ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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魔集石を取り戻したあなたは、いつもいるセレスがいない事を指摘される。
慌ててロボ子さんに連絡をすると、セレスは【近未来都市】の開発区にいることが判明した。
あなたは急ぎ開発区へと向かうのであった。


第15話 セレス奪還~社長と元魔王~

「開発区の行き方だけど、マップにナビを入力しておいたから、その通りに進んで」

ロボ子さんに言われてマップを確認する。

ちょうど繁華街とは正反対の場所だ。

俺は急ぎその場所へと向かった。

「入り口には防衛ロボが配置されてるけど、こっちから運営に事情を話してるから、中には入れるから」

「ありがとうございます」

「それにしても、運営も驚いてたよ。

ボクが連絡するまで、その開発区にビルが立ち並んでいるなんて知らなかったんだって」

「マジですか?」

何やってんだ運営。

「うん、基本、何か拡張するようの放置されてた場所だから運営も分からなかったみたい。

ただ今回の事で、【新世代first】を勝手に実装したことが運営に完全にばれちゃった」

「ははは」

(それはこよりちゃんヤバいんじゃ)

「ま、Aちゃんがなんとか説得と必要性を上に掛け合ってくれたお陰で、今回は特別って事になったみたいだけどね」

(よかった)

 

 

「えっきゅひゅ!

だ、誰?

こよりの噂してるの」

キョロキョロ

「ま、いっか。

さてさて、今日は何を使おうかなぁ~」

魔王城の誰もいないお店の中で、盛大なくしゃみをするこより。

まさか、運営に悪事?がばれた事も知らずに、今日ものんびり、お店の品を物色していた。

 

 

「開発区の入り口見えてきました」

「わかった。

これからはこちらから通信出来ないから、無理ない程度に頑張って」

「はい」

「あと、間に合うか分からないけど、助っ人呼んでおいたから」

「何から何までありがとうございます」

そして、手を振るロボ子さんと通信を終える。

目の前には鉄格子の門。

その前には重装備なロボットが2体立っていた。

俺はそのロボットに近づく。

ロボットの目から何か赤い光が放たれて、俺の体をスキャンした。

「トウロクサレテイルプレイヤーデス。

ドウゾオトオリクダサイ」

ゆっくりと鉄格子の門が開いた。

「ありがとう」

俺は中へと入り、ナビに沿って開発区の中を走った。

 

 

そこは両端にビルが立ち並ぶ場所だった。

誰も歩いていない大通りの真ん中を俺は走る。

そして、奥の広場に着いた。

ビルに囲まれたその広場の真ん中に、腕を組んで仁王立ちした女性がいた。

その隣には小さな机の上に鳥籠がある。

「ようやく来たんだ」

女性が俺を見て言う。

鳥籠を見ると中には椅子に座って項垂れているセレスがいた。

「セレス!」

俺の声にパッと顔を上げたセレスが、鳥籠を中から掴んだ。

「大丈夫なのか?」

俺の問いに少しうつむいた後、セレスはボソッと言った。

「何か食べるものを…」

「!

セレスに何も食べものを渡してないのか!」

俺の怒りの声に、女性は不思議そうな顔をする。

「え?

きちんと渡してるけど?」

「ん?」

俺はセレスを見る。

「もらうにはもらっているのですが、とても嗜好品とは…」

その言葉に俺は察する。

(あ、そういうことね)

「さ、ここまで来たって事は、莉々華とやるって事だよね?」

すっと両手を下ろす。

「ああ、返してもらう」

俺はアイテムボックスから鬼切丸を取り出し構えた。

「へぇ~

いいじゃん、その武器。

勝ったら莉乃華がもらってあげる」

ニヤリと笑うりりか。

「そう簡単にはいかない」

先手必勝!

俺は紫雷を纏って突撃する。

「やぁ!」

必殺の一撃。

「ざんね~ん」

しかし、紙一重で避けられる。

(最高速の攻撃をいとも容易く)

俺は振り下ろした刀をそのまま、下から切りつける。

「よっと」

それも最小の動きで避けるりりか。

そして、ドン!

「く」

刀で防御したが、りりかの蹴りで俺は後ろに下がらされた。

「ちょっと、莉乃華って接近戦するタイプじゃないのよ。

やりたいならばんちょーにでも相手にしてもらって」

タン!

りりかはそう言いながら地面を足で鳴らす。

「!!」

(なんだ?

空気が変わった?)

俺は辺りを見回すが、変わったところは感じられない。

でも、先程のエリアとは何か違う。

「へぇ~

何となく分かってるんだ」

りりかから圧のようなものを感じた。

「莉乃華の仲間と会った事あるみたいだね。

そう、莉乃華は今、特殊領域を展開してる。

【特殊領域・財政支配】それが莉乃華のフィールドだよ」

(財政支配?

どんな能力なんだ)

俺は鬼切丸を構えながら、MPポーションを飲む。

今、紫雷を解くのは不味い気がする。

「能力はこれ」

パチンとりりかが指を鳴らすと、りりかの背景が揺れて20人程の武装した兵隊が現れた。

それぞれ銃を持ち、こちらに構える。

「な、【大召喚】!?」

俺はホロメン達が使う専用技を思い出す。

自分達を推してくれているプレイヤーを呼び出す技だ。

「あ、それはまだ莉乃華達は使えないよ。

これは莉乃華のお金で、好きなものを呼び出せる。

使えば莉乃華のお金は減るけど、社長やってるし。

というわけで」

りりかが手をあげる。

「ってぇ~!」

りりかの号令で銃が火を吹いた。

「くそ!」

俺は紫雷を前面に展開する。

まだ、慣れてはないが、この位の攻撃なら防ぐ事は出きる。

弾を俺の目の前に展開された魔法の盾に弾かれる。

「いいよ、いい」

それを見て喜ぶりりか。

「じゃ、これは?」

新たにりりかの背後が揺れる。

現れたのは戦車!

「まじか!」

「やっちゃえ!」

りりかの号令で戦車から砲弾が俺に向かって放たれた。

ドゴォ!

大爆発。

しかし、何とか耐えられた。

けど。

「次弾装填!」

(やばい)

俺の張る魔法の盾はもうボロボロだ。

「発射!!」

2発目が俺に向かって放たれる。

(これはもう)

迫る砲弾。

一瞬のはずが、砲弾が迫ってくるのが遅く感じる。

(これが走馬灯か?)

「それはないと思うなぁ。

だってこれはゲームだし」

「え?」

俺の目の前に突如現れる人物。

その人物は笑顔でそう言った。

ドゴォ!

大爆発。

「さすがにやりすぎたぁ?」

りりかはそう言っている。

「でも、ぜんぜんこれくらいなら、平気なんだよね。

私は」

「!」

爆発の煙が晴れてりりかの驚く顔が見える。

そして、俺の前で優雅に立つその人物は…

『ちょこ先生』

俺とりりかの声がハモる。

「は~い、おまたせ、ちょっこーん!」

そう言ってちょこ先生は軽く手を上げた。

 

 

さっきの砲弾は、突如現れたちょこ先生が片手で受け止め、そのまま爆発もそのまま防いだ。

「どうしてここに」

「あれ?

聞いてません?

ロボ子様からのヘルプで来ましたよ」

「あ」

(そういえば、ロボ子さんが言ってた助っ人って)

「さて」

ちょこ先生がりりかの方を見る。

「まさか、莉乃華様が実装されていたなんて」

「く、ちょこ先生」

りりかはちょこ先生を見て後ろに下がる。

「すいません、助けてもらって」

俺は鬼切丸を構えながら、ちょこ先生の横に並ぶ。

「ぜんぜん構わないですよ。

絆を結んだ相手ですし」

ちょこ先生がウィンク。

それだけで魅了されそうだ。

「さて、今度は2対1になってしまいますけど、大丈夫だよね?」

ちょこ先生の言葉に露骨に嫌そうな顔をするりりか。

(なんであんなに嫌そうなんだ)

「さて、キミはまだ知らない、ホロメンレベルが使える技があるのを、教えてあげますね」

「え?」

「【ガチ恋距離】」

スキルが発動した瞬間、ちょこ先生が消える。

「きゃぁ!」

「え?」

突然の叫び声に俺はりりかを見た。

「うわぁ!」

りりかの首に手を回して、ちょこ先生が抱きついていた。

「ちょ、ちょっと、ちょこ先生、やめてくださいぃ~」

ふ~

「ひゃぁ!」

(うわぁ、耳ふぅーだ)

「【ガチ恋距離】」

そして、またちょこ先生が消え、目の前に現れた!

「うぉ!」

「ふふ、これがちょこ達の秘密のスキル。

みんななぜかあまり使わないのよねぇ」

ちょこ先生が顎に手をあて不思議そうな顔をする。

(何事もなく一瞬で間合いを詰められるのはすごいけど、毎回本当に目の前に現れるのは、心臓に悪い)

「さて、何にも悪いところなかったんだけど…」

ちょこ先生がりりかの方を見ながら不思議そうに呟く。

「悪いところ?」

「ええ、さっき触った時に莉乃華様の体を少しスキャンしたんだけど、どうしてキミを狙ってるの?」

ちょこ先生が俺を見る。

「ああ、それは…」

俺は彼女達【新世代first】の実装について伝える。

「ガチィ?

はぁ~

こより様にも困ったものね」

ちょこ先生は微笑みながら言った。

「こら~!

莉乃華を無視するなぁ!」

向こうからりりかが頬を膨らませながら怒っていた。

「こうなったら、本気出す!」

りりかの背後がまた揺らぐ。

(今度はなんだ。

戦車よりすごいもの。

レールガンとかか?)

俺は1度、このゲーム内でレールガンを召喚して使うホロメンにあった事がある。

だから、ないとは言いきれなかった。

「こい!」

揺らぎが収まり現れたのは…

「ロボットだと!」

思わず声をあげてしまう。

見上げる程大きなロボットがりりかの背後に片膝付けて座っている。

「何でもありか!」

「もち、通帳気になるけどね!」

俺の叫びにりりかも叫んで答える。

「というわけでいけ~

リリカロボ!」

ロボは座ったまま、こちらにその巨大な拳を放つ。

「はぁ~

少しお仕置きいっちゃいますか?」

そんな凶悪な拳の前にちょこ先生は対峙する。

「ちょこ先生!」

巨大な拳がちょこ先生に当たった!

ガ!

「はい?」

「…えっと、何でもないです」

ちょこ先生はあろう事か、その拳を片手で受け止めていた。

「…」

りりかも驚いているのか声が出ていない。

「これでも元魔王ですから」

そう言ったちょこ先生の手が大きくなっていく。

いや、手だけじゃない体も。

みるみるうちにおおきくなり、ガシッとロボの拳を手で掴んだ。

見上げる程大きくなったちょこ先生。

「あまり上はみないで下さいね」

「あ、はい」

俺は慌てて下を向く。

ま、確かにあんな短いスカート履いてたらねぇ。

「よっと」

ブオンっと巨大ちょこ先生がロボを投げ飛ばす。

「えええええ~」

飛んでいくロボを見てりりかは驚きの声をあげた。

「さぁ、莉乃華様~

お、し、お、きですよ」

巨大な手でデコピンの形をした指を立ち尽くすりりかに向けるちょこ先生。

(いや、あれでデコピンなんかされたら吹き飛ぶどころじゃない)

「あ、や、やめ、あ」

震えながら、パニックになるりりか。

「め!」

そして、ちょこ先生のデコピンがりりかのおでこにペチンと当たった。

「あ、れ?」

いつの間にか元の姿に戻ったちょこ先生は、りりかのおでこに軽くデコピンをした後、微笑んでいる。

「は、はぁ~」

その場に座り込むりりか。

「あの人はちょこ達、ホロメンにとって大切な人ですから、ちょっかいはダメですよ」

2人に駆け寄る俺は、ちょこ先生がそうりりかに言っているの聞いた。

 

 

「はい、返すわよ」

りりかはセレスの入った鳥籠を俺に差し出す。

「お、おう」

俺は鳥籠を受け取り、中のセレスを出した。

「はぁ、何か美味しいものが食べたい」

「ちょ、ちょっと手作りのご飯あげてたでしょ」

定位置の肩に戻ったセレスが呟いた言葉に、りりかはぷんぷんしながら言う。

「ははは」

俺はそれを聞いて笑うしかなかった。

「じゃ、せっかくだからちょこが作ってあげますよ」

ちょこ先生が腕まくりをした。

「え、まじですか?」

俺の言葉に笑顔で頷くちょこ先生。

「じゃ、莉乃華様。

いくつか材料と道具を出してください」

「え?

あ、はい」

ちょこ先生に言われて、りりかは必要なものを出現させた。

(あ、武器とかだけじゃないんだ)

「それじゃ、莉乃華様。

一緒に」

「え?」

そして、ちょこ&りりかのクッキング教室が始まった。

 

 

「ご馳走様でした」

空の皿に手を合わせて言う。

「美味でした」

机の上でお腹を大きくして横たわるSDセレス。

(おまえ、そういうキャラじゃないだろ?)

「はい、お粗末様でした」

「…美味しかった」

りりかが驚いたように呟いた。

「莉乃華様もやれば出来るんですよ」

そんなちょこ先生は生徒を見守る先生のような顔で言った。

いつの間にか空間が元の場所に戻る。

ちょこ先生はりりかに何やら料理本を手渡していた。

「ちょこの簡単にできる料理本です」

「あ、ありがとうございます」

2人は俺達の方を見る。

「ま、今回は悪かったわ。

お詫びに、何かあったら助けてあげる」

ぶっきらぼうに言うりりかを見て、少し頬が緩む。

「気をつけて進んでくださいね」

ちょこ先生は俺の手を取り言った。

「はい」

俺は頷く。

そして、2人に別れを告げて、俺は【近未来都市】の中心部へと戻るのであった。




大変お待たせしました。
【新世代first】3人目、一条莉乃華様登場です。
勝手にちょこ先生との料理コラボとかになっていましたが、本当にそんな機会もあったら面白いかなと思ってみたり。
ちょこ先生の料理本を見ながら本当に料理作ってくれたら、それはそれで面白いかなと思ってもみたり。
これからのリアルの方にも楽しみが増えますね。
さぁ、次は誰があなたの前に現れるのか?
お楽しみに
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