とある格ゲーマーの幼馴染   作:無名のカヤ推し

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阿修羅会終了のお知らせ

 

 

「あー……レインちゃん?」

 

「……ん。何?ペンシルゴン」

 

「いや、えーっと。なんか機嫌悪い?」

 

「……うん。でも、ペンシルゴンのせいじゃないよ」

 

 Animaliaと出会い、友人となった同日の夜。約束の時間の少し前に待ち合わせ場所であるNPCカフェ「蛇の林檎」。現在店内には、レインとペンシルゴンの二人だけであり、明らかに機嫌の悪そうなレインに対してペンシルゴンは冷や汗をかいていた。

 

 なお、サンラクはまたユニーク関係のことで時間ギリギリになりそうと連絡が来ており、オイカッツォも少しやりたいことがあるようで、同じくギリギリになると連絡が来ている。

 

 ペンシルゴンとしては、レインとの仲は悪くはないと思っている。礼儀正しく、他の二人のように煽り散らしたり外道的行動をするわけでもない。敵対しているわけでもないし、自分に対して礼節を持って接していくることからそれ相応の礼儀を持って返していたし、恐らく年下である以上、自分が面倒を見てあげられることはやらなければとも思っていた。もっとも、同じ年下の他二人には滅多なことがない限り微塵もそんなことは思わないが。

 

 何かあったのだろうとは察せられる。ならば、ここは年上として相談にのるべきだろうか、そう考える。

 

 

「ペンシルゴン」

 

「ん、どしたの」

 

「ペンシルゴンは、いいPK?悪いPK?」

 

 ヒュッ、と。息を呑んだ。

 突然どうしたのかと思うが、レインの目は無表情ながらじっとこちらを見ている。

 

 そこで察しを付けた。恐らく、同業者が何かやらかしたのだと。それも、レインの地雷を踏み抜き今のような状態になる何かを。

 

「あははー……多分、プレイヤー的に見たら悪いPKなんじゃないかなー……結構シャンフロで派手にやってたし」

 

「そっか。うん……そっか。でも、ペンシルゴンは悪くないよね。 あのね」

 

「な、何かな?」

 

 とてつもない威圧感が自身を襲う。もしここで選択肢をミスすれば、サンラクがかつて話をしていた『ラブ・クロック』なるクソゲーのように、即座にバッドエンド。つまるところ、首を斬られるのではないのかという威圧感だ。

 

「……プレイヤーキラーを始末するために召喚される誓約とか、そういうのシャンフロにない?」

 

「待って、本当に何があったの。何がどうしてそうなってレインちゃんが修羅に入りそうになってるの!?」

 

「奴らを生かしてはおけない。ペンシルゴンはPKだけど仲間だから例外。でも、他のPKは首を置いていくのはいいPK、置いていかないのは悪いPK」

 

「本当に同業者何やらかしてくれたの!?これ私じゃ収拾つかないよ!? カ、カッツォくーん!早く来てー!」

 

 その祈り、もとい懇願が届いたのか。直後に店の入口が開き、サンラクとオイカッツォが店内に入ってくる。

 

「よし、時間通り  ――あー、レイン?どうしたそんな修羅に入りそうな顔して」

 

「あー……これ不味いやつだ。かなり怒ってるなー……ほらレイン、なんかペンシルゴンが顔真っ青にしてるからちょっと落ち着けって」

 

 オイカッツォにコテン、と頭に軽くチョップされると『ん……ごめん』と彼女は3人に謝った。

 

 レインがやっていた『ダークネス・アヴェンジャー・オンライン』では、フレンドからの要請や誓約に従い召喚されるシステムがあった。それと同じように、フレンドや誓約に基づいてプレイヤーキラーに天誅を下すものがないのか、と彼女は思っていたのだ。

 

 落ち着いた彼女に対して、ペンシルゴンも『なんか、うん……ごめんねうちの同業者が……』と謝ると、コホンと咳払いした。

 

 

「さて、今日集まってもらったのには理由があるんだ。明日に実行する、ウェザエモンとの戦い。それに向けて、最大の問題があるんだ」

 

 ペンシルゴン以外の三人が首を傾げる。対してペンシルゴンは、先程のことがあったからか少し言いづらそうにしていたが、言葉を続けた。

 

「現状、ウェザエモンと遭遇する条件を知っているのは、わたしの所属する『阿修羅会』のみ。問題ってのはつまり……このままだと、決戦当日に私達と阿修羅会がかち合うことになる」

 

「それはそれで面倒じゃない?かち合った奴ら全員倒してからウェザエモンと決戦すんの?」

 

「そうなると、仮に相手を全滅させたとして万全ではない状態でウェザエモンと戦うことになる。それは避けるべきだと思う。 だからね、決めたの」

 

 何を、と三人がペンシルゴンの言葉を待てば、クスリ、と。口元に笑みを浮かべた。

 

「阿修羅会ってさ。プレイヤーキルばっかりやってるから、みんなに嫌われてるんだよね。それで最近、遂に運営からも締め付けが強くなったんだ。レインちゃんは知ってると思うけど、プレイヤーキルをしたプレイヤーが、他のプレイヤーにキルされると、懸賞金に加えて、そのプレイヤーが持っていたアイテムや装備の所有権が、キルしたプレイヤーに移るようになったんだ。倉庫に預けていたものも含めて、全てね」

 

「それは中々だな……ってことは、返り討ちにしたレインは結構素材とか持ってたりするのか?」

 

サンラクが聞いてみると、コクリとレインは頷く。

 

「ん。今日も4人ほどキルしたから、色々あるよ。なにか必要なものはある?カッツォと相談の上で二人にも渡すよ」

 

「えっ、いいの?ありがとうレインちゃん! っと……コホン。ま、まあその話は後にして。とにかく、プレイヤーキラーはキルされると、保有している資産をロストするんだ。勿論、対策がないわけじゃない。だから、対策を知っている人間はロストしないように対策をするんだけど、根城ごと攻撃されればひとたまりもないんだよね」

 

 そこまで話を聞いて、3人は察する。つまり、ペンシルゴンの決めたこととは。

 

「3人とも此処まで言えば気がつくよね? そう。私はその根城の場所を当然知っている。……もういらないんだよね。プレイヤーキラーの何たるかを弁えず、弱者だけを狩り、運営の締付けが厳しくなれば隠れながらコソコソやる臆病者はさ」

 

「おいおい」

「うえー……マジかー……」

「ん。対人の心得をわかってるペンシルゴンはいいプレイヤーキラー」

 

 『え?あ、うん。ありがと……』とペンシルゴンはレインに斜め上の言葉を言われて思わずそう返し、

 

 

「――だから、阿修羅会。潰しちゃおっかなって」

 

 満面の笑顔でそんなことを言い切る。

 呆然としているサンラクとオイカッツォだったが、レインは何か考えるようにして。

 

 

「ペンシルゴン、ペンシルゴン」

 

「ん、なになにレインちゃん」

 

「聞きたいことがある」

 

「ほう。何かな?ペンシルゴン先生がわかることなら答えてしんぜよう!」

 

「うん。ペンシルゴンは阿修羅会を壊滅させる考え、ってことでいいんだよね?」

 

「うん、そうだね。あー……流石に自分も殲滅戦に参加したい、というのは物理的に無理だよ?だって、情報屋を使って動かす連中はあくまで私達がウェザエモンとの決戦に挑むための囮なんだから」

 

「それはわかってる。行くのは私じゃない」

 

「うん。 ……うん?待って、今なんて?」

 

 何やらとてつもなくとんでもない予感がする、そう感じていたペンシルゴン。レインはそのままオイカッツォへと視線をを向けて

 

 

「カッツォ。あの話だけど」

 

「ああ、あの話?え、今二人に伝えんの?  ――おいおいおい、まさかレインお前」

 

 一気にオイカッツォの顔色が変わっていく。彼は察してしまったのだ、レインが一体何をしようとしているのかということを。そしてそれにより、何が引き起こされるのかということを。サンラクとペンシルゴンは首を傾げているが、もうオイカッツォは『どうにでもなれ……』という心境だった。

 

「いい考えだと思うけど」

 

「いや、確かにいい考えかもしれないけど。 ……地獄すら生ぬるい何かが出来上がるぞ」

 

「プレイヤーキラーは生かしておけない。ペンシルゴンは例外」

 

「本当に地雷踏み抜きやがったな、どこぞのプレイヤーキラーは」

 

 何やら不穏な会話が聞こえる。サンラクとペンシルゴンは、ひとまずある程度の覚悟だけは決めると、二人が話し終えるのを待つ。

 

 

「ごめん、おまたせ」

 

「何かすごーく不穏なんだけど……聞きましょうか。えっと、話って?」

 

 

 

 

「うん。私のライバルであり友人の『くーちゃん』と『ジンねぇ』。ダクアヴェの【魔弾】と【神拳】の二人がちょっと前からシャンフロをはじめてるんだけど」

 

「「はぁぁぁぁあああああ!?」」

 

 思わず椅子から立ち上がり、叫び声を上げてしまうペンシルゴンとサンラク。

 覚悟はしていたつもりだったのだが、想定以上にとんでもないものが来たと思う。

 

「待って、え?待って。その二人って確認するけど、向こうの一位と二位よね?レインちゃんと張り合えるくらいのとんでもないプレイヤーよね?」

 

「私のライバル。二人からは、暫く慣らしたいから慣れたら合流させてって言われてる」

 

「なるほど……?ん……?まさか、レインちゃんあなた」

 

「うん。二人共装備とか育成のリソースが必要だと思って。だからその殲滅作戦に無所属の戦力として、二人を参加させたい」

 

「ひえっ……お、鬼……鬼神ねレインちゃん……。いや、別に壊滅しようとどうなろうと知ったことじゃないからいいけど……あーなるほど、だから地獄すら生温いと。そんなにプレイヤーキラーが嫌いなのね……」

 

「大嫌い。何度も言うけど、生かしてはおけない」

 

「あ、あははー……。うん、分かった、好きにしていいよ」

 

 流石のペンシルゴンも、もう必要ないと切り捨てた阿修羅会、そして愚弟に同情する。同時に、とある少女のことを思い出す。自分より前に阿修羅会に見切りをつけて脱退したのは正解だっただろう。正直相手が悪すぎる。レインだけでもヤバいのに、少なくとも彼女と同等かそれ以上のプレイヤーが二人など、恐らくトップクランでもどうしようもない。

 

 間違いなくこの殲滅作戦は、シャンフロの歴史に残るほどの地獄が出来上がるだろう。それも、参加する他のクランさえ震え上がらせるほどの地獄が。少なくとも、殲滅戦に参加する【魔弾】と【神拳】の二人は、向こうでは総合戦績においてレインに勝ち越している存在なのだ。

 

 まずこれで阿修羅会が障害となることはないだろう。むしろ、とんでもない祭りで根城は壊滅することになるだろう。確かにレインの話には驚いたが、それはそれで面白いなと。ペンシルゴンはそう思った。

 

 

 

 





   『ん。生かしてはおけない』    ――本気で怒ったレイン



 「脳筋三人衆」は女性二人男性一人です。妙だな……。

 『阿修羅会』終了のお知らせ。奴らを生かしてはおけないとレインがサーチアンドデストロイを発動した結果、なんかとてつもなくやべー奴らが現地に召喚された。

 なお、現地では『PK共、ひとつやふたつではない……全てだ!お前たちの全てを置いて行けェ!』『歩く宝箱って素敵ねぇ……。あらやだ、この宝箱はハズレみたぁい、残念』などという言葉が聞こえたとかなんとか。


 とりあえずウェザエモン戦前まで。まだ作者のリアル事情が落ち着かないため、とりあえずキリの良いところまで投稿しました。落ち着いたらまた投稿します。

 
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