ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
時間はかかったが、アイテムを自由に使えるようになったあなたに、薬師寺朱雀は裏秘奥義の伝授を始める。
果たしてあなたは奥義を覚えられる事が出きるのか?
「く!」
キン!
甲高い音を立て、俺はなんとか朱雀さんの一撃をはじく。
「そうだ、それでいい。
他の装備の力は使うなと言ったが、その刀の力を使うなとは言ってないからな」
そう、俺は今、絆を紡いだホロメンの力を借りて、朱雀さんと戦っている。
力を抜くとか抜かないかとかのレベルじゃなかった。
圧倒的な力の差が、俺と朱雀さんにはある。
だから、チートと戦う時は俺だけではなく、他の力を借りないとついていけない。
「チート相手なんだ、それぐらいしないと無理なんだよ」
朱雀さんからの連撃がくる。
俺はそれがくる前に視えた。
キンキン!
ニヤリと笑う朱雀さん。
今、俺が力を借りているのはフレアさんの力。
【予見眼】
そして、スバルちゃんの力で身体的能力を向上さている。
(なんとかついていけてる)
タンっと朱雀さんが俺との間合いをとる。
「だいぶ、慣れてきたな。
その刀の力もだいぶ分かってきただろ」
朱雀さんに言われて俺は頷く。
絆の力を借りれるのは一瞬かと思ったが、ホロメンによってしばらく効果が続くものもあった。
「じゃ、そろそろ本気でいくぞ!」
(今まで本気じゃなかったのか)
そして、俺が視たのは、朱雀さんが初めて技を出す未来だった。
「【五花閃】!」
「それなら!」
朱雀さんの技が俺に向かってくる。
俺はそれに対抗する為に同じ技を放った。
スバルちゃんの力で技はほぼ相殺出来ている。
「!」
(次は!)
「これはどうだ?
【六華閃】!」
6つの斬撃がほぼ同時に放たれる。
「ラミィちゃん!」
俺はラミィちゃんの力を借りる。
眼前に現れる氷の壁。
しかし、意図も容易くそれは破壊される。
だけど、こちらに斬撃は届いていない。
「そうかそうくるか、なら次だ!
【七星】!」
朱雀さんの上段から振り下ろされる斬撃が、7つに増えこちらに振り落ちてくる。
「ラプ様!」
俺の声に答え刀から紫の気の腕が俺を守るように出現し、その斬撃を止めた。
それを見た朱雀さんの顔が、なぜか仕方ないなという顔だった。
「【八葉】」
左右から4つの斬撃が俺に放たれる。
「シオンちゃん!」
その斬撃をシオンちゃんの力を借りて現れた魔力楯が防ぐ。
「【九頭竜】!」
バックステップした朱雀さんの範囲外からの9つの斬撃がこちらに飛んでくる。
それはまるで竜の首が口を開けて襲ってくる様だった。
「マリンちゃん!」
ドン!ドドドドドドドド!
全ての斬撃を俺は受ける。
しかし、マリンちゃんの力。
【皇帝眼】のお陰で無敵状態になり防げた。
「守りだけでは、進めないぞ」
ゾク!
朱雀さんのその言葉が何故か鮮明に俺の耳に届いた。
「【無間】」
(な、見えない?)
そして、今日何度目かのブラックアウトを俺は経験した。
「お、仕切り直しするか?」
朱雀さんは、初めのところに立ちこっちを見ていた。
「さっきの技は…」
「ああ、侍やってれば覚えれる技さ。
ま、最後のはよっぽど頑張らないといけないがな」
(【無間】ちょっと調べたけど、その名の通り攻撃が当たるまで完全に間がない。
威力はそこまで強くは設定されてないみたいだけど、チートが使えばそれも即リスポーン級になってる)
「さ、行くぞ。
次は同じ失敗するなよ」
朱雀さんの気配が膨れ上がる。
(同じ失敗?)
朱雀さんの言葉が心に残った。
(俺は何を失敗したんだ?)
俺は戸惑いながらも刀を構える。
「【五花閃】」
朱雀さんが放ったのはさっきと同じ技。
俺はさっきと同じように【五華閃】を使い、朱雀さんの技を相殺する。
もちろん、さっきと同じようにスバルちゃんとフレアさんの力を借りている。
【予見眼】で見えたのはさっきと同じ【六花閃】を放つ朱雀さん。
俺は朱雀さんの顔を見る。
その目は何かを期待している目。
なら、俺は…
「行くぞ、【六華閃】」
「シオンちゃん」
俺は今一度、シオンちゃんの力を借りる。
一瞬、朱雀さんの顔が曇った気がした。
でも、今回は俺は違う選択をする。
「【六花閃】!」
シオンちゃんの魔力を使い、紫電を纏う。
そして、使えないはずの技を力業で出した。
「ほう」
朱雀さんが微笑んだような気がした。
「まだまだ!
【七星】」
(それも俺には視えている)
俺も刀を振りかぶる。
「フブキちゃん!」
白狐の力が俺を高みへと上げてくれる。
本来は使えないはずの技。
(それを今の俺はやれる!)
「【七星】!」
7つの音が響き、技は相殺する。
(次は!)
「いろはちゃん!」
侍のホロメンの力を借りる。
(だったら、出せない訳がない!)
『【八葉】!』
朱雀さんと同時に技を放つ。
8つの斬撃が、8つの斬撃と打ち合い消える。
「はは!」
朱雀さんが笑う。
(そう、今度は逃げない。
絶対的チート相手でも逃げたりしない。
それが、俺の答えだ)
「なら、これならどうだ!」
(それなら、もう1人に力を借りる)
「あやめちゃん!」
俺は初めてあった刀使いに力を借りた。
その人は、俺にとっての初めての壁であり、戦ったホロメン。
「【九頭竜】!」
俺は朱雀さんより先に技を放つ。
もちろん、朱雀さんが同じ技を出すのを分かっている。
だから、今度は朱雀さんが同じ技で俺の技を相殺する形となった。
「やるな!
なら、最後だ!」
(くる!
【無間】だ)
俺はその技が来る時に、何を出すか、この相殺戦中に決めていた。
一瞬の時間もない。
(だから!)
俺は頭の中にある、ある技を出した。
交差する俺と朱雀さん。
ゆっくりとお互い振り返る。
「そうだ、その技を出すなら、相手を恐れるな。
1歩でも前に行け。
怯んだり、逃げたりしては、その技は出せない」
そう言って、朱雀さんはその場に倒れるように座り込む。
技名【斬鉄剣】
その技はチートを一撃で瀕死に追い込む、一瞬の技。
そう、【無間】とほぼ同じ性質の技だった。
(だから、俺は【無間】に合わせるように放った)
答えは正解だった。
【無間】をも打ち破り、俺の一撃は朱雀さんに届いた。
「ありがと…」
うございますと言おうとした俺はその場に倒れる。
(体が動かない)
「それがその技のデメリットでもあるな」
いつの間にか周りの炎陣は消え、元の庭に戻っている。
「本当に動けないんですね」
俺は途切れ途切れになりながら、朱雀さんに言った。
「まぁな、こっちもほぼ動けないがな」
朱雀さんはそう言って寝転がり笑う。
「あ、やっぱり、こんな事になってるだろうと思ったでござるよ」
突然、庭の端から明るい声が聞こえた。
聞いた事のある声。
「よう、頼んだ物持ってきてくれたか?」
朱雀さんは寝転がりながら、声の主に聞いた。
「はぁ、いきなりお使いを頼まれた時はびっくりしたでござるが、うーばーござるは安心安全でござるからな」
そう言って足音が近づいてくる。
「冷た!」
突然頭から何かをかけられて、俺は勢いよく座る。
「あれ?
動ける」
「もちろん、メル先輩印の最強回復アイテムでござるからね」
そう言っていろはちゃんは笑った。
「お~い、俺は?」
「はいはい、それ!」
「お、おい!」
朱雀さんの方へ回復アイテムを投げるいろはちゃん。
回復アイテムは朱雀さんに当たる。
「き、気を付けろよ。
こっちは瀕死なんだから、回復アイテムが激突した瞬間にリスポーンする可能性もあるんだぞ」
回復アイテムで顔を濡らした状態で立つ朱雀さん。
「そこら辺は手加減してるでござる」
いろはちゃんはそう言って笑った。
朱雀さんがこちらへと歩いてくる。
そして、ポンと頭に手を置いた。
「合格だよ。
【斬鉄剣】はおまえのものだ」
そう言って朱雀さんは家の方に向かった。
俺は慌てて立ち上がり、朱雀さんを見る。
そして、「ありがとうございました」と頭を下げてお礼を言った。
朱雀さんは、振り向かず手を振って家へと入って行った。
「おめでとうでござる」
「ありがとういろはちゃん」
嬉しそうに喜んでくれるいろはちゃんにお礼を言う。
いろはちゃんはそんな俺にあるものを差し出す。
「これは?」
「メル先輩から渡すように言われたでござる。
1つだけ出来た試作品。
エリクサーEXだそうでござる」
「エリクサーEX?」
「なんでも、全ての状態を元に戻すとか」
(めちゃくちゃすごい)
俺はその薬を見る。
虹色に輝く液体。
俺は心の中でメルちゃんに感謝しながら、そのアイテムをアイテムボックスに入れた。
「これからどうするでござる?」
「はい、すぐに向かおうと思います。
最後のグランドジョブの元に」
俺の言葉に頷くいろはちゃん。
「そう言うと思ったでござる。
キミ殿の会いたい相手、グランドジョブの居場所は、【ファンタジー】
第3の町から行く海にある【機械島】にいるでござるよ」
「【機械島】」
頷くいろはちゃん。
「船の手配もしておいたでござる。
外に馬車も用意してるでござるよ」
至れり尽くせりなうーばーござる。
「いくのか」
縁側に出てくる浴衣に着替えた朱雀さん。
「はい」
「良い報告待ってるぞ」
そう言って縁側に座る。
「はい、ありがとうございます」
「かざまは少し用事があるでこざるから、ここに残るでござる」
「分かりました。
それでは、馬車をお借りします」
俺はそう言って2人に手を振り、手を振る2人を背に家の外へと走った。
家の外には馬車がいた。
「お、旦那がそうか?
お駄賃はいただいてるぜ」
そう言ってガリっと人参をかじる人馬。
「いこう」
俺はいつもの指定席の肩に座るセレスに言った。
「ゴーゴー」
肩のセレスは元気に手をあげる。
「では、お願いします。
目指すは【ファンタジー】第3の町」
「オッケー
捕まってろよ!」
そうして、俺達は次への目的地、【ファンタジー】第3の町へと向かった。
「行ったな」
「キミ殿なら大丈夫でござるよ」
朱雀は庭の鶏に餌を投げる。
「それで、調べた結果は?」
朱雀は庭を見ながら言った。
「やはり、先輩の思っていた通りでござるよ。
運営はどうにか誤魔化しているでござるが、各世界で討伐不可なモンスターが沸いているでござる」
いろはも庭を見ながら答える。
「墓守は何て言ってんだ?」
「るしあ先輩が言うには、管轄外の場所から再生されているとの事でござる」
「やっぱり、動き始めてるな」
「はい」
「はぁ、面倒な事になりそうだ」
そう言って朱雀は空を見上げる。
「今回は世界は何も答えないのでござろうか?」
「さぁな、【ホロライブワールド】が何を考えてるかなんて俺達には分からないさ」
「そうでござるな」
「ただな」
朱雀は縁側に立ち上がる。
「このまま、消滅する訳にもいかない」
「もちろんでござる」
いろはは頷く。
「もう少し情報を集めて、みんなに流してくれ」
「承知」
「俺もそろそろ隠居を止める頃合いかな」
その言葉に聞いて、いろははくすっと笑った後、一瞬で消える。
「は、消え方がまるで忍者だな」
トン
その言葉と同時に何かが縁側に落ちる。
朱雀はそれを見るとそこには、「のっとニンニンでござる」と書かれていた。
朱雀はそれを見て声高らかに笑った。