とある格ゲーマーの幼馴染   作:無名のカヤ推し

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旅する狼達は新時代へと歩む / GGC編:其れは、想いを伝う物語
旅する狼達はここに集う


 

 その日、レインはとある場所を訪れていた。サンラクとペンシルゴンと会い、そして別の重要な要件もあるのだが、その時間の前にどうしても訪れたかったのと、確かめたかったことがあったからだ。

 

 

 『征桜領域』。かつてそこに居た存在が消えても、ずっと。永遠に咲き続ける巨大な桜の木がある場所。既にこのエリア内での制約は消失しており、今のこの場所はただ、永遠に桜が咲き続ける。自分だけが入れる場所となっていた。

 

 レインは歩みを進める。だが、その装いはいつもと少し違っていた。特徴的な白のコート。それが、違うものへと変わっている。

 

 セツナが着用していた白い研究衣を、そのままコートにしたような、近代的なデザインの白いコート。彼女のウェザエモンとの戦利品であるそれの名は、『未来を願いし者の外套』。それを着た彼女は桜の木の下まで行くと、静かに。そっと、花が活けられた花瓶を置いた。

 

 白い、蓮の花にも似た花の名は『セツナトワ』。ペンシルゴンより教えてもらったその花を置くと、静かにレインは桜の木を仰ぎ見た。

 

 

「すっかりここも静かになっちゃったね。あれだけここで死合をしてたのに、それが嘘みたいに静か。 ……師匠。師匠は、私に窮極を託してくれたけど、宿題を沢山残したね。この世界のこと、バハムートのこと、そして私自身のこと」

 

 沢山の謎を残してくれた。でも、自分のことについては最近、少しわかってきたのかななどと思いながら苦笑する。

 

「答えを出すために、私は歩いていくよ。だからどうか、見守っていてくれると嬉しいな」

 

 黙祷するように祈る。そして、それが終わるとレインはあることを確かめることにした。

 

「ねえ、居るんでしょ? そろそろ、私もあなたと話したいなって。私と一緒に居てくれる、あなたと」

 

 その言葉は、己の刀に対してだった。そしてその言葉の後、変化は現れる。

 刀が脈動する。まるで自分の後ろに何かがブレるようにして現れるのを感じた。

 

 

「私だって、あなたと話したいと思ってたよ。 ――やっと会えたね。主殿」

 

 後ろを振り向く。すると、そこには一人の少女が。自分と対象的な色ではあるが、よく似た少女が居た。

 

 黒い腰ほどまでの長髪に紅玉の強気そうで、自信に溢れた瞳。装備は全く同じで、腰には真っ黒の鞘に収められた刀。そして、自分の着ているコートの黒色のものを着たNPCの少女が嬉しそうにそんな言葉を言った。

 

 

「さて、じゃあまずは自己紹介かな。 私は、『天征』の中に封じ込められた『終焉』の意思。『名のない獣』。名前はそうだね、主殿の好きに呼んでよ。それからこの姿を取ってるのは……まあ、利便上かな?ほら、人の姿を取らないと今の世界って歩けないし」

 

「じゃあ、クロ。貴女のことはクロって呼ぶ。それから、その主殿っていうのはやめてほしい。なんか他人行儀だし……人前でそう言われるのは、恥ずかしい」

 

 少し考え込むようにした後、レインがそう言った。彼女としては、クロという呼び名にしたのはとても安直で、単純に自分と瓜二つの見た目で装備や髪の色などが黒基調だったからという理由でだ。

 

 

「うーん……私にとって主殿は主殿なんだけどなぁ。私の主、でもあるわけだし。なら、私はシロって呼ぶね。えーっとほら……丁度服装も見た目も対照的だし、後あだ名?みたいな感じで特別感あって、そっちのほうが私は嬉しいな」

 

 随分とアクティブというか、社交的だと思う。正直、レインとしてはそれが少し羨ましかった。自分はあまり社交的ではないし、アクティブでもない。だから性格という意味でも自分と対みたいだなと思う。

 

「さて、じゃあお話しよう!私もシロとは沢山話したいなーって思ってたんだ。あー……でも、話せないこともあるかな?流石に、『バハムートとは何か』とか『世界の真実とは何か』っていうのは答えられないよ。私も実は、そのあたりのこと全部知ってるわけじゃないからってのもあるんだけど。正直に言うと私、人類の敵だったし」

 

「そういうことは聞くつもりはない。私は、クロに伝えたいことがあっただけ」

 

「私に?」

 

 そう。確かに、クロの存在自体はウェザエモンとの決戦の途中から認識していた。ただ、レインは事前にその存在について聞かされていた。だから、ちゃんと話をしたかった。そして、伝えたかったのだ。

 

 

「……師匠から聞いてる。あなたが、神代でどんな存在だったのか。どんなことを引き起こしそうになったのか。そして、それをクロが望まなかったことも。自分を犠牲にして、消えそうになった時。刹那と師匠に助けられて、刀に封じられたことも」

 

「あー……あはは。そっか、知ってるんだ。うん、そうだよ。私は『終焉』の意思。天を征し、終わりを齎すモノ。こうやって目覚めることが出来たのは、シロのおかげ。シロがマナを制御できて、窮極に至るだけの力を持ってて、『二号計画』の末裔としての力を持ってたから。だから私は、力を取り戻して目を覚ませた」

 

「クロ。ここでは、この世界ではあなたが犠牲になる必要なんてない。あなたが傷つく必要なんてない。世界の謎だって、自分で探しに行く。……だから、安心して」

 

「ははっ……。ありがとう。その言葉だけでも本当に救われたよ。ああ……そっか。もう私は、人の敵である必要がないんだ。それは、いいなあ。嬉しいなぁ」

 

 自分と対照的な彼女は、まるで救われた、というようにして空を見上げる。自分は、彼女について師から聞いた程度にしか知らない。だが、こうして彼女を見て思う。本当は彼女は、世界の敵になることも。人の敵になることも望んでなど居なかったのだなと。

 

「ねえ、シロ」

 

「ん。なに?」

 

「私は、この世界を歩いてみたい。あなたといっしょに、いろんなものを見て、感じて、考えたい。だって私はもう、世界や人の敵じゃないんだから。だから今度は、世界や人を知りたい。刹那やウェザエモンが望んだ未来を、それがこれからどうなっていくのかを、あなたと見たい」

 

「じゃあ、一緒に見に行こう。クロは、私と一緒に居るんでしょ?なら、いろんなものを見に行こう。探しに行こう」

 

「きっとそれは、楽しいだろうね。……うん。じゃあ、改めて。これからよろしく、シロ」

 

「こちらこそ」

 

 旅の同伴者が一人増えた。それは、かつて世界の敵となり人の敵となり、最凶の厄災とも言われた獣。

 

 その存在は、今の時代では人となって。今度はただの旅人として、共に在る相手と歩んでいく。

 

 きっとそれが、自分の信じた未来。そして、自分を救った彼等が望むことだと信じながら、その少女は共に在る相手に笑顔を返した。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 『征桜領域』での一件の後、約束の時間が近かったということもあってレインは最早自分達の会合場所となっているサードレマのNPCカフェ「蛇の林檎」へと足を運んでいた。というのも、実は今日は重要な話が幾つもあったからだ。

 

 

 まず、ウェザエモンの戦利品について。既に自分は着用している、『未来を願いし者の外套』と、『世界の真理書【墓守編】』、そして『格納鍵インベントリア』の3つ。そして、ジョブが『侍』から『剣神』に変化したことによるスキル変化内容や、クロが目覚めたことにより使用可能になった【分け身】については確認している。

 

 ただ、ペンシルゴンからは厳重に言われていることもある。まず、今回獲得した『剣神』をはじめとするスキルやジョブについては、身内以外に絶対に話さないように言われていた。というのも、特に大きな問題なのはこの『剣神』だった。どうやら職業。ジョブの中でも、ユニークジョブという扱いとなっていたこれは、ペンシルゴンとしてもまず職業の中でのユニークなど聞いたことがなく、その希少性は計り知れないのだという。

 

 しかし、レイン本人が話さなくとも話題にはなる。既にワールドアナウンスでウェザエモン討伐のことは知られているため、『剣神』のことでなくとも接触を図るプレイヤーは出るだろうとも話されたのだが、それについては一応対応策はあるとレインは話していた。

 

 『SF-Zoo』。そこのマスターであるAnimaliaと仲が良く、既にもしものことがあればクラン総出で助けに行くし何なら後ろ盾になってくれるという話をすると、『いつのまにかすごい後ろ盾できてる……』と、ペンシルゴンは顔を引き攣らせていた。

 

 そして現在。「蛇の林檎」では、机に突っ伏すペンシルゴンの姿にガッツポーズするサンラクとオイカッツォ。なんともいえない表情をしているレインの姿が在る。

 

「む、無理ゲー……よく考えたらこの三人相手に反射速度で勝てるわけないじゃない……」

 

「ペンシルゴン、元気だして。私代わろうか、お飾りになるけど」

 

「あー……いいのよレインちゃん。気持ちだけですごーく嬉しい。いや本当涙出そう……」

 

 何やら煽るようなポーズをしている二人と、自分を気遣ってくれるレインを見てペンシルゴンは思う。『いや、本当にいい子すぎない?こんないい子フリーにしてるってカッツォくん本当に男?』と。

 

「リーダーってガラじゃないんだけどなぁ。ま、いっか。それで、初仕事は……これだよねぇ」

 

 机の上にばら撒くように置かれた、何やら名前の書かれた複数枚のカード。それを見ながら、ふむ。と考える。つまるところ、クラン名である。机の上には真面目に考えたものからおふざけで考えたものまで様々な名前のものがあり、それをじっとペンシルゴンは暫く眺めると頷いた。

 

「うん、これにしよう。『旅狼(ヴォルフガング)』って中々いい響きだと思うんだよね」

 

「それ誰が書いたやつだっけ?」

 

「ん。確かサンラク」

 

「あー、俺がなんか天啓がビビッときて書いた奴かな」

 

「コホン。ま、サンラクくんにしてはいいネーミングセンスなんじゃない? それじゃあクラン名は『旅狼』ってことで決定!  ……っと、そういえば」

 

 後ろでサンラクが『俺にしてはとはなんだ』などと騒いでいるのをペンシルゴンは無視し、レインを見る。

 

「例の二人、今日呼んでるんだよね?場所、ちゃんと伝えてある?」

 

「うん。迷いやすいから気をつけてって言ってあるし大丈夫だと思う」

 

 その言葉の直後。店の入口の扉が開かれ、カランカラン。というベルの音が鳴る。

 

 

 『ここだよ、ここ。もー!ジンさんが寄り道するから遅くなったじゃん!』

 

 『あら、ごめんなさいね。面白いものが売ってたからつい、ね』

 

 聞き覚えのある声。その声に反応して、レインが振り向いて入口を見れば、人影が二人。

 そして、その二人は揃ってこちらを向いた。

 

 

 

「お、いたいた。レイン、それからこの前あった皆も、ちゃろー!」

「あなた最近その挨拶気に入ってるの? この前は色々騒がせたわね、こんにちは。お邪魔するわね」

 

 店内に入ってきたのは、二人のプレイヤーだった。

 

 一人は、薄い金色の長い髪をポニーテールにした、琥珀色の瞳を持つ女性アバターのプレイヤーだ。背はレインと同じくらいであり、その言葉遣いや態度から随分とアクティブな人物だと印象付けられる。茶色のレザージャケットが特徴的で、それにあわせるようにして他の部位もレザー系の装備で統一し、ロングブーツを履いている、スカウト系のプレイヤー。プレイヤーネームは、『クゥ』

 

 もう一人は、紫色の髪に、髪と同じ紫色の瞳。優しげな垂れ目に、口元には常に笑みを浮かべているような、身長は180センチはあろうかという男性のプレイヤー。全体的に軽鎧系の装備であり、羽織るようにして古ぼけた紺色のコートを着ている。プレイヤーネームは『JIN』。

 

 

 もし、違和感を挙げるとすれば男性の方だ。明らかに見た目は長身のイケメンといったその人物。彼の話し方は、俗に言うオネエだったのだ。

 





 クランが結成され、NPCのクロ(獣ちゃん)とライバル二人が合流しました。

 ウェザエモン戦の戦利品は、レインは白いコートでした。セッちゃんの研究衣をそのままコートにしたようなもの。色々と性能が付与されてる。

 クロの人間形態はレインの身体能力8割に固有の魔法とスキルを合わせて戦うような性能。元神代文明滅ぼしかけた存在。色々知ってるけど自分はもう立場が違うからということでヒントとかは教えてくれるけど核心的なことは言わない。レインのことが大好き。重要NPCの一人。

 イメージとしては崩壊3rdの黒ゼーレと白ゼーレの関係をイメージして書いた。大人しいシロ(レイン)とアクティブなクロ(獣ちゃん)。崩壊3rdはいいぞ。

 ライバル二人は顔出しだけ今回は登場。クゥ(空)は明るい性格だけどやべーやつ、遠距離と策略が得意。

 ジンは絶対的強者、一位さん。拳で真正面から何もかも叩き潰すスタイル。オカマとオネエは強キャラ。見た目イメージは落第騎士の英雄譚の有栖院凪。

 次回あたり更新したらインベントリアを更新予定。
 
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