キヴォトスの生徒と先生がイチャイチャしたり、傷ついたりする話   作:古魚

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正直今回は、短いし勢いで書いたのでクオリティーは保証できない。ごめんね!


伊落マリー ×

「私は……どこで間違えたのでしょうか」

 

 トリニティ郊外の路地裏で、粗い呼吸を繰り返す先生を抱えながら、マリーはぼたぼたと大粒の涙を零す。

 

「マリーは……何も、悪く……ない、よ」

 

 かすれる声で、震える口で、揺れる瞳で、先生はそっと呟く。

 

「マリーは、悪く、ない……」

 

 血の気が引いた青白い手をマリーの頬に伸ばし、笑いかける。

 

「無理してしゃべっちゃダメです。今、救護騎士団が向かって来て居ますから……だから、どうか……」

 

 先生の手を握りしめる。「あきらめないで」その言葉がマリーの口から出てこない。間に合わないことぐらい、一目で分かる。腹部に一発、肩に二発、ふくらはぎに一発。

 

 全ての人は神の下で救われる権利があると考えるマリーは、トリニティ郊外の不良たちに恵みを与え、公正するよう声をかけることを繰り返していた。たまたまその行動に同伴していた先生。

 

 今回出会った不良生徒の子は、いつもマリーたちが接していた子たち以上に荒々しく、マリーの施しを拒んだ。それでもあきらめず、マリーが関わろうとした所、その生徒は銃を抜いた。

 マリーは咄嗟にパイエティーを抜き発砲、不良を撃ってしまった。それを見た他の不良も反応、銃撃戦へと発展してしまった。その不良の中には、以前マリーから施しを受けていた子もいた。その事実に心を痛めながら、マリーは銃撃戦をこなした。

 

 先生指揮の下戦うマリーが、雑多な不良などに負けるはずがなく、すぐに騒ぎは収まった。先生は、今は刺激しないために、一旦この場を離れようと持ち掛けたが、マリーは不良たちの手当てを始めようとした。

 

 その判断が、今の状況を生み出した。

 

「……人は皆善良な心を持ち、きちんと導けば、誰しもが良い人になれるなんて、間違いだったんです」

 

 マリーが先生から離れた瞬間、倒れたフリをしていた不良が起き上がり、先生へ向けてSMGの弾丸を放った。アロナバリアで耐えたのも束の間、その不良は先生が怯んだのを見て接近、売って金にしようと考えたのか、手に持っていたシッテムの箱を奪った。慌てたマリーが改めて不良へ発砲、見事に一撃で沈めたが、置き土産と言わんばかりに、不良はマガジンの中に入っていた弾薬をばら撒いた。

 

 その弾丸が、先生を貫いたのだ。

 

「愚かな人は……いつまでも愚かなまま。一度更生のチャンスを逃した者に、慈悲など必要なかったんです」

 

 そっと頭のウィンプルを外し、自身で買ったコサージュを見つめる。神への誓いを立てたあの時を、初心を忘れないようにと買ったコサージュへと、マリーは銃口を向けた。

 

「ああ、神よ。私は気づきました。貴方ほどお心の広いお方が、人々へと怒りの鉄槌を下すことのある理由が」

 

 ひと思いに引き金を引くマリー。重厚な発砲音がコサージュをぶち抜き、ウィンプルに穴を開ける。

 

「されど神よ、貴方の鉄槌は善良な人をも巻き込んでしまいます。今私の膝の上にいる者のように……かの者はもうすぐ貴方のお傍へと昇り、貴方へと尽くしてくれることでしょう。ですからどうか、その役割を私目にお与え下さい」

 

 ウィップルを被り直すマリー。その目に光はない。頭の上で黄色く咲いていたクレマチスは枯れ、紫のシャクヤクが花弁を開いた。

 

「先生! マリーさん!」

 

 遠くからサクラコの声がする。マリーは先生をその場に置いて、立ち上がる。

 

「サクラコ様。私はもう、戻れません。どうか聖なる人々のことを、お願いいたします」

 

 両手を合わせ、最期の祈りを捧げたマリーは、身を翻した。

 

 

 マリーは行方不明になった。先生の死を境に、かなりの荒れようを見せたキヴォトスだったが、その騒動すらも数か月も経てば徐々に収まり、比較的平穏な日々が戻って来た。いや、あまりにも静かすぎるキヴォトスがやって来た。

 

「ねえ知ってる? 最近、不良やヘルメット団みたいな悪のグループが全然いないじゃん? それって、正体不明のシスターが全員殺しちゃったからって話」

 

 そんなキヴォトスでは噂が流れる。

 悪さをすると、ボロボロの修道服を纏い、穴の開いたウィップルを被ったシスターがやって来て殺されると言うものだ。

 

 

「おい、そろそろどっか適当な店を襲わないと、あたしたちの明日遊ぶ金がねえぞ?」

「でも下手に悪さすると、噂のシスターに殺されるって……」

「そんなのただの噂だろ? どうせヴァルキューレ辺りが力つけただけだって」

 

 路地裏で数名の不良がそんな話をしている。

 そこへ、静かに迫る足音。

 

「おい、誰か来たぞ?」

「チッ、身ぐるみはいで追い返そう、計画がバレるとまずい」

 

 銃を構える不良たち。されど、次の言葉が聞こえた瞬間、全員の背筋が凍り付いた。

 

「汝、己の罪を数えよ」

 

 ガチャリと重々しいコッキング音が路地裏に響く。

 

「我は神罰の地上代行者。我は神の怒りを代弁する者」

 

 ようやくその姿が不良たちの目に映る。

 

「我の使命は、救われぬ愚者を根絶し、我が神の怒りを鎮めること」

 

 ボロボロの修道服を纏い、穴の開いたウィップルを被ったシスターが、不良たちへと銃を向ける。

 

「我は生徒にして生徒に非ず、己が魂を神へと預けし先生の使徒、伊落マリー」

 

 一目散にその場を離れようとする不良へと、パイエティーから鉄槌が下される。

 

「愚者には鉄槌を、悪には制裁を、アーメン」

 

 銃声と共に、また一つ、キヴォトスから悪は消えた。

 

《マリーEND:先生の使徒》

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