この素晴らしき世界に白野威を!   作:シュガーstep♪

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男が粘液まみれとか誰得?

《駆け出し冒険者の街》

~アクセル~

視界に広がるのは街の景色、日本らしくない建築様式の家々に獣人やエルフといった普通の人とは異なる種族、鎧を身に纏い剣や槍なんかを携える人たち。

ここまで見て転生したんだと実感が湧いてきた、しかし同時に今後の方針について考えなくてはと思い悩む。

今の俺は無一文、家も無ければ仕事もない状態、どうしたものかと思案していると後ろから声をかけられる。

 

「おい坊主、そんなところでボーッと突っ立って危ないだろ」

 

振り向くと少々強面の蛮族のような格好をしたおっさんだった。

俺は謝罪しすぐさまその場から退くようにしたが、再びおっさんに話しかけられた。

 

「んで?どうしてあんなとこにひとり寂しく突っ立ってたんだ」

 

転生のことは・・・こういう場合あまり口にしな方が良さそうだ。

 

「あまり詳しくは言えないけど今無一文なんです、家も仕事も無くて、頼れる知人もいないからどうしようかと考えてたんです」

 

「なんだ訳ありか。んーそうだな、じゃあちょっと着いてこいや」

 

そう言っておっさんはどこかへと歩いていった、俺もそれについて行く。

数分もしないうちに少し大きめの店の前でおっさんは止まった。

 

「ここは冒険者ギルド、金稼ぎたいなら冒険者になるのが手っ取り早い。冒険者カードは身分証にもなるから登録しといて損は無いだろ」

 

そう言って袋を渡してくるおっさん、1000エリス入ってるからそれで登録してこいと言われ、その言葉に甘えて登録することにした。

 

「《駆け出し冒険者の街》〜アクセル〜へようこそ、本日はどのようなご要件ですか?」

 

「えっと冒険者登録したいのですが」

 

そう言いながらお金を渡すと受付のお姉さんは袋の中を確認し1枚のカードを取りだした。

 

「丁度1000エリスありますね、ではこちらの冒険者カードに触れてください。今は白紙ですが貴方の情報を読み取りレベルやステータスなどが表示されます。モンスターを倒すことで得られる経験値を貯めるとレベルアップしスキルを覚えるポイントも加算されていきます、それらの情報もこのカードひとつで確認できますので無くさないでくださいね」

 

俺は手渡されたカードに触れる、するとカードは光り出す。

光が納まったところで一旦お預かりします、と言われたのでそのまま渡す。

 

「どれどれ・・・あら!全てのステータスが平均以上です!これなら基本的にどの職業も・・・ってあれ?」

 

何かを見つけたのか、途端に不思議そうな表情をするお姉さん。

 

「・・・これは一体・・・今まで1度も・・・」

 

小声で聞き取りづらく、どうしました?と聞いてみる。

 

「あ!申し訳ございません!本来なら貴方のステータスに見合った職業を選んでいただくのですが・・・何故か一つしかなくてそれがなんと書いているのか読めないのです」

 

そう言ってこちらです、と指し示してくれる。

お姉さんが指したそこには【●#▼*■?▲】と記載されていた、確かに何と書いているか読めない。

 

「我々としてもこういったことは初めてでカード不良品ということは無いと思うのですが・・・」

 

バツが悪そうにするお姉さんに微笑んで俺は迷わずその文字化けした職業を選んだ。

するとお姉さんは驚いて声を少し荒らげた。

 

「よ、よろしいのですか!?そんな簡単に・・・!!」

 

「まぁ選択肢がひとつしかないですし、これにもなにか意味があるんでしょう。ただの感ですが」

 

そう言って俺はカードをお姉さんの手から取る。

 

「とりあえずカードの使い方だけ軽く教えてくれませんかね」

 

 

カードの使い方を教えてもらった俺は待っててくれていたおっさんに駆け寄り、無事登録したことを報告。

それからギルドを出た後、おっさんは親切なことに街を案内してくれた。

武器屋の前に寄った際は安いナイフだが1本買ってくれ、使えといってそれをくれた。

一通り見終わった後ギルドに戻り、依頼の受け方を教えて貰い、更には討伐以来の対象である“ジャイアントトード”の倒し方も教えてくれると言うのだ。

早速依頼の場所に行き、その場でおっさんによる【ジャイアントトードの討伐講座】開かれた。

 

「その名前と今お前の見た奴らの姿からわかる通り、サイズが非常にデカい。農家の家畜を長い舌で捉えて丸呑みするのが問題で奴らの討伐がほぼ毎日のように張り出されてる訳だが・・・繁殖率が高いから被害が中々減らないのが現状だな。攻略法としては奴らは歯が無い上、飲み込むにも時間がかかる。だから何かテキトウなものを食わせてる隙に殺っちまうのが駆け出しには1番安全だな。魔法が使える様になれば氷魔法で粘液ごと凍らせたり・感電させたり色々やりようが増える訳だが・・・1番手っ取り早い方法がある」

 

「・・・それは?」

 

「あえてこちらから飲み込まれに行く」

 

「・・・・・・は?」

 

何を言ってるのか理解したくなかった。

 

「まぁ聞けや、生物ってのは大概外側より内側の方が柔いもんだ。なんせ基本攻撃されるのは外側だからよ、だからこそあえて呑まれて内から攻撃する。先も言ったが奴らは捕らえてから呑み込むまでの時間が長い、その間身動きひとつ取れなくなる。勿論武器を体内に落としたとかで攻撃できなくなったら一巻の終わり。・・・だが奴らに与える餌になり変わるものを用意する手間が省ける。まぁ論より証拠だ、見てろ」

 

おっさんはカエルに気づかれるようにワザと近づき、そのまま長い舌で捕まる。

咥えられ徐々に呑み込まれそうになるが途端にカエルが身悶えし始め、遂にはその場で仰向けに倒れてしまう。

おっさんは無事カエルの口から生還して見せた。

そのまま俺の元まで近寄ってくる、すごい生臭い。

 

「よし、お前もやって見せろ」

 

すごく嫌だ・・・

 

「ほれほれ早くせんと日が暮れるぞ、お前には奴を倒し冒険者登録の代金やここまで甲斐甲斐しく世話してやった分、占めて1万エリス分は稼いでもらわんとな」

 

「は?」

 

「何だ?タダで教えてくれると思ってたのか?そんな世の中甘くねぇぞ?」

 

うぐ・・・仕方ない、と覚悟を決めた矢先俺は一つの案を思いついた。

俺にしか出来ない、飲み込まれずに済む方法だ。

俺はおっさんとは異なりゆっくりと慎重にカエルに近づく。

おっさんが何か言ってるが気にしない、俺は少し離れたところで立ち止まり人差し指を立てた。

転生特典で得た能力を発動、そのままあのゲームでやったようにカエルを塗りつぶした。

解除した途端カエルは真っ黒な墨で黒く染る、視界が急に真っ黒になり動揺したカエル、その隙を逃さず俺はナイフを深々と突き刺しカエルにダメージを与える。

カエルは突如の痛みでバタバタし始めるがもう遅い、俺は再び剣でカエルを切りトドメを指した。

思い通りに上手くいったこの戦法、俺は近くにいたカエルたちを同じような方法で倒していく。

倒すたびに得られる経験値、5体倒し終わったところでピコンと4回ほど景気のいい音が鳴り俺はレベル5となった。

 

 

道中おっさんに、俺が折角教えてやったのにそれ以外の方法で倒しやがってなどとグチグチ言われながら帰路につき任務の達成を冒険者ギルドに報告しに言った。ギルド前で一旦分かれ、おっさんは風呂に入りに行った。

受付のお姉さんの元に行きギルドカードを提示する、それを確認して報酬として12万エリスを受け取ることが出来た。

その後風呂から上がってきたおっさんと合流し1万エリスをその場で手渡す、そして祝杯に2人でご飯を食べてその場は終わったのであった。

 

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