土の中から這い出て、自分の体を見た。
お、俺…何で…生きてるんだよ…。
あの時、魔族の魔法で殺され…
「っ!?フリーレンは!?」
辺りをくまなく探してみるが、どこにもいない。
多分、俺が死んでから時間が経ってる…
でも長い時間じゃない…。
俺たちを埋葬したのはおそらくフリーレンだろう…。
ということはフリーレンは生きてるはず…!
「でもどうして…俺は死んだはずじゃ…」
心当たりがあるとすれば…俺が錬金術で生み出したあの葉っぱぐらいだが…
たしか、せかいじゅの葉……せかいじゅの葉!?
何で今まで忘れていたんだ!!
あれは前世でやっていたゲームの蘇生アイテムじゃないか…!
いや、そんなことより…!!
また錬金すればエルフの村の人たちを生き返らせることもできるはず…!!
だが、服はボロボロで錬金術のレシピのメモはなくなっていた。
ない……ない!!
何でどうして!?いや、メモがなくても俺が思い出せば…!
……思い出せない。何で忘れたんだ俺はぁ!!
手のひらに爪が食い込み、血が流れる。
俺はしばらく、自身の無力さに絶望することしかできなかった。
♢♦︎♢
…フリーレンだ……
「フリーレンに会わなきゃ…」
俺は生きてるって伝えないと……
生き返ったが体の節々が痛い。
完全に治ってはいないからだろう。
まずはここから出ることからだ。
だけど、どこにいるかわからない…
いや、ひとまず人のいるところへ向かわないと…
俺はそのまま村から出て、森を彷徨った。
しばらく歩いていると、道らしきところに出た。
ここなら行商の荷馬車が通ったりするだろう…
もう歩く気力がない…ここで待つか…。
そして、日が沈みかけ、空が暗くなり始めた頃、
ガラガラ…
「っ!?すみません!!人のいるところまで乗せていただけますでしょうか?」
「ん…?お、おい、あんた…酷い怪我じゃねぇか!いいぜ!今帰るところだから荷物も少ねぇ!俺が連れてってやるから休んどきな!!」
「あ、ありがとう…!」
よかった…!!なんて親切な人なんだ!これで一安…心……だ…
気が抜けてしまったのか、座ったらすぐに眠ってしまった。
♢♦︎♢
ガシャンッ!!
馬車が急停止したのか…その衝撃が体に伝わってきた。
…ん…?もう…着いたのか?
「…おい。やっぱりあんたを送るのやめたぜ…。見たところ路銀も持ってなさそうだしな…。」
「…え?」
「もっと儲かる方法を思いついたんだ。だから、あんたに逃げられたら困るんだ。もういっぺん眠ってくれや。」
「お、お前…
ガンッ!!
俺は何かで殴られたのか…意識がなくなってしまった。
♢♦︎♢
ギィ……ドサッ!
…ん…ここは…?
「よお。お目覚めかい?あんたに罪はないが、運も無かったんだ。ここで大人しくしていろ。」
「な!こ、ここはどこだ…!?何で拘束されてるんだ!!」
ガンッッ!!!
「うるせぇ!!大人しくしろっつったろぉ!殺されてぇのか!?」
「っ!?」
く、くそぉ…!あのクソ商人めぇ!!
ハメやがってぇ!!
「ちくしょう…!!」
「よう。新入り。」
!?誰だ?俺の他にもいたのか…!
俺に話しかけてきたのは、俺と同じエルフの男性だった。
短いショートカットの青い髪に、自分よりも一回り大きい体をしている。それにかなり鍛えているのか、かなりゴツい。
「俺と同じエルフ…、珍しいな。俺はギュメイ、牢屋仲間だ。よろしく頼む。」
エルフ…。とりあえず、挨拶は返しておこう。
「俺はニトだ……です。」
「そんな堅苦しくしなくていい。タメ口でいいぞ。…しかし、エルフの子供か。珍しいな」
とギュメイはまじまじと俺のことを見てくる。
良かった…。こういうのは話が通じない荒くれとかがいるものだと思っていたけど…
「ガキィ!!災難だったな!!!何があったか話してみろ!!!」
「ええ。私たちはこれから同じ釜の飯を食う友。遠慮せず言うのです。」
うわー…ちっさい荒くれみたいなやつと怪しいヒョロガリが出てきた。
なんか話すの躊躇っちゃうなー…
「あ、ああ。俺は…故郷を魔族に襲われてな…俺だけ生きてて、怪我を治すために街に行こうとしたら、はめられてここに来た…。」
あまり喋りたくはないんだけどな…この話は。
「…それは、辛いだろうな。気休めの言葉だが…その故郷の人たちが天国で贅沢三昧できるよう…俺も祈るよ。」
「…ああ。…っ!?そうだ!俺以外に幼馴染も生きてるんだ!はやくここから出ないと…!」
「まあ落ち着け!!!ガキ、ここはそう簡単に出られるところじゃない!!!なぜなら、ここは中央諸国でも有数の軍事力を誇る…「ガナン帝国」だからだ!!!」
ガナン帝国…?聞いたことない。
うーん…村にいた時にこの世界について勉強しておくべきだったか…。
「そうですねぇ。今は大魔族…「堕天のエルギオス」と戦争中で、ピリピリしていますからねぇ。」
「そうだな…出るのは不可能かもしれないな。」
ま、まじかよ…どうしたらいいんだ…
「そういやこいつらは自己紹介がまだだったな。じゃあ、改めて俺から。エルフのギュメイだ。捕まる前は1対1の「賭け決闘」で生計を立ててたんだが、騙されて大勢を相手することになってこのザマさ。」
「俺はゴレオン!!!ドワーフだ!!!友人からもらったわけわからん紙にサインしたらだな!!!こうなった!!!」
「私はゲルニック。人間です。魔族の呪いを研究していましたが、王族の一人を呪い殺した罪でここに収監されました。まさか、本当に死んじゃうとは…ククク。」
ああ、いまのでギュメイは強い、ゴレオンはバカ、ゲルニックはやばいやつだってことが分かった。
この先何されるかわからないし、このメンバーじゃ不安になってきた…。
「あと、今日は早めに寝た方が良い。お前がここに入れられる前に、衛兵たちが喋っているのを聞いた。明日の朝から、捕まったやつらを集めて何かするらしい。」
「おう!!!わかった!!!」
「はぁ〜。めんどくさいですねぇ。」
俺も言われた通りに、眠ることにした。
今日は色々なことがありすぎた。
それにこの先のことも考えると寝れそうにないので、頭を空っぽにする。
藁の寝具はチクチクしてて、安眠は期待できなさそうだ。
ドラクエ9:ガナン帝国、ギュメイ将軍、ゴレオン将軍、ゲルニック将軍、堕天使エルギオス
主人公が前世でやっていたゲームは、技などはドラクエと一緒ですが、敵やストーリーはドラクエとは別のゲームです。
読んでくれてありがとう