ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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あなたは【ふぉーす】の学校で、ホロメンの力を借りてグランド・魔法使いである鏡見キラを正気に戻し、魔集石を回収する事に成功した。
鏡見キラからレベル上限突破と絆を受け取り、あなたは次のグランドジョブの元に向かうのであった。


第10話 恐怖の森の打撃王

「それでこれから行くところ決めてるの?」

「えっと…」

学校でのイベントは終わり、俺は【ふぉーす】の第3の町に戻っていた。

なぜかクロヱちゃんと一緒に。

「なんでついてくるんですか?

まさか、俺の命を」

俺はクロヱちゃんと距離をとる。

「狙ってるんだったらもっと早くやってる」

「ですよね。

じゃ、なんで?」

「別にいいでしょ、沙花叉の勝手」

「は、はぁ」

クロヱちゃんにそう言われたら何も言えない。

ふと、町の中を歩いていると、オープンしたてのカフェが目についた。

「じゃ、これからの事話しますので、カフェでもどうですか?」

俺はさっき見つけたカフェを指差す。

クロヱちゃんはそのカフェを見てすぐに「遠慮しとく」と答える。

「そ、そうですか…」

落ち込む俺。

「べ、別にあのカフェじゃなくていいでしょ。

もう少し行ったら定食屋があるし、そこにしたら」

クロヱちゃんはそう言いながら、先に歩いて行く。

「ま、まってください」

俺はクロヱちゃんを追いかけた。

(気を利かせてくれたのかな?)

 

「へい、らっしゃい」

定食屋さんに入ると威勢の良い声が聞こえた。

「カウンターにしますか?」

クロヱちゃんが頷く。

俺はカウンターの端に向かう。

ちょうど一番端には先客がいた。

「…」

「…」

先客と目が合う。

「何してるんですか?」

「別にご飯食べてるだけだけど」

そう言ってシオンちゃんは、煮魚をパクッと口に入れた。

「クロヱちゃん、席譲る」

「え!

し、失礼します」

明らかにさっきまでとの態度が違うクロヱちゃんは、隠せない笑みを浮かべてシオンちゃんの隣に座った。

その横に俺は座る。

(なんか気まずいんだよなぁ。

恋はダメとか言われたし…

俺はシオンちゃんを師匠として好きなだけであって…)

「よく頑張ってたじゃん?」

「え?」

シオンちゃんは煮魚をつつきながら言う。

「あ、ありがとうございます」

俺はシオンちゃんの方を向いて言った。

「ま、シオンに弟子入りしてるんだから当然だけどね」

そう言って、シオンちゃんはこっちを見て笑った。

その瞬間、俺は1人勝手に気まずいと思っていた事に後悔した。

シオンちゃんは、俺の雰囲気を察してくれたんだ。

ちょうど、店主が水を出してくれる。

俺はそのコップを持つ。

「はい、もちろんです」

そう言ってシオンちゃんの方にコップを出す。

それを見て、シオンちゃんも笑顔でコップを持ってカチンと俺のコップに当ててくれた。

(よかった。

シオンちゃんと気まずくならなくて)

俺はそう思いながら水を飲む。

「沙花叉もいるんですけどね…」

横からすごく冷たい声が聞こえたが、今は聞こえないフリをした。

 

注文を一通りして、俺はこれからの事をクロヱちゃんとシオンちゃんに話した。

「え?

ここから【近未来都市】に行くの?」

「もしかして、裏ルート?」

シオンちゃんとクロヱちゃんに聞かれる。

「は、はい。

そのルートです」

「はぁ~

さすがラッキーボーイ」

シオンちゃんは少し呆れたように言う。

「そのルートは普通そんな簡単にはいけないやつですよ」

沙花叉も注文した刺身を食べながら呆れたように言う。

「ま、確かに」

俺が使おうと思っている裏ルートは、前に試した飛び降りる短縮ルート。

それには絶対必要なアイテムがある。

「で、それもってんの?」

シオンちゃんに聞かれて俺は首をふった。

「いえ、さっきもらえばよかったんですが、言いそびれちゃって」

「と言うことは、今からもらいに行くって事?」

「そうなりますね」

クロヱちゃんに言われて俺は頼んだしょうが焼きを食べる。

「この時間だと、どこにいるんだろ」

シオンちゃんも煮魚をパクッと食べた。

「探してみましょうか?」

クロヱちゃんがシオンちゃんに聞く。

(俺にじゃないんだ)

「探せるの?」

「もちろん、シオン先輩の為なら」

(えっと俺が用事あるんですけど…)

「じゃ、やってみて」

「はい」

(…)

クロヱちゃんが目を閉じる。

キーンと高い音が聞こえたような気がした。

「いた。

今はフィアーの森にいます」

目を開けクロヱちゃんは刺身を食べる。

「あ、あそこか」

シオンちゃんはクスッと笑った。

「え?

何ですか、フェアーの森って」

(初めて聞く場所だ)

「基本は何もない場所だから行くプレイヤーはいないんだけどね。

ま、そのお陰でかなたんはよく行ってる。

肉を叩きに」

シオンちゃんはそう言って笑った。

 

 

それから、俺はシオンちゃんと定食屋さんで別れた。

なぜかクロヱちゃんはガイド兼お供としてついてきてくれている。

「あそこ」

いくつか転移盤を乗って移動した浮島に、その森はあった。

(しかし、転移盤を使ったから近く感じるけど、かなり遠いのによく分かったなぁ、クロヱちゃん)

浮島のほぼ全体に広がっている森を見ながら、クロヱちゃんの凄さを実感する。

「じゃ、案内するから迷わないようについてきて」

クロヱちゃんは森の中に入っていく。

俺も置いていかれないようについていく。

なぜか肩の上のセレスはウキウキだった。

 

森は薄暗く、時折変な鳴き声が聞こえる。

「あ、案外雰囲気ありますね」

俺は先に行くクロヱちゃんに声をかけた。

「べ、別にそんな事ないと思うけど…」

ちょっと声が裏返ってるような。

ドン、ドン

少し遠くの方から鈍い音が聞こえる。

「な、なんの音ですか?」

「え、な、何?何も聞こえないけど…」

そりゃ、そのマスク耳までおおってるもんなぁ。

「あれは自然の音ではありません。

何かを叩いている音ですね」

肩のセレスは冷静に教えてくれる。

「それじゃ、そちらに行けば?」

「はい、目的の人物に会えます」

しかし、耳をすませば、ドン、ドンという音は森じゅうに木霊している。

「クロヱちゃん」

さっきからつったたままのクロヱちゃん。

「クロヱちゃん?」

俺はクロヱちゃんの肩を叩く。

「ひゃぁ~」

変な叫び声の後、クロヱちゃんの姿が消え…

「あのう、背後にいきなり回って首筋にナイフ当てるのやめてもらっていいっすか?」

冷たい金属の感触を首で感じながら、俺は背後のクロヱちゃんに言った。

「い、いきなり、触ったから」

「いや、呼んでも返事なかったので」

「…探してた」

「え?」

「かなた先輩探してた!」

「あ、はい。

すいません」

少し怒ったように言われて俺は謝る。

「分かったならいい。

…決して怖がってたわけじゃないから」

「はい?」

「なんでもない、行くよ」

クロヱちゃんが少し急ぎ足で進む。

「あ、待ってください」

俺はその後を急いで追った。

 

さっきの音が段々と大きくなってくる。

そして、音が消えた。

「止まって」

クロヱちゃんに言われて俺は止まる。

森が静まり返っていた。

「な、なんなんですか?」

俺は小声でクロヱちゃんに聞いた瞬間、背後で圧が膨れ上がる。

「な!」

とっさに鬼切丸を取り出して振り返る。

するとそこには…

「なんだ、キミと沙花叉かぁ」

俺の目の前で拳を止めたかなたちゃんが微笑んでいた。

 

「リスポーンするかと思いました」

俺はかなたちゃんに入れてもらったお茶を飲み一息ついて言う。

「はは、ごめんごめん。

ここでの事を見られるの不味いから、リスポーンさせようと思って」

笑いながら謝るかなたちゃん。

クロヱちゃんなみに物騒。

「それで、なぜここに?」

「はい、また、【天使の護り羽】を貰おうと思って」

俺はそうかなたちゃんに伝えた。

「え?

もしかして、また飛び降りるの?」

「はい、少し急ぎたくて」

「はぁ、一応、あれってほぼ裏技みたいなものだよ」

かなたちゃんは少し呆れたように言う。

「ま、事情があるのは知ってるから別にいいけど…」

かなたちゃんが何かを考える仕草をする。

「じゃ、ただでって言うのも何だから、1つ頼み事聞いてくれる?」

「は、はい」

「実はこの森の奥に湖があって、そこにいるモンスターを倒してその肉を持ってきて貰いたいんだ」

「肉?」

「そうそう、それがまた美味しくて。

それを持ってきてくれたら、アイテムあげる」

俺はちらっと黙ってお茶を飲むクロヱちゃんを見る。

「お留守番してるんで頑張ってください」

「は、はい」

手を振るクロヱちゃんにやっぱりなぁと思う俺。

「分かりました。

道はこのまままっすぐ行けば?」

「うん、それで大丈夫」

俺はお茶を飲み干すと、かなたちゃんとクロヱちゃんと別れて、森の奥へとモンスター狩りに進む事にした。

 

「ここってモンスターはポップしないんだな」

俺は肩のセレスに聞く。

「固定モンスターはいるようですが、ここも【ふぉーす】なので、基本はわかないようです」

セレスは辺りを見ながら言った。

「じゃ、問題はかなたちゃんの言うモンスターって事になるか」

それからしばらく進むといきなり目の前が開け、大きな湖が現れた。

「すっげぇ」

かなり広い湖だ。

周囲は森に囲まれているけど、上から見ればすぐに見つけられそうな場所だ。

「ここにいるんだよな?

どうやってそのモンスターを探すかだけど…」

俺がそう考えていると…

トコトコ、トコトコ

「ん?」

足元の前を何かが通る。

見るとそれは釣竿を持った白い学生帽を被ったペンギンだった。

サングラスごしだが、そのペンギンと目が合う。

ぺこっとお辞儀をされた。

俺もお辞儀する。

トコトコ、トコトコ

そして、そのままペンギンは何事もなかったように歩いていった。

「…なんだ?」

「なかなかいい丸みでしたね」

セレスがボソッと呟く。

「!!

まさか、あれが今回の獲物か?」

俺は歩いて行くペンギンを見る。

案外早い。

「ここで見失ったらもう見つけられないかもしれない、追うぞ」

「え、あ、そうじゃな…」

俺は肩で何か言おうとしているセレスの言葉を聞かずに、トコトコ歩いていく、今回の獲物のペンギンを追いかけた。




お待たせしました。
今回は、次へのステージに向かう為のあなたが歩いた道筋です。
クロヱちゃんが何故喫茶店に入らなかったのかは、あなたならもうご存じかと思いますが、この時のあなたはそれを知りませんでした。

そして、フェアーの森で新たな出会いの予感が…
それでは次回もお楽しみに。
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