「何でこのカラオケ、歌曲とか入ってんの? トリニティだから?」
「んなわけないでしょ。全店共通のサーバー管理だっての」
「でも折角だしシアちゃん歌っちゃう! ポチポチーッ!!」
「いや歌えるの!?」
「う、歌えらァ!」
このわんだふるぼでーに見合った豊かな声量は伊達じゃないっ! マイクなんか捨てて歌ってやらぁ!!
ちょっとキーいじって、頑張ってイケメンボイス出せばイケる!
―――お、はじまったはじまった。
わかっちゃいたけど、始まった瞬間に私とスイーツにゃんこのやり取りを聞いてなかったメンツがすげぇ顔してこっち見てきたのはちょっとウケるわ。
そうよね、カラオケに来てこんなん歌うとかまずないわ。私も思わずノリで入れたけど、何でこんなん歌おうとしてるんだろうって思うもん。
♪~~~~~~~~♪
「まさかカラオケで『魔王』を歌う馬鹿がいるとは」
「というよりもほぼ魔王みたいな人が『魔王』を歌う事がシュールなんですが」
「上手いこと言うじゃないか。そうだな、笑えてくるものがある」
「しかし『可愛い子が居たら連れて行く系』という点に関してだけは、違和感がありませんね」
「ククッ……違いない。――あぁハスミ、コハルはちゃんと隠しておくんだぞ?」
「シアさんの対応を見るに、可愛い子というより面白い子扱いされてそうなのですが……」
そこの正実コンビ、うっさいわっ!!
ニタニタ笑うんじゃないよツルべぇめ。そういうトコ若干トリニティっぽいぞぅ!!
純粋なイジりだって分かるから別に良いけどさぁ!
「私としてはその事よりも異様に上手なのが気になるのですが」
「目を閉じて、シアさんが歌っていると
「サクラコ様、ミネ様、それはあまりに酷いのでは……?」
『だってシアさんですよ?』
「いや、あの、お二人とも…………ええと……」
本当にヒドイなそこのシスターフッドと救護騎士団の長ペア! 大聖母マリーちゃん様を見習えっ!!
ポン毒と治療狂を癒しにゃんこオーラで中和するトリオでアイドルデビューさせてやろうかッ!?
――――あれ、普通にアリじゃね。てかマリーちゃん様のアイドル姿とか超見たい。あとポンかわ系サクラコと見た目クール系ミネ。
実現したなら、ゲヘナは対抗馬としてモフシスターズのデビューも視野に入れねばなるまいて……ヒナちゃんとイロハちゃんのアイドルユニットとか私が正気を保てる自信無いけど。
最前列に陣取って全身ペンライト装備ではしゃいで、後から怒られそうな予感がする!
でもなぁ、ヒナちゃんは私が必死に頼み込めば何だかんだ言いながら引き受けてくれそうだけど、イロハちゃんはなぁ……最悪マコちゃんに
いや、イロハちゃんとの間に禍根は残したくない。全力で貢いで頼み込もう、うん。ポテチの箱とかでいいかな。
「いやコレ、ココに合わせて声量落としてるっぽいけど、ホールで歌う類のガチのヤツじゃん……正気?」
「上手だねぇ、シアさん……」
「上手いよねぇ、本当にっ」
「いや手の平返しはっや!?」
「そっとしておいてあげるのもまたロックだよ、ヨシミ……」
「クラシック聞きながらロック掲げんなお馬鹿ナツ! どっからロックが出てきたのよ!? てかそもそもどこがどうロックなのよ!?」
「おお、人が歌っている傍で大声を出すなんて、とてもロックじゃブフェッ!?」
「うっさいわ!」
仲良き事は善きかな善きかな。
あとヨシミちゃん、もっとナっちゃんにケーキ詰め込んでやって。有り余るほどあるんだし。何よりも頬っぺたぷくっとしてるナっちゃんおもしろカワイイから。
てかこっちはこっちで何かバンド組めそうね。アイリちゃんさえ抱きこめば、後は流れで。
トリニティにはそういう系のお祭りっぽいイベントもあったはずだし、そこに合わせてやってみるかぁ。拙者滾って参った!! ボーカルは誰がやるんじゃろか!?
「ふむ……確かに、目を閉じていれば……」
「…………先程の私の発言はあくまでも冗談だったのですが。如何に相手がシアさんとは言え、流石にそれは失礼なのでは?」
「ン゛ッ!?」
「サクラコ様……!」
おいたわしやサクラコ上……てかミネのサクラコイジリが加速してない? 実は何かちょっと楽しくなって来てるでしょ君ぃ。口角ちょっと上がってるし、いつもより羽がパタパタしてるし。
被害者のサクラコはまぁ、うん。何か最近サクラコのあの顔見慣れて来た感が。
ウチんとこの
あのしわっとした泣き顔、ちょっとグッと来るんだよねぇ。――――まぁそれはそれとして、ヒナちゃんの仕事増やすから締め上げるけど。
でもメグちゃんは何かちょっと能天気な大型犬っぽさがあるから許す! 温泉開発部を追いかけてる時に『つ~かま~えた~!』って後ろからハグして抱き上げたらきゃーきゃーはしゃいでくれるし!
◆
「シア、何をしているのか聞いてもいいかな?」
「おもいでのどーがをみながら、てんてーのぽんぽんをもにもにしてるぅ!」
「あのね、私が聞きたいのはWhatじゃなくて、どちらかと言えばWhyなんだ。あとその動画あとで見せて」
「それは別に良いけど。『Why』ねぇ……必死にフィットネスバイクこいでたってホシノちゃんに聞いたから、成果の程を確かめようかと」
「てェい!!!!! ――――ア"ぁぁぁぁ……!?」
うん、その気合の叫びから渾身のゲンコツだったっていうのはなんとなーく分かるよ? 問題はフィジカルよわよわてんてーがそれをやらかしたって事だよ。
キヴォトスに存在するあまねく生徒たちの中でも、とみに頑丈なシアちゃんヘッド、それもおデコにそんなんを放り込んだら、そりゃそうなるわ。
てか先生ったらあっしに対して手をあげるのにとまどいが無くなってない? 仮にも生徒ぞ我。
相変わらず私が受けるダメージが皆無すぎて逆に可哀そうになるけど。わかりきってる反射ダメージを受けるなんて、先生ったら実はMっ気が!?
――そういや前にアビドスでその疑惑が浮かんでたっけ。甘噛みした時の嬌声で。これは追加検証しとかないとなぁ! シロコちゃん呼んでおかなきゃ!!
「……んんん? あれ、これもしかしてやらかした? 拳だけじゃなくて手首まで痛むんだけど?」
「あーあ、捻っちゃったかぁ。人の殴り方も知らないのに全力で……多分全力でよりにもよって額を殴ればそうなるわ」
「毎度毎度、言い直さなくても全力だったよ!?」
「だってさぁ……まったく痛くないんだもん……。これがヒナちゃんだったら溢れる神秘ぱぅあー抜きでも私にダメージ通してくるのに」
「そういえばソレ、いつも不思議だったんだけど、純粋に膂力だけで叩かれてそんなに痛いものなの? 銃弾やら砲弾やら直撃しても平気そうにしてるのに」
「そこらの
「それなりにって」
「ゲーム好きな先生に分かりやすく言うなら、私は防御力カンストしてて通常攻撃で受けるのは全部1ダメージ。神秘エンチャントしたらそのエンチャント分だけダメージが通るって思えばいいよ」
「…………HPの最大値は?」
「知らん!! 少しじっとしてれば全快するよそんなもん。ついでに動いてても自動回復入りまーす!」
「何そのクソゲー!!」
「先生がクソとか言っちゃだめでしょ! メッ!!」
「その『メッ!』は絶対あれだよ、漢字で書くと『滅ッ!!』になるやつぅ……」
ゲームに例えた瞬間に虚無顔になった先生がこちらです。何かのゲームのトラウマ踏んだ? ギミック解かないとダメージ入らない系のボスにしてやられたとか。
殴って血が出るなら神でも殺せる、を地で行く『ふらっとボーン』やら『炊~くソウル』だったら悩まなくて済むけど、昔ながらのRPGは結構そういうのあるしなぁ。
あとさらっと取り返しのつかない選択肢があったり。『殺してでも 奪い取る』じゃないんだよ。いや奪い取るけど。
しかしひーひー言いながら手首ぷらぷらしてる先生を見てるとちょっと心配になってくるわ。
「ん~……そうだなぁ、そろそろ覚えておいた方がいいよねぇ」
「ん?」
「逃げ方。遁走術」
「はい?」
「武器持たせたらむしろいざという時に使う方向に舵を切っちゃうもんだしね、人って。先生がそれをやっても自己満足にしかならないから、逃げ方の方を覚えようか」
「…………そもそも銃だとかを持っても撃てる気がしないんだけど」
「それもある。だから催涙スプレーやら煙幕やらの便利グッズと、足音を立てない走り方だとか気配の消し方を覚えた方が良いでしょ?」
そもそも心情的に、生徒に銃を向けられないでしょ。だからこその便利グッズだけど。
直接的な物には割と強いけど、絡め手系はそれなりに通るからね、キヴォトス民。あてくしには大して効いたためしがないけども。
ちょっとでも息が吸えればキロ単位を全力で走り抜けられるし、そもそも体調を崩した事もないし。
ちっちゃい頃に野山を駆け巡って、何か面白そうなキノコやら木の実やらを食べてはヒナちゃんに微妙な顔をされ続けたのは伊達じゃないのさ!!
…………後から涙目になったヒナちゃんが無言で『びしすッ!!』って差し出してきた図鑑に、拾い食いしてたキノコやら木の実たちが要約したら『食べるな危険。全身から血ィ噴き出して死にてーのかテメェ』って書かれてて、思わず飲んでたコーヒー噴き出したけど。
ヒナちゃんがモロに被っちゃったから、それはもう懇切丁寧にお風呂で丸洗いして楽しんだ幼き日の楽しい思い出……!
でもなー……アレ、ピリピリして刺激的で中々イケたのに……。
まぁ私が平気でも、それで体質が変わってヒナちゃんに触れられなくなるなんて事になったら、発狂するどころじゃない絶望が押し寄せるのが分かりきってるからやめたけど。
「何にせよ、戦えないなら逃げる。コレ大事。つまりは遁術よ!」
「Oh……NINJA……!」
「間違っても遁術ってのたまいながら、全身全霊で敵を殺りに行くNINJUTSUじゃないからね。火遁は目くらましであって相手を丸焼きにする術じゃないんだよ?」
「分かってるよそれくらい。でも夢を見るだけならタダじゃない」
「代表的ラーメン具材の夢を見すぎだね。『水の無い所でこのレベルの水遁を!?』じゃないんだよ。そもそも生み出すな、水を」
「でもアレ終盤インフレしすぎて逆に面白くない? そんで最初期のボス的なヤツが『アレ真面目にやられてたら、今の戦力でも勝てないわ』って見直されるの結構好きなんだよね」
「わかりみ~! スタイリッシュNINJUTSUとか舐めプを捨てて最初から暗殺全振りしてたら、あの序盤に出てくる眉無し鬼人辺りは、色んな意味で普通に物語終わらせてた可能性大よね、多分」
「それはそう。で、逃げ方ね」
「いえーす。言うて私はその辺あんまり得意でもないから、講師を用意するけどね」
私もある程度なら音を消して走るとか、気配を消すとか……まぁ出来るっちゃ出来るけど、お粗末なもんだし。んな事するより全力で詰め寄って全力でぶん殴った方が圧倒的に早いんだもん。
シンプルイズベスト。暴力……やはり暴力は全てを解決する……!!
そして解決できない事は頭の良い子に任せるに限る。そこでこっちを良いように利用してやろうって気配を感じたら、気分で『騙して悪いが、これもゲヘナだ』って裏切りデストローイ!
普通そんなんやったら信用問題やら出てくるのに、私がやったら『誰か空崎連れてこい!』とか『いいんちょちゃんと手綱握ってー!』とかコメントされる現実。これ喜ぶべきなん? それとも悲しむべきなん?
「ちなみにセンセも知ってるお方ぞ?」
「は?」
「ステーキハウスのマスター。実は彼、お肉を焼くのが上手なフレンズじゃないんだ……
「え、ちょ……嘘でしょ……?」
「うん、嘘だね♠」
「――ていっ!!」
「イッターイ! タタクナンテ、センセーヒドーイ!」
「おのれ……あからさまな棒読みを……!!」
っていうのも若干嘘だけど。別にそこは重要じゃないから置いておこう。
このキヴォトスの、それもあんな場所で無事にステーキハウスをやっていられるんだから、そりゃあそうでしょうねって具合だけどさ。
「まぁ見つからずに逃げおおせる技術はちゃんと持ってるんだから、あんまり詮索するんじゃありませんッ! ――――てことで分かってんね、これ盗聴してるヤツら。ばら撒くなら覚悟するんだよ?」
「…………え、また盗聴器仕掛けられてるの?」
「詳しく調べてないけど、あるのは間違いないねぇ。この辺のパッと分かる範囲で言っても、そこの植木鉢の下と机の天板の裏、あとはあっちのソファの辺りと、給湯室方向かな」
「いや多くない? ていうかほんとに何で分かるの!?」
「何となくって事にしておこうじゃないかっ!」
分かっちゃう条件とか言うといたちごっこが始まって面倒くさいから言わない。実行犯は実に頭ミレニアムしてると思う。
でもそんなに声を
「趣味嗜好に全振りエンジョイしすぎて、頭良いのに逆にオバカな連中の宝庫だし、いらん情報とか渡すわけないじゃん。頭悪くて実にオバカなゲヘナ生が言うんだから間違いない。シアチャンウソツカナイ」
「誰が仕掛けたのかは何となく分かったけど、それよりもちょっと前の自分を思い出して、シアおばあちゃん」
「あてくしがおばあちゃんなら、先生は干物か何か?」
「てェい!!!!! ――――ふぬぅうううう!?」
「さっきもそれやったでしょ、おばあちゃん」
「分かっていても退けない事があるんだよ、大人にはさァ!!!」
でもちょっと学習したのか、今度はおデコじゃなくて頭頂部だった。結果は何一つ変わらないけど。
ぎっこんぎっこんやってるフィットネスバイクの横でお行儀よく
なんかそっちだとガチモンの暴力みたいに感じちゃうのかねぇ。あてくし基準だと暴力どころかおヌコ様のじゃれつきと大差ないのに。
「んじゃまぁ、そういう訳で。話はつけておくからちゃんと覚えなよ、先生?」
「――――そう、だね、必要だよね」
「そうそう、必要必要。もし先生に何かあったら連鎖反応起こって大惨事になるから本当に必要だよ?」
「うん……うん? 連鎖反応?」
「連鎖反応。先生を起点として、そうさね……まずワカモがブチ切れるでしょ? これで一つ」
ここは外せないよねぇ。
むしろソコが何もアクションを起こさないとか、下手すればワカモさん行方不明説が流れ始めるんじゃない? 主にワカモの生態を知った、あてくしのフレンズ内で。
惚れた
「んでワカモが色んな意味で
声かけられたらまず断らない。いぬトモの絆は伊達ではないのだ!!
あっちが邪魔だから潰せと仰られれば、全力で真正面から突っ込んでのキヴォトス無双で万夫不当の豪傑になり、こっちが邪魔だから消せと仰られれば、キヴォトスBASARA、もとい戦国陸上で世界を獲るのである。
世紀末バスケの出番があるかはその時の敵対勢力数による。ボールはその辺に転がってるだろうヘルメッツとか戦車でいいでしょ。
相手の
「そして私がそういう方向で出張るって事は、私も本気になってるわけで。まぁ声掛けるよね、お友達に。これで三つ。後はお友達のお友達って連鎖が続くわけで……」
気分であっちこっち遊んでたら広がった、お友達の輪! ステキッ!!
とりあえず立場とかそういうの関係ナシで即応してくれそうな子も結構居るし。余裕で中隊、下手すれば大隊が組めるよ。らすとばたりおーん!!
世間一般ではモブちゃんズなんて言われるあんまり強くない子たちはバックスに回って貰ったとして、実力者だけでカチコミ中隊作って突っ込めばきっと楽しい事になるはず。
「さて先生に問題です。扇動してまとめてぶち壊すのが得意なフレンズに、暴れだしたら大変なフレンズ、そしてそのフレンズのフレンズ。皆が仲良くブッコロマインドを付与されたら、被害はどうなるでしょうか? はい四十文字以内!」
「……関係各所に甚大な被害を出して修理よりも更地にして建て直す方が現実的な未来が訪れる」
「――――――うわ、きっちり四十文字じゃん」
「ドン引きする現実を突きつけた本人がドン引くのやめない?」
「先生……ちゃんと頭良かったんだね……」
「怒るよ?」
「まーまーまー。んじゃあそのブレーンを活かして、ちゃんとお勉強してくだせぇまし。フィジカルは……その、が、がんばってネ?」
「哀れみの目はやめなさい。これでもちょっとは体力付いたんだからね!? ジョギングだって止まらずに1㎞は行けるようになったんだから!!」
「それあっしが
「フィジカルモンスターと一緒にするんじゃありません!!」
いや、ジョギングで1㎞て。しかもてんてーのジョギングって、ランニングマシーンの設定見るに私が歩く速さと大差無いよね? 1㎞……? いちきろめーとる?
うそでしょ?
「本当に、頑張ろうね、先生。イジリじゃなくて、本気で」
「…………ハイ」
1㎞ぽてぽてジョギングして逃げるとかギャグにもならんわ。真面目に笑えない。
スミレちゃんでも呼んでトレーニングさせようかね? あの子レベルのネジの飛び具合の方が良いでしょ、先生には。
いや、むしろアケミを呼ぶかね? ……いや駄目か、精神的に死にそう。あの子スミレちゃんとはレベルの違うガチ具合だもんなぁ。天性の肉体だし。
んーむ、悩ましいなぁ……!
うたずみ さくらこ(に)
じょうたい:わりとうかれたまま
かんちがい:ぽんふぃるたーでおおはばけいげん
わっぴー:まだいってない
せんせー(さん)
たいりょく:ついてきた(とうしゃひ)
すたいる:かわらぬもちもち
どうが:こぴーをげっと
げへなこうはくもっぷ
じょうたい:おや? ふたりの ようすが……?
もふれべる:なにかを かんじとって もふが もっふもっふに なった