時間が戻ってしまったことの理不尽さを、改めて実感させられる。しかも戻ったのはタルタロスだけではない。

 

 湊は右手に目を落とし、寮から持ってきた剣を見た。何一つ特別なところのない、ただの金属の塊だ。束を握り直してみれば、腕から湧き出る力は僅かばかりのものだ。普通の高校生より少々強い程度の力しか備わっていない。

 

 そして目を閉じて自分の心の中を覗いてみれば、オルフェウスがいるだけだ。それも『前回』の終わり頃に得た『無色の仮面』たるオルフェウスではなく、初めて召喚した時そのままの非力なペルソナだ。いや、よくよく探せばもう一体、極めて強大な死神のペルソナが心の中にいる。だがそれを召喚することはできそうもない。召喚する為の、自分の力が足りていない。

 

 時間に合わせて、せっかく鍛えた力まで戻ってしまった。様々な意味で、あの一年間の苦労が無に帰してしまった。これ以上の理不尽があろうか。

 

 「いつまでそうしてんだよ」

 

 後ろから声をかけられて、湊は振り返った。順平は大剣を肩に担ぎ、からかうように口の端を持ち上げていた。

 

 「ビビっちまったのか? リーダー、代わってやろうか?」

 

 『前回』と同じく、タルタロス探索のリーダーには湊が指名された。そしてやはり、順平はそれが不満のようである。

 

 「僕に怖いものはないよ」

 

 おお凄え、と冷やかす順平の声を振り切るように、湊は扉に向き直った。

 

 怖いものはない――

 

 嘘と本音が半々と言ったところだ。仲間が傷つけば後悔することもあるし、自分が傷ついても痛みくらい感じる。だが恐れることはない。敵を恐れはしないし、死も恐れない。人間が最も恐れるものは己の死だ。だが死神を体の中に住まわせている人間が、死を恐れる道理はない。

 

 即ち、有里湊は恐怖を知らない。だから得体の知れない怪物とも戦える。

 

 恐れを知らない者。それは即ち、愚か者だ。崖へ向かって歩く人間のことだ。

 

 人生を暗示するタロットの大アルカナの最初に挙げられる、愚者のカード。

 正位置では自由、可能性、天才。

 逆位置では逃避、無責任、愚行。

 

 (全く……僕そのものじゃないか)

 

 『前回』を惜しむのは、もうやめよう――

 

 愚か者は死を恐れない。ならば苦痛や徒労も恐れまい。そんなものは、どうでもいい。余計な感情など焼き尽くしてしまえ。

 

 湊は自分の心を重く沈殿させる無気力症に区切りをつけ、決意を固めた。そして扉を開けた先にある、崖へと向かって踏み出した。

 

 

 タルタロスの探索が始まった。湊を先頭に、ゆかりと順平が後に続く。

 

 第一層は学校の廊下や教室を思わせる装いになっており、見た目だけは昼間の面影を残している。ひょっとすると自分たちの教室の辺りなのでは、と思ってしまうこともしばしばあるくらいだ。ただ所々に血溜りができていて、見た目の身近さと相まって、かえって不気味にも感じる。敢えて日常をベースにすることで、非日常を演出するとでも言おうか。

 

 もしタルタロスを設計した者がいるのなら、最初にこれを持ってくる辺り、そいつはなかなか意地が悪い――

 

 などと意味のないことを考えていられるほど、湊は余裕を持って構えていた。だから通信機から聞こえてくる、タルタロスに関する美鶴のレクチャーも適当に聞き流していた。表情だけは聞いている振りをして。

 

 『習うより慣れろだ』

 

 「もう……何か勝手だな」

 

 レクチャーが終わって通信が切れてから、ゆかりは不満をこぼした。

 

 「……」

 

 そんなゆかりを見て、湊は思う。美鶴に対するゆかりの不信感は、この頃から既に始まっていたのだと。

 

 ゆかりは父親が死んだ十年前の事故の真相を知る為に、特別課外活動部に参加している。だがこの通り、成り行きでタルタロスの探索に狩り出されてしまっている。しかも実際のところは、タルタロスの探索はゆかりの目的と直接繋がらないのだ。

 

 その一方で、湊はほぼ全ての真相を知っている。だが闇の中で手探り状態の二人の仲を、取り持ってやるつもりはない。

 

 ゆかりに目的があるように、美鶴にも譲れない事情がある。結果的に美鶴がゆかりを利用するのも、今の時点では仕方のないことだ。だが二人はいずれ、利害を超えた親友になれるはずである。自分が間に立つより当人たちで解決させた方が色々と都合が良いと、湊は考えていた。それに今は――

 

 「出てきたよ。集中」

 

 早速のお出ましだ。前方に現れたシャドウはまだこちらに気付いていないが、今いるこの通路は一本道だから回避することは無理だ。戦いになる。

 

 「う、うん!」

 

 敵を目にして、ゆかりは弓を持ち直した。その両手は小さく震えており、顔には冷や汗が浮かんでいる。完全に緊張している。隣の順平を見てみれば、そちらも同じような様子でいる。無数の戦いを経験した者としては、少々危なっかしく感じる。

 

 (二人はこれが初めてだから、しょうがないな。まあ、それでも何とかなるんだけど)

 

 集中すべきではあるが、探索そのものには湊は楽観的だった。『前回』に培った力は失われ、武器は気休めのようなもので、ついでに金もないのに。もっともこれらは失われて当然だ。病院のベッドで目が覚めたら、神話で語られる武器や大金を持っていた、何てことがあるはずがない。今の湊がアドバンテージとして持っているのは知識だけだ。それでも楽観的だった。

 

 なぜなら知識こそが最大の武器だからだ。対シャドウ戦は単純な力押しでは決まらない。彼我の特性を踏まえた上での、戦術の組み立てが最も重要なのである。湊はタルタロスに出現するほとんどのシャドウの特性を覚えているし、自分の指揮能力にも自信があった。

 

 そして何より、『前回』は知識さえない状態でこの迷宮の制覇に成功したのだ。ならば知識のある『今回』は失敗するはずがない。

 

 要するに、湊にとって重要なのはニュクスの来訪と、その後を見据えた全体の戦略なのだ。よって日々のタルタロス探索における小粒なシャドウとの戦いなど、勝って当然。改めて考えるまでもない、片手間の作業に過ぎなかった。

 

 最初の敵は、『前回』のこの日に戦ったものと同じだった。魔術師のアルカナに属する、地面にへばりつくゲル状のシャドウだ。タルタロスに出現するシャドウの中で最も弱く、今の三人でも十分以上に対抗できる程度のものだ。だが――

 

 「ぐっ……!?」

 

 まずは準備運動を兼ねて、湊はペルソナを使わずに剣だけで倒そうとした。だがそれがいけなかった。先手は取れたのだが、一発で倒し切ることができずに反撃を受けた。受けること自体は織り込み済みだったが、その重さが予想を大きく裏切っていたのだ。

 

 このシャドウは陸に上がったクラゲのようなもので、普段は人の膝以下の体高しかない。だが体の中央に貼り付けられた仮面の横合いから、手と言うか触手が生えている。攻撃の際は、その『手』を大きく伸ばして叩きつけてくる。そうした攻撃の方法は『前回』の記憶の通りだが、その威力は記憶とは異なっていた。

 

 (こいつら、こんなだったか!?)

 

 湊は油断したつもりはなかった。だが受けてもどうと言うことはないと、高を括っていたところは確かにあった。だが腹に受けたシャドウの打撃は、一発で膝を突く破壊力だ。もう一発受ければ、瀕死の状態にまで追い込まれるだろう。

 

 「お、おい! 大丈夫かよ!」

 

 慌てた順平が駆け寄ってきた。大剣を肩に担いだ、隙だらけの体勢を晒している。

 

 「構えろ……! 来るぞ!」

 

 「お、おわっ!」

 

 シャドウは順平へと標的を変えた。だが間一髪、順平は得物を肩から下ろすのが間に合い、シャドウの手を大剣の腹で防いだ。だが一見すると軟らかそうな触手から繰り出される打撃は、ガードの上から順平を後ずさりさせた。体重は順平の方がずっとあるはずなのに、物理法則をまるで無視している。

 

 タルタロスには要所ごとに番人となるシャドウがいる。『前回』の経験では、それらはいずれも手強かった。だがその辺をうろついているシャドウが、ここまで強いとは何なのであろうか。これではうっかり不意打ちなど食らおうものなら、一瞬にして壊滅状態にされてしまう。

 

 「オルフェウス!」

 

 このままでは本当に危ない――

 

 湊は出し惜しみをしている場合ではないと判断し、召喚器をこめかみに当てて引き金を引いた。慣れているだけに、その動作には一片の迷いもない。

 

 呼び出されたオルフェウスは背負った竪琴を体の前面に持ってきて、金属のような手で乱暴に奏でた。それと同時に、炎の弾丸がシャドウに向けて放たれた。

 

 炎は決して大きなものではない。非力なペルソナに合わせるように、小さな灯火に過ぎない。だがほとんどのシャドウは何らかの弱点を抱えており、最初のこれは火に弱いタイプだ。湊はそれを知っている。シャドウは灯火に焼かれて身悶えし、黒い煙となって消滅した。

 

 「やったのか……? って、おい! まだいんのかよ!」

 

 最初のシャドウは倒せた。だがタルタロスは侵入者を休ませてはくれない。敵は次から次へと湧いて出てくる。順平が仰け反りながら目をやった先から、新手が近付いてきた。不定型な物体が地面を這いずる、不快な音を発しながら。

 

 「わっ……今度は大勢!? 四匹もいる!」

 

 動揺は順平だけでなく、ゆかりも襲っていた。既にゆかりは冷や汗どころではない、大汗を顔全体に浮かべている。弓は手に馴染まないほどに震えており、目は大きく見開かれたまま硬直している。

 

 新手のシャドウは、最初のものと種類は同じだった。同じシャドウが連続して出現する展開は『前回』のこの日と同じで、その長所や弱点も同じだ。だが強い。『前回』よりも遥かに強い。姿が同じなだけで、実は別物なのではと疑ってしまうほどだ。ここで後手に回っては、三人とも屍になる――

 

 「岳羽、僕を回復してくれ! 順平はペルソナで突撃をかけろ! 距離を取って戦え! 囲まれたら終わりだぞ!」

 

 死闘になった。

 

 

 『三人とも、大丈夫か!』

 

 通信機から聞こえる美鶴の声は、常になく切迫している。小手調べのつもりの初回の探索で、メンバーを三人も失っては堪らないだろう。

 

 「ええ……ギリギリで」

 

 湊は壁にもたれかかりながら、疲れ切った声で返答した。シャレや皮肉ではなく、本当にギリギリの戦いだった。オルフェウスの火の魔法をとにかく連発して、何とか勝ちを拾えた。もしも敵シャドウが火に強かったら、或いは敵の特性をあらかじめ知っていなかったら勝てなかっただろう。

 

 「つ、疲れたっす……。あちこち痛えし……もう戻ってもいいすか?」

 

 順平は大剣を杖代わりにして、肩で息をしていた。『前回』のタルタロスデビュー時は、もう終わりかと強がるくらいの余裕があったはずだが、『今回』は立っているのもやっとの風情だ。

 

 『ああ、今日の探索はこれで終了だ。戻ってきてくれ』

 

 「は、はーい……了解です」

 

 ゆかりも疲労困憊の状態だ。もはや美鶴に文句を言う元気すらない。

 

 『そこの角を左に曲がって……道なりに行った先に脱出装置がある。気を付けてな……』

 

 タルタロスは入る度に構造が変わるが、この日は幸いにして三人のすぐ近くに脱出ポイントがあった。美鶴のナビゲーションの下、三人は這うようにそちらへ向かった。もう敵が出てこないことを祈りながら。

 

 むやみに強いシャドウ。これが最初の想定外だった。そして最後まで様々な方面に影響を及ぼす、ある意味で最大の誤算であった。




 引き継ぎ要素なし+敵が異様に強い

 主人公はマニアクスモード(P3Rではルナティック)に迷い込んでいました。
 原作では難易度によってストーリーが変化する事はありませんが、本作ではあちこちに影響が出ます。
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