キヴォトスの中心でわんわんおと叫んだケモノ   作:Aデュオ

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12-B:嫌な予想ほど良く当たる

 

 

 

「んで? 疑心暗鬼に陥って無茶やらかしてるあっちもあっちだけどさ?」

「ええ、こっちもこっちでマコト先輩がやらかしてます。とりあえずシアちゃん先輩、何とかしてください」

「まーた大雑把に言って下さいますわねこの赤モフったらぁ!」

 

 

 無茶振りしてくるモフモフをモフって抗議はしたけど、こうかはいまひとつのようだった。むしろ『ご満足頂けたようで何よりです。さて、存分にモフりましたね? 報酬の前払いですよ?』って気配まで感じるっ!!

 タイプ相性が悪すぎんよぉ……手のひらの上で転がされてる感がすっごい! そもそもさぁ、この私がイロハちゃんみたいな小悪魔タイプの可愛いモフモフに勝てるわけないじゃん? ()()()()はアカン!

 

 

「でもやらなきゃヒナさんに被害が及びますよ?」

「それなー! ……とりあえずマコちゃんヘッドを斜め四十五度くらいでぶん殴ったらマトモになったりしない?」

「古いテレビじゃないんですから」

「ポン具合だと似たようなもんじゃない。ワンチャンあるって!! アルちゃんだって試しにやってみた『1、2の……ポカン!』で一晩だけ敏腕社長っぽくなったもん!」

「また誰も幸せにならない無駄な実験をしていらっしゃったようで。流石は我らゲヘナが誇る理不尽の権化ですね」

「酷くない!?」

 

 

 その後しばらくの間、反動ダメージなのか知らんけど、ポン具合にブーストかかってカヨコにめっちゃ怒られたし、ハルカちゃんには物言いたげな目で見つめられた悲しい思い出。

 お説教されながらふて寝してる私の後ろで、笑いすぎて腹筋がつってるのに、それをおしてでも笑いながら苦しんでた辺りやっぱりむちゅきサンはサイコーやなッ!!

 

 

「ってなんやのんそんなジト目でこっち見るとか。何かね、それは『私をも~っとモフって可愛がって♡』ってお誘いカネッ!?」

「起きたまま寝言を放つなんて器用ですね? そもそもの話、マコト先輩みたいな戦闘に向いていない人をシアちゃん先輩がぶん殴ったら大惨事でしょうに。それでなくともブ厚いウチの戦車の装甲を真正面から素手で引き裂いて『ごきげんよう(こんにちは)ではごきげんよう(死ぬがよい)♡』なんてやっちゃうんですから。戦車の修理代出してくださいよ。ご存じの通り戦車はお安くないんですよ? しかもウチのはそれに輪をかけてお高いのもご存じでしょう? ねぇ聞いてますかとってもと~~ってもつよーいシアちゃん先輩?」

「しずまりたまえ、しずまりたまえ! なぜそうも荒ぶるのか!! 戦車は壊してナンボのオブジェクトなんだからしゃーないやん、ついやっちゃうんだもん!! てーかそもそも私だって加減くらい知ってらァ!?」

 

 

 このイロハちゃんが私相手にこれだけ溜まってるものをぶちまける辺り、割かしガチ目にヤバい気配ムンムンですなぁ、困りますなぁ……むーん……むーーん……悩ましい!

 エデン条約絡みで馬鹿やらかさないように、マコちゃんの傍で目を光らせてるのが一番だっていうのは分かってるんだよ。ついでに拳とトラウマになりかけてるらしい羽箒。

 分かってはいるんだけど、それだとなーんか嫌な予感がするんだよねぇ。

 いや、条約そのものは割とどうでもいいんだけど、ほんと、なーーーんかキナ臭い!

 

 

 そんな所に『故あって明言はできないが、困ったものだ』って空気をありありと出しながら黒さんのお友達、マエっさんとデカゴルニキのコンビがお茶しにやってきたもんだからもう、倍率ドゴーンよ?

 来るのは構わんけど、いきなりウチのバルコニーにゲートっぽい何かを開いて出てくるのはやめて欲しい。飲んでたコーヒー噴き出しかけたわ。

 ついでに思わずファストドロウに死ぬほど向かないこの拳銃で抜き撃ちしかけたし。バレルでぶん殴る的な意味で。

 それでまたヒン曲げちゃったらキヴォトス基準の半裸生活が始まっちゃう危機だったんだよ? 反省して?

 ティースタンドに山盛りの高級感あふれるお菓子と軽食を差し入れてくれたから許すけど。おっさんズ達の手作りらしいのに無駄にくっそ美味かったの腹立つわー!

 

 んで、何か核心に関わりそうな事を言う度に『これは独り言ですがね?』『ソウイウコッター』のコンボかましてくるしさぁ。

 これ突っつけばイケるんじゃねーって『そこまでぶっちゃけるなら最後まで言ってよオジサマ♡』なんて精一杯可愛らしくきゅるんきゅるんしながらおねだりしたけど駄目だったのは悔しい。

 いや効いてはいたっぽいんだよ? 頑張って耳を萎れさせてお願いしてみたらマエっさんに『降雨シアともあろうものが解釈違い甚だしい!』ってぷんすこされて演技指導じみたお説教されたけど。

 解釈違いも何も本人なんですがそこは如何に。いや、やってから自分でもねーわコレって思ったけどさ?

 でもそれを受けて、スンとしながら『デスヨネー』って言い放ったら満足げに頷き始めたのもどうかと思う。

 

 

 

 

 

 なぁんにしてもぉ! ヴぁーーーーー!! 考えるの面倒くさい!!!

 

 

 

 

 

 トリニティの動きはいつも通りをさらっと通り越して怪しすぎるし、ゲヘナはゲヘナでいつだって頭ゲヘナしてるし、絶対何かあるってコレ!

 先生が関わってるからいい感じの所に落とし込めそうな気はするけどさぁ……先生はどこまで行っても結局のところ、ただの『人』だもの。キヴォトスの民じゃないんだよ?

 銃弾の雨、所によりグレポンだのをブチ込まれたらもうご破算。

 あっしらが『ナニスンジャボケェ! ザケンナコルァ!! スッゾゴルァア゛!!!』って頭ゲヘナでそれはもう楽しくじゃれあう(銃撃戦)程度のレベルでおしまいだもの。

 赴任してから『大人の、人間の、先生。ついでに見た目()()は怜悧な美人で魅惑のもちもちぼでーの持ち主』なんてオンリーワンな存在感で各校に人脈チートレベルで食いこんじゃったからもう目も当てられない。

 下手したら、やらかした所を火種にして大惨事キヴォトス大戦になりかねんわ!

 私だけなら存分に余すところなく青春を謳歌できるだろうけど、それでヒナちゃんがシナシナになるのだけは勘弁ならぬ!!

 

 

「とりあえず一回オハナシ(肉体言語)はしておくけど、効果の程は分からんよ? 何しろマコちゃんだし」

「――――そう、なりますか」

「うん?」

「いえ、心構えが必要になりそうだと思っただけですよ。では、お願いしますね」

「うぃ~」

 

 

 ふむん、やっぱりイロハちゃんなら気付くよねぇ。一番良いのは現場はヒナちゃんとオマケに風紀委員、マコちゃんの傍で私が圧を掛けるって配置だし。

 それが多分一番()()()が起こりづらいもの。

 とりあえず釘を刺しておくだけ刺しておいて、後はイロハちゃんに何とかして貰いましょ。サボれる気配じゃないってのは察したみたいだし。

 問題はこちら側。条約締結日までそんなに日も無いから探れる範囲なんて知れてるし、どうしても出たとこ勝負になっちゃうよなぁ。

 むーん……むーん……むむ……むぅ。

 

 

「やっぱヒナちゃんに張り付いてよ。状況的に先生も近場に居るだろうし、何かあっても最悪コートの中に抱き込んで駆け抜ければ何とかなる!」

 

 

 と、良いなぁ。何となくそうはならない確信があるから嫌なんだけど。

 黒さん達に貰ったお馬鹿で素敵すぎるプレゼント群の整備しとこっかなぁ。生ぬるーく大尉ごっこしてると何か後悔するかもしれないし。

 でも私がアレを使うと普段からやってる()()()の域を超えちゃうのが目に見えてるから悩み所なんだよねぇ。やるなら基本、ルールを守って楽しくデュエル(きょうのサンドバッグ代行は君だ)。このマインドは忘れちゃいけないと思うの……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう思ってたんだけどなぁ」

「シア?」

「あぁいいよ先生、痛みで喋るのつらいでしょ?」

「いや、これくらいなら大丈夫だよ」

「じゃないんだよなぁコレが。ちゃんと止血はしたけど、お腹掠めて血ぃ出てるんだし。セナを呼んでおいたからしばらくじっとしててね」

 

 

 まさか開幕でミサイルとはなぁ。しかも迎撃が間に合わない類の高性能。すぐ傍に居たおかげでまるっと抱え込めたヒナちゃんはノーダメージだったけど、そっから先が不味かった。

 こんだけ派手に金かかる物使ったんだから、ここで『条約ぶっ壊してやったぜざまーみろ』ってな具合にゲヘナ・トリニティ両者に殴り掛かってくるかなと思ったら、まさかの先生襲撃。

 倒壊した聖堂の中で、何かバリアみたいなの張ってて無事だったから大丈夫かなと思った矢先にこれだ。嫌な予感がしたから猫掴みで先生引っこ抜いたあてくしえらい!! それでも若干掠めちゃったけど。

 回数制限というか、バッテリー式みたいな感じで容量使い切っちゃった感じだったし、あのバリアっぽいのはあくまでも緊急避難用かな?

 

 

「ヒ~ナ~ちゃ~ん? とりあえず変態ハイレグゴーストシスターズは無限リポップしてるっぽいし、弾が勿体ないでしょ。そっちは私が片付けとくわ。ポジションスイッチしとこ? ついでに私の銃と弾も置いてくから、万が一は使ってねー」

「了解。……先生、大丈夫そう?」

「掠ってちょっと出血した程度だし、セナがよっぽどの安全運転で来ない限りは。とりあえず無駄にお高い防弾防刃ついでに防火仕様の私のコート被せておくから、移動する時も頭までちゃんと包んで行ってあげて」

「ん、わかった」

「でもヒナちゃん一人で大丈夫? 寂しくなーい? おねーちゃん心配ですわッ!?」

「同い年でしょ。ほら、あんなに遊び相手がいるんだし、ちょっとくらい()()()()()()()()()行ってらっしゃい」

「――――ンンンー!? りょーかい!!! 行ってきまーす!!!!!」

 

 

 想定した()()()()()は起きていないし、ヒナちゃんが先生の傍に居るならこれからも起きない。

 あんな隠し玉(ミサイル)の後にここまでやらかすんだから、まだ何かあるんじゃないかなーとは思うよ?

 でもそういうのは置いといて、ヒナちゃんからちょーーーーー久々の『はしゃいでいいから』頂きましたわー!! もうほんと何年ぶりだろ!!!

 いっつも『やりすぎないようにね』とか『自重しなさい』だとか『泣いてうずくまってる相手はできるだけ見逃してあげなさい』なんて言われるから本当にちょーーーー久々!!!!

 銃は置いていくけど、別に無いなら無いでも別にいいし、何だったらそこらの敵から装備丸ごと奪い取ればいいしね。愛銃? しらないことばですわ。

 

 

 とりあえずそこら辺の大き目な瓦礫を適当に積み上げて作った、先生保護用の遮蔽物から踊り出たらまぁ撃ってくる撃ってくる。

 ペチペチと豆鉄砲みたいな威力でしかないけど。

 常識的なハンドガン程度の口径と炸薬ならまだしも、バトルライフルやら対物ライフルまで持ち出して撃ってきてるくせにこれはないわぁ。

 もっと腹の底から神秘ぱぅわーをひねり出さないといかんよ~? ゲヘナじゃイッパンフリョウセイト共もヤケクソぱぅあーでちょっとはマシな射撃してくるってのに。

 そしてヒナちゃんやホシノちゃんなら、溢れ出るが如き神秘ぱぅわーをちょちょいと込めれば、ハンドガンの速射程度でも私の勢いをそれなりに押しとどめるのに! 君らと来たら!! ほんとにもうなっさけない!!!

 飛び込んだ私に全く抵抗もできずにとっ捕まるなんて、ほんともう、『せめて一矢報いたらァ!!』って主榴弾自爆すら敢行するゲヘナの民を見習いたまえよ君! 別に効かないけどさ!!

 

 

「んー……でも、そっかぁ。先生はこのレベルでも致命傷になっちゃうかぁ……」

「ひギッ!?」

「これ真面目にワカモが傍に控える良妻兼護衛になった方がいいんじゃない? ――ってそうじゃん、コレ絶対ワカモがブチ切れるでしょ。こっわ……!」

 

 

 最近割と良い感じに先生のスケジュールと胃袋を掴んで、良妻道まっしぐらのお惚気狐になってるワカモだけどさ?

 前に『連鎖反応起きるよ?』って先生に忠告はしといたけど、こと先生に関してブチ切れたら、今までとは比べ物にならない程の暴れっぷりになるよねぇ。

 衝動的にストレス発散してる程度で七囚人とか言われるレベルだったのに、あのワカモが全霊で『()()()』してる先生を害したんだから。

 

 うん、敵の本丸を落としに行く時はちゃんと声をかけよ。

 先生の傍でドス黒い殺気を撒き散らしながら警護に徹するか、ブチ切れワカモちゃんの無双ゲームになるかは正直半々だと思うけど。――あいや、ワカモの事だからそもそもこの近くに居るか。先生が撃たれた事は把握してるとして、何で出てこないんだろ?

 もしかして先生を撃った奴を落としに行ったのかねぇ? 大丈夫? お友達が実行犯の『ミンチよりひでぇや』とかあんまり見たくはないよ?

 

 

「や゛メ、デェ!?」

「んー? ……いやほら、別にダメージは無いけど弾幕張られたら鬱陶しいじゃん? 防弾仕様のコートもおくるみにしちゃったし、丁度いい盾もないから肉盾頑張って! 君ならデキる!!」

「グ、ぅァ……」

 

 

 って盾のガスマス子ちゃんにエールを贈ったら、何故に敵勢とトリニティ勢が揃って、そんな『マジかお前』みたいな気配出してんのさ。

 そこんとこゲヘナ勢は『ちょっと~!? ま~たやらかしてんよアイツぅ! 何でいいんちょ手綱放り投げたのぉ!?』って視線で済ませる辺りさすゲヘ。

 気配の質からわかる頭ゲヘナ具合、グーなのです。ちょっとイラッとしたから後で物理的にグーもプレゼントしちゃう!!

 

 

 

「ていうかぁ~? そもそもさぁ~?」

「あグッ!? ひ、あぁ、ぁ……?」

 

 

 

 くいっと手首を返して目を覗き込んでやった途端に、いきなり大人しくなるじゃない君。

 

 

 

「生徒同士のドンパチなら日常茶飯事だけど、先生への襲撃なんていう色んな意味でお遊びのライン超えをしちゃったんだよ、君ら」

「あ、あぁ……あ……ぁ……」

「そんな襲撃犯共に、配慮なんてそんな上等な物が必要かねぇ? そこんとこどう思う? ね、ガスマス子ちゃん」

「ひい゛ッ!?」

「答えられない? この程度で体が動かなくなっちゃうの? これならヤケっぱちになったら遮二無二突っ込んでくるゲヘナ産ヘルメッツの方がま~だマシだわ」

 

 

 え~……この程度の威圧で畏縮しちゃう? 兵士っぽい空気出してるくせにウチでそこらを闊歩してる不良生徒より耐性ないじゃん。

 そもそも指揮官になり得る人物から潰すのは戦術的には正しいけど、戦略レベルで考えるなら潰し方を考慮しないといけない相手じゃないの、先生ったら。

 何もかもを巻き込んで盛大に散りたいなら、最初に狙うのもアリっちゃアリなんだろうけどさぁ。それにしちゃあ色々と御粗末すぎる。生ぬるいんだよねぇ、この襲撃。

 

 

「しっかし……それにしても脆い。軽~く首を握りしめられただけ、も一つ言うなら威圧されただけで行動不能とか鍛え方が足りんわ。見た感じ一応兵士扱いなんでしょ、君ら」

「ガ、ヒュウ゛…………ヒヴッ……」

「……シア、流石にやりすぎ。ちょっと鬱陶しい程度なら我慢なさい。ヘイローがあるんだから、相手だって生徒よ」

「えー……駄目?」

「ダメ。そろそろ返してあげなさい」

「ぬぅ…………ヒナちゃんがそう言うなら仕方ない!」

 

 

 とりあえず的はあのハイレグシスタースナイパーでいいかな。さっき私にヘッショしてくれやがったし。

 ――――うむ、ストライクッ!! あっしの肩は今日も冴えわたっておりますわい!!

 次にとっ捕まえたヤツは、夜な夜な暇つぶしも兼ねてヘルメッツで練習して、ようやく会得したジャイロボールの刑に処してしんぜよう。昔と違って今はコントロールもばっちりさァ! ちなみに回転と衝撃で弾も的も漏れなくゲボる。

 ついでに『やっと委員長が手綱を握りなおしたー!! これで勝つる!!』って気配だしたゲヘナ勢にも誤射しとこう。あえて韻を踏んで、五射までなら誤射で済むでしょ。間違いない、シアちゃんはその辺詳しいんだ!

 

 

 

 

 

 ――ゴォン――

 

 

 

 

 

「おん? あれ? 何であの盾がここに落ちてくるんよ? ――――ってぇ!? ほあッちゃァい! 剣までセットなのは良いけど、目の前にぶっ刺さるのはビックリするじゃん!?」

「――シア、何、その鎧?」

「んんん? うわ、何か装備されてるぅ!?」

 

 

 装備しても違和感無さ過ぎて気づかないとかそんな事ある? 普段から鎧着て生活してるわけでもないのに。ていうかこれ、残りは兜――ここじゃッ!!

 

 

「ナイスキャッチ」

「何となくね、この流れなら来ると思ったんだよ……」

 

 

 そう、脳天に。兜の尖ってる方が下になって落ちてきたし、物申したいって気配がムンムン漂ってきてますわ。

 何かもう察したけど、これいっつも脳裏ではしゃいでるあのオジサマの鎧でしょ? アレかね、これは『素手で蛮族行為をするんじゃない』って見るに見かねてお出ししました的な感じ? ――――あ、何か正解っぽい気配がした。

 

 

「とりあえずカポっとな。そんで分かっちゃいたけどお耳の部分までジャストフィット。い~ィ仕事してますネェ~♡」

「問題ないならそれで行ってらっしゃい。ちゃんと生徒は剣の腹か盾で叩くようにするのよ」

「やぼーるやぼーる!」

 

 

 脳裏のオジサマもほっと胸をなで降ろしていらっしゃる。

 流石に必要じゃなければ致命傷なんて与えないって。こちとらその時の気分で清く正しいと思い込んでるただの一般ゲヘナ生徒よ? ていうか、やる事は変わんないのに、武器使えばセーフ判定なんじゃろか。オジサマの判定範囲わかんぬぇい!!

 いや……そうか、これが……ジェネレーションギャップ……!!!

 

 ――――いやオジサマ、脳裏でそんなガチで深刻そうに頭抱えないでよ。冗談に決まってるじゃん。横のもふもふウルフも何でそんなお労しそうにオジサマを肉球でぽんぽんしてんのよ。

 そもそも鎧兜姿のオジサマとあてくしのジェネレーションとかどんだけ離れてるんだってレベルでしょうに。むしろ、最早ジェネレーションがどうのとかそういうレベル通り越してるわ。

 

 

「まぁいいや。何かそれっぽい装備になったし、名乗りでも上げるかぁ」

 

 

 折角騎士っぽい恰好なんだもの。

 ンッン~~?

 

『オォウ!マジェスティック!!』

 

 

 ――いや違う。大声出すのは合ってるけど、これ神秘探求系フィジカルモンスター。

 神秘がどーの叫びながら結局ぶん殴ってくるからある意味あてくしと同類ではあるんだろうけど。

 そもそも名乗りなんだから名前入れんといかんわ。名前叫ぶ系……?

 

 

『マイネェェェェム!イズ!フルゥウシアァ!ゲヘナァァ!!』

 

 

 ……これもちゃう! てかこれ武士やん!!

 ていうか何かバグで落下死させられそう。

 なんじゃろ、騎士……? あれ……騎士ってどんなんだっけ……?

 た、炊~くソウル、炊~くソウルを思い出せ! 何かないかッ!?

 

 

『哀れだよ、まるで炎に向かう蛾のようじゃないか』

 

 

 …………ちゃあああああう! これも名乗りですらない!! あいや、状況的には違わないけど違う!! 何で炊~くソウルで一番最初にコレ思い出したのあっしの頭はッ!?

 

 

 ええいもう面倒くさい! 何かそんな気分になったからって頑張って考えるんじゃなかった!! 結局アレなお方々のしか思い浮かばなかったし!!!

 てことで目標あの辺! とりあえず包囲しようと動いてる奴ら全員、盾構えて轢き潰せばいいでしょ。ついでに剣の腹でベシッとな。

 多少取りこぼしても、私のバックスにはヒナちゃんがついてるんだから気楽なもんだし。ヒナちゃんの素敵マシンガン(デストロイヤー)の掃射を受けて立ってられる子なんてそうそう居やしないもの。

 オマケに今は先生を守るためって気合入ってるんだから普段より神秘出力倍率マシマシよ? 相手の脆さからいって、全力には程遠いけど。そんなレベルだから、私なら誤射しても平気だって射線の気兼ねすらしないし。

 

 

 ……というよりも普段から一切してくれないし。シアチャンカナシイ。

 でもそんなヒナちゃんが撃った弾なら、別に当たっても『これも……愛故に!』みたいなノリでノータイム許容できちゃう不思議。ヒナちゃんのはそこそこ痛いんだけどなぁ。

 

 

「撃て! 撃てぇぇ!!」

「弾がもう無い! 弾、ありったけ弾を持ってきてよぉ!?」

「何で……あんなに撃たれてるのに止まらない……!? ――バケモノめッ!!!」

 

 

 てかこの鎧一式と盾すっごい! 重さのせいもあるのか、相変わらずどんどこ撃たれてる感覚はあるのに、ほぼ衝撃らしい衝撃が来ないわ。何でできてんのよコレ……剣は剣で、ぶん回して色んな物を剣の腹でぶっ叩いてるのに、折れるどころかたわむ気配すら無いし。

 いや~ええもんもろた~!!!! オジサマ素敵ッ!! 今後は戦車みたいな装甲目標を相手にする時なんかの()()()()が捗りますわ!

 …………いや、オジサマどしたん? 今度は顔を両手で覆うなんて。そんなに感動したのん? あ、違う? すーげぇ良いフォームでぶんぶん素振りしてるけど、何か。つまりちゃんと斬れと? いや、ここはまだヤっちゃう場面じゃないでしょ。

 んんんん? 装備だけ斬れ? ゴォエモォ~ンじゃないんだから無理だよそんなん!? とある泥棒三世に毒されすぎでしょ!! あん? あれ面白かった、また見たい? じゃあ今度、まだ見てない古いヤツとか探してみるかぁ。

 

 

「やだ……やだ、くるな、くるなぁあああ゛あ゛ァッ!!!!

「ゲェ、う、ゥエ゛」

「――――ァ?」

 

 

 快調にドンドコとシールドバッシュとシールドチャージ、所により大剣の腹でホームラン。今日はガスマスクの雨が降るでしょう。実行犯が降雨だけに。

 おん? 何か今後ろの方にチラっと見えたぞぅ!

 汎用装備っぽい恰好の子らとは違う、何か指揮官っぽい気配のロケラン装備! ついでに他とは違う白コート。あちこちに目線を飛ばして、指示出しかね、君ィ?

 ふむ、さてはオヌシ大将首じゃな? 大将首じゃな!?

 

 

「情報は貰っていたけど、何てデタラメ……グレネード、対物ライフルを中心に本体へ集中砲火。鎧を着たって衝撃までは消えない!」

「言ってる事は正しいんだけど、言う相手を間違えてるんだよねぇ、コレが!」

「な…………!?」

「やっぱり大将首はっけーん!! 降雨シア、吶喊シマース!!! ――――首置いてけやぁあああああ!!!!」

「ッ!? ヒヨリ、目標正面、撃って!」

 

 

 

 あっちへふらふら、こっちへふらふらと戦線を轢き潰すのをやめて、指揮官へ一直線でいいならさ?

 

 

 

 ()()まで行くのなんて数秒で十分なんだよ?

 かつんと兜に小さな衝撃が来たけど、その程度で止まるものかよ。脆弱な。

 私を止めたきゃ、せめて本気出したイロハちゃんクラスが乗ってる戦車でも持ってこい。もしくはガチになったホシノちゃんかヒナちゃん。

 皆が敵に回ったら、心情的にも押しとどめられるよ、きっと。心が痛すぎて進撃する気力が根こそぎ刈り取られそうな予感がするもん。

 

 

 

「獲ったァ!!!」

「ッ!?」

 

 

 

 ちょーっと盾に角度を付けて、ステップで回り込んだ背後からシールドバッシュをかましてやれば、これこの通り。何か背中に背負ってたロケランも含めて、鈍い破砕音が聞こえてきたけど、まぁだいぶ加減はしたから大丈夫じゃろ、うん。

 

 

 

「ヒナちゃーん! ()()、私じゃやりすぎちゃうかもだから後よろしくー!!」

「――――了解」

 

 

 

 回避のできない空中でヒナちゃんのかるーい掃射。これでダウンさぁ!

 流石のヒナちゃんだわー! ちゃーんと引き付けた上で撃墜して、良い感じの空白地帯に堕としてくれたし。これで色々と吐かせられる人員を確保したようなもんじゃろ。

 勝ったなうへへ~! 残兵轢き潰してくるぅ~!!

 

 

「まずはさっきヘッショしてくれやがった薄緑のバックパッカー、お前じゃーい!!」

「ひああああああああああああああ!? やっぱり世の中は苦しい事ばっかりなんですよおおおおおおお!!?」

「おうおう活きがええのぅ! その調子でかかってこい!! さぁさぁさぁさぁ、ハリーハリーハァァァァアリィイイイイ!!!!!」

「何ですかあのキチガイ!? 情報よりもヤバイんですけどぉ!?」

「いやそりゃ、だって君らはゲヘナとトリニティが腹黒くも仲良く条約締結しようとしてた矢先に、横合いから殴り掛かって来たんだよ?」

「へ?」

「そう、私らはね、()()()()んだ。ならお礼に、叩いて叩いて叩いて()()()()()、根切りにしてやらにゃァ可哀そうじゃないか!!」

「どこの蛮族ですかぁ!?」

「あーいむゲーヘーナー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シア、ちゃんと加減できてる?」

「一応ね。今は盾を横に構えて高速人間ブルドーザーやってるわ。何も心配はいらないから、先生は身を守る事に集中して」

 

 アァァアアアアアァァ!?

 タスッ……タスケ……ブッ!

 

「……空から、叫び声が聞こえるんだけど」

「大丈夫、キヴォトスの生徒は頑丈だから」

 

 ニゲマワッテナイデカカッテコンカイ! ゴルァ!!

 チョットイインチョー!? アイツノタヅナチャントニギッテー!?

 

「…………ヒナ、正直ちょっと面倒くさくなってきたでしょ」

「加減は必要でも遠慮はいらない。そんな連中相手にシアを放り込んだのよ? そもそも結果なんて見えてるもの」

「流石、ゲヘナの風紀委員長。……えげつない」

「失礼ね。適材適所で必要な所に必要な戦力を充てるのは基本でしょう」

 

 オマエハヨクヤッタ、モウコワガラナクテイイ、モウイインダッ!!

 ヤメテ! モウヤメテ、ブタナイデェ!!

 キュウキュウイガクブー!! イクラナンデモカワイソウダカラタスケテアゲテー!!

 

「…………戦力比、いくつ?」

「数えるのが面倒くさいわ。シア風に言うなら『1、2、3…………わぁいおもちゃがたぁくさん♡』って所かしらね」

「今のモノマネ可愛かったね、ヒナ。――えーと……『1、2、3…………わぁいおもちゃがたぁくさん♡』うん、綺麗に録音できてるわ!」

「ちょっと!? 消して!!」

「やだ! 消さないんだからね!! 絶~ッ対に消さない!!!」

「――先生、私に力で勝てると思う?」

「ふふん、もう私のクラウドにもアップしたもん!!」

「…………先生のクラウド? つまりそれはミレニアムのお馬鹿どもに公開されたと思っていいのね、先生」

「えっ…………アッ」

「――――お礼は覚悟してね、先生」

「いやまって、お慈悲を、ね、ヒナちゃん、ネっ!?」

「ダメ」

「うぼあー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




う"ぇりたす(いち)

はっきんぐ:してる
かんそう:またせんせいのびょうきかぁ
かくさん:おおかみがこわいからやだ やるっていったらまじでやるからあのひと……


せんせー(よん)

めんたる:なにげにずぶとい
こーと:どこがとはいわないが うお、でっか……!! とはおもってる
ぽんぽん:じゃっかんちがにじむていど たいしていたくない
くび:えりくびをねこつかみでひっこぬかれた けっこういたい








げまとりあ(-1)(よん)

えいぞうちゅうけいようどろーん:ぜんりょくでせいさくずみ
もにたー:いちばんいいのをせっちずみ
つくえのうえ:おさけとおつまみかんび
じょうきょう:そういうこった!
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