ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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あなたは無事に薬師寺朱雀から裏秘奥義を習得した。
そして、次なる目的が決まり、あなたは風真いろはが用意してくれた馬車に乗り込む。
果たして次なる目的地で待つ者はいったい?


第22話 赤とピンク、親子の絆?

「へい、兄ちゃん着いたぞ」

「あ、ありがとう」

俺はふらふらしながら、馬車を降りる。

なんとか【ファンタジー】第3の町に着いたみたいだ。

「また、よろしくな!」

指を2本ピッと振った後、馬車は元気よく走り去って行った。

「大丈夫?」

ふらふらする俺を心配そうに肩から声をかけてくれるセレス。

「な、なんとか」

俺はそう言って近くのベンチに座った。

「めちゃくちゃ揺れたからなぁ」

そう、俺が乗った馬車は急いでいたからなのか、めちゃくちゃ揺れた。

そのせいで少し気分が悪くなってしまっていた。

「そこの人、大丈夫ですか?」

ベンチで俯きながら座る俺に誰かが声をかけてくれた。

(なんか聞き覚えのある声だった)

「ありがとうございます、大丈夫です…」

そう言いながら顔を上げるとそこには…

「あくあちゃん?」

「お久しぶり、こんあくあ」

ニコッと笑うあくあちゃんが立っていた。

「どうしてここに?」

隣に座るあくあちゃんに聞く。

「え?

それはね、いろはちゃんに頼まれたから。

キミを船まで案内して欲しいって」

あくあちゃんはそう言って微笑んだ。

「いろはちゃんが?」

(そっか、ここに着いた俺が迷わないように、いろはちゃんが配慮してくれてたんだ…)

「それにしても、よくここにいるって分かりましたね」

確かにここは馬車乗り場だけど、ここにこの時間、ましてやベンチに座ってるなんて分からないはず。

「それは、ね。

これがあるし」

あくあちゃんがノートパソコンを取り出し、俺に見せた。

「あ、なるほど」

そうだ、あくあちゃんは確か情報通。

様々な世界にいるあくあちゃん推しの方々から情報が送られてきている。

(確か、前回もお世話になった)

「それじゃ、体調戻ったらそろそろ行こっか」

あくあちゃんが立ち上がる。

「はい、お願いします」

俺は元気よく立ち上がり、あくあちゃんに言った。

あくあちゃんは嬉しそうに微笑みながら、先頭を歩いて俺を目的地に案内してくれた。

 

「ここなんですか?」

そこは俺が思っていたところとは違う場所だった。

てっきり船着き場に行くと俺は思っていたが、ここは広い砂浜だ。

「いろはちゃんに聞いた時間は、そろそろの筈だけど」

あくあちゃんは時計を確認している。

するといきなり晴れていた砂浜に、濃い霧がかかる。

「え?え?」

突然の事に驚く俺を裏腹に、あくあちゃんは嬉しそうに「来た来た」と霧の方を見る。

すると、霧からぬっとソレが現れた。

「海賊船!?」

(いや、違う)

「ごめんごめん、待った~?」

船がら明るい声が響く。

「あれぇ?

キミの他にあくあちゃんがいるじゃな~い」

そう言いながら声の主は船から飛び降りる。

「もう、船長。

なんであてぃし呼ぶ時、いつもお母さんみたいになるのよ」

「ああ、ごめんごめん、なんか癖で」

砂浜に降り立ったのは紛れもなく船長。

マリンちゃんだった。

「久しぶりだね、元気してた?」

笑顔で手を振るマリン船長。

「はい、そっちこそアレ大切にしてくれてるんですね」

俺は霧から現れた船を見る。

それは俺がマリン船長に譲った船【ふぁんたじぃ】だった。

「そりゃ、もちろん船長の船ですから、きちんと一味のみんなに掃除してもらってるよ」

(ご苦労様です、一味の皆さん)

「それより、行くんでしょ?

【機械島】」

「はい」

「よし。

じゃ、乗り込めぇ~

あ、もちろん、あくあちゃんもよ」

「いや、だから、お母さん止めて。

ってなんであてぃしまで?

あてぃしは案内だけ頼まれたんだけど?」

「せっかくなんだし、乗ってきな」

くいっと親指を立てて自分を指すマリン船長。

「よかったら、着いてきてもらえると助かります」

俺も素直にあくあちゃんにお願いする。

「え、でも、ルーナちゃんの世話もあるし」

(そういえば、あくあちゃんはルーナちゃんの屋敷のメイド長だった)

「大丈夫、大丈夫。

もう、船長連絡したから」

『いつの間に!』

俺とあくあちゃんの声がハモる。

「たまには息抜きしてきたらいいのらって言ってたわよ」

(あ、言いそう)

「わ、わかった。

着いてく」

あくあちゃんは、しぶしぶ言ったが、声はどことなく楽しそうだった。

「ま、戦力は多い方に越したことはないからね」

「え?」

「あ、なんでもないなんでもない。

ほらほら、乗り込みなさい」

マリン船長の怪しい言動を聞こうと思ったが、マリン船長はいち早く【ふぁんたじぃ】の方へと向かっていた。

「さ、いこっか」

俺はマリン船長の言葉が気になりながらも、あくあちゃんに手を引かれて【ふぁんたじぃ】に向かった。

 

「誰もいないんですね」

俺は【ふぁんたじぃ】に乗り、マリン船長に言った。

「前回の時もそうだったでしょ?

【ふぁんたじぃ】の運行は全自動なの。

あと、今回はキミの用事で船だしてるから、あまり人目に着くのはヤバい。

だから、場所もここにしたしカモフラージュで霧も出したって訳」

「それで船長、いつ着くの?」

あくあちゃんは甲板にあるデッキチェアに寝そべりながら聞く。

「え、ま、普通に行けば今日の昼くらいには着くかなぁ」

「普通に行けば?」

マリン船長の言葉を聞いてすかさず俺は突っ込む。

「そ、普通に行けば」

「ということは、普通にいかない何かがあるんですか?」

「え?

そうなの!」

俺の言葉に飛び起きるあくあちゃん。

「それ聞いてない」

あくあちゃんはマリン船長に詰め寄った。

「何か隠してますよね?」

俺も同じくマリン船長に詰め寄る。

「う、いや、まぁ」

俺達に詰め寄られて苦笑いするマリン船長。

「じ、実は…」

そして、マリン船長はポツリポツリと白状し始めた。

マリン船長の説明はこうだった。

最近、海に幽霊船が出るらしい。

それも【機械島】に行くルートに現れている。

なので、最近【機械島】にプレイヤーが行けない状況が続いている。

そんな中、船着き場のボス的な立場のマリン船長に、プレイヤーからお願い状がたくさん届くようになった。

マリン船長は、つてを使って運営に確認したところ、運営はこの事に関与しておらず、そういったイベントもないと言うことだった。

なら、誰の仕業か?

マリン船長がそう考えている時に、いろはちゃんから今回の件について連絡が来たらしい。

「いやぁ、渡りに船って言うの?

せっかくだから、キミに手伝ってもらおうと思ってね」

「それで、あくあちゃんが一緒に来てもらえるってなった時に、戦力がどうこう言ってたんですね」

「はぁ、そんな事だと思った」

あくあちゃんも少し呆れたように言った。

「でも、2人とも助けてくれるんだよね?

船長困っちゃってるんだよねぇ」

甘えた声を出すマリン船長。

俺はあくあちゃんと顔を見合せため息をついた後、『分かりました』と同時に答えた。

その後、2人まとめて「ありがとう!」とマリン船長にハグされたのは言うまでもない。

 

「それで、いつ頃からその幽霊船は現れるようになったんですか?」

俺達は各々デッキチェアに座っていた。

俺は飲み物を飲み、マリン船長に聞く。

「出現はここ最近。

何故か【機械島】へ向かうと必ず現れるらしいのよね」

マリン船長も飲み物を飲み答える。

「誰1人突破してないの?」

あくあちゃんの言葉にマリン船長は頷く。

「だから、今は【機械島】に行った事があるプレイヤーだけがワープゲートで行き来できる状況になってる。

ちなみにあそこにはグランドジョブがいるから、メインシナリオをしているプレイヤーは、絶対に行かないと行けないのよね」

「実は俺の目的もそれでして」

『え?』

俺の言葉に2人は驚いた。

そして、俺はこれまでの事情を2人に話した。

「なるほどね。

また、厄介事に首突っ込んでるんだぁ」

あくあちゃんは、はぁとため息をつく。

「【新世代first】…

なるほど、見えてきたかも」

マリン船長は何か思い当たる事があるようだ。

「ま、とにかく現場に行ってみますか」

「ですね」

「おう!」

マリン船長の言葉に俺達は賛同する。

「では、【ふぁんたじぃ】

【機械島】に向けて出航ー!」

『ヨーソロー!』

そして、俺達は幽霊船が出るという【機械島】への航路へと進むのであった。




今回はマリン船長とあくあちゃんが登場です。
このゲームはIfの世界。
あなたは2人のホロメンと旅をする事になります。
果たして、幽霊船の正体は?
マリン船長は何やら感ずいているようですよ。
では、次回もお楽しみに
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