その内の1つ、『GGC編:其れは、想い伝う物語』の予告編的な話。
グローバル・ゲーム・コンペディション。それぞれの思惑、海の向こうからの来訪者、様々なものが入り乱れる。
「なんでお前計画と違って鳥頭被ってるの、いや流石にウケるって……!」
「サ、サンラクくん……さ、さすがにそれは……反則……!!くっはははは!!!」
「お、おのれ空……まさか、あのプロゲーマーの手のひらの上で踊ることになるとは……!」
サンラクの顔を隠すためにとクゥ、空が用意したのはシャンフロ内の鳥頭を忠実に再現した被り物だった。
想定外のサプライズ、罠に嵌まるサンラク。爆笑する外道二人と、慧のチームメイトである夏目恵。
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「そっちが今、誰を相手にしているのかを知るといいよ。 ――私を射撃戦で倒したければ、FPSでの全米一位である彼女を連れてくるべきだったね」
フルダイブチェアから起き上がった彼女のブーツがトン、と。ステージに音を響かせる。その音は、会場全体に響くように木霊した。それを気にすることなく、彼女は『つまらない』というように空を仰ぐ。
会場は沈黙に包まれていた。静寂、そんな中で誰もが言葉を失い、その結果を目にしていた。
『
誰もが畏れた、彼女の実力を。
誰もが恐れた、彼女の戦術を。
全ての戦況を意のままのように操る、その戦術眼と才能を。
誰もが恐怖した。 ――その絶対零度の感情の篭っていない虚ろな琥珀色の瞳を。
「……リーダー」
「うん、キミ達にも無理言ったね。数合わせにしちゃった。ごめんね。 ……どうしても、今回は全力で完璧な勝利にしたくてさ」
「自分達は貴女に従うだけです。ただ、お聞きするとすれば。 随分と、"楽しそうですね"?」
長身に体格の良い、それこそ現役のそういった所の人間ではないのかという若い男は、チームリーダーである空へとそう告げた。
外から見ればそんなわけがないだろうと思うだろう。だが、分隊員であるその一人は空へ楽しそうと言ったのだ。そしてそれは、正解だった。
あは、と。彼女は笑うと、絶対零度の目を閉じた。再び開くとそこにあるのは、周囲がよく知る普段の彼女の。自信に溢れた瞳だった。
「実は、友達の重要な勝負があるんだよね。だからその餞に、『負けたら覚悟しとけよ』って意味合いで見せてあげたんだ、私の全力を。 あははっ!これで、気合い入れてあっちも成功してくれるといいなあ! 本当、上手くいってくれるといいなあ。 ……だって」
『玲には、幸せになってほしいから。 ――私と違って、ね』
彼女はいつもの口調でそんな言葉を、付き合いの長い分隊員へと言った。分隊員。副隊長のその男は何か思うことがあるような、言いたそうな目をしていたが、すぐさま表情を戻して彼女へと付き従った。
『自分は、貴女の幸福を願っています』
などと、言えるわけがなかったのだ。
◆ ◆ ◆
「それでは勝利者インタビューです、プロゲーマーの『空兎』選手。お願いします!」
「今回対戦に使用された、今秋発売のデスペラード・スタンピード。武器の音が最高でした!例えばM1ガーランドベースの銃なんだけど、もう発砲音とかリロード音とか最高で、ずっと聴いてられる!銃のリロード音とか発砲音のASMRとかあったら私買います。出してくださいむしろ出せ。開発さーん!それからメーカーさーん見てますかー?お願いしますよー!期待してますからね! ああ、後別の好きな武器で言うなら――」
「はい!ありがとうございました!」
「ブレないわね、空ちゃん」
「ブレないね、くーちゃん」
勝利者インタビューで、使用された発売予定ゲームと、武器の内容について配信されているにも関わらずレビューしようとする空。
盛り上がる配信、感動に震える開発元。武器のASMRなどどうやって作ればいいんだと頭を抱える宣伝チーム。
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「玲姉さま玲姉さま、僕こんなイベント初めて来たよ……!」
「すごい人だね。あんまり蓮ねぇから離れないようにね」
「あら、初々しいわねえ。ちゃーんと私がエスコートするから、安心なさいな」
友人と、大切な相手を応援するために現地入りする玲達三人。
そして、その姿を遠方から見つめる金髪の少女。
その金髪の少女の瞳に映るのは、銀灰色の髪をもつ少女。
悔しそうに。今にも泣きそうな、辛そうな表情で少女は三人組を見る。
どうして、自分ではないのか。と、何かに問うように。
そうして、息を吸い。いつもの自分に戻ると歩みを進める。
自分との勝負を渇望する相手の待つステージに。
あの場でなら、きっと彼は自分を見てくれる。全力でいつものように挑めば、きっと自分を見てくれる。そう、信じて。
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事態は最悪だった。当日の今の今になって空が出場していたタイトルとは別の作品、ルインズ・ウォー・ハウンズ6の世界大会において欠員が出てしまった。そうして、スポンサーから代理として指名され、脅迫に近い形で欠員補充という形で参加することになってしまった。
ギャラクシア・ヒーローズ・カオスのエキシビションマッチは4vs4、そして中途半端にRwH6の大会とGH:Cのエキシビションマッチの開始時刻がズレていた。加えて、スポンサーの機嫌を損なうことはかなりよろしくないとのこと。
どうしたものか、そう考えていると。
「お困りみたいだね、みんな」
そこに現れたのは、空だった。後ろには、チーム内で副隊長と呼ばれる男性を一人引き連れて。
GGC1日目。デスペラード・スタンピードのエキシビションマッチにおいて、圧倒的な力を見せつけて完全勝利してみせた、慧とは所属するチームは違うが、間違いなく世界規模でのプロゲーマー、それが空だ。窮地に現れたのは、彼女だった。
「うーん、ちょっとシャレにならないね?でも、あのスポンサーかぁ……多分私が言っても怪しいからさ、代替案を持ってきたよ」
完全にキレていた。慧に対して脅迫じみたことをやったスポンサーに対して、彼女はキレていた。だからこそ、とんでもない策略をもってきたのだ。
「スポンサーは曲げれないけど、GH:Cのマッチングルールには私なら介入できると思うよ?スポンサーが先にやったんだから文句なんて言わせない。 ――慧くん。キミのために最高の舞台を用意しておいてあげるよ。舞台を最高潮にしてあっためておいてあげる」
何かを考えていたペンシルゴンだったが、そこでハッとしたようにして空と顔を見合わせた。
そして。『天災』と『魔王』が笑った。
「一時的な大トリとして私の名前を登録する。キミが戻ってきたら私と交代。ああ、玲とか蓮さんクラスが相手だとどうしようもないってだけで別に接近戦が出来ないわけじゃないからね、私。 観客の望むのはエンターテイメント。それを叶えながら、最高に盛り上がったタイミングでキミと『
再び『天災』と『魔王』。空と永遠はニヤリ、と笑って。
――『さあ、最高の『
二人同時に、そう言った。
観客の心に刻まれる舞台劇。最高の『
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「悪いんだけどさ、私もこの勝負負ける訳にいかないのよね」
ペンシルゴン。天音永遠は告げる。対戦相手、『
「流石の私も、覚悟決めて頭まで下げてきた相手のために出張って、無様に負けるわけにはいかないのよ。何せ」
そう、負けるわけには行かない。オイカッツォ、慧の覚悟に対してというだけの理由ではない。あの外道共と違い、真面目で、純粋で、けれど戦闘となれば脳筋思考で、時折ぶっ飛んだことも考える――かわいい後輩の幸せのために。
「あの子の幸せのため、オマケで男見せたカッツォくんの覚悟のために! ――今日の私は、阿修羅すら凌駕する『魔王』になると決めたのよ!」
この程度がなんだ。これぐらいで挫けるなど、あり得ない。何せ、自分達は見ているのだ。シャングリラ・フロンティアという世界で、理不尽なほどに強く、疾い相手を。
あの、玲ですら限界を超えてようやくといった相手だった、『窮極』のウェザエモンを。
そうして、始まるのは悪夢の惨劇。語り継がれる、魔王の如き所業。
『天音永遠』の全力。使えるものはすべて使い、打てる手は全て打つ。
そして、ありとあらゆる所業の末に勝利した彼女に対戦相手は言う。『汚い手を……!』と。
――『汚いは褒め言葉だよ。私の大義のために、這いつくばってなさい負け犬』
重ねられた策略と、手段を選ばない結果の上に成り立つ勝利。
そこで高らかに彼女は宣言した。
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「初恋だったんだ。でも、それはもう終わったことだ。 もし、君が彼女を泣かせるなら。僕は慧、君と。そして彼女の友として君を絶対に許さない」
「……わかってる。あいつの泣いてる顔なんて見たくない。覚悟だって決めてきた。だから、お前に情けない姿は見せない」
「ああ、それでいい。だから見せてくれ、君の男としての覚悟を」
対峙するは慧と、玲と縁の深い、ある家名の姓を持つ長身の優男。
それぞれが願いと覚悟を告げ、慧は誓う。
迷うのは、もう辞めたと。
そして。
「玲。もし俺が、『
「慧?」
「俺は、『全米一』に勝つ。だから、見ててくれ。……それで、勝った後に大事な話があるんだ」
「……うん。待ってるよ、私」
告げるのは、覚悟の言葉。そして、彼が未来へ進むための宣誓。
シャングリラ・フロンティア とある格ゲーマーの幼馴染。
『GGC編 其れは、想いを伝う物語』 開幕。
『GGC編 其れは、想いを伝う物語』は、慧と玲の物語になります。原作だとGGC前にクターニッドとかルストやモルド、諸々のことあったかと思うんですがそのあたりは時系列調整してます。GGC編わやってからシャンフロ内のことに移る予定。
玲と慧がメインだけど、空も結構メインになってるかも知れない。