とある魔術の大遊園地≪カーニバル≫   作:natsuki

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第六話

 ジェットコースターを乗り終えた二人は、それぞれ違った感想を持っていた。

 インデックス曰く、

 

「お、思わず泣いてしまいそうになったかも……。流石、科学技術の英知……?」

 

 上条曰く、

 

「だから言っただろ。ジェットコースターは恐怖心を持っていると、楽しみよりもそれが勝って全く楽しめなくなってしまうんだ、って」

 

 サーシャ曰く、

 

「第一の解答ですが、恐怖心はあれど興奮はします。成る程、こうして人々の欲求を満たしているのでしょうね」

「……あれ?」

「……おや?」

 

 上条とインデックスはそこで違和感に気付いた。

 二人の隣には、何故かサーシャが立っていたからだ。

 

「あの、サーシャさん? どうして一緒に?」

「第二の解答ですが、魔術師が見つからない以上こちらも動くことは出来ません。しかしながら、遊園地に訪れたのであれば遊ぶのがセオリーだとワシリーサから教わりました」

「成る程……?」

 

 合っているような合っていないような良く分からない話を言われて、上条は困惑する。

 

「第一の質問ですが、次は何に乗りましょうか?」

「まさかのそちらからの提案……!?」

 

 上条は驚いている様子を示したが、直ぐにサーシャがある一点を見つめていたのに気付いた。

 

「……あの、サーシャさん? ちょっとばかりこっちの反応にも示してくれると、嬉しいなーなんて思うんですけれども?」

 

 上条の質問に、サーシャは答えなかった。

 

「質問に答えないのはどうなのかと思うんだよ」

 

 インデックスも苦言を呈す。

 それに理解を示したのかどうかは分からないが、サーシャは振り返ると、

 

「第三の解答ですが、怪しい人物を見つけました。もしかしたら、魔術師かもしれません」

「……何だって?」

 

 上条は辺りを見渡す。しかしながら、そこに該当する人間は見当たらない。誰も彼も学生服を着た学生だらけで、少なくともサーシャやインデックスのような奇抜な格好をした人間は誰一人として存在しない。

 

「何処に居るんだ? その魔術師、ってのは」

「第四の解答ですが、微かに魔術師の気配がします。……魔術に疎い人間であれば気付くことはないでしょう。そして、魔術師であっても手練れでなければ感知出来ない」

「インデックス。そうらしいが?」

「……確かに」

 

 インデックスも漸く気付いたようだ。

 気付いていないのは上条だけ。しかし、魔術師の気配とは?

 

「魔術師の気配、ねえ。正直上条さんには理解出来ない概念ではあるけれども」

「第五の解答ですが、それを今話している場合ではありません。魔術師を探さなければならない。わたし以外の魔術師が居るということ、それは即ちマリア=ファルスサードへ繋がる手がかりを持ち合わせていることになるでしょう。本人である可能性だってあります」

「複数人の魔術師が学園都市に入り込んでいる、と? どうやって? どうして?」

「……それは、わたしにも分かりません。しかしながら、フェンリルを持ち歩いている以上、マリア=ファルスサードは捕らえなくてはなりません。個人行動は、絶対に禁じられているのですから。何を為出かすか分かったものではありません。もしかしたら、学園都市を犠牲にした大規模な魔術を展開する可能性もあるかも——」

「……それは不味いな」

 

 上条は頷く。

 インデックスも答えは一緒のようだ。

 

「着いていくぜ、サーシャ。乗りかかった舟だ。この楽しい場所で何かを起こそうって言うんなら……そいつの行動は止めなくちゃな」

「第六の解答ですが、ご協力に感謝します」

 

 そして、サーシャを先頭に、上条達は魔術師の気配を追いかけることとした。

 

 

 

「ふっふーん、まさか一番乗りだなんてね。わたしも運が良いなーっと」

 

 超能力者(レベル5)、御坂美琴は西洋建築を摸したスーベニアショップから笑顔で出てきた。

 木で出来た大きな舟に乗っているゲコ太のキーホルダーであった。

 

「ちょっと地味だけれど……、限定品であることは変わりないし。ってか、受け取る人が居ないんなら、わたしがもっと受け取っても良いけれどね?」

 

 美琴がウキウキとスキップでもしたくなりそうな感じで歩いていると、遠くに見知った顔を見かけた。

 

「……あれ? あそこに居るのって。おーい、アンタもここのプレオープンに参加していたの——って」

 

 気さくに声を掛けてやろうかと思った美琴だったが、直ぐに言葉を止める。

 何故なら、見知った顔の前に居たのは、まるで拘束具でもつけているような女性だったからだ。

 

(……アイツ、まーた変なことに巻き込まれてんの? 日常っていう概念がないのかしらねー……)

 

 とはいえ。

 見てしまったからには、あっさりと見捨てることが出来るぐらいの関係性ではない。

 深い深い溜息を吐いて、美琴は呟く。

 

「目的は達成したし、ちょいとアイツの顔でも拝みに行ってみますか」

 

 そうして、美琴もその一行の後を追いかけるのであった。

 

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