ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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何とか奏手イヅルの大楯を破壊したあなた。
しかし、その反動で奏手イヅルは魔集石の封印を解いてしまった。
暴走する魔集石。
それに鷹嶺ルイはまるで予感していたかのように、共闘を提案する。
果たしてあなたは2人と共に、魔集石を抑えることが出来るのか?


第19話 魔集石の回収、そして、知られざる力

「バックアップはお願いします」

ルイちゃんがそう言った後、魔集石へと走る。

俺もそれに続いて動いた。

魔集石から、俺達へと触手に似た赤黒い気が放たれた。

それをルイちゃんは紙一重で避けながら進む。

俺もそれに追従したいが、スピードが足りない。

鬼切丸で弾きながら前へと進むが、無数の触手を捌ききれない。

そして、目の前に迫る触手。

ガ!

触手が俺の目の前で弾かれる。

そこにはエネルギー体の楯。

後ろをちらっと振り向くと、イヅルくんがニカッと笑っていた。

(助けてくれている。

なら!)

俺は触手を最小限捌き、間に合わないものはイヅルくんの楯に任せて、突っ込んだ。

ルイちゃんの杖がムチのように変化して、魔集石へと攻撃する。

だが、攻撃は触手で相殺されている。

しかし、そのお陰で俺は前に出れる。

自分の攻撃範囲に捉えた魔集石に、俺は鬼切丸を振るった。

ガッ!

魔集石には届かないが、纏っている赤黒い気は削った。

すぐに反撃の触手。

俺はバックステップで距離をとる。

それに合わせるようにルイちゃんが、火の魔法を放つ。

迫る火球を複数の触手で受け止めようとする魔集石。

しかし、それをエネルギーの楯が阻む。

火球はそのまま、魔集石部分に炸裂。

赤黒い気が弾けとび魔集石が表に出た。

「今だ!」

俺は紫電を纏って突撃する。

させじと複数の触手が俺に襲いかかるが、イヅルくんの楯がそれを阻む。

「うぉりゃ~!」

鬼切丸を突き出すように構え、紫電が刀にも纏わりついた。

そして、ガ!

鬼切丸は魔集石に当たり、魔集石は赤黒い気を突き破るように背後に吹き飛んだ。

カンっと魔集石が地面に落ちる。

赤黒い気がその場で固まったように動きを止めた。

俺は背後に移動し、ルイちゃん達と合流する。

赤黒い気がゆっくりと揺らめき、そして、その場に溶けるように消えていった。

「なんとかなりましたね」

消えた赤黒い気を確認したルイちゃんが、安堵のため息と共に言う。

「はぁ、疲れた」

その場に座り込むイヅルくん。

エネルギーの楯を様々な場所に出現させて、俺達をフォローするのは、思ったより大変みたいだ。

俺は吹き飛んだ魔集石の方へと歩いていく。

もちろん、不用意にではなく慎重に。

落ちた魔集石を見る。

魔集石は透明の透き通ったような宝石のようになっていた。

拾い上げる。

『魔集石を手に入れた』

機械音声が流れた。

俺は2人の元へと戻った。

「ゲットできました」

俺の言葉に2人は微笑む。

「おつかれ、やったね」

イヅルくんが俺の方へと手を伸ばした。

俺はその手をとり、イヅルくんを引っ張る。

イヅルくんは笑顔のまま、俺の手をぎゅっと握ってくれた。

『奏手イヅルの絆を手に入れました。

グランドジョブの試練をクリアしました。

大楯のレベル上限が解除されました』

「ありがとうございます」

俺は笑顔でイヅルくんにお礼を言った。

「それでこれからどうするですか?」

ルイちゃんがセレスを手に乗せてこちらに来る。

セレスがジャンプして俺の肩に乗った。

「次のグランドジョブの元に向かおうと思うのですが…」

俺はそう答えたが、ある事が気になっていた。

「何か思う事があるようですね」

ルイちゃんはそれに感じたようだ。

「はい、簡単に言うと力不足を感じています」

これまでの戦い、全てと言っていい程、グランドジョブの人達に決定打を与えられていない。

確かになんとかなってはいるが、それはホロメンのみんなのお陰でもある。

「ま、そうでしょうね。

相手はチートキャラですから」

確かにルイちゃんの言うとおりだ。

でも、このままだと、そのチートさえ越えるかも知れない元世界の答えには到底届かない。

「今、何のジョブをしてるんだい?」

イヅルくんに聞かれて俺は侍と答えた。

「確か侍は、朱雀担当だったね。

で、上限値突破はしてると…」

イヅルくんが何かを考えている。

「ふぅ、ちょっとこっちに来てよ」

イヅルくんは俺達をさっきのテーブルへと案内する。

座る俺達。

「ま、ここだけの話にしてほしいんだけどさ。

実はさっきの話、どうにかできるかもしれない」

「え?

チートに対抗する手段があるんですか?」

俺は身を乗り出してイヅルくんに聞く。

「ま、まぁね」

少し引き気味に答えるイヅルくん。

「プレイヤーがチートに対抗できる手段があるのは、初耳です」

ルイちゃんも興味津々に聞いていた。

「ま、実際に公式は知らない事なんだけど」

(公式が知らないって、普通ならあり得ない事なんだけど、完全にゲーム内のAI達が管理するゲームだからそう言うのもあるのか?)

俺は改めてこのゲームの凄さに驚く。

「実は、俺達グランドジョブには、裏秘奥義ってのがある」

「裏秘奥義…」

「そ、俺達が実装された当時、暇でさ。

みんなで何かしようって事になって、各々が編み出した技なんだよね」

(いや、暇だからって編み出せるものなの?)

「その威力は技を当てれば、一撃でチートキャラを瀕死にできる」

『はぁ?』

ルイちゃんと俺の声がハモる。

「瀕死にですか?」

「めちゃくちゃな威力じゃないですか」

「ただし、欠点もある。

その技を使って相手に当てた場合。

使用者は、1週間レベルが1になる。

ゲームに入ってる時間で計算してね」

「レベル1…」

「そう、技も初期段階になってるし、ステータスも完全初期」

「それっていくらチートが瀕死になっても、一瞬でやられちゃうんじゃないですか?」

ルイちゃんが言った。

(確かにそうだ)

「そう、完全に諸刃の剣」

イヅルくんはそう言って笑った。

「でも、抜け道がありそうですね」

ルイちゃんがイヅルくんを見る。

「まぁね。

レベル1になるのは、特殊で強力な状態異常。

もし、その状態異常を回復するアイテムがあれば、実質デメリットなしの強力な技。

ただし、その技は瀕死には出きるけど、倒すことは出来ないの点は注意ね」

「強力な状態異常を回復するアイテム」

ふと、俺はある人物を思い浮かべた。

「なんか心当たりあるみたいだね。

さて、その技を覚える方法だけど、普通は俺達はプレイヤーにこの技を教えない。

何故なら、おふざけで作った技だからね」

(おふざけでとんでもない技を…)

「でも、今は緊急時みたいだし、俺から朱雀には伝えとくから、もう1度朱雀の元に行きなよ」

「分かりました」

俺はイヅルくんに向かって頷いた。

「では、私が近くまで送ってあげましょう」

ルイちゃんが立ち上がりこちらに手を差し出した。

「え?

いいんですか?」

「ええ、これも必要事項ですから」

ルイちゃんはそう言ってウインクした。

「じゃ、上手く習得できるといいね」

イヅルくんも立ち上がり微笑む。

「ありがとうございます、頑張ります」

俺はルイちゃんの手をとって、イヅルくんにお礼を言った。

イヅルくんはこっちに向かって軽く手を振った。

「それじゃ行きますよ」

ルイちゃんの声と同時に景色が歪む。

 

 

そして、一瞬世界がブラックアウトした後、ゆっくりと歪んだ景色が元に戻った。

「ここは…」

(見覚えのある場所だ。

確か…)

「幻刀境に向かう為の森の前です」

隣でルイちゃんがそう言って微笑んだ。

「凄い一瞬で」

「ラプの力を少し使いましたから」

ルイちゃんはそう言っていたずらっ子のように、ウインクする。

「それでは、私もここで。

上手く行くといいですね」

「はい、ありがとうございます」

俺はルイちゃんに頭を下げた。

「では」

ルイちゃんはそう言うと、あっというまに目の前から消えた。

(ま、チートだからなぁ)

俺はそんなチートに対抗する手段を手に入れられるのだろうか?

森を見る。

前に来た時と同じように、静まりかえっていた。

俺はゆっくりと森へと進む。

もう一度、朱雀さんに会う。

今度は、彼等が編み出した裏秘奥義を習得する為に。




お待たせしました。
大楯のイヅルくん編終了です。
次はもう一度登場、朱雀さんです。
裏秘奥義。
果たしてあなたは習得する事は出来たのか?
そして、次なるグランドジョブの人物は?
次回も不定期更新ですが、お待ちください
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