イオリの体温でお鍋炊きたい   作:糖分ピーチ

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1番最初なのでみんなにっこりほっこり日常系です。
イオリかわいい


イオリはコンロ

 

 私は今、自分の素晴らしい発想力に感激している。

 

 

─────そうだ、イオリで鍋炊こう

 

 

 

 

 

 

 

 思い立ったからにはもう止められない。よし、ゲヘナの風紀委員に連絡しよう。

 

プルルルルッ……

 

 『はい、ゲヘナ風紀委員会です。お名前とご要件をお願いします』

 

 「シャーレの──です。今日イオリはいるかな?」

 

 『先生!?……えと、イオリ先輩なら今日は非番で風紀委員には顔を出していませんが、伝言など承りましょうか?』

 

 「ん、いやいいよ。ありがとう。自分でイオリには会いに行くとする」

 

 『はい、かしこまりました。では通話を切らせていただきます』

 

 「うん、わかった」

 

 ……これはいい。これならイオリと2人っきりでイオリで鍋を作ることが出来る。そうと決まれば出発しよう。己の信念のままに。

 

 

※※※※※

 

 

 ピンポーン

 

 イオリの家へとやって来た。場所は匂いが教えてくれた。

 

 「…………」

 

 何も反応がない。留守だろうか?そんなことを考えていると、ドタバタと慌てるような音が部屋の中から聞こえてきて、すぐにドアは開いた。

 

 「……なに、先生?」

 

 そーっと、ドアの隙間から顔を出すイオリ。その身に纏う制服は少し乱れ、裾が少し出ている。急いで身なりを整えたのだろう。

 

 「………まずは中に、いいかな?」

 

 「ハァ……まあいいけど」

 

 玄関で靴を脱ぎ、イオリの後について行く。そこで、もちろんイオリ足を確認した。するとなんとイオリの靴下が左右違うじゃないか。片方は真っ白のソックスだが、もうひとつの方は青いストライプの柄が入っている。ふふ。

 

 「イオリはさっきまで何してたの?」

 

 「ん、まぁベッドでアコちゃんから借りた漫画読んでただけだけど」

 

 「ふ〜ん………」

 

 後でアコにどの漫画か聞いとこ。

 

 

 

 「それで?どうしたんだよ。わざわざ家にまで来て、ん?ていうかなんで家をしってるんだ!どうせまた犯罪でも犯したんじゃないのか!?」

 

 「いや?なんかこっちからイオリの気配がするから」

 

 「やっぱりまたなんかやったんだろ!私に誤魔化しは通用しないからな!」

 

 

 

 「……それはさておきイオリ。鍋は好き?」

 

 「はぁ?……まぁ嫌いではないけど。たまに食べるし」

 

 「じゃあ今からイオリで鍋を炊くね」

 

 「は?」

 

 「じゃじゃーん!見て!ブラックマーケットで買った人の少ない熱で鍋が炊ける優れもの!」

 

 実はずっと手に持っていた鍋をイオリの前に掲げ、その有用性を説明する。イオリは冷めた目でこちらを見ている。おかしいな。なぜ。

 

 「またそんな所に出入りしたのか……危ないだろ」

 

 「それは、ごめん。だけどねイオリ、大人には時間が有限なんだ。ましてや外から来た私なんてそれ以上に毎日が危機だらけ。仕方な」

 

 「仕方ないわけがあるか!それが私のアルバムも取引した理由だと?ヘンタイ!」

 

 「そこをなんとか!おねがい!」

 

 パチッ

 

 イオリの手を両手で握り深く頭を下げる。

 

 「えっ!?いやっ……そんな頭下げられても、ていうかそもそも何を頼まれてるのかすらよくわからな」

 

 「おねがい!」

 

 「ん……いや…………うぅ……」

 

 

 承諾を得た。

 

 

※※※※※

 

 

 

 「で、私は何をすればいいの?」

 

 「膝にこれ置いて!!」

 

 「私で鍋ってのは聞き間違いじゃなかったか……」

 

 手をおでこに当ててやれやれと首を振るイオリ。頭痛だろうか?今度バファリンを買ってあげよう。

 

 「置いたぞ、ほら、早くしてくれ」

 

 「うん!ありがとう!具材はここにあるよ!!」

 

 「準備いいな………」

 

 水を入れ、袋から鶏ガラの出汁を鍋へと入れて緑の野菜たちを入れていく。鍋は鶏ガラがいい。煮立つまで時間はかかるが、それに見合う良さがある。

 

 「………」

 

 「………」

 

 「…………これ、いつまでかかるんだ?」

 

 「3時間だよ?」

 

 「おいもう足舐めさせてやらないぞ」

 

 「………まっ3時間なんてのは冗談で既に煮立って保管しておいたのがあるんだけどね」

 

 「なんでそれを先に出さない!」

 

 「イオリと過ごす時間はなるべく多い方がいいからね」

 

 「ふんっ、どうだか」

 

 気を取り直して水を入れ替え、用意しておいた出汁と具材を入れていく。すると、5分もしないうちにグツグツと音がなり始めた。

 

 馬肉と鹿肉やしらたき、ニラや人参などが散りばめられている。どれも火がしっかり通っている。

 

 「凄いな………どういう技術でこんな早く鍋が完成するんだ?」

 

 「キヴォトスの躍進はスゴイってことだね!じゃあイオリ!あ〜ん!」

 

 「えっ?な、なに?」

 

 「ほら、食べないの?」

 

 膝に置かれた鍋を持っていて両手は塞がっており、自分で箸で食べることは出来ない。意味を理解したのかイオリはぐるっと部屋の周りを見て、意を決して顔を前に傾けた。

 

 パクッ

 

 「うん。美味い」

 

 少し恥ずかしそうに照れながら言うイオリに自然と気分が舞い上がってしまう。

 

 「やっぱりね!イオリで鍋を炊いて正解だった!」

 

 「私の上でもコンロの上でも変わらないし」

 

 「気持ちの問題だよね!いい意味で!」

 

 「先生テンション上がりすぎ………引くよ?」

 

 グツグツグツグツ……

 

 目を細めて見つめてくるイオリにニコニコと笑い返す。幸せだな。普段は風紀委員として激しい環境に身を置く少女が、年相応に自分の前では優しく微笑んでいる。この事実が、たまらなく嬉しかった。

 

 

 ゴポッグッグツッゴポポポ………

 

 

 「ん?なんか鍋の音が………」

 

 ドカァーーーーン!!!

 

 鍋が破裂した。

 

 「………おい、先生」

 

 鍋の汁がかかって白いワイシャツが薄い茶色に染まっているイオリ。先程よりも何故かにっこりいい笑顔。

 

 「どうしたの……?イオリ」

 

 膝にかかった鍋の汁が熱い、普通にかなり熱い。だけど、動いてはいけない気がした。

 

 「アコちゃんに借りた漫画、濡れちゃったんだけど」

 

 イオリの目線の先に目をやると、すぐ近くのテーブルの上に、カバーだけでなく、中身までびっしょりと濡れた漫画が、山積みになっていた。

 

 「後処理は、大人の役目だよ。イオリ」

 

 「当たり前だ」

 

 

※※※※※

 

 

 風紀委員会の執務室にて、先生とイオリは一緒になってアコに謝りに来ていた。

 

 「ごめんアコちゃん……もちろん新品は買っておいたけど……先生が。他にもして欲しいことがあったら言って?先生に」

 

 「まぁ、読み終わったら売ろうと思っていた程度の物でしたので別にいいですけど……川にでも落としたんですか?」

 

 「いや、鍋が爆発したんだ」

 

 「???」

 

 「イオリの膝で鍋を炊いたんだよね」

 

 「?????」

 




爆発オチなんてサイテー!!
イオリかわいいですよね。私もそう思います。
感想くれたら嬉しいです。
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