キヴォトスの中心でわんわんおと叫んだケモノ   作:Aデュオ

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おなまえだけはしょきからとうじょうしてましたのよ。

すぺーすにゃんこと、いやしにゃんこと、すいーつにゃんこ。

みんなちがって、みんないい!


10話:狼と勘違い 優しい世界は甘味と共に

 

 

「パンツルックも良いけど、いつもみたいなミニスカも捨てがたい。ニーソじゃない生足ってのも貴重だろうし……」

「なまあし……?」

「いや、ここはハイウエストのロングスカートにブラウスとタイでエレガントに行こうか。ホワイト系のブラウス用意しといてー」

「はいっ」

「さっきちらっと見たぞぅ、黒のロングスカート……ハルナのミニスカを単色にしてそのまま伸ばしましたみたいなヤツ……あったー!!」

 

 てかハルナ、張り切ってキャリーケースに詰め込みすぎなんだよ。無駄に几帳面にぎっちり入れてくれちゃって。戻す時に大変でしょうが!

 

「じゃあコレにさっき言ったブラウスと……トリニティカラーのイエロー系のタイにしようか」

「靴はいつものブーツでよろしいのですか?」

「おーけーおーけー」

 

 てかやっぱサクラコほっそ! 身長それなりにある方だから余計だわ。服の借用元のハルナも大概だから若干不安だったけど、ジャストフィットに近いようで何より。

 サクラコがゲヘナ嫌いじゃなくて助かったわー。じゃなけりゃ近い背格好で、服のイメージがズレない子が知り合いに居なかったもん。

 

「んー……うん、足元も良い感じ!」

「き、気恥ずかしいものですね、こういうのは……」

「大丈夫ダイジョーブ、似合ってるよー! 美人さんだよー!!」

「もうっ! からかわないでください!」

「うぇへへ~」

 

 どこに出しても恥ずかしくない清楚系お嬢様ですわよ、サクラコ様ったら!

 姿見の前でくるくる回って満更でもなさそうなのもグーよ、グー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………何を、していらっしゃるのですか……シアさん……!?」

「サクラコ改造計画!!」

 

 まず、結局のところ人は第一印象が大事。堅苦しいシスター服から改革を推し進めねばなるまいて! …………いやまて、絶対領域完備のミニスカシスターは堅苦しさとは程遠いぞ? 冷静になれば見るからにえっち(エ駄死)じゃん?

 いらん気ぃ張ってる時はアレだけど、()()()()微笑んでいる時なんてやーべぇ美人さんだもん、サクラコったら。イイトコの美人お嬢様って感じで。いや実際そうなんだけど。

 そのサクラコが清楚系ファッションで優雅に立ってるだけで恐怖を与えるって何じゃコレ。

 

「あの、マリー? どうでしょうか……?」

「あぁ……サクラコ様、どうか……お許しを……!!」

「何故です!?」

「サクラコサクラコ、その含みがありそうな笑顔怖いわ」

「ンン゛ッ!?」

 

 あの聖母マリーちゃんをこんな追い詰めるなんて、サクラコまーじでヤバない? サクラコから相談受けて始めたのはいいけど、そもそもの下地が整ってないでしょコレ。

 サクラコを怖がってるってわけじゃなくて、何かとんでもない事をやらかしてしまった()()()()()()って事を怖がってるっぽいから救いはあるけども。

『シスターフッドの長としての印象を壊さずに、それでいて親しみを持たれるようになるにはどうしたら良いのでしょうか?』って、何か悲しい中間管理職の悲哀じみた相談に興味をそそられたのが間違いじゃったかもしれぬわい。

 そもそもそんな相談、この年がら年中ヒャッハーしてるゲヘナ学園生に持ちかけるようなモンじゃねーですわよ?

 

 これはアレだ。『方向性としては、奇抜でない、落ち着いた印象を与えるもので……』だなんてサクラコの希望を加味した、生ぬるい所から始めるべきじゃなかったんだわ。

 背格好が似通ってて、ベクトルの違うお嬢様系……フリーダムすぎるテロリストお嬢のハルナから服を借りてきて、イイトコのオジョウサマ風味に仕立ててみたけど……うん、似合ってはいるんだよ。――――うん。

 サクラコがそれで『これならばっ!!』って気合入れちゃったのが悪い。そうだけどそうじゃないって矛盾した痛ましいナマモノが出来上がってしまい申した。この降雨シア、不覚で御座る。

 

「シアさん、マリーの様子からして、コレは失敗なのでは?」

「そうだねぇ、見誤ってたわ。そもそもの前提が間違ってるって痛感した」

「……はい?」

「サクラコ、君に必要なのはそのポン具合を広く大衆に知らしめる事、これだけだよ」

「…………ぽん、とは?」

「ポンコツ」

「なッ!?」

「シアさん!?」

 

 ポンコツじゃろがぃ! 努力の方向性は合ってるのに結果が明後日の方向に飛んでいくんだから!!『気合を入れて微笑む』って訳のわからん入力をしたら、出力されるのが『トリニティの腹黒さ全開の笑顔』ってどうなっとんねんってお話よ?

 これもう一度何もかもぶっちゃけて、塗り固められた威厳(ポン)を木端微塵にした方が早いし、後々のためになるんじゃないかね。

 そもそも勘違いやら何やらを加味しても、長になるだけの能力やらカリスマやらはあるんだろうし、そっから再構築するのもサクラコならやれるでしょ。しらんけど。そもそも私にこんな相談したサクラコが悪いわ。

 

「いいかいマリーちゃん。君の目の前に居るのは威厳に満ちたシスターフッドの長でもなければ、貞淑なパーフェクトお嬢様でもない。悉くが勘違い()()()系ラノベ主人公を斜め上に捻って放り投げて見捨てたような痛ましいポンコツだよ」

「え、え、えぇえ……?」

「酷くないですか、シアさん!?」

 

 おろおろしてるマリーちゃんを片手で抱っこして、あごクイしながら言い聞かせてみるテスト。真っ赤になっちゃって慌てるなんて愛いのぅ愛いのぅ!

 ウィンプル越しにかわいいにゃんこお耳をふにふにマッサージもサービスしてあげますわ! ええ、よろしくってよ! よろしくってよー!! ヒューホホホホホ!!!

 ――若干涙目になってきてるサクラコは知らん。君が始めた物語でしょっ!

 

「皆と仲良く何気ないお喋りをしたい、皆とケーキショップで美味しいケーキを頬張ってみたい、皆と一緒に可愛らしい服やアクセサリーを探してみたい。そんな『あたりまえのにちじょう』が欲しい」

 

 お耳にそっと口を寄せて、頑張って出してるイケメンボイスでゆ~っくりとサクラコの希望を刷り込み刷り込み。まぁいたって普通の欲望だから問題はなかろ。

 これが『もっと先生のお腹をもにもにしたい』なんて可愛らしいけどやべーの一歩手前だったり『先生の身だしなみを整えられるなんて……きゃあっ♡』とかみたいな純情若妻ムーブだったら流石に考えたけど。

 

「それが全部、ぜーんぶ空回ってきたが故の、成功体験の欠如。それをどうにかしようと更に空回って、出来上がったのがこの悲しいぽんこつなかよしモンスターさぁ」

 

 ウィンプル越しにお耳をつい、となぞって更に耳へ意識を集中させてやって、更にゆ~っくりとささやきささやき。何かマリーちゃんのおめめがぐるぐるし始めたし、可愛らしくてイイけどちょっと巻きで行くかぁ。

 

「マリーちゃん。サクラコはね、こう言いたいんだよ……『どうか、仲良くしてくださいませんか』って。その、言葉に込められた気持ち」

「ひ、ひぅっ」

 

 にゃんこの方のお耳に口づけをするレベルの、ガチ恋距離でささやき戦法をしてて痛感した。なんかすごくいいかおりがするぅ! 流石はマリーちゃん!! すてきっ!!!

 

「…………やさしいマリーちゃんなら、わかってくれるね?」

 

 

 

「!!! ――――きゅぅ」

 

 

 

 ………………………………トンじゃった。

 

 

 

「すまんサクラコ、ミスった」

「何てことしてくれるんですか貴女はぁ!?」

「しゃーないじゃん。マリーちゃんがここまでASMR耐性無いと思わなかったんだもん」

「え、えーえす……えむあーる?」

「……何そのあざと可愛い発音」

「?」

 

 こてんと首を傾げるんじゃないよ、可愛いじゃないか。……このズレてるポン可愛いのを押し出せばイケる気がするんだよなぁ。何も知らない子に色々と教え込む愉悦はたまらないものがあるし。上手い事やれれば今までのアレやコレやが反転して大人気になるんじゃない?

 

「とりあえず場所移そうか。いつまでも往来でわちゃわちゃするのも何だし、もうこうなったら毒を食らわば皿まで!」

「ちょっと待ってください、今さらっと私の事を毒扱いしましたか!?」

「毒でしょ。ポン毒。摂取するとやる事なす事悉くがポンコツ風味になる恐ろしい猛毒じゃん」

 

 あー恐ろしいですわぁ。アルちゃんでポン耐性がついて無かったら私も危なかったかもしらん。歌住サクラコ……恐ろしい子ッ!!

 とりあえずもう色々ブチ壊すために……そうだなぁ、ツルべぇとハッスミーン、あとミネ呼ぶかぁ。ポンは熱いうちに打て。サクラコの精神が復帰しきる前に、皆で素のサクラコをイジってれば何か丸くおさまりそうな。

 大聖母マリーちゃんも居る事だし。あとトリニティで呼べそうなのは……あ、放課後スイーツ部も呼ぶか。場所選びは任せた!!

 

「…………あの、シアさん? どちらに連絡をされているのでしょうか?」

「スイーツルハスミネ」

「はい? な、何と……?」

「そうだね、サクラコだねー」

「会話を成り立たせる気が無いのですか!?」

「おまいうー」

「おま、いう?」

 

 

 うん、まずは場所確保やねぇ。

 

 

「Heyニャンコ、十人くらい入ってわいわいダベりながらスイーツ貪れるお店」

『どっかでケーキ買ってきてカラオケでいいんじゃないの、ソレ。ていうかいきなり何!? 私スマホのアシスタントAIじゃないんだけど!』

「まーまー、どうどうどう! んじゃ全部奢るからセッティングヨロ! 部員全員集合じゃーい!! 目標二時間後に来たる三時のオヤツタイム!!!」

『は? え、いや、何!?』

 

 だってトリニティのカラオケボックスとか良く知らないもの。ついでにケーキ屋もそっちの方(スイーツ部)が専門だし? 懸賞金で貯まりに貯まった、唸りを上げるお小遣い爆撃を受けるが良いッ!

 

『カズサちゃん、どうしたの?』

『シアさんが、オゴるから好きなスイーツ用意してカラオケボックス押さえろって言いだして……そこにスイーツ部全員集合だってさ。訳わかんない……』

『何だか楽しそうだね!!』

『――シアさん、場所とかはモモトークで送るね』

「お、おぅ……ありがとね?」

『予算とかは気にしなくていいの?』

「時間に間に合いそうなら好きなだけ買うてきてええよ。結構食べる子も来る予定だし、もし余ったらお土産に持って帰りな~」

『了解、じゃあまた後で! …………アイリ、好きなだけスイーツ買って来て良いって!』

『わ、やった! じゃあナツちゃんやヨシミちゃんにも連絡しよ!』

 

 通話終了し忘れてんで、あわてんぼにゃんこ。ポチっとなー。

 ………んーむ甘酸っぱい。ごっつぁんです!スイーツにゃんこ、幸せにおなり……!

 

「はい次ぃッ!!」

「!?」

 

 ハッスミーン……よりも、今回は()()()()()()早いか。最終的に集まったメンツのせいで情緒がおかしくなりそうだけどさ。おいたわしやツルべぇ……!

 放課後スイーツ部のアオハル具合と、サクラコミネツルギ(自分)の微妙な雰囲気の温度差で風邪引くんじゃね。ま、即座に回復してキヒャるでしょ。もーまんたい。

 

「本日午後三時、カラオケボックスでスイーツ食べながらダベるぞー! 場所は追ってモモトーク! 隠れスイーツフリークも連れてくる事!! 以上!!!」

『…………わかった。――イチカは?』

「あの子だと気ぃ使いすぎちゃいそうだから、次の機会あたりでいいんじゃないかねぇ」

『そうか……なるほどな。モモトーク、待ってる』

「うい、んじゃあそっちも隠れスイーツフリークの確保よろしゅう!」

『ククッ、任せろ!』

 

 トントン拍子に進んであてくしご満悦ですわぁ。てか流石はツルギ。まくし立てただけなのに何かもう察してるっぽいぞぅアレ。

 ついでにこっちはこっちで、いっつも元気にキヒャった歩く戦略兵器なんて看板そろそろ降ろしてもらいましょか。

 

「んじゃあ最後は……」

「まだ居るのですか!?」

 

 そりゃ居るでしょうよ。人数居た方が楽しいじゃない、こういうのは。…………いや、居なかったからこそのサクラコか。おいたわしや……おいたわしや……

 

「午後三時、カラオケボックスで大惨事スイーツ事件が発生予定。救護が必要な人員が二名発生すると見込まれる』

『…………どちらのカラオケボックスですか?』

「それはこれから決まるッ!! モモトークに送信予定!!」

『では、見込み二名の詳細は?』

 

 言うべきか、言わざるべきか。言ったらあちらさんの『彼女が勝手にセッティングした中に居た』って逃げ道潰しちゃうんじゃないのコレ。むーん……?

 

「待ってください、シアさん……救護とは、まさか……」

『……………ふぅ…………残りの一名は?』

「キヒャッ」

『………………………装備を整えて向かいます』

「待って待って待って!? 用意するのはお菓子だけでよろしくってよ!!」

『訳が分かりませんね、全く……』

「あっはっはー! んじゃあまたねー」

 

 ある意味ナイスサクラコ。明言はしてないぞ! さーて、んじゃあ最後のシメに移るとしましょうかね?

 

「サクラコ」

「な、何でしょうか?」

「ここが分水嶺。ポイントオブノーリターンってね」

「あ……」

「どうするね? 場合によっちゃあ結局ご破算になるかもしれないんだ、無理強いはしないよ?」

 

 そのために敢えてノリと勢いで()()()()()んだから。

 

「…………………では、持参するお菓子を選ぶお手伝いをお願いできますか? せっかくの機会ですもの、手ぶらというのも少々味気ないではありませんか」

「ん、おーけーおーけー! じゃあ先に街ブラの準備しに戻ろっか。そっちのお部屋に色々置いてきちゃったし」

「そうですね。私にも少々用意がありますので」

「てかふと思ったけど……サクラコのお部屋にご招待されたお友達なんて、トリニティ史上初の快挙を達成しちゃった? さっすがあてくし!!」

「ン゛ッ!?」

 

 ――――おぉう……えぇぇぇ……? いやキミ、うそでしょ…………?

 んなこたぁないってぷんすこされた所で『ジョークジョーク、イッツァジョーク、HAHAHAHA!!』ってノリに繋げるはずだったのに、え~……?

 

「…………ごめんて。まさか本当に初めてだったなんて思わないじゃん」

「いえ、気にしないでください……これは私の罪なのです……」

「重いっ!?」

 

 そうだ、ついでにマリーちゃんをサクラコベッドに放り込んでみよう。起きた瞬間を動画に残したらきっと可愛さがあふれる素晴らしい出来事が起こるはず!! いやはや滾って参った!!!

 ――――あ、忘れてたわ。へいモモトークモモトーク……『私服で集合』っと。まだ時間はあるし、マリーちゃんもベッドで頬っぺたつんつんしてればすぐに起きるだろうし、お着換えに戻るくらいの時間はあるでしょ。

 無かったらハルナ服から適当に見繕ってオーバーサイズ系ファッションにして愛でればよろしい。萌え袖マリーちゃんとかきっと素敵だと思うの。

 

「あー…………でもハルナもサクラコでジャストフィットなくらい細いしなぁ……マリーちゃんでもそこまでダボっと系にはならんか。チッ!」

「唐突に何ですか、一体」

「着せ替えにゃんこマリーちゃんの服飾計画」

「マリーまで毒牙にかけようと言うのですか!?」

「人聞きわるっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇカズサちゃん……この場合シアさんのイジり方を褒めれば良いのかな…………?」

「いやアレ、イジるってよりもうセクハラ一歩手前でしょ。アイリは近寄っちゃ駄目だからね」

 

 初めて見たわ、サクラコさんを横抱きで膝の上に乗せて、ケーキの『あ~ん♪』を迫れる人。

 しかもアレ見るに、何気なく腰に回してる手、馬鹿力のせいで絶対動かないヤツでしょ。真っ赤になっておろおろしてるシスターフッドのトップとか、これ見ても大丈夫なヤツ?

 

「ふむ。シアさん、こちらの砂糖菓子は……」

「美味しいよねぇその和三盆。あんまり詳しくはないけど、そこ百鬼夜行の有名店らしいよ? あっちの良妻系いぬトモに教えてもらってさぁ!」

「ふむ、ふむふむ……中々どうして、紅茶とも合いますね」

「それな~。わたしゃ普段コーヒーばっかりだからあんまり実感無かったけど、イケるよねコレ」

「あぁ、美味い。なぁハスミ。…………ハスミ?」

「――――んンッ! 何ですかツルギ」

「…………取り繕うなら、まずは口元についたクリームをどうにかするといい」

「!?」

「ふむ…………ほぅらサクラコ、ケーキよ~!」

「むぐっ!?」

「あら、頬っぺたにクリーム付けて可愛らしいわネ~!」

「付けたのは貴女でしょう、シアさん! …………この手、腕を離してください!」

「ン~? 離させてみ?」

「無理だな」

「ええ、無理ですね」

「お二人とも、助けては、くれないのですか……!?」

 

 でも、何となくこういうのも良いな、っていうのは感じる。何よりトリニティのトップ陣が何だかんだで笑い合って馬鹿を言い合っている姿を見てると、何か安心するし。

 

「ミネ団長!」

「無理です。流石の私も戦車を素手で解体するバケモノの腕力はどうにもできません」

 

 でも流石にちょっと気の毒になってきた。

 

「ナツ、アレそろそろ代わってあげな」

「あれもまたロマンなのだよ。青春の歴史がまた一ページ……」

「あんたはシアさんに色々口の中に放り込まれるのが嫌なだけでしょ」

「ハムスターみたいな頬っぺたがイイ、とか言われても、その、何だよ……困る」

 

 あ、ようやく解放されてる。…………と思ったら今度はミネさんを狙いに行くんだね。

 何をどうやったら、救護騎士団の団長相手にカラオケボックスで正面から手を掴み合って力比べの状態になるの?

 

「く、うッ……!?」

「クックック…………悔しいのぅ、悔しいのぅ……この力比べに屈した暁には、ミネにも『あ~ん♡』しちゃるけぇのぅ……!」

「やめんか馬鹿」

「ほぁぃ!? ツルべぇ、横合いから全力でお胸ひっぱたいてくんのやめよ!?」

「いい揺れだったな。ハスミといい勝負だと思うぞ」

「ツルギ!?」

「ついでに言うなら力比べはお前の負けだ。残念だったなシア」

「け、結託しおった……救護騎士団と正実が結託しおったわ……!?」

「いえ、普段からミネ団長を筆頭とした救護騎士団とは協力関係にありますが……」

 

 揺れた。めっちゃ揺れた。ばるんばるんしてたわ。あれは確かに痛い。

 

「ではシアさん。『あーん』」

「あ~、んっ♡」

「恥ずかし気も無くっ……!?」

「いやそりゃ友達同士であーんくらいやる…………わ…………マリーちゃん、ご指名でーす!」

「はいっ!?」

「はいこれ。サクラコに愛情たっぷりの『あ~ん♡』をしてあげちゃって!」

 

 ………………お酒、入ってないよね? いや、ボンボンは何個かあったけど、あの程度でこうはならないでしょ。

 

「ええと……さ、サクラコ様……あ~ん……」

「――――はい! ……んっ」

「あ……! ……ふふ、やっぱり、少し恥ずかしいですね」

「……美味しいですよ、マリー」

 

 かわいい。え、何あの子、可愛すぎない? あれが女子力ってヤツ?

 でもなんか今の『あーん』合戦の中で、あそこの『あーん』だけ世界観違わなかった? 片や王様ゲーム、片や純愛ラブロマンス的な。

 

「――――もうファーストバイトでしょコレ」

「ハスミ、コハルにあれを迫るんじゃないぞ」

「するわけないでしょう!?」

「あのエッチ取り締まり官、ハッスミーンとそんな関係やったんか……」

「違いますからね!? というより、何ですかその役職は!?」

「だって私が何かする度に『えっちなのは駄目!』ってインターセプトしようとするじゃん」

「…………そっとしておいてやってくれ。年頃なんだ」

「二つしか違わないっての」

 

 ていうかこれ、始まりからして酷かったけどさ? グダグダすぎてもう笑いしか出てこないわ。最初は正直引いたサクラコさんたちトップ層の登場だったけど、サクラコさんの中身がアレすぎて結局親近感沸いたし。即興であっさりトリニティの常識破りをするんじゃないっての。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやそこでイチャついてるスイーツにゃんこ、レシートは?」

「イチャついてないッ!! ……はい」

「お、合計金額まで計算してくれ……て……? ――――よくココまで買ったなぁ。台車で持ってきた時点で何となく察してたけど」

「シアさんだからいいかなーって!」

「や、別に良いよ。ちゃんと持って帰る分まで買っておいた?」

「ええと………ハイ」

 

「チョコミントは?」

「………………ハイ」

 

 …………はっず!

 

「よォーーーーしヨシヨシヨシ、かわいいのぅカズサちゃんもー!!!」

「ちょ、やめっ!? 髪型崩れるでしょ!?」

 

 

 

 

 




うたずみ さくらこ(いち)

じょうたい:ぽんのやまいにりかんずみ
かんちがい:いちぶとけた
ももとーく:ぎょうむれんらくがいのぐるーぷをげっと
めんたる:よろこびとぽんにあふれている


いおち まりー(いち)

じょうたい:とおりすがりでまきこまれた
すいーつ:なんだかんだでみなにおせわされてあわあわ
ふくそう:みにすかぜったいりょういきをけいしょうした
さくらこさま:また、おちゃをいっしょにしたい、です


きょうやま かずさ(いち)

じょうたい:あまずっぱい
すいーつ:たいじゅうけいがこわいくらいにたべた
れしーと:こんなにながいのはじめてみた
ちょこみんと:いわぬがはな

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