適当に生きたいだけなのに俺の個性がそうさせてくれない   作:論 外之助

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おかしい……赤いバーがついている……だと……?
UA数も…結構多い……(自分的には)
感想でも好評をいただいている…

もしかして気付かぬうちにピノコニーに来ちゃったんかな?

要はめちゃくちゃ喜んでおります。


体育祭
2.やあやあやあ!祭りだ祭りだ!


 

 アベンチュリンに言われてから時は過ぎ去り、とうとう雄英体育祭の日がやってきた。

 今は更衣室で全員待機している。

 

『とうとうこの日がやってきた!楽しみだな!クラーラ!』

『は…はい…!』

『ルカ。あまりクラーラを困らせないの』

『お祭りか〜、あたしこういうの好きなんだよね!』

『確かに桂ちゃんの大道芸はお祭り向きだもんね』

 

 俺の個性の中の仲間たちも全員やる気のようだ。

 

『体育祭、ねぇ…ま、勝手に頑張れば?』

『…………』

 

 一部を除いて、な。

 まああくまでやる気がないってだけでお願いすれば力を貸してくれるので問題は無い。

 だがこれは俺の中の話。

 周囲は全然違う。

 やはり体育祭はヒーロー科メインのイベントだからか普通科の生徒たちのやる気は無いに等しい。

 あるやつはあの紫ボサボサ頭みたいにヒーロー科への編入を本気で狙ってるようなやつだけだろう。

 そんなやつ滅多に居ないんだがな。

 


 

『YEAHHHHHHHHH!!待たせたなリスナー!!とうとう始まる年に一度のFESTIVAL!!盛り上がっていけーーーーー!!』

 

 ヴォイスヒーロー・プレゼント・マイクが声を張り上げるとそれに応じて観客も叫び声を上げる。

 興味が無いと言いつつもなんだかんだその日になると緊張感が体を走る。

 

『でもよ!?どうせテメーらあれだろ!?アイツら(・・・・)の事だろ!?テメーらが見たがってるのはよォ!!』

 

 マイクの『アイツら』という言葉で観客はさらに声を上げる。

 

『ヴィランの襲撃を跳ね除けた期待の新星!』

 

『ヒーロー科!』

 

『1年!!』

 

『A組だろぉぉおぉぉ!!』

 

 マイクのセリフが終わると同時に、今最も雄英で有名なクラスである1年A組の生徒たちが入場口から姿を現した。

 そしてそれと同時に観客のボルテージは最高潮を迎えることとなる。

 

『そしてそして!B組も参上!続いて普通科C組、D組……』

 

 続々と入場する雄英の生徒たち。

 だがやはりというかなんというか、やる気に満ちているとハッキリ分かるのはヒーロー科の生徒40人とサポート科や普通科の数人の生徒だけだ。

 

「選手宣誓!」

 

 壇上に現れたのは18禁ヒーロー・ミッドナイト。

 

「18禁なのに学校にいていいのか?」

 

 それは俺も思った。

 矛盾してるくない?

 

「いい」

 

 変態め。

 

「こらそこ騒がしい!いいから選手宣誓!1年A組 爆豪勝己!」

 

 ……あれ?爆豪ってあの日A組に群がってた野次馬に暴言飛ばした人じゃん。

 え?じゃああの人が今年の入試首席…ってコト!?

 いかにもヤンキーしてそうなのに!?

 人って見かけによらないな……

 

「せんせー……

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が1位になる

『言うと思った!!』

 

 うわよく言ったなぁ。俺なら絶対に言わないわ。

 そしてこの発言は宜しくなかったのかやる気を出していない生徒も含めて大多数の生徒がブーイングの嵐を巻き起こす。

 

「せいぜい跳ねのいい踏み台になってくれや」

 

 更にそこに追い討ちをかける始末。

 あの人火を見たら絶対に油ノータイムで注ぐ人じゃん。(ド偏見)

 

「自信に溢れた選手宣誓ありがと!そんじゃ第1種目行くわよ〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 ミッドナイトの言葉と共にドラムロールが流れ、数秒後にスクリーンに第1種目が映し出された。

 

「これ!障害物競走!!

 

 ふむ、障害物競走か……え、これどうだろ?

 俺有利かな?

 思えば個性を思いっきり使って何かを成し遂げたことってなかったもんな…なんか急に自信なくなってきた…

 ごめんアベンチュリン、俺ダメかも。

 

『おいおい!自信の喪失が早すぎるよ!』

「(でっ…でもぉ…)」

『彼が重要な場面で気弱になってしまうのは分かっていたことだろう。諦めろ』

 

 教授の言葉が刺さる刺さる。

 もうなんか泣きそう。

 


 

「さあさあ位置に着きまくりなさい!」

 

 俺の悲しい思いに反するように障害物競走が始まろうとしている。

 ええい!こうなりゃヤケだ!

 なんとかなれー!(なんか小さくて可愛いアレ)

 

「よーい……ドン!!」

 

 ミッドナイトの合図とともに障害物競走がスタートした。

 ……がしかしここで問題発生。

 

『いや道狭すぎだろ!!』

 

 そう。人が多すぎて外に出られないのだ。

 それ即ち、ここが最初の難関。

 だがそんなことは予測済みだ。

 

「ルカ!お願い!」

「OK!派手にぶちかましてやらァ!」

 

 俺の合図とともに後方に赤い短髪の熱血男が現れる。

 右手は鋼鉄の義手でできている頼れる男。ルカだ。

 

「作戦通りに頼んだ!」

「りょーかい!」

 

 ルカは体勢を極限まで低くし、右手をアッパーカットの要領で天へとつきあげる。厳密に言えば少しだけ斜め前の方向に。

 そして予め高めのジャンプをしていた俺はタイミングよくルカの鋼鉄の拳を…蹴った。

 俺の脚力だけでは最初の難関を突破することは出来ない…だがルカの拳があれば話は別だ。

 

「飛んでけぇぇぇぇぇ!!」

 

 ルカが叫び、俺の体は天へ舞い上がる。

 そしてそのまま出場ゲートを飛び越えた。

 

「ちゃんと着地ィ!」

「はぁ!?」

「なんだアイツ!?」

「どっから現れた!?」

 

 後ろからまだゲートでつっかえている奴らの声が聞こえてくる。

 えーと位置的に……どこだここ?

 

『おーっとぉ!?上空から現れたのは……えーと……普通科1年D組星穹黎流だぁ!!』

「これアリなのかよ!?」

「ルートからは大きく外れてないのでアリよ!!」

 

 結構ルートに関しては寛容なんだな。それが知れただけでもやった価値はあるな。

 それと、大体の位置は把握出来た。

 

 今俺は……三位だ。

 

 眼前には紅白髪の男子が氷の上を滑り、爆豪という人が掌から爆発を巻き起こしながら前進している。

 氷を出す個性と……爆破系か?

 

「アァ!?んだテメェ!?雑魚が寄るんじゃねぇ!!」

「うっわ怖。あれがヒーロー科とか正直信じられんや」

「んだとコラァ!?」

『落ち着きが足りていないな。マイナス10点』

 

 さすがは我らが教授。

 こんな時にも点数をつけることを忘れない。

 そこにシビれる憧れるぅ!!

 

「でもここまで順位上げれるとは予想外だな……」

「……!誰だお前…」

「あ、俺普通科の星穹黎流って言います」

「あぁ…ヒーロー科の轟焦凍だ」

ここ普通返す場面じゃなくね?

 

 おっかしいなぁ。冗談のつもりで言っただけなのに。天然か?(名推理)

 っていうか轟…ああそうだ。

 

「君、エンデヴァーの息子さんか」

「……!」

「君有名だよ?ナンバー2ヒーローの息子だもんね」

「親父の話をするな…!」

「あ、もしかして嫌だった?気を悪くしたらすまんな」

 

 いかんいかん。ノンデリの片鱗が表れちゃったな。

 これも全部三月なのかってやつのせいなんだ。

 

『ウチ関係なくない!?』

『そうだよ。なのはノンデリサイコなんだよ』

『話をややこしくしないで!』

『うふふ。若者はいつも楽しそうに会話するわね』

『ああ。微笑ましいものだな』

『姫子!ヨウおじちゃん!』

 

 ははは。脳内が愉快、痛快、ハレ晴れユカイ。

 

「…これ以上親父のことを話題に出すな」

「OK。心にしかと刻んだよ」

 

 しっかしどーするよこれ。

 明らかに轟と爆豪との差が開いていってる。

 でも爆豪は轟ほど早くないな。

 スロースターターだな多分。レジギガスかな?

 そんなことを考えていた瞬間、俺の背中が思いっきり蹴られた。

 

「いって!?誰だ!?」

「へっへい!轟の裏の裏をかいてやったよぉ!」

 

 犯人はなんか背の小さいぶどうみたいな髪した男子。

 多分ヒーロー科だろう。

 

「喰らえ!オイラの必殺!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレープラッぐぼはぁ!?

「いや出オチやないかい!!」

 

 なんか技名叫んでたけど何者かに横腹を殴られてぶっ飛んで行った。

 横槍をいれた者の正体はすぐに分かった。

 俺の目の前にいたのだから。

 

『侵入者!ブッコロス!』

「は?ロボット?」

『やだ!ちょっと可愛いかも!』

「ハイなのかさんそういうところですよー」

『さあさあ!出場ゲートは序の口よォ!まずは第一関門!ロボ・インフェルノ!!』

 

 マイクの声と共に現れたのは大小様々なロボット。

 様々すぎてもはや怪獣サイズのやつ出てきてる。

 

「どっから金出てくんだよ!?アスター支援した!?」

『してるわけないでしょ!』

「じゃあトパーズか!?」

『なんで私たちにふっかけてくるの!?』

「まさかのアベンチュリン!?」

『この流れ断ち切った方がいいと思うんだけれども…』

「ごめんやん」

 

 嫌でもまじどーするコレ!?

 まずいまずい!ちょっとパニックで頭が回らん!

 冷静に!れれれ冷静なれ!

 ああ!こんなことしてるうちに轟と爆豪……あと数人先行っちゃった!

 

『聞いて』、黎流。落ち着くのよ』

「……ありがとう、カフカ…」

『これくらいどうって事ないわ』

 

 これまた珍しいやつが力を貸してくれたな。

 滅多に外に出てこない癖にこういう時は頼りになる。

 

 ありがとな。突破口が見えた。

 

「アスター!頼む!」

「了解!」

 

 個性を発動し、今度は赤髪で白い服を着た女性を呼び出す。

 彼女はアスター。頼れる博識なお嬢様だ。

 ハッキリ言うと彼女は真正面での勝負には向いていない。

 だが彼女は…支援が大の得意分野だ。

 

「星の秘密を求めるカギよ、開拓者たちに真なる祝福を!」

 

 

星空祝言

 

 

 アスターが持っている大きな杖をぶん回し、バフをかけてくれる。

 それ即ち、速度の大幅な上昇である。

 

「レッツゴー!」

 

 それで得たスピードを活かしてロボットたちの間をするりするりと通り抜けていく。

 しまいには怪獣レベルにどデカいロボットの下を全速力で走り抜け、突破した。

 

『おいおい!星穹黎流!上からじゃなくてまさかの下からかよ!?』

『どうやら身体能力を強化する術を身につけていたようだな』

『なるほどなぁ!あ!ちなみに今俺の隣で喋ってくれてんのは解説担当のミイラマンだぜ!!』

『誰がミイラマンだコラ』

 

 身につけてんのはアスターだけどね、お嬢様さまさまですわ〜。

 っていうかマジで誰だよミイラマン。

 とか何とかしてたら後方で大砲的ななにかの音がした。

 見るとナイスバディな女の子が大砲作ってぶっぱなしてた。

 なんだあれリアルマイクラか?

 

『そんじゃお次の第2関門!落ちたくなけりゃ渡りきれ!ザ・フォール!!』

 

 イナイレかよ!*1

 っていうかコレもどうしたらいい?

 こういうトリッキーなの向いてるやつ居たっけ…桂乃芬?

 

『一人なら行けるけど…黎流と一緒にってのはちょっと難しいかな…』

 

 じっ!じゃあルカ!もう一回俺を拳で飛ばして!

 

『ダメだ!まだ義手の熱が冷めきってねぇ!このまま使うと最悪爆発して大怪我するぞ!!』

 

 なら剣!彦卿の浮く剣で対岸まで行けば……

 

『黎流黎流』

 

 どした星!?

 

『彦卿なら昨日剣の鍛錬しすぎたからまだ寝てる』

 

 /(^o^)\

 

『クラーラのチャット画面みたいな表情になってるよ』

 

 そりゃなるだろ!どうすんの!?轟と爆豪とあと何人かもう対岸だぞ!?

 

『私にいい考えがある』

 

 何っ!?あの星が!?脳筋として有名なお前が!?

 

『キレるよ?』

「キレるなら後にしてくれ!なんだ!?何すればいい!?」

『いつも言ってるでしょ?ルールは破るためにあるって』

「ヒョ?(羽蛾)」

『黎流のやることはとっても簡単。そこに突っ立ってればいいの』

 

 そういうと星は自慢のバットを携えて俺の後ろに現れた。

 振り向こうとしたが

 

「動かないで、狙いが定まらないから」

 

 って言われたので銅像のように固まっといた。

 すると星は何度か素振りを行い、俺のケツにバットを当てて……

 

「おい待て!?まさかお前!?」

「大丈夫。上手く行けば対岸に行ける」

「だいじょばなかったら落ちるんですが!?」

「速戦即決でいこう」

「無視すんな!それやるくらいなら自力でロープつたって……」

『聞いて』、黎流、動かないで』

「カフカァァァァァァァァ!?」

 

 抵抗虚しく、星のバットは不思議な光を放ちながら力の限り俺のケツへと振られた。

 

「アウトッ!」

 

 

全勝・サヨナラ安打

 

 

「せめてホームランって言ってくれぇぇぇぇぇ!!」

 

 思った通り星が行ったのはケツバット。

 それをモロにくらった結果、俺の体は宙へと舞い上がり、ありえないほどのスピードを出しながらロープを無視して対岸まで移動することに成功した。

 

『ね?行けたでしょ?』

「代償がデカいんですが!?」

『文句言わないでよ。私のおかげでここまで来れたんだからさ』

「お前ほんとそういうとこあるよ!?いい事した分悪いことしていいみたいな思考回路!!」

『なんの事だかさっぱり』

 

 クソガキがぁ!!

 脳内で何人か爆笑してるのが余計腹立つぅ!

 特にサンポと花火だよ!ド畜生!

 姫子とかブローニャの苦笑も辛い!

 未だにジンジンと痛むケツを擦りながらやって来たるは第三関門。

 目の前で繰り広げられている爆発の応酬。

 どうやら一面地雷原っぽいな。でも威力はお粗末だ。

 まあガチの地雷は使えんわな。

 

『またケツバットやる?』

「二度とやらんからな!というか目標は体育祭(・・・)の優勝だ!第一種目(・・・・)の1位じゃない!だからここは慎重かつ安全に…」

『ダメだダメだ!!』

「ハッ!?この声は!?」

『こういうのはもっと派手に行った方がいいんだ!あたしに任せろ!!』

 


 

 黎流の個性のうちの一人が策を講じている中、ヒーロー科在籍の男、緑谷出久は第1関門のロボットからかっぱらった鉄のアームを使って地面を掘っていた。

 

「僕の個性はまだ完成には程遠い!第3関門を突破し、かつ上位を狙うにはこれしか方法がない!この手の地雷が埋まってる深さは大体14~15cm程度だ!コレで充分掘り出せる……ブツブツブツブツ……」

「緑谷……?何やってんの?」

 

 謎の行動に同じクラスの耳郎響香が疑問を投げつけるも緑谷は掘ることに夢中で内容が耳に入っていない。

 

「よし!かっちゃん!借りるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「大………爆速ターボ!!」

 

 緑谷は掘り出した全ての地雷を全て爆破し、鉄のアームを盾にしながら爆風を利用して空へ舞い上がった。

 

『WOW!A組緑谷まさかの猛追ーーーーー!!っていうか……』

 

 後方からの謎の爆発音に反応した先頭の轟、爆豪は思わず振り向く。

 だが時すでに遅し。

 緑谷出久は…既に二人を追い抜いていた。

 

『抜いた〜〜〜〜〜〜〜〜!!』

 

 しかし、それを見過ごすほど轟と爆豪は甘くない。

 

「……後ろ気にしてる場合じゃねぇ!」

「待てやぁ!クソナードォ!!」

 

 轟は地雷を踏まないよう地面を凍らせ、爆豪は爆破の威力を強めて緑谷を追い抜かそうとする。

 

「(そうだ!二人ならそうする!追い越し無理なら……!抜かれちゃダメだ!)」

 

 緑谷は抜かされまいとアームに着いていたコードを利用してアームをぶん回し、地面へと叩き付ける。

 それにより地雷が一斉に爆破。

 轟、爆豪、急減速。

 

『あーっと!緑谷会心の追撃ィ!』

「(よし!来た!ここまで!)」

 

 後はただ走るだけ。

 だがその慢心がいけなかった。

 

 ドドドドド……

 

「(ん?何だこの音…重機?)」

 

 ドドドドド……!!

 

「(確かに聞こえる……!でもどこから!?)」

 

 ドドドドド……!!!

 

「(ってかこれ……こっちに近づいてきてる!?八百万さん…!?いやもっと後ろにいる!)」

 

 ドドドドド……!!!!

 

 ここで緑谷だけでなく、後方にいた轟と爆豪も音を感知する。

 そして

 

 ドドドドド……!!!!!

 

 音がさらに強くなった瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドーーーーン!!」

 

 現れたのは右手に爪のような重機を持った金髪の少女…そして

 

「ぷっは!!先頭!?だよな!?ここ!?」

 

 普通科、星穹黎流だった。

 


 

 おっしゃ!作戦成功!

 でもまさか先頭まで来れるとは思ってなかった!

 

「ほらな!あたしの言った通りだろ!?」

「ハハ!そうだな!フック!」

 

 この作戦を思いついたのはまさかのフックだった。

 

「まさか地中(・・)から行くとはな!地雷よりも深い場所を掘れば関係ないって訳か!」

「そゆこと!んじゃ!あたしはここまでだ!あとは頑張れ!」

 

 柄にもなくはしゃいだがまだ安心するな!

 あとはもう走れ!なりふり構わず!

 

「なっ……!?地中から!?」

「おわっ!?まあ人いるよな!そうだよな!!」

 

 隣で驚愕の声を上げるのは…そばかすの緑ボサボサ頭の男子。

 多分ヒーロー科だな。……あれやばくね?

 

「負けて……たまるかぁ!!」

「クッソ!流石ヒーロー科!速いなチクショオ!!」

 

 そりゃ常日頃からヒーローになるために鍛えてるもんな!

 特に鍛えてる訳でもない俺が素の速さで勝てるわけない!

 どうするどうする!?

 アスターの速度強化(バフ)はとっくに切れてる!

 もう一度かけるにはまだクールタイムがある!

 万事休すか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何言ってるの?』

 

 ……星?

 

『ここで諦めるの?あんたには私たちがいるじゃん』

 

 とは言っても絶望的だろ!

 アスターのバフはまだ使えない!素の速さはあいつが上!

 ここからどう逆転すれば……

 

『落ち着いて状況を把握するの。ゴールまで残り100メートル弱。カーブとか一切ない直線。ここまではいいね?』

 

 んなこた分かっとるわい!

 だから絶望的だって……

 

『あるじゃん。バフをかけなくても、ここから超スピードを出せる方法』

 

 は?何言って……

 

『答えはこのレースの中にあるよ。思い出して』

 

 いや…スピード出したのなんかアスターのバフ以外……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ。

 

『ね?あったでしょ?』

 

 いや…でもあれはもう二度と…

 

『勝つのとどっちが大事なの?』

 

 ほんと待って!?これ以上やったら俺のケツが!

 

『勝つには犠牲(お尻)を払わなくちゃ』

 

 犠牲の対象がおかしいよォ!

 

『じゃあなに?このまま負けっぱなしのままでいいの?』

 

 それは……

 

『1位目指すって決めたんでしょ?この体育祭だけで1位?それで本当に満足するの?狙うなら全種目1位だよ』

 

 ……はぁ……まったくどいつもこいつも…

 分かった。そこまで言うならやってやるよ。

 一思いにやりんしゃい!!

 

「おっけい」

 

 あの時と同じように俺はピタリと止まり、その瞬間を待つ。

 星は光り輝くバットを手に持ち、位置を調整。狙うは彗星の如き一打。

 

「いくよ!狙うは一つ!」

「ホームラァァァァァン!?

 

 

全勝・サヨナラ安打

 

 

 本日二度目の彗星ケツバット。

 一回目とは違い、今回はまっすぐぶっ飛ぶように星が上手く調整してくれている。

 

「ァァァァァァァァァ……!!」

「え!?何!?あれ!?ギャグ漫画みたいに飛んでったけど!?」

 

 ケツバットのおかげで緑ボサボサ頭を抜かし、勢いそのまま滑り込みゴール。

 

「…………」

『…………』

「…………」

 

 観客、司会、俺、そして恐らくこの体育祭をネットやテレビを通して見ているであろう見知らぬ誰か。

 きっとどんな言葉を出そうか迷っているのだろう。

 俺もそうだ。

 

 だが、

 

 パチパチパチ……

 

 誰かが拍手を始めた。

 それにつられて一人、また一人と拍手の波は広がって行く。

 そのうち観客全員、マイク越しに聞こえる司会の拍手、あとから来たであろう例の緑ボサボサ頭の男子の拍手。

 

 その拍手が今、俺に送られてきている。

 それが賞賛なのか哀れみからなのかは分からない。

 前者だと信じ込みたい。

 傍から見ればずっこけポーズの男がゴールイン。

 どんなに恥ずかしい絵面だろうか。どんなにかっこ悪い絵面だろうか。

 今の俺には知る由もない。

 きっとネットとかで『ずっこけゴールww』とか拡散されているんだろう。

 

 でも、俺は勝ち取った。

 この雄英体育祭の第一種目を

 

『さあさあ!ちょっと驚いちまったが今目の前の光景が事実だ!リスナーも!マスメディアも!そしてもちろん俺も!全員がヒーロー科の誰かが1位になると予想しただろう!だが!そんな妄想を!この男は覆して見せた!さあ目ん玉ひん剥いてよぉく見ろ!雄英体育祭史上初!普通科で第一種目をトップで通過したこの男……!!』

 

『星穹黎流の勇姿をォ!!』

 

 俺は、一位で通過した。

*1
あれはザ・ウォール。響きが似てるよね(知らんがな)





ここで黎流くんの個性についてちょっと解説。

ゲーム内で使われている必殺技は再度使用するにはクールタイムが必要。
各人物によりクールタイムは異なる。
短い人もいれば長い人もいるよ。
あとこのクールタイムはゲーム内の必要EPとかは別に参照してないよ。
…して欲しい意見とかがあったらする…かも?

もし次番外編作るとしたらどれ読みたい?最終的には全部やる…かも。サブタイトルはあくまで仮です

  • Dr.レイシオの形而上学的銭湯理論
  • 黄泉、はじめてのおつかい
  • 発目さんとクラーラちゃん(&その保護者)
  • フォフォ、お化け屋敷に行く
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