原作読んで更にアニメでウェザエモンあたりまでやって衝動を抑えられなくなって書いた。プロローグなのでちょっと短め。大体各話5000字前後の予定。
とある格ゲーマーの相談事
「今なんて言った?」
「ごめんカッツォくん、もう一度言って貰える?」
サードレマの裏通りにひっそりと開店しているNPCカフェ「蛇の林檎」。店内には三名のプレイヤーしか居ない中、唖然としたような、信じられないというような声をあげたのは二人のプレイヤー。一人は紫色の長髪をした女性プレイヤー。そしてもう一人は、青色の鳥頭に半裸、胴体と手足に傷のようなものがある、恐らく大半のプレイヤーが見ればロールプレイか変態だと思われる男性プレイヤーである。
「いや、だから。実力は保証するし、多分というか間違いなく……お前らが見れば信じられないって思うくらいの人材だとは思うけど」
「いや、そうじゃなく、そうでもあるが」
「そっちも気にはなるけど今聞きたいのはその前。もう一度言ってくれる?」
「えー……言わなきゃだめ?」
早く言え、というように頷き自身を見る二人に対してオイカッツォはため息をつく。
「俺のリアルの幼馴染。色々あってさ、実はシャンフロを同時期に始めてたんだよ。あんまりネトゲをやらない奴でさ、今までやったのも1タイトルだけ。あー……個人的にだが、異性だからあいつほったらかしにして自分のこととかお前らとの話進めるのもちょっと不安でさ。実力は保証するから、ペンシルゴンの話にそいつも噛ませてほしい」
「わーお……まさかカッツォくんがリアルでゲームにしかないような展開だったなんて驚いたわ」
「プロゲーマーがリアルで恋愛ゲームみたいな展開やっててちょっと俺は信じられない」
「ぶっ飛ばすぞお前ら。後、俺とあいつはそんな関係じゃねーよ。 ……んで、何か聞きたそうだなペンシルゴン」
ニヤニヤとしてオイカッツォを見ていた二人だが、突然話を振られてペンシルゴンは真面目な表情に戻ると『ああ、そうね』と言って。
「カッツォくんが推薦するからには信用もできそうだけど……さっき言ってた実力はどんなものなの?正直に言うけれど、相手は最強種の一角。並大抵のプレイヤーじゃ足手纏にしかならないし、メンバー数で相手のステータスが変動する関係上足手纏のメンバーも増やせない。わかるよね?」
「安心しろ。あいつは俺からしても"規格外"だ。ネトゲの経験は少ないが実力だけなら俺やサンラクにも匹敵すると思ってる」
「自分で言うのもなんだが、そこまでなのか?つーか、カッツォレベルって言うとプロゲーマーでもトップクラスってことになるぞ」
「俺も負けず嫌いだからさ、あんまり認めたくないんだけどなー……多分、あいつを倒そうと思ったら同レベルでの状況不利か相性有利、もしくは同じタイプの奴が真正面から叩き潰すしか勝ち目ないと思うんだよなー……。お前らも聞いたことない?ダークネス・アヴェンジャー・オンラインって」
知っている、というようにサンラクとペンシルゴンは頷いた。『ダークネス・アヴェンジャー・オンライン』、未だに人気を誇るタイトルであり、発売当初はメインストーリーの鬼畜難易度にクソゲーの烙印を押されそうになったこともあったが、徐々に『だが、それがいい』と言い出す中毒者が増えていき、クリアしたときの達成感ややりがい、ゲームクリア後のエンドコンテンツでは本編ではNPCなどに対してだったが今度は他のプレイヤーに対して復讐をする『アヴェンジャー』となり、広大な世界で行う対人などが評価され、神ゲーに名を連ねた作品である。
「お前らだから言うけど、あっちのアヴェンジャーランク3位に"シマヅソウル"って奴居るだろ。あれ、うちの幼馴染」
「ちょっとまってあの首切りシマヅ……!?また頭が追いつかないんだけど」
「俺も聞いたことはあるな……対人で相手の首をひたすら切り落とす、1位と2位の二人が口揃えて真正面からは戦いたくないと言った、大人数で倒そうとして全員首を落とされたとかだったか?え、うそ。あのバケモノがお前の幼馴染?え?プロゲーマーでリアル恋愛ゲーマーで幼馴染は首切りシマヅ?すまん何言ってるのかわからない」
「表に出ろサンラク、ぶっ飛ばしてやる」
「目がマジだから落ち着け、ほらどうどう。よーしよしよしよし」
「今すぐに表に出ろ」
「だーもー!カッツォくんは落ち着いて!サンラクくんも煽らない!」
話が進まなくなる、そう判断したペンシルゴンが二人を仲裁する。
「話戻すけど、つまりその1つしかタイトルやったことないっていうのがダクアヴェか?あそこって対人環境とんでもなく魔境じゃなかったか?プロゲーマーが心折られたとか、トッププロゲーマーが中毒になって向こうの世界から帰ってこなくなったとか聞くぞ。あっちのランク3ってことは……いや規格外だろうなあ」
「私も聞いたことあるよ、あっちの対人レベルはとんでもなく高くてプレイヤーキラーの間でも話題になること結構あるし。後、イキったプレイヤーキラーが向こうに行って心折られて戻って来るなんてことはザラみたいだし。まあ話は大体わかったしどれだけとんでもないプレイヤーなのかってのもわかった。それで、なんでまたその幼馴染ちゃんはシャンフロ始めたの?」
あー……。と、オイカッツォは言葉を濁した。そして、視線を逃がすようにして泳がせる。当然それを見逃す二人ではない。すぐに『あっ、こいつに原因あるな?』と察しをつける。
「……多分なんだけどさ、俺が口滑らせちゃったからなんだよな。あいつと話す時、お前らの話することもあって。それでその流れでシャンフロ面白そうだから始めようかなって話をしたんだよ。そしたら、あいつも興味持ったのか始めるって言ってさ」
なるほどな、とペンシルゴンは思った。サンラクはわかってないだろうが、『なるほど』というように頷いている。が、ペンシルゴンの頭の中は別だ。恐らくオイカッツォの中では本人がそう意識してないだけで、その幼馴染とは特別な相手なのだろうと推測した。でなければ、"あのオイカッツォがここまでするわけがない"。
ペンシルゴンの中での打算という意味合いでも、また人物評価という意味合いでも自分の提案した件。最強種の一角である『墓守のウェザエモン』の討伐に加えるのに賛成してもいいと思っていた。その幼馴染がどういった人物像かは不明だが、彼が認めたうえで"規格外"と称す時点でとんでもない人材なのは間違いない。
「私はいいよ。カッツォくんが推してるし、話を聞く限りとんでもない人材みたいだ。個人的にも色々興味あるし」
「俺も賛成だな。……首切りシマヅの中の人、というのも気になるしな」
「――ありがとな。 戦力になるのは保証する。人間も俺達三人よりよっぽどまともだから安心してくれていい」
「まるで俺達全員が頭のおかしい集まりか人間性が終わってる集まりみたいな言い方……すまん否定できないわ」
「こんな頭のおかしい集団に真人間入れて大丈夫?ちょっと私真面目に不安になってきたんだけど……」
「人間は出来てるけど平気な顔して首を喜々として落としに行くやつだぞ、あいつも半分こっち側だ」
「「こ、こいつ貴重な幼馴染属性になんて言い草だ……」」
果たしてオイカッツォの幼馴染とはどんな人物なのか二人は興味が更に湧いた。真人間で幼馴染属性、加えて異性ということなので女性プレイヤーだろう。しかし、彼曰く喜々として首を落としに行くともいう。情報過多すぎるぞ、と思った二人だったがふと思ったことを聞いたのはペンシルゴンであった。
「ところで、幼馴染ちゃんはもうゲーム始めてるのよね?多分カッツォくんと同じくらいのレベルとして……どんなビルドなのかとかわかる?ウェザエモン戦のために作戦とか変えなきゃならないかもだし」
ああ、それは。と彼は呟いて、
「職業は『侍』の刀使い。ステ振りはSTM、AGI、DEX主軸の ――カウンター型回避盾だよ。後、あいつ斬れれば大抵なんとかなるって考えてる節あるからやっぱりこっち側だわ」
この物語は真人間脳筋属性の幼馴染ちゃんルートです。なお、慧くんの諸々の葛藤と他外道二人からの弄り増加による負担は考慮しないものとする。果たして彼はこの先生きのこれるのか。