ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
そこで肉叩きをしている天音かなたに出会う。
近道をするのに必要なアイテム【天使の護り羽】をもらう為には、天音かなたのお願いを聞く必要があった。
あなたはそのお願いを達成する為に森の奥の湖へ。
そこで不思議なペンギンに出会うのであった。
「こら、待て」
俺の言葉にさっきのペンギンが振り返る。
ビクッとしたそのペンギンは、さっきより早く歩き?だす。
「なんであの短い足であんなに早いんだ!」
「あ、ちなみにペンギンは足が短いわけではありません。
足の先だけ体から出している感じで、実際は長いんです」
「いや、そんな雑学今はいらないから」
肩のセレスに突っ込みながら俺は走った。
「それより、あのペンギンなんですけど…」
「待って、今は急いでる」
セレスの言葉を遮り俺は走る。
そして、ペンギンとのおいかけっこをしながら、俺はちょうど湖を半周した。
「はぁはぁ、なんだ?
誰かいる?」
俺より先に歩いて?いたペンギンが誰かと合流した。
何かを喋っているようだ。
そして、その誰かは立ち上がりこちらを見ている。
「や、やっと追い付いた」
はぁはぁと俺は息をしながら、ペンギンの横にいる人物を見る。
(女の子?)
腕組みして立つのは背の低い女の子。
クリーム色の髪に薄紫の瞳がこちらを睨んでいた。
「おみゃえ、なにものでぁ」
「はい?」
いきなり話しかけられて、俺は聞き返してしまった。
「あぁ、もう!」
女の子は何故か怒って首にあるチョーカーを触る。
「あ、あ、あぁ~
これで分かる?」
「え?
あ、はい」
(別にさっきのも分からないわけじゃないんだけど…)
「なんで、はじめだけこんな機能付けられてんだよ」
女の子はぶすっと頬をふくらます。
「それで、おまえ何者だ」
女の子はペンギンの前で腕組みして聞いてくる。
「あ、俺は…」
俺が名前を言おうとした時、ペンギンが女の子をポンポン叩く。
女の子はしゃがんでペンギンの方を向く。
「え?
何?
ふんふん、え?
そうなの?
なるほどね。
分かった」
一通り話を聞いて、また、こちらを向く。
「なるほど、それでさっきからムカムカするわけだ」
(なんだ?
この圧。
ホロメンに似てる)
「そっちの自己紹介はいらない。
けど、こっちだけ知ってるのは不公平だから、名乗らせてもらう」
ぐっと腕組みして胸をはる女の子。
その後からペンギンが白い特効服?と白い学生帽を被せた。
「ぶんぶんぶーん!
【ホロライブワールド】に降り立った宇宙番長!
【新世代first】の1人、轟はじめ!押忍!」
掛け声と共に手を腰の方へと開く。
「な、【新世代first】!」
「はい、だから言おうと思ってたのですが…」
肩のセレスがやれやれと手を広げる。
「いや、それならもっと強く言おうよ」
「おい、聞いてるのか!」
セレスに抗議していると、はじめちゃんから声をかけられる。
「あ、ごめん。
まさか、はじめちゃんのペンギンだったなんて」
俺が謝ろうとすると…
「は?
はじめちゃんだぁ~
ばんちょうと呼べ、ばんちょうと」
何故か呼び方で怒られた。
「それにこのばんぺんは、はじめのペンギンじゃなくて、番長のなんたるかを教えてくれる相棒!」
「あ、そうなんだ。
それで、俺、この湖にちょっと用事があって来ただけだから、そろそろお暇を」
「あ、そうなんだ。
分かったってなるわけないだろ。
ここであったのが運の尽き。
絶対に逃がさない。
うぉ~!
【特殊領域・スペース番長ZONE】!!」
「ええ!!!」
はじめちゃんの言葉で世界が一変する。
そこはまさに月の表面だった。
上は宇宙空間。
そして、はじめちゃんの背後に大きく見えるのは地球?
「さぁ、この領域から出るには、はじめに勝つしかない」
はじめちゃんがこちらに向かって構える。
(く)
俺はアイテムボックスから鬼切丸を取り出そうとする。
しかし、errorの文字。
「は?」
「ふふふ、この世界では武器なんて野暮な物は使えない。
やるなら拳と拳だ!」
「えええ~!」
「ちなみに現在、ばんちょうさんのステータスはさっきの時より爆上がりしてます」
「あ、教えてくれてありがとう」
肩のセレスのお礼を言う。
(知りたくなかったよ。
そんな絶望的な状況!)
「行くぞ!」
ダン!
はじめちゃんが勢いよくこちらに突撃してくる。
「やぁ!」
凄まじい勢いの右ストレート。
それを俺は受け止め…れた?
「ブーストかけてます」
肩のセレスが言う。
(助かる)
俺はそのまま、はじめちゃんの手を掴むと砲丸投げのように回って、はじめちゃんを投げた。
「うわぁ~」
飛んでいくはじめちゃん。
「かなりブーストしてくれてる?」
俺は肩のセレスに聞きながら、はじめちゃんを追う。
セレスは目を閉じ頷く。
(かなり集中しているのか?
そこまでブーストに集中しないと立ち向かえない相手か)
はじめちゃんが地面に着地した瞬間、こちらに跳んで来た。
「なかなか。
なら、これならどうだ」
今度は両手の乱打。
(見えてる)
セレスのブーストのお陰か、はじめちゃんの突きがなんとか目で追えてる。
(ならこのスキルでいける)
俺は今、職業を戦士からモンクに変えていた。
モンクの常時発動型初期スキル【受け】
これは、認識できる攻撃を受け流す事が出きる技。
認識できなかったり、あまりにも力の差がある場合は無理だが、今の俺ならいける。
パン、パン
俺ははじめちゃんの攻撃を次から次へと受け流す。
パパパパパパン
凄まじい早さだが、いけてる。
「やるなぁ!
なら!」
ドン!
はじめちゃんが地面を思い切り踏み込んだ。
「ヤバイです!」
セレスの言葉に俺はバックステップする。
その瞬間、俺とはじめちゃんの間に木のつるが伸び瞬く間に壁を作った。
「そんなもの!
ばんちょうパーンチ!」
ドガァ!
セレスが作った壁を意図も容易く破壊して、巨大な気で出来た拳が俺を打撃し吹き飛ばす。
「がぁ!」
(壁のお陰で威力は落ちてるけど、これはヤバイダメージだ)
俺は1回転して地面にうつ伏せに倒れる。
「ふふん」
はじめちゃんがゆっくりとこちらに歩いてきている。
俺はなんとか立ち上がり、アイテムボックスからポーションを飲んだ。
(武器以外は使えるのか)
「どうした?
もう、終わりかぁ?」
にこにこ笑顔のはじめちゃん。
(どうする?
このままだとまじでリスポーンする)
俺はアイテムボックスの中を探る。
そして、それはあった。
【天使の鈴】
ここに来る前にかなたちゃんに渡された、ギブアップを知らせるアイテムだ。
これを鳴らせば、クエストは失敗するが、かなたちゃんが助けに来てくれる。
(背に腹はかえられん)
俺はアイテムボックスから鈴を取り出した。
「ん?」
リーン
鈴が透き通った音を出す。
「な~んだ。
ギブアップしちゃったんだってここどこ?」
突然目の前に現れるかなたちゃんが、周りを見て驚く。
「え?
かなた先輩?」
名前を呼ばれて振り向くかなたちゃん。
「え?
あれ?
もしかして、はじめちゃん?」
かなたちゃんは、はじめちゃんを見て驚いていた。
「なんで、はじめちゃんが。
それにこの場所どこ?」
かなたちゃんが俺に聞く。
「実は…」
俺は経緯を簡単に説明。
「なるほどね。
それでこんなところに」
かなたちゃんは笑顔ではじめちゃんを見て、指を鳴らす。
「え、えっと…」
はじめちゃんが初めて狼狽え、後に下がる。
「ありぇ、はじめはかなた先輩と戦うけはないです」
(なんか言葉が…)
「いやいや、そう言わずにせっかくだし」
かなたちゃんはゆっくりとはじめちゃんに近づいていく。
「いや、無理。
無理でゃから」
下がるはじめちゃんに進むかなたちゃん。
「なんではじめちゃんは後退りしてるんだ?」
2人を後から見ながらセレスに聞く。
セレスは目を閉じて何か探った後、目を開けた。
「なるほど、私もキミにブーストかけるのに集中してましたので、気づかなかったんですけど、原因はこの領域みたいですね」
「領域?」
「はい、この領域はばんちょうのステータスを爆上げするのではなく、ホロメン全てに影響があるようです。
今確認したら私のステータスもかなり上がっていました」
「ということは、かなたちゃんも?」
「はい。
ですので、この領域内でホロメンが戦う場合、元のスペックが大事になります」
「え?
もしかして、ばんちょうって弱い?」
「それはないです。
彼女もホロメンですから。
ただ、かなたちゃんは第四世代組。
まだ、【変身】を残していますから」
「あ、なるほど」
セレスからの一通りの説明を聞いた後、2人を見る。
はじめちゃんはその場に座り込み、その前に仁王立ちするかなたちゃん。
「じゃ、これ解除しよっか」
「はい」
こうして俺ははじめちゃんの領域から出れる事になった。
「なるほど。
キミは今回の獲物をばんぺんだと思って追いかけて、はじめちゃんはばんぺんを追っかける不審者と思って対峙したら、キラー対象だったので戦いを仕掛けたと」
かなたちゃんの前ではじめちゃんと並んで座った俺達は頷く。
「はぁ~
相変わらず、キミは僕たちの事知らないね」
「いや、少しは勉強したよ。
でも、リグロスは調べてなかった」
「ま、はじめちゃんはそのキラー対象を設定した相手が悪い」
「へぶし。
誰かこよの噂してるのかな?」
こよりはお店の整理をしながら辺りを見渡した。
「ま、何にせよ。
仲良くしよう」
そう言ってかなたちゃんは、俺達の手を取ると握手をさせた。
「よ、よろちく」
「は、はい」
『轟はじめの絆を手に入れた』
機械音声が頭の中で響いた。
「それで、クエスト失敗だけどどうする?」
にこにこ笑うかなたちゃん。
「え?
これってノーカンじゃ?」
「まさかぁ、そんな事ないよ」
そう言ってかなたちゃんは意地悪そうに笑った。
「それじゃ、行ってきます」
「うん、気をつけてね」
俺は今、前回【近未来都市】へとダイブした崖に来ていた。
よくサスペンスなんかにでてきそうな、切り立った崖だ。
あの後結局、かなたちゃんのクエストは失敗した。
【天使の護り羽】はもらえなかった。
ただ、その代わり…
俺は隣を見る。
そこにはぶつぶつ言っているはじめちゃんがいた。
クエストは失敗したが、はじめちゃんにもその原因があるとして、一緒に飛び降りてくれる事になった。
かなたちゃんが言うには、地面が見えたらはじめちゃんの領域を発動して、それを解けば地面に無事に着いているという事だった。
(だろうって言ってたけどね)
「じゃ、キミの事頼んだね」
かなたちゃんが、はじめちゃんに言う。
「わ、分かりました」
はじめちゃんは渋々返事する。
そうそう、クロヱちゃんはここに来る前に別れた。
何やら用事があるらしい。
「それじゃ、行くよ」
俺ははじめちゃんに言った。
「もう、こうなったら覚悟を決める」
はじめちゃんは拳をギュっと握った。
「ほ、本当に行くよ」
俺は崖の縁に立つ。
「い、いつでも行ける!」
隣ではじめちゃんが答える。
そっと下を覗く。
(あ、雲が見える)
「早くいけ!」
ドン
『あ!』
俺とはじめちゃんは、崖から落ちる。
上を見るとかなたちゃんが笑顔で手を振っていた。
「こ、このあくまぁ~!」
はじめちゃんの声が木霊する。
「僕は天使だぁ~!」
とかなたちゃんからの返答が返ってきた。
「ま、予想はしてたけどね」
落ちながら俺は押される事が予想通りだったので満足した。
そして、俺達はしばらく落ちる。
浮島の横を通りそろそろ、浮島の下側が見え始める。
「あ、そうだ。
ばんちょう!」
俺は大きな声ではじめちゃんを呼ぶ。
「なに!」
はじめちゃんも大きく聞き返した。
「そろそろ、救助ドローンが来るからきちんと避けてね!」
「え?
何!?」
「だから、救助ドローンが…」
はじめちゃんの背後から救助ドローンが迫る
そして、ドローンから手が伸びてきた。
俺は咄嗟に避ける。
しかし。
『あ!』
ガシッ
はじめちゃんはがっちりと掴まれた。
「あ」
はじめちゃんと目が合った瞬間。
俺だけ下へと落ちていく。
「ご、ごめ~ん!」
はじめちゃんの声が木霊する。
「やっば!」
俺はそう言いながら、地面へと勢いよく落ちていった。
お待たせしました。
予想通りの相手に出会ったと思います。
予想できたあなたはやはりこのゲームの主人公。
予想がつかなかったあなたは、もしかして、転生して記憶の混濁が…
というわけで、【新世代first】リグロスの1人、轟はじめちゃんの登場です。
ちなみに首の翻訳機はゲームの仕様ですので気にしないでください。
(私が彼女の口調を再現できないから…申し訳ない)
さて、【ふぉーす】から飛び降りたあなた。
はじめちゃんと分かれてしまい絶対絶命。
この後どうなる?
次回、沙花叉クロエのラブラブデート(仮)でお会いしましょう。
(本編の裏の話)