ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
【機械島】にはグランドジョブの1人がいる。
あなたはそのグランドジョブに出会い、魔集石を手に入れる事ができるのだろうか?
あの幽霊船の後、俺達は【機械島】に無事到着した。
「それでは、僕はここで」
「いってしまうんですね」
「ええ、他のメンバーも共には行動してないみたいだからね。
僕も好きにさせてもらうよ。
それにカフェ巡りもしたいし」
青くんはそう言って【ふぁんたじぃ】を降りていった。
「あてぃし達もここでお別れだね」
あくあちゃんが手を差し出す。
「楽しかった」
「はい、俺もです」
俺はあくあちゃんと握手を交わす。
「ま、船長的にはこの後もついていってあげてもいいんですけど、娘を家に送り届けないといけないので」
そう言ってマリン船長はあくあちゃんを見る。
「もう、一人立ちしてますけど?」
あくあちゃんがそう言って笑う。
「ああ、そんな事言わないでぇ~」とあくあちゃんに抱きつくマリン船長。
「と、言うわけで、船長はあてぃしが送ってくから」
そすう言って腰に掴まるマリン船長の頭をポンポンと叩くあくあちゃん。
(なんか逆になってる)
「はい、ここまで助かりました。
ありがとうございます」
俺は船を降りて、港で2人を手を振り見送った。
2人も最後まで船の上から手を振ってくれていた。
「さ、そろそろ行くか」
船が見えなくなり、俺は後ろを振り返る。
肩を見るとセレスがこちらを見て頷いた。
俺は地図を取り出す。
【機械島】全体の地図が現れる。
地図によるとこのまま、まっすぐのようだ。
俺は島の中心部の方を見る。
森の中に向かって1本の道がある。
これが町に続く道なのだろう。
俺はその道へと進んだ。
森の中は静かだった。
(いや、静かすぎだろ?)
いくらエンカウントが低い街道を歩いているとはいえ、モンスターの姿が見えないのはおかしい。
「どう思う?」
俺は肩に乗るセレスに聞いた。
セレスは肩に立ち辺りを見回した後、ちょこんと肩に座りなおす。
「この辺りにはエネミーの気配が一切ないです。
というか、島全体にエネミーが存在してないような気がします」
セレスは不思議そうに言った。
(エネミーの存在しないエリアか…)
確かにそれに近い世界はある【ふぉーす】だ。
あの世界のエネミーはダンジョンに出現する為に、普通のエリアにはほぼいない。
「何か関係があるのか?」
俺がそんな事を考えながら歩き続けていると、いきなり森がひらけた。
「おいおい、まじかぁ」
そして、俺の目の前には巨大な透明なドームが現れた。
そのドームの中に町があった。
町に近づく。
ドームに触れるといとも簡単に中に入れた。
そして、俺は【機械島】の町に着いたのだった。
町は思っていたより活気があった。
ま、新たにこの島に来るプレイヤーは、あの幽霊船に邪魔されていたけど、その前から着ていた人達は、ゲートが使える。
だから、人の行き来が多いのだろう。
「さてと、グランドジョブの居場所だけど…」
俺は地図を開く。
地図には大まかにグランドジョブの位置は表示される。
「お、あった」
点滅するグランドジョブのマーク。
「場所は…」
俺はグランドジョブの場所を確認する。
(なんだ?
動いてる)
グランドジョブのマークが真っ直ぐどこかに移動している。
(なんか大きな通路を進んでいるみたいだけど)
グランドジョブの行く先に、青い点滅があった。
(青い点滅?
これって…)
グランドジョブがその青い点滅の前で止まった。
そして。
「はじめまして、キミが元【世界の答え】だよね」
目の前にいるギターを背にした、温和そうな男性が声をかけてきた。
「少し時間ある?」
男性はそう言って近くの喫茶店を指差した。
「はい、分かりました」
俺はその男性と喫茶店へと向かう。
後ろからついていきながら考える。
(何か少しだけ違和感がある。
ゲーム内だからなのか?
でも、リアルのようなこの世界だ。
それは違うような気がする)
俺は目の前の相手の動きが少しぎこちないような気がした。
喫茶店を入り、適当な場所に座る。
「さて、自己紹介からいこう。
俺の名前は律可。
ホロロイドっていうロボットで、グランドジョブをやらせてもらってる」
(やっぱりこの人が…)
「はじめまして、俺は」
「あ、いいよ。
情報は他のメンバーから入ってきてる。
【魔集石】の回収をしてて、その石がかなりヤバイって話だよね」
律可くんの言葉に俺は頷く。
「ちなみにまだここにはその【魔集石】がきていない」
「え?」
俺は驚く。
(あの時、ヤゴー王の元から同時に【魔集石】は飛んでいったはずなのに?)
俺はちらっと肩を見る。
肩に乗っているセレスが、ゆっくりと頷いた。
(律可くんが嘘をついているわけじゃないんだな)
セレスは俺の意図をくんで、律可くんから【魔集石】の気配がないのを視てくれたみたいだ。
「だから、ここでは普通にメインストーリーを進めてもらおうと思ってる」
「はい、俺もそれが目的です」
俺の言葉に律可くんは笑顔で頷いた。
「ここでのイベントは、この島の秘密を知り、俺に伝える事」
「秘密ですか?」
律可くんは頷く。
「その秘密はこの島にある洞窟に潜り、最下層に行けば分かる。
ちなみに条件として、ギルドで1人以上3人未満、NPCを仲間にする事。
ギルドに行って、クエストを受注したら、その候補を教えてくれる」
「分かりました」
「それじゃ、俺は先にその洞窟の前で待ってるよ」
そう言って律可くんは頼んでいたジュースを飲んでから、外へと出ていった。
俺は頼んでいた濃厚葡萄ジュースラミィ水割を飲む。
「普通に進んでるな」
「ですね」
肩の上でクッキーを、もぐもぐ食べるセレスが答える。
【魔集石】があるから何かおかしな事になってるかもと心配していた俺は、少し肩透かしを食らった気分だった。
(ま、何もないならそれに越したことはないか)
俺はそう考えながら、飲み物を飲みほすと、早速ギルドへと向かった。
ギルドはその場所から少し行ったところにあった。
中は普通のギルド。
【バーチャル】違いはどこも同じような内装だ。
俺は受け付けに行って、メインストーリーのクエストを受ける。
「はい、受注しました。
それでは、あちらの方々から1人から3人仲間にしてください」
受付嬢が促したその先に、5人程の男女がいた。
見た感じから、前衛3人、後衛2人だった。
(正直いうと、1人で行きたいんだけど…
別に俺はぼっち好きということではない!
そう、俺は自分の武器や力をもう少し使う練習がしたいだけだった。
そう、だけなんだ)
「な、なんだよ」
肩の上のセレスが何かを察したように俺の顔を見ている。
「ほ、ほんとうだぞ」
俺はセレスに言い訳のような言葉を言ってから、もう一度NPC達を見る。
ふと、部屋の奥のテーブルに座る1人の男性NPCが気になった。
そのNPCも5人の中の1人だが、何か他のNPCとは違う気がする。
俺はそのNPCに近づいた。
「あのう」
俺が声をかけると、そのNPCは飲み物を机の上に置いて、ゆっくりと俺の方を見た。
「あなたもクエストに協力してくれるNPCですか?」
「ん?
ああ、そうだ。
俺の名は…
そうだな、ブルーとでもしておいてくれ」
そう言ってブルーはまた、飲み物を飲む。
(なんでいいよどんだ?)
俺はそこに少し引っ掛かったが、思いきってブルーを仲間に誘った。
「あ、お仲間を決められたんですね。
?」
ブルーを連れて受付嬢のところに行くと、何故か不思議そうにブルーを見た後、何かを検索する。
「はい、大丈夫かな。
では、クエスト気をつけて行ってきてください」
何か引っ掛かる言い方をされたが、俺は無事に、NPCを仲間にして律可くんが待つ、洞窟へと向かった。
「来たね」
洞窟の前で律可くんが待っていた。
洞窟の周りにはお店が並んでいて、洞窟へ入る前の準備をする為のようだ。
「その人が仲間?」
律可くんはブルーを見て言った。
「はい、気になったので声をかけました」
「そうか…」
律可くんはブルーを見る。
ブルーは簡単に言えば、軽装の戦士だ。
上半身に青い革製の軽鎧。
腰に剣と左腕にバックラーのような小さな盾を装備している。
「準備はいいのかい?」
律可くんは俺の方を見て聞く。
「もちろん、これまで旅をしてきたからね。
いつでも準備は出来てる」
俺はそう言って頷いた。
「それじゃ、この島の謎を解明しに行こうか」
律可くんはそう言って先頭きって洞窟の中へ進もうとする。
「え?
律可くんも行くの?」
俺の問いに不思議そうな顔をする律可くん。
「もちろん、普通はついては行かないけど、オリジナルAIの俺を呼び出す程なんだし、ついて行くよ。
それに退屈してたからね」
律可くんそう言いながら肩をあげる。
「あ、ちなみに戦闘には一切参加しないから。
俺が参加したら一瞬で終わっちゃうからね。
代わりに道中これで参加するよ」
律可くんは体の前にあるギターに手を置いて笑った。
お待たせしました。
【機械島】のグランドジョブの登場です。
今回の律可くんは、魔集石に取り込まれてはいないようです。
果たして魔集石はどこにあるのか?
そして、【機械島】の秘密とは?
主人公であるあなたなら分かっているかも知れませんが、忘れているようなら、次回をお楽しみに
では、また次回