魔法少女リリカルなのはInnocent ~デュエルの王女様~ 作:ラモン
ブレイブデュエルというゲームは、基本的には1対1で遊ぶ事もできるゲームだ。
では何故、ブレイブデュエルの大会では原則として5人ひと組のチーム戦が主流となっているのか。その理由のひとつにはショッププレイヤーの存在がある。
ショッププレイヤーは、全国各地にあるブレイブデュエルの筺体を持つゲームショップの看板プレイヤーであり、言ってしまえばプロのブレイブデュエルプレイヤーだ。このショッププレイヤーは基本的にひとつのチームを結成している事が多く、それぞれのショップごとにチーム単位で所属している。
ゲームショップではブレイブデュエルをより盛り上げるため、定期的にショップ同士で対戦会を行う。
そうして高いレベルのデュエルを観客に見せる事で、プレイヤー人口を増やそうというのが狙いだ。そして、そうなるとどうしても見た目が派手になりやすいチーム戦の方がやる機会が多くなりやすい。
個人戦を行う場合もあるが、時間の関係もあり全体的に見るとチーム戦の方が多いのだ。
となれば、やはりショップ側としても個人戦で強いプレイヤーを1人1人雇い入れて一からチームを作るよりも、強いチーム全員と契約した方が手っ取り早いという事になる。
大会スポンサーであるショップ側のそういった思惑もあり、現在ほとんどの大会はチーム戦で行われている。
「……という訳だ」
「なるほど~」
「勉強になりますっ!」
以上の事を、部室にあるホワイトボードにイラスト付きで書き連ねて説明をしているチンク。その説明を聞いて、なるほどなーとしきりに頷いているのは、つい先日隼人のデュエルを見てブレイブデュエル部への入部を決意した――ちょうどショッププレイヤーのデュエルを見てブレイブデュエルを始める新規プレイヤーのように――エリオとキャロの2人。
どうやらチンクはブレイブデュエル自体が初めての2人に対して、ブレイブデュエルに対する様々な知識を教えているらしい。
「最初のうちはそれぞれのポジションで優秀なのを1人1人スカウトしてたらしいんだけどな。
そういった急造チームは、どれも長続きしなかったらしいんだよ。最初の数回はいいんだけど、後になればなるほど、どんどんチームの連携が悪くなっちまってな」
「そうなんですか?」
付け加えるように口を開いた隼人の方へと視線を向け、エリオが尋ねる。
「ま、実際チーム戦をやる時にゃプレイヤー同士の相性ってのも大事だからなぁ。
個人戦がうまいってのと、チーム戦がうまいってのはまた別物なのさ。んで、そういったのが頻発してからは、ショップ側もチーム戦がうまい奴らをまとめてスカウトするようになった、って訳」
「そんな事情があったんですか……」
「ブレイブデュエルも開発されてから10年経つからな、そら色々とあるもんよ」
歴史の真実でも知ってしまったかのような神妙な顔で頷くエリオがおかしいのか、隼人が肩を竦めて笑う。
実際のところ、初心者であるエリオやキャロからしたら、そういった話は目からうろこといったところなのだろう。キャロも同じらしく、チンクや隼人が話すブレイブデュエルの話題の全てに目を輝かせていた。
「だからエリオやキャロも、頑張ればショッププレイヤーとしてスカウトされる可能性だってある。
もちろん、大会とかで優勝したりとか上位入賞とか、そういう実績があればって話だけどな」
「ぼ、僕たちが……」
「スカウト……」
隼人に言われてそうなった自分たちを想像しているのか、エリオとキャロは少しだけ頬を緩めて視線を遠くに向ける。
もちろんまだ初心者どころか入門者レベルの2人では想像しきれないが、昨日見た隼人のように自分たちが誰かを感動させられたら……と想像すると、2人とも早くそうなりたいと思ってしまう。
「そのためにも、まずはきちんと知識を蓄えることだ。ホラ、2人とも戻ってこい。
まだまだ覚えてもらわなければいけない事はたくさんあるぞ」
「はい!」
「わかりました!」
そんな2人の妄想を断ち切るように手を鳴らし、チンクは再びホワイトボードの前でペンを持つ。
ちなみに、隼人は今日から早速2人にシミュレーターでブレイブデュエルをやらせようとしたのだが、チンクが「最初は知識を蓄えてからだ」と頑として聞かなかったのだ。
どうやらチンクはゲームをする時に、まずは説明書を熟読するタイプだったらしい。
「それでは次にそれぞれのポジションとその役割を――」
「……見た目が一緒だから何かすげー違和感」
ホワイトボードに背伸びをして一生懸命に説明を書きこむチンクを見ながら、隼人はそんな感想を漏らした。身長的にはチンクはエリオ・キャロとそう変わらず、加えて童顔なせいでなんだか小さい子が一生懸命にやっているようで非常に愛らしい。
だが、チンクは2人とは違いれっきとした高校3年生。
そんな失礼な感想を漏らした隼人は、チンクから無言で投げ飛ばされたペンを額に直撃させられるのであった。
●魔法少女リリカルなのはInnocent ~デュエルの王女様~
第6話 『風雲急!? 海聖高校ブレイブデュエル部!』
さて、ここで場面をブレイブデュエル経験者組――ティアナ達へと移そう。
彼女達を相手に基礎の基礎から教えるというのはさすがに意味がないので、ティアナ達5人はシミュレーターでエリオ達とは別に指導を受ける事になっていた。
ただ指導ができそうなチンクと隼人は冒頭の通りエリオとキャロに基礎知識を教えている。
では、彼女らの指導は誰がやっているのかと言えば……。
「ウーノ姉がブレイブデュエル経験者なんて、初めて知ったッスよ」
「あらそう? 学生の頃は毎日ショップに通ってたと思ったけれど?」
「あー……言われてみれば何となくそんな気もするけど。さすがに覚えてないなぁ」
海聖高校ブレイブデュエル部顧問、ウーノ=スカリエッティである。
保険医である彼女はスーツの上に白衣を纏った格好のまま、シミュレーターが並ぶ地下室で椅子に腰かけ、自分のノーヴェとウェンディの言葉に苦笑を漏らしていた。
ちなみに彼女がブレイブデュエルをやっていたのは今から6年ほど前、まだ学生だった頃の話だ。
開発から10年しか経っていないブレイブデュエルのプレイヤーとしては、古参の部類と言えるだろう。
「プレイヤーとしてはそこまでじゃなかったけれど、指導する側としてはそれなりのつもりよ。
だから、大会に向けて貴方達をとことん鍛えるつもりだから、覚悟しておきなさい?」
「うへぇ……ウーノ姉のその発言に良い思い出が無いッスよぉ~」
「確かに……」
ウインクをしながら楽しげに微笑むウーノに、彼女の姉妹であるウェンディとノーヴェが露骨な嫌そうな顔で返す。ちなみに彼女たちは、この海聖高校を受験する際にウーノから勉強で特訓を受けてなんとか合格したという過去がある。
その時のウーノの様子を思い浮かべて、大分辟易した表情だ。
「でも、ちょっと意外でした」
「私がブレイブデュエルをやっていた事が?」
と、そこで今まで地下室に用意されていたテーブルで、自分の持っているスキルカードなどのデッキをチェックしていたティアナが顔を上げた。
「あ、いえ。それも意外といえば意外でしたけど、指導とかは高峰部長がやるものだとばっかり」
「あ~! それあたしも思った~」
ウーノの疑問に対するティアナの返答に、その隣にいたスバルもまた声を上げる。
先日隼人の実力を文字通り肌で感じた彼女たちは、当然ブレイブデュエルに関する指導は彼がやると思っていた。あれだけの実力者に鍛えて貰えるのだと期待していたティアナ達だったので、現状は少々肩透かしだったというところだろうか。
「あぁ……それは無理なのよ」
けれど、ウーノはその言葉に対して困ったような、笑いを堪えるような微妙な顔をする。
「無理?」
「何でですか? 部長はあんなに強いんだし……」
「高峰君は生粋のゲーマーだから、無理なの」
「……? すみません。ちょっと言ってる意味が……」
ゲーマーならより向いているのではないかとティアナは疑問を投げる。しかし目の前のウーノはただ首を振り「そういうレベルじゃないのよ」と、どこか疲れた顔でため息を吐いた。
「どう説明したものかしら……ランスターさんは1フレームって単語の意味はわかる?」
「1フレームですか? えっと、たしかゲームで言うところの60分の1秒でしたっけ」
「そうね。高峰君に指導をしてもらう事になると、基本的にこのフレーム単位での話題しか出てこないわ」
「………………は?」
重々しいため息と共に告げられた言葉に、ティアナは思わず間抜けな顔と声で返してしまった。
ブレイブデュエルは確かに体感型ゲームで、その進行は全てモーションキャプチャーで動く3Dモデルによるものだ。だから厳密に言えば確かにフレーム単位でのモーション発生後の隙などは存在している。
だが、世界でも有数の技術者によって作られたこのゲームにおいて、そのフレーム単位での隙など探す方が難しいくらいのものしかない。はっきり言うなら、存在していないと思っていいようなものなのだ。
その存在していないようなモノを基準に指導されると言われれば、確かにこんな反応にもなるだろう。
「いや、それはさすがに冗談だろウーノ姉? そんなの普通見える訳ねーじゃん」
「普通はね。でも、残念ながら高峰君は普通じゃないのよ」
「おぉう。なんという説得力ッスか」
アイツ(隼人)は普通じゃないというその言葉は、そこにいるティアナ達全員を黙らせるだけの恐るべき説得力を持っていた。実力もそうだが、この数日で見ていた限り確かに奴は普通じゃない。そう思っていただけに余計にだ。
「例えば、攻撃をプロテクトで防御した際には防御側に2フレーム行動不能時間がある。
スキルカードを使う宣言時から、実際に効果が発動されるまでは最小で13、最大で25フレームの遅れがある」
つらつらとウーノの口から語られる隼人が以前誰かに指導した時に語られただろう内容は、そのどれもがティアナ達の理解が及ばないものばかりであった。
というか、普通そんなの考えてデュエルしねぇよと言いたくなるような内容だ。
中にはフレームの話どころか、システムのバグにまで追求しているものまであるのだから、凄いと感心すべきかアホかコイツと呆れるべきか。
「と、まぁこんなところなんだけど……こんな話ばっかりされて、完全に理解できる自信はあるかしら?」
「ないです」
「無理です」
「無理だろ」
「無理ッスよ」
「さすがに、ちょっと……」
問いに対する答えは、全員揃って横に振られた首。フレーム単位の微細な変化など、普通なら見てから反応することなどほぼ不可能だ。しかもそれがお互いに激しく動き回っている状態ならなおさら。
それを基準に教えられるなど、たまったものではない。
「高峰君いわく『1フレに脊髄反射できてからが本番』らしいけど、常識ではありえないから気にしちゃだめよ?」
「……部長ってやっぱ変人ッスね」
「いやもう変人ってか奇人の域だろコレ。ちょっと気持ちわりぃぞ」
案の定というかなんというか、人間離れしすぎた隼人の能力にドン引きの女子5人。
普通はこんなフレーム単位の話など、格闘ゲームでもしていない限りはする必要もないものだ。しかもそれが体感ゲームでの話ともなれば、呆れるというよりはドン引きされて然るべきと言えるかもしれない。
「まぁ、高峰君が怖いのはこれだけ理論でアレコレ語っておきながら、実際にデュエルをしてみるとその場のフィーリングで色々と応用ができちゃうっていう、思考の柔軟性なんだけどね」
ドン引きしているティアナ達から視線を逸らし、何かを思い出すように視線を泳がせながらウーノはもう一度ため息を吐いた。それが頼もしい部分でもあるのだが、なんでその柔軟性を後輩の指導に活かせないのかというのは、ウーノの悩みの種でもあった。
あれで指導力もあったら、それこそ押しも押されぬ超一流のプレイヤーだろうに……と思わない日はない。
「さて、人生のパラメータをゲームに全振りしている子の話ばかりしている訳にもいかないわね。
折角大会に出られる人数になったんですもの、まずは大会に向けて練習していかないと」
そこまで考えて隼人の事を考えるのはやめようと切り替え、軽く手を打って話題を戻すウーノ。
隼人を基準に指導をしていたら、それこそ本人以外は全員落ちこぼれの烙印を押されてしまうだろう。それくらい隼人というプレイヤーの性能は規格外なのだ。
個人で、という制約を付けてしまえば間違いなく全国でトップレベルに入る実力者なのだから。
「モンディアル君とルシエさんは初心者だから、暫くはチンクにみっちりと基礎を教えてもらうつもりよ。
大会までには基礎はできると思うけど、さすがにチームで対戦できる程にはならないと思うの。だから大会では、貴方達5人と高峰君、それからチンクの7人で交代しながらチームを組んで貰う事になるわ」
「そうなりますよね、やっぱり」
「いや、でも部長ってチーム組む意味あるんスか? 1人でいいんじゃ……」
「アホ。1人で出場できねーから、部員集めたんだろうが」
「あ、それもそうッスね」
ノーヴェにツッコまれて、そりゃそうだと頷くウェンディ。そうでないなら、とっくに隼人がチンクと2人で出場して活躍し、海聖高校ブレイブデュエル部もここまで落ち目にはなっていない筈だ。
……隼人にやる気があればの話ではあるが。
「さ、無駄話はこれくらいにしましょう。大会に出る以上、どうせなら全国大会優勝を狙うわよ」
「うえぇ!? い、いきなり全国で優勝ですか!?」
「それはさすがに目標が高すぎるんじゃ……」
「何言ってるの。志が高いほど、練習にだって身が入るというものでしょう?」
高校生大会に初出場するというのに、いきなり全国優勝という高い目標を掲げるウーノに、さすがにそれはと驚いた声を上げるティアナ達。しかし彼女は何を意外なと言いたげに目を開き、右手の人差し指を立てて得意げに胸を張った。
「さあさあ、それじゃあさっそく練習よ! ホラ、全員シミュレーターに入って入って」
「わっ、ちょっ、ウーノ姉! 押さないでくれよ!」
そして言うが早いか、ウーノはティアナ達の背中を押してシミュレーターへと向かわせる。
ティアナ達は彼女に押されるまま、シミュレーターへと入っていく。全員がシミュレーターへ入ったのを確認したウーノはシミュレーターを起動し、目を輝かせてこう告げるのであった。
「それじゃあ始めるわよ! まずは高峰君のコピー10体とのチームバトルから!」
『はぁ!?』
『ウーノ先生!? それ特訓ていうか練習にすらならな……』
「女は度胸! 何でも試してみるものよ! スタート!!」
『きゃあああああああっっ!?』
ウーノが模擬戦開始のボタンを押した数秒後、シミュレーターからはティアナ達の悲痛な叫びと、コピー隼人の楽しげな笑いが響き渡った。
◇◇◇◇◇
「ふむ。基礎となる部分はこれで全部だな」
ティアナ達がウーノに特訓なのかイジメなのか、よくわからない仕打ちを受けているのと同時刻。
手に持っていたブレイブデュエルの初心者用マニュアルを閉じながら、チンクは感心したように言葉を漏らした。
「驚くほど飲み込みが早いな2人とも。早くても明日か明後日くらいまではかかる予定だったのに、まさか1日で基礎知識をほとんど覚えてしまうとは」
「えへへ……実は、自分たちで少しだけ勉強しておいたんです」
「それに、チンク先輩の教え方が上手でしたし!」
チンクに誉められて嬉しいのか、頬を染めて照れくさそうに笑うエリオとキャロ。実は2人とも、隼人の試合を見て入部を決めた直後から、自分なりに勉強を始めていた。
元々ブレイブデュエルは、子供でも楽しく遊べるようにとルールはそこまで難しく作られてはいない。
エリオもキャロも飛び級で高校に通うくらいに頭の良い子なので、自分たちで調べた時点で基礎部分はほとんど理解していた。そのため、数日かかると思っていたチンクの予想よりもはるかに早く、ルールの解説などは終わってしまったのだ。
「これなら、明日からは実際にプレイしてもらった方が早そうだな」
「ホントですか!」
「やったぁ!」
「こらこら、実際にプレイしてからの方が難しいんだぞ?」
諸手を上げてはしゃぐ2人をなだめつつ、チンクも楽しそうに笑みを浮かべた。自分である程度勉強をしていたのも、やはり少しでも早くブレイブデュエルをやりたいという気持ちの表れだったのだろう。
チンクとしてもその気持ちは痛いほどに分かるので、微笑ましいものを見ているような気持ちらしい。
「……んー。何か面白い情報はないかなー、っと」
ちなみに部長である隼人は途中で説明会に飽きたようで、今は部室の奥にあるパソコンを使って何やらブレイブデュエル関連のサイトを見ているようだ。いくら説明が苦手……というか常人には理解できないものだとしても、それでいいのか部長。
「まずはショップに行ってプレイヤーカード登録をするところからか。
今日……は、さすがに時間が無理だな。明日の放課後、私と隼人と一緒にショップに行くとしよう」
ブレイブデュエルを行うためには、まずプレイヤーカードの登録をしなくてはいけない。
これはシミュレーターなどではできず、必ずどこかのショップに行って登録する必要がある。まあ最近ではブームのせいもあり、シミュレーターの置いていないショップでも登録だけならばできるようになっていたりする。
「登録自体はすぐに済むから、その後は初心者用ルームでも借りて軽く練習しておくとするか。
大会に出場できるように……は、さすがに難しい注文だろうからな。まずはある程度遊べるように――」
「……そうもいかないみたいだぜ? チンク」
今後の予定を説明しているチンクの声を遮って、今までパソコンに向かっていた隼人が声をかけた。
「ん? どういう事だ? さすがに最初から模擬戦をやらせる訳にも」
「ちょっとこっち来て、これ見てみ」
「うん?」
促されるままに隼人のいる机へと近づいて、彼の肩越しにパソコンの画面を覗き込んで隼人が指さす場所を見る。
開かれていたページはブレイブデュエルの様々な情報が載せられている、ブレイブデュエル公式サイト。そこには彼らが参加する事になる高校生大会や、その他さまざまな大会の情報が載せられていた。
隼人が示していたのは、当然ながら自分たちが出る事になる高校生大会……その大会に関する最新情報だった。
「……!」
しばしそこに書かれた文章を読んでいたチンクの視線が、とある一文のところで止まる。
そこに書かれていた情報の見出しに書かれていたのは、高校生大会のチーム戦ルール変更のお知らせという文章。そしてその内容を読み進めていったチンクは、最初こそ普通であったものの徐々に眉を寄せて、困っているような表情になっていく。
「これは……また、突然だな」
「まぁ、どこも新入部員が入ったばっかだろうし、時期としちゃ悪くねーけどなぁ」
「確かにそうだが……うぅむ」
「やっぱ大人しかいねぇトコに運営任せると、ロクな事にならねーって話だぁな」
腕を組んで唸るチンクと、苦笑を浮かべて肩を竦める隼人。
先輩2人がそうしているのを見て、興味を引かれたエリオとキャロもパソコンの方へとやってくる。そして2人は椅子に座っている隼人の腕の下から体を割り込ませ、隼人達が見ている画面を見た。
「えっと……高校生大会、チーム戦のレギュレーション変更のお知らせ?」
「今までは5人でのチーム戦のみを行ってきましたが、次回大会からは5対5でのチーム戦、2対2でのタッグ戦、そして1対1での個人戦の3戦勝負となります……」
恐らくチンクの顔色を変えた原因だろう文章を読み上げ、エリオとキャロが顔を見合わせる。
何でもない事のように思えるが、これはかなり大きな変更と言えるのだ。チーム戦だけならば、最低限5人いれば出場できて対戦もできる。しかし変更されたレギュレーションならば、必要となる最低人数は8人。
現状9人であるブレイブデュエル部なのだから、ドの付く初心者であるエリオとキャロのどちらかも、大会に出る以上は確実に戦力として数えなければいけなくなった訳だ。
「これって……」
「つまり……」
「お前ら2人も、明日から猛特訓って事になります。ウーノ先生の特訓は辛いぞ、やったね!」
「えええええ~~~~っ!?」
ウインクしながらサムズアップする隼人をよそに、エリオとキャロは顔を見合わせて驚きやら喜びやら嘆きやら、複雑な感情を声に乗せて叫ぶのであった。
そんなに長くやるつもりはないので、サクサク展開していきますよ~。
どうも、ラモンです。
チーム戦がどうこう言っといて、早速のルール変更という体たらく。
プロットも書かずにその場の勢いで書くとこういう事になるよ、という悪い見本ですね(汗)
まぁ、メタな話をすると試合形式をこういう風にした方が、話を盛り上げやすいってのがあります。
あとは折角ならある程度みんなを動かしたいっていう私の願望ですね。
ああ、何かあとで後悔しそう……。
さて、今後は次回から2、3話かけて練習風景を書いて、その後は個人での部内ランキング戦、そして地区大会みたいな感じの流れになります。
もうちょい筆の進みを早くしたいところ。
それではまた、次の話で。