とある格ゲーマーの幼馴染   作:無名のカヤ推し

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クラン同盟結成

 

「……つまり。貴方たちがうちのクランの実質的な後ろ盾になってくれて、しかも情報提供までしてくれて、必要なら人材や物資も提供してくれるってこと?ちょっとそれはあまりに話が美味しすぎないかな。流石に警戒するよ?」

 

 ペンシルゴンがAnimaliaからの話を聞いて真っ先に思ったのはこれだ。あまりにも話がうますぎる。裏があるとしか思えないと。

 

 彼女の提案は要するにこうだ。ワールドアナウンスでウェザエモン討伐について名前を公開された以上、熱りが冷めても接触してくるプレイヤーは必ず居る。特に、トップクランである『黒狼』などは間違いなく絡んでくるだろう。だから、自分達が後ろ盾になって、被害をできるだけ最小限にするということがひとつ。

 

 次に、情報の提供。Animaliaはただの動物好きのプレイヤーではない。このシャンフロというゲームに精通しており、ラビッツについても知っている。そして、サンラクの持つ呪いについても知識を保有しているのだ。シャンフロとは、世界観と設定が攻略の鍵となる事が多いゲームである。それについては、ペンシルゴンもよく理解していた。ウェザエモンとの戦いでそれをよく思い知ったというのもある。

 

 情報とは時に、武器よりも強力である。武器で解決できないことを、情報が解決する。ユニークモンスターについての情報、そしてそれを攻略する情報。生物というものを愛し、研究しているクラン『SF-Zoo』は、そういった情報を手にする可能性は十分にあり得た。そして現時点で既に持っているかもしれない。それを、提供するというのだ。

 

 最後に人材と物資の提供。『旅狼』は確かに人外と言ってもいいほどとんでもないメンバーが揃っているが、それは戦闘方面の話である。残念なことに、財政面や戦闘以外での制作などの方面について、現時点では壊滅的と言っていい。ひたすらにプレイヤーキラーを返り討ちにしていたレインや、先日の阿修羅会の殲滅で大量に物資を手に入れたジンやクゥは資産面では多少持っているかもしれないが、それでも現時点でメンバー内に生産職方面で安定させているプレイヤーは居ない。ペンシルゴンは知る由もないが、サンラクはラビッツにて鍛冶方面では多少のツテはあるが、安定しているとは言えない。そんな問題解決のため、もし必要なら自分クランから生産方面のプレイヤーを派遣。ある程度の物資については提供もしてくれるというのだ。

 

 

「何が目的?」

 

「別に。何か特別な狙いがあってこうするわけじゃないわ。 ……強いて言うなら、1つ目についての理由はレインが心配だったから。ぶっちゃけるけど、私達は別にユニークモンスター討伐についての情報だとかは、確かに興味はあるけどそこまでなの。だって、【墓守】のウェザエモンは動物に関係するユニークではないし、むしろ大騒ぎで大事な友だちが何かされるんじゃないかってほうが嫌だった。それだけ」

 

「随分とレインちゃんのことが大事みたいね」

 

「当たり前。レインは同じ動物好きの大事な友だち。 ……友達を助けるのに理由がいる?」

 

「オーケー、確かにその通りだ。私だってそのあたりことは心配だった。でも、あなたみたいな友達や優秀なボディガードに手を引いてくれる相手も居るから、その心配も必要なさそうね」

 

「それ、どういう」

 

「気にしなくていいわ。ともかく心配はないってこと。 ……じゃあ次。2つ目と3つ目についてはどうして?」

 

 今度は観念したようにAnimaliaがため息を付いた。そう、彼女とて大半が友人のためだがそれだけではない。クランを動かしている以上、別の理由もある。

 

「これも私の本音。今回動いたのは、殆どがレインのため。うちのクランでも、レインのことを心配する声は多かった。だからクラン単位で動いた、っていうのはある。ただ、それとは別に利を求めるためっていうのはある」

 

「いいね。そういった本音は嫌いじゃない。着飾った嘘なんかよりずっと信頼できる。それで、あなた達の求めるものは何?」

 

「ユニークモンスターの討伐。それは、今まで誰も成し得なかった偉業。見方を変えれば、貴方たち『旅狼』は今のシャンフロで最もユニークモンスターに近い場所に居る。この世界の謎に、最も近い場所に。 ……ねぇペンシルゴンさん。残念だけど、うちのクランには貴方たちほどの実力も力もない。つまり、自分達の到達できない領域を知る術がないの。だから、私達はクランで持つ情報と、今後手に入れる情報を対価として、動物に関わるユニークモンスターやシナリオについての情報を要求するわ」

 

「なるほど、ね。……そりゃ、大きく出たね」

 

 どうする、と考える。『SF-Zoo』からの情報提供というのは破格の条件だ。動物や生態系に関わる情報という点では、恐らく『ライブラリ』よりも詳しいだろう。

 

「勘違いしないでほしいのは、私達が求めるのは動物や生態系についての情報であって、ユニークシナリオで得られる報酬や発生条件については興味がないということ。そして、貴方たちから受け取った情報については厳重に管理し、外には漏らさないと約束するわ。だって、漏らしたら他のプレイヤーがその動物や生態系に何をするかわかったものじゃないでしょ?」

 

「……なるほど。最後のそれが本音だね?」

 

「正解。だって、私達は『SF-Zoo』よ?」

 

 まいった、というようにペンシルゴンは口元に笑みを作る。

 

「わかった。情報提供について了承する。ちゃんとメンバー全員に周知しておくから安心して。それで? まだあるんでしょ、うちに頼みたいこと」

 

「最期はなんというか。そうね……実益というより、クランとして成り立ってるなら確認は取っておかないとって思ったからかしら」

 

「んん?それは?」

 

「最期の3つ目については、うちのクランからは貴方たちが必要な時にある程度の物資の支援。生産職や、必要ならバッファーやデバッファー、タンクを応援として派遣するわ。勿論、呼ばれたら私だって出向く」

 

「わーお……。そっちのサポート職にタンクなんて、他のトップクランが悔しそうにするほど有能なメンバーじゃない。しかも、知識まで在る。加えてあなたまで出張ってくれるなんて、こりゃ対価が怖いなあ」

 

「対価は必要ないわ。ここまでするのは、2つ目のこっちからの要求について、それだけ重要視しているからってだけ。後はそう。これは今回の同盟とは関係ない話しだけど」

 

「ほほう」

 

「レインがうちに手伝いに来てくれたりするのを許可して欲しい。流石に、クランに所属している状態で、そっちに知らせずに色々やるのはマナー違反。場合によっては、勝手に他クランの戦力を連れ回している、とも取られかねない」

 

「いやいやうちそんなガッチガチのクランじゃないよ!?全然問題ないわ。そもそも、クランメンバーをそこまで拘束する気なんてうちはないの。みんなわりと自由にやるだろうし、私だってそうする。だからそういうのは気にしなくていいよ」

 

「ありがとう。……なら、是非そちのクランメンバーもうちに遊びに来て。実は、新しい拠点に今移動中なの」

 

「ちょっとそれ言ってもいいやつ?かなり内輪の情報じゃないの」

 

「構わないわよ。土地含めて結構広い拠点だから、なんなら会合とかに使ってくれてもいいし」

 

「いま不穏な言葉が聞こえたんだけど、土地含めてって何……」

 

「うちのメンバーで動物保護用の施設だとか、放し飼い用の施設だとか色々やってたら結構とんでもない金額が飛んでね。しかも私有地扱いだから、関係者以外立入禁止」

 

「あれ、私もしかして退路絶たれてる?」

 

「断るの?まあそれなら残念だけど……」

 

 まさか、とペンシルゴンは思う。実益から見ても友好関係という点でも、これはとてつもなくチャンスなのだ。

 

 

「じゃ、遠慮なく色々頼らせてもらったり拠点に邪魔させてもらおうかな。 ――同盟の話。了承するよ」

 

「それは嬉しい話ね。こちらこそよろしくね。 ……そうそう、重要なことを聞き忘れていた。とても、とても重要なことを」

 

「な、何かな」

 

 突然、Animaliaの雰囲気が変わった。とてつもない威圧感で、鋭い目でこちらを見ている。同盟の話は了承してしまった。一体何を言われるのか。そう思っていると、

 

 

 

 

 

 

 

「ペンシルゴンさんは動物好き?」

 

「……へ?」

 

「だから、動物は好き?」

 

「まあ、好きだけど。あー、そうね……。忠実なシベリアンハスキーとか好きかな。後は人懐っこいゴールデンレトリバーとか」

 

「同士」

 

「えっ?」

 

「今この瞬間、同盟を超えて同士となった。わかる、いいよね大型犬……。リュカオーンとか飼えないかなって思ったことあるもの私」

 

「それは流石ちょっとよくわからないかなあ。 ……いや、犬は好きだけど」

 

「ペンシルゴン、ペンシルゴン」

 

「ん、どしたのレインちゃん」

 

 それまでずっと話を聞いていたレインに呼ばれる。ずっと真面目な話ばかりしていたので、ペンシルゴンとしてはこの忠犬系後輩に癒やされたいと思っていた。

 

 

「リュカオーンって飼えないの?」

 

「いや本当待って? 私頭オーバーフローするよ?」

 

そういえばこの後輩も動物好きだったと思い出す。そして、リュカオーンが狼系のユニークモンスターであるということも、話だけは知っていたと思い出す。

 

「躾すれば飼えないかなって」

 

「わかる、すごくわかる」

 

 

「なんで君達二人はそんな考えが出てくるのか私にはわからない」

 

 思わず頭を抱える。リアルに戻ったら胃薬を飲もうと決意する。

 

 しかし、リュカオーンは確かに狼系である。つまり、厳密には違う種ではあるが犬系統と取れなくもない。

 

 ならば、躾などによって手懐けることは……と。そこまで考えて、自分の頭が色々とオーバーフローしておかしくなっていることを自覚し、ペンシルゴンは考えることを辞めた。どうあれ、同盟の話は上手く行ったのだ。心強い味方を得られたのは大きい、それだけ考えよう。そう思い、動物の話で盛り上がるレインとAnimaliaをただ見守ることにした。

 

 

 

 

 





レイン「リュカオーンって飼えないの」
Animalia「わかる、飼いたいよね」

ペンシルゴン「(頭を抱えながら胃を抑える)」

 犬好き(レイン+Animalia+クランSF-Zoo)はわりとガチでやろうとする。なんならクロも力貸してくれる。逃げろリュカオーン。影くらいなら今のレインなら撃破するし色々捕獲しようと試みる。

 実はクロの入れ知恵と協力にレインの技量とウェザエモンの『時』に干渉する力を使えば捕獲できなくもない。だから逃げろリュカオーン、分身体が捕まったらきっとレインとAnimaliaは本体見つけたら捕まえる気になるぞ。

 なお、ちゃんと捕獲したら面倒は見るし散歩もするし遊んであげるしご飯もあげる。

 
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