『101番目の哿物語』   作:トナカイさん

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キリカ『メリークリスマス!』

一之江『メリーズクリスマス!
今年もやってきました。
貴方の背後に……』

キンジ『……(突っ込まない。突っ込まないからな!)』

一之江『さあ、今年は特別番外編!
これを見てみなさんでこう叫びましょう!

______リア充……爆破しろーーー! ……と』


突発的番外編! 温泉では変態に注意!

 「温泉に行くわよ!」

 

開口一番、スナオは俺に向かってそう言った。

ちなみに、スナオはいつもの赤マント姿ではない。

十二宮中学校の制服を身に纏った金髪ドリル頭の美少女の姿だ。

『必要悪』と描かれたTシャツとジーンズだけのシンプルな姿故、その平な胸が服の上からでもわかる程、ペッタンペッタンとなっている。

 

『……………は?』

 

「『何言ってんのコイツ?』みたいな顔するんじゃないわよ。温泉回よ、温泉回。前回の話で、ストーリー的に一山越えたから、箸休めの番外編をしようって事よ。作者の世界ではもうクリスマスだしね」

 

何を言っているのだろうか、この元気っ子は?

ていうか、今の俺は理亜の一件で精神的にボロボロだからそもそも外出なんて―――。

て、アレ?

そこで俺は、自分の姿に気付く。

 

『なんで、ロアの姿になってるんだ?』

 

俺の格好は武偵高の防弾制服を着ていて、手にはスクラマサクスと、ベレッタM92Fsを持っていた。

 

………それだけじゃない。

よく見れば、ここはいつもの街じゃない。

木製のテーブルとイスが並び、カウンター越しにガスコンロと調理台が見える。

更にまな板の上には、調理に使うであろう食材と共に桃まんとキャラメルが無造作に置かれている。

 

…………最後の時点で気が付いた。

 

こんなトチ狂った食材で調理を行う料理人を俺は少数しか知らない。

そう、ここは―――。

俺が結論に達したことに気付いたのか、スナオが俺を指差して言う。

 

 「そう!ここは本編じゃないわ!『緋弾のアリアのキャラと101番目のキャラがなんやかんやで交流する無茶振り企画』の世界よ!」

 

『なんだそのトチ狂った世界は!?』

 

マジか!?

あのアリアがロア化したり、理子やキリカみたいに『混ぜるな! 危険』な二人とか、レキや一之江が出会ったり、鳴央ちゃんや白雪が共演しちゃう世界かよ!?

 

『まさかこんなことをやらかすなんて……』

 

「……世の中にはね、色々あるのよ、モンジ。例えば、ハードな仕事とシリアスなストーリー展開に疲れた作者が気分転換に壊れた物語を書きたいとかね……」

 

どこか切なそうにスナオは語る。

いや、それ全然切なくないよ?

ただの現実逃避だろうが。

俺が言うのもなんだけどさ。

 

『ん?あれ、ちょっと待て。それじゃあ何で尚更、俺は元の姿になってるんだ?』

 

確か俺はこの世界では一文字の姿だった筈だ。

なのになんで元の遠山キンジの姿に?

 

「ああ、それはね。話の都合上時間を巻き戻して、アンタは憑依しなかった。遠山キンジとして『逸般人』な姿で101番目の百物語の世界に来たからと言う訳」

 

『マジか!?』

 

つーか何で、突然時間が戻って俺が101番目の百物語の世界に来てんだよ!

何でもありかっ!

 

『あれ?でも、何でそんなことを?ま、まさか……さっきの料理を俺に―――』

 

「うん、アンタなら食べれるでしょう?

『不可能を可能にする男』なら……だから食べさせたわ」

 

『ふざけんな!』

 

なんで俺がそんなことを。

というかそんなことされた記憶はないんだが。

 

「実はね……調理が終盤に差し掛かってきた頃、メリーズドールが突然『そろそろ切り札を出すしかないですね』って言ってね」

 

『うん』

 

「『最後の調理ってのは―――キンジを“食材”にする事です』って言って、いきなりアンタを“食材化”し始めて……」

 

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!?

 

『ちょっと待って!?いやいやいやいや、散々色々スルーしてきだけど、それはちょっと待て!何それ!?一之江がそんな事言って、いきなり俺を食材化しようとしたのかよ!?』

 

“ロア化”ならぬ“食材化”!?

何やってんの、一之江!?やっちゃいけないクスリでもキメてたんじゃねーのか?

あ、キメてたのか………多分。

 

「リアはそれを泣きながら調理したわ……ブフッ!」

 

『嘘言っってんじゃねーよ!』

 

「ま、それは嘘だけど、その直後にメリーズドールはアンタをメッタ刺しにしてたわ」

 

まさか、所々記憶が曖昧なのはそれが原因か!?

何やってんだよ一之江。

 

「まあ、結局リアが他の食材使って調理したんだけどね。その甲斐あって勝負は圧勝。料理審査員全員が料理を食った瞬間、宇宙空間で全裸になるリアクションを取ったわ」

 

 『だから嘘言ってんじゃねえよ⁉︎』

 

薬か何かやってらっしゃる?

頭湧いてんじゃねーのその審査員たち。

 

「ちなみに、同じくそれを食べた鳴央ちゃんは全裸に着物を持った状態で牛乳(白)を全身にぶっかけられる感じのリアクション(イメージ)を取ったよ。いやーアレはエロかったねー。黒髪と白いドロッとした液体(牛乳)のコントラストが絶妙で……」

 

いつの間にか側にいたキリカは怪しげな笑みを浮かべてそう言った。

 

『ああ、うん。わかった。もういいや……』

 

なんか、既にもう疲れた。お腹いっぱいです。

話を戻そう。

 

 『………んで、それでなんで温泉なわけ?』

 

「私が見たいからだよ!サービス回!ハイッ!サービス回!」

 

『ごめん、意味が分からん。あとそのテンションウザい』

 

「と言う訳で、魔術発動!」

 

『は?―――うおおおおおおおおお!?』

 

足元に青白い光と魔術陣が浮かぶ。

直後、強烈な浮遊感が俺を襲った。

 

暗転。

 

目が覚めるとそこには立派な温泉宿があった。

木造作りの昔からある古き良き伝統の温泉宿って感じだな。

木の匂いがする。

癒されるわー。

超展開の連続で疲れた心にしみわたる……。

ああ、現実逃避だよ。悪いか。

 

「瑞江ちゃん達は既に入浴してるよ。ちなみに入浴メンバーはモンジ君、瑞江ちゃんに、音央ちゃん、鳴央ちゃん、理亜ちゃん、かなめちゃん、リサちゃん、アリアちゃん、りこりん、ゆっきー、レキちゃん、あと詩穂先輩とヤシロちゃん、アラン君も居るよ」

 

『あれ?アランって死んだんじゃなかったっか?』

 

「僕を勝手に殺すな!」

 

『悪い悪い。それは冗談だが、混浴なのか?』

 

温泉回って言ってアレだろ?

男女別なお約束……。

 

「番外編だから混浴なんだよ」

 

 「あ、そう……」

 

 便利だな番外編……。

ヒス持ちには優しくないんだな。

 

 あと、誰かナチュラルに省かれた気がする。誰だっけな……?

 アリ……何だっけ?まあ、いいや。

 

 「ちなみに胸囲力は上から順に詩穂先輩=ゆっきー>音央ちゃん=鳴央ちゃん>りこりん、かなめちゃん>理亜ちゃん>レキちゃん>スナオちゃん=アリアちゃん=瑞江ちゃんという感じだよ。あ、ちなみに私は音央ちゃんや鳴央ちゃんとりこりんの間ね。どう、参考になったかな?」

 

 「何が?」

 

 胸のサイズとかすげーどうでもいいわ。

 というか、俺も普通に温泉に入りたいんだけど。

 101番目の世界に来てから温泉なんて入ったことなかったし。

 

 というか、俺は今更ながら当たり前の疑問が思い浮かんだ。

 

 「つーかさ、何で覗きに行く必要があるんだ? キリカお前一応女だろう。覗く必要なくないか?」

 

 そう。今回残念臭が見事に全てを打ち消しているが、キリカは一応、“女”なんだ。ならば、覗きなどせず堂々と女湯に入ればいい。

 俺がそう言うと、キリカの表情に一層陰りが出来る。

 

 「…………実は私ね、仲の良い友達とかとこの町の公衆浴場や温泉施設に入ったことないの……私は魔女だから、入っても誰も覚えてないしね」

 

 『あー、成程ね』

 

そういや忘れてたが、キリカは魔女だった。

他人の記憶を操り食べる『最悪の魔女』とか呼ばれるロアだったな。

 

『だからって何で俺を覗きに誘うわけ? 嫌だぜ、俺。犯罪者になるのは』

 

別に見たくもないし。

 

「ええー、行こうよ!キンジ君には主人公補正(ラッキースケベ)っていうとてつもない能力が備わってるんだよ!」

 

 『……………は?』

 

何そのルビの振り方?

頭おかしいんじゃないか?

つーか、そんな能力初めて聞いたんだが。

 

「アンタなら、たとえメリーズドール達に気付かれても『わ、私は別にも、モンジさえよければいつでも一緒に……』とか、『お兄ちゃんー、一緒に入ろうー』とか、『キ、キンちゃん様! お、お背中流しますね?』やら『あ、あの、モンジさん。いっ……一緒にお湯に入りませんか?』とか、そう言う感じでなあなあで済まされるに決まってるのよ!」

 

決まってねーよ。アホか。

だいたい一之江やアリアとかも入ってるんだろ。

気づかれた瞬間背後からグサッ、と刺された後にガバで風穴開けられるわ。

 

「だから、お願いします!キンジ君!どうか私にもその主人公補正(ラッキースケベ)を分けて下さい!!どうしても、瑞江ちゃんとかアリアちゃん達と一緒のお湯に入りたいの。

皆んなで思い出作りたいんです!」

 

「わたしも可愛い子と一緒のお湯に入りたいわ!」

 

「僕もだ、モンジ! 男なら誰だって見る夢だろう?」

 

がばっとアランは、俺に土下座をかます。

うわぁー……。

正直ドン引きである。

己の欲望の為にここまでプライトをかなぐり捨てる人間を俺は他に知らない。

裸みたい為にここまでするか、普通……。

そんなんだから、『アラン君って顔はいいんだけどね……』とか言われるんだよ。

 

「今な何か凄い失礼な事を考えた気がしたけど、今回は許す。だから僕にもキンジやモンジのようなラッキースケベを分けて下さい」

 

いや、やれるならそんなもんはくれてやるよ。

だから、もうこの話これで終わりにしない?

俺も温泉には入りたいから。

 

「温泉……ぶふぅ」

 

モンジは鼻血を吹き出した。

大丈夫か、コイツ?

出血多量で死ぬんじゃないか?

 

「話は纏まったみたいね!」

 

 

『……本当にやるのか?』

 

スナオはやけにノリノリである。

お前なに早速番外編だからっハリきってんだよ!

便乗してしてんじゃねーよっ!

 

「ここは本編でも説明されなかった私のロアの能力出番ね!」

 

『ロアの能力?』

 

「そうよ。私は『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』と呼ばれる『赤マント』の『ハーフロア』よ。その逸話に『少女を攫う』と言われるものがあるのよ。それは、どんな状況下でも赤マントに包んだ少女を異空間に連れ去っちゃうという優れた能力なのよ」

 

『ほー、そりゃすごい。一之江の攻撃が効かなかったのはそう言う訳か』

 

つーか、そういう事は本編で説明しなくていいのか?

なんでこんなどうでもいい番外編でネタバレしてんだよ。

 

「成程、『赤マント』か………はっ!まさか、スナオちゃん……君は……っ!?」

 

アランが何かに気付いたようで、はっ! とした顔をスナオに向ける。

 

 

「そっちのお兄さんは気付いたようね、そうよ。この能力を使えば、女湯に入ろうとうする女性客を連れ去りそのまま監禁!

そして、『怪人の手(マジシャンズハンド)!』で攫ったその少女を裸にして見放題という素晴らしい能力なのよ!」

 

そんなすげー能力を下らないことに使うな馬鹿。

だが、アランはまるで雷に打たれたかのように硬直していた。

 

「な、何て素晴らしい能力なんだ……っ!人数制限は!?限界稼働時間は!?」

 

アランの質問に、スナオは微笑む。

ごくり、とアランが生唾を飲む音が聞こえる。

 

「―――どちらも、問題ないわ(オールグリーン)よ!」

 

「きゃっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!スナオちゃん、いやスナオ神! 貴女様は最高だ! それじゃあ早速―――っ!」

 

そこでアランは素早く身を捻る。

先ほどまでアランが居た場所に黒い穴の様なものが発生したのだ。

その黒い穴がアランの足を引きずり込む。

 

「……これは何だ! た、助け……」

 

「……モンジさんとキンジさん? 一体何を話し合われているんです?」

 

いつの間にか、目の前には鳴央ちゃん、音央、白雪、レキ、理子……の姿があり。

そして。

 

「風穴」

 

背後から懐かしいアリアの声が聞こえ。

そして背中からは。

 

「『もしもし、私よ。今貴方の後ろにいるの』」

 

一之江の冷んやりした声が聞こえる。

Dフォンがメチャクチャ熱くなったままで、今にも『お前殺されるぞ?』と警告するかのように発光していた。

 

 

 

「美少女の――可愛い女の子の裸を見るのはこの私一人で十分!悪いけど、男にはここで消えてもらうわ!」

 

「ちっ、成程……っ!最初からそのつもりで、時間稼ぎをしていたわけか!」

 

何故か無傷のアランが立ち上がり。

 

 

「その通りよ! リアの裸を見るのは私だけなんだからー! さあ、アナタ達ここを通りたくば、この私を倒してから―――」

 

「『その少女は攫われた瞬間、それまでのことを振り返りました……』」

 

「いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

スナオの言葉を遮って、理亜はいきなり反則技を発動した。

スナオが消滅しそうになる。そのまま消えろ。

だが……

 

「なっ、なんだと⁉︎ 無傷……ッ?」

 

「ぜぇぜぇぜぇ! やるわねリア。だけど甘いわよ! リアの『対抗神話』を何度も側で聞いていたのは何を隠そうこの私よ! その技ではこの私を止められると思わないやああああああああ!!! ちょっと待ってリア。激しい、激し過ぎて嫌ああああああああああああああああああああああああああああん!!!」

 

理亜の語る対抗神話により、体が透けるスナオ。

 

「手をワキワキさせながら気色悪いことを言わないでください!」

 

「り、リアの恥ずかしやさーーーん!! リアの裸は私のモノなんだからああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

『いや、お前のものじゃねーよ………』

 

理亜泣くぞ。

読者を無視して変な性癖だそうとすんな。

というか、スナオのせいで話が進まないな。

俺がそう思って旅館の方を見て見ると―――。

 

「あ、女将っすか?ええ、また不審者が現れたみたいで……ええ、はい警察呼んでおきます」「皆さーん、従業員の指示に従って移動してくださーい」「あ、もしもし◯◯工務店さんですか?また補修工事の依頼で……」「ママーアレなーに―?」「しっ、見ちゃいけません!」

 

従業員の方たちも慣れているのか、そそくさと避難誘導や連絡をしてる。

 

「あ、お客様いらっしゃいませー。『緋弾の百物語旅館』へようこそお越しくださいましたー。おひとりですか?」

 

従業員さんが俺に声を掛けてくる。

 

『あ、いえ、ここにいる奴らと一緒で後は待ち合わせです。多分もう着いてると思います』

「では、こちらへどうぞー」

 

従業員さんは慣れた様子で俺を案内する。

手慣れすぎだろ……。客商売ってすげーな。

あと旅館の名前凄いな。

などと現実逃避してると、背後からアランとモンジの叫び声が聞こえてきた。

おしおきされているみたいだな。

 

「今日はこのくらいにしとくわ! それとキンジは後で風穴!!!」

 

「ですね、後でサウザンドナイフの刑です」

 

「理不尽過ぎる⁉︎」

 

はぁ……疲れたぁ。さっさと温泉行こう。

馬鹿達を無視して、俺はさっさと温泉へ向かう事にした。

 

 

男湯にて―――

 

『ふぅー……』

 

俺はあの騒ぎの後一文字と一緒に温泉に向かった。

もちろん男湯だ。

混浴という話だったが急遽混浴は中止になったらしい。

何故かはわからんが今日の俺持ってる!

天然の石造りの温泉で、お湯がどんどん湧き出ている。

ししおどしの音が心地いい。

 

『あー……生き返るなー……』

 

「あー確かに……いい湯だなー……」

 

こっちの世界の温泉に入るなんてこれが初めてだ。

前世も温泉なんてほとんど入れなかったけど、やっぱ温泉は良いよなー。

癒されるし、気持ちいい。

俺が温泉につかっていると、後ろの脱衣所の方からガラガラと音が鳴り、誰かが入ってくる。

 

「おお、これが温泉かぁ。美しい……」

 

「周りの人に迷惑かけんなよ、ジーサード」

 

声のした方を見る。

おや、他のお客さんが来たみたいじゃないか。

 

「あ、どうも。……ってなんでいんだよ。キンゾーと氷澄⁉︎

今日は何で此処に?」

 

「うん? なんだ……一文字貴様かぁ! 隣の人は誰だ? 番外編だから、な。シャンプー使うか?」

 

「そうだぜぇ。今日は利用者の方たちと一緒に日帰りのバスツアーに参加して来た……という設定だぜ、兄貴もか?」

 

「いいや、何でいるんだろうな」

 

俺にもよくわからん。

 

「しまった。メガネが曇ってみえない」

 

「ここで会ったが百年目だぜ!兄貴後で背中流してやるよぉ!」

 

「あ、じゃあ頼むぞ、キンゾー。あと、シャンプーは持ってきてるから大丈夫だ」

 

それと、氷燈。

メガネは外せばいいだろ?

 

 

その後、俺は一緒になった観光客の人達と背中を流しあったり、サウナに入ったり、風呂上りに皆でコーヒー牛乳を飲んだりと、そこそこ楽しい休日を過ごすことが出来た。

いやーやっぱ温泉は楽しいな。

いろいろあったが、来てよかった。

ありがとな、アラン。

俺は心の中でアランにお礼を言った。

そして気づく。

 

 「…………そう言えば、アラン。あいつまだ来ないのか?」

 

 

 一方、女湯にて―――

 

『ふぅ……たまにはこうして敵味方関係なくお湯につかるというのも良いものですね』

 

タオルを頭に巻いて黒髪を整えながら一之江は詩穂の方を見る。

女性の一之江から見ても詩穂の裸は芸術的なまでに美しかった。

出るところはきちんとでている抜群のボディーバランスと、女性特有の柔らかさが同居し、まるで一種の彫刻の様だ。

 

「全く奇妙な縁だよね。全く別の世界の人達と一緒にお風呂に入るなんて……」

 

にぱー、と詩穂は笑いながらそう告げる。

ちなみにタオルはつけていない。

その為その暴力的なまでのダイナマイトボディーが謎の光とかに隠されることなく晒されている。

 

「「じー……」」←(一之江とアリア)

 

「じーっ」

 

「ん?どうしたのキリカちゃん達。人の体をじろじろ見て?」

 

「やっぱおっきーなーと思って……お湯に浮いてる。ゆっきーのも浮いてるね……」

 

「え?そうかな?こんな胸だもん、戦闘では邪魔なだけなんだよ? 肩も凝るし、下着もサイズが無くて困るし、不便なだけだよ?」

 

むにむにと白雪は己の胸をもむ。

それを見て、アリアと一之江も己の胸に手を当ててみる。

ぺたぺたぺた。

 

「「うぐ………」」

 

『あら、どうしたの、一之江さん?』

 

アリアをスルーして一之江に白雪は話しかける。

アリアは「風穴!!!」などと叫ぶが。

なにやらショックを受けたらしい一之江は、そのまま無言で白雪の胸に顔をうずめた。

入れ替わる様に近づいて来たのはキリカだ。

長い赤髪が表面に浮き蜘蛛の巣のようになっている。

彼女もまた白雪の圧倒的存在に目を奪われていた。

 

「………うわぁぁぁすーごっく大きい。さわってもいい?」

 

「む? む? 確かに……喧嘩を売ってるのかと言いたくなる大きさですね」

 

「え? え? なんで触るの?というか、一之江さんって言ったかな?錆びるから、そのナイフは置いた方が良いよ?あと髪の毛を湯に入れないで」

 

 大丈夫です、これは能力で出した奴ですから。では挨拶変わりに……ぼふっと」

 

一之江は白雪の胸に顔をうずめた。

 

「あ、ダメ、いきなり揉むのは……くすぐったいよ」

 

むにむにの手で自由自在に形を変える二つの果実。

番外編だから、何でもありなのだ。

 

「柔らかいし、あったかい……手でつかみきれない。瑞江ちゃんどう?」

 

白雪の胸に顔をうずめながらチラチラと様子をうかがうが、やがて好奇心が勝ったのか、

 

「……えい」

 

「あ、ちょっと!後ろから揉みしだらダメ! 一之江さんもそんなところを触っちゃ、だ、ダメだよ。あ、アリア、キリカちゃん達をどうにかして」

 

『クスッ……いいんじゃない?たまには……』

 

アリアは白雪に笑みを浮かべる。

笑みを浮かべているが、目は笑っていない。

さっきの事を根に持っているからだ。

白雪がキリカ達にいいように弄ばれるのを横目に。

アリアはそういえば______と考える。

互いに殺し合った敵同士や本来なら決して交わることのない物語が同じ湯につかる。

実に奇妙な光景だ。

そんなことを考えていると。

リア達の声が聞こえてきた。

話題は女の子らしく、恋話を語っていた。

好きな人はとの問いに。

かなめは「お兄ちゃん」と答え。

リサは「ご主人様」、音央は「べ、別にモンジ達のことなんて……」、鳴央は「夢の中で出会った素敵な人です!」などと答えている。

それを聞いた一之江は。

 

 「全く、番外編とは厄介なものですね。ですが……」

 

ちらりと、隅で騒ぎに巻き込まれまいとするアリアに目を向ける。

その視線に気づいたアリアはバツの悪そうに顔をそむける。

そして何を思ったか一之江は『もしもし、私よ……』と唱え、一瞬でアリアの背後に跳躍した。

そして一之江は、アリアにこう告げた。

 

『負けませんからね……』

 

アリアは一之江と視線をぶつける!

こうして、お互いを認め合うのだった。

その光景を、キリカは目を細めて見守り内心喜んだ。

 

 「……悪くないです」

 

レキがポツリと呟く。

沈む夕日が湯に映し出される中、彼女たちは温泉を堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女らの様子を見つめる男がいた。

アラン・シアーズである。

双眼鏡を片手に彼は女湯を覗いていた。

 

「ぶふぅ……もう、僕は……死んでもいい!」

 

鼻血を吹き出しながらも、彼は手に持つ双眼鏡は放さない!

そんな彼に近くものがいた。

 

「やあ、初めまして。ここに来れば会える。そう______推理したよ」

 

出会うはずがない人と人が出会い、そして混じり合う物語。

 

 

 

 

『101番目の哿物語』連載中です!

 

 

 

 

 

 

 

『って、最後は宣伝かよ⁉︎』




ラッキースケベは不発でした! テヘェ☆
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