ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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【機械島】に到着したあなた。
森を抜けてたどり着いたのは1つの町。
そこであなたはすぐにグランドジョブである律可に出会う。
律可から魔集石を見てない事を聞いたあなたは、ひとまずメインストーリーを進める事にした。
果たしてあなたは【機械島】の謎を解くことができたのだろうか?
そして、魔集石のありかはどこなのだろうか?


第26話 【機械島】の謎

「おりゃ!」

ザシュ!

俺は目の前に迫る、機械仕掛けの蜘蛛モンスターを倒す。

ズバ!

横目で見ると、ブルーも1体倒したようだ。

沢山の足と糸を吹き出して襲ってくるこのモンスターはなかなか手強い相手だった。

ブルーはそれを上手く盾で避けながら的確に急所に攻撃している。

「案外強いですね、あのNPC」

肩の上から、魔法で次々とモンスターを倒しているセレスが言った。

(いや、セレスの方がおかしいほどすごいから)

俺はそう思いながら、次の敵へと向かった。

「お疲れ様」

床に座り込む俺に、律可くんは涼しそうに声をかけてくる。

「いや、本当に全然戦闘に参加しないんですね」

そう、律可くんは宣言通り、一切戦闘には参加しなかった。

ただ、彼は俺達の少し離れた場所でギター片手に歌っていた。

別にその歌に何か補助的な効果があるのではなく、ただ戦闘のBGMとして歌ってくれてるようだ。

「静かだと寂しいだろ?」

そう言って律可くんは、戦闘時と違う音楽をギターで鳴らしていた。

「ま、確かにそうですけど…」

この【ホロライブワールド】というゲームは基本通常時BGMはない。

なので、自分で好きな音楽を設定し流す事ができる。

なので、音楽の選択を間違うと感動的なシーンが台無しになってしまう事があったらしい。

ちなみに、この選択失敗はさすがに運営もヤバイと思ったのか、感動的なシーンになった場合、BGMの音量が自動で下げるという方式を採用したらしい。

なので、今はBGMを切って律可さんの生歌で洞窟探索をしている。

(滅茶苦茶快適なのだけど、戦闘中に背後の方で完全熱唱されてると思うと気になって戦闘に集中できないんだよなぁ)

「だいぶ進んだな」

ブルーが洞窟の奥を見ながら言った。

「そうだな」

俺は立ち上がり、回復アイテムを飲む。

回復アイテムは疲れも軽減してくれるから、こういう探索の時は役に立つ。

洞窟に入ってから、もう五回程下に降りている。

「そろそろだよ」

律可くんも洞窟の奥を見ながら言った。

 

それから俺達は洞窟を進んだ。

モンスターも多種多様に出てきたが、全て機械仕掛けの敵だった。

俺とブルーそして、セレスの活躍で手間取りはしなかった。

そして、俺達は目的地の場所に着いたのだった。

 

「ここが最終目的地…」

そこは広い空間だった。

あの後、ぐるりと回るような長い螺旋階段を降りた先にこの場所があった。

そして、その広間の中心に見覚えのある物が横たわっていた。

「やっぱり、そうだったんだ」

俺はそれを見て呟く。

「なんとなく勘づいていたみたいだね」

律可くんが俺の横に並ぶ。

「はい。

この島に入って町まで街道を歩いていたとはいえ、モンスターを1体も見かけなかった。

【ファンタジー】の世界ではありえませんから」

俺は横たわっている巨大な岩を見ながら言った。

輝きを失っているそれは、紛れもなく前に見た浮遊石だった。

【ファンタジー】ではありえないが、【ふぉーす】だったら話は別だ。

あの世界は地上にほとんどモンスターはいない。

モンスターは島にある洞窟や遺跡内部にいる。

「落ちたんですか?」

「そういう設定だね。

実際にあの世界の島が落ちてくる事はないよ」

律可くんはそう言って笑った。

(ま、確かにあの島が落ちるかもしれないなんて話になったら恐怖だもんな)

「ま、キミだから設定って言ったけど、他のプレイヤーには何者かによって落とされたって話になるけどね」

「ええ、俺だけネタばらしですか?」

「ん?

こっち側だろ、キミは」

律可くんは微笑む。

「そうなのかも知れないですけど」

俺はそう言って軽くため息をついた。

「それじゃ、あれもイベントなのか?」

ブルーが何かを指差している。

「え?」

俺はその場所をよく見た。

(横たわる浮遊石の前に誰かいる?)

「…」

律可くんは何も言わずそちらを睨んでいる。

ゆっくりとこちらに近づいてくるソレは、はっきりと見える場所で止まった。

「な、あれは律可くん?」

そう、前にいるその人物は紛れもなく律可くんだった。

「あれは俺であって俺じゃない。

俺のプロトタイプだ」

「え?」

(そんなのあるの?)と頭の中で思ったが言わなかった。

「で、なんでそのプロトタイプがいるんだ?

イベントで出てくるんですか?」

俺の言葉に首を横に振る律可くん。

「あれ!」

肩の上のセレスが指差した方をよく見ると、前髪で見えかくれしていたが黒い宝石のような物が見えた。

「魔集石!」

俺は声をあげる。

「あれが…」

律可くんが呟いた。

「初めて見るんですか?」

俺は鬼斬丸をぐっと握り律可くんに聞く。

「それはない。

ただ、あんな禍々しい物じゃないよ。

いつものやつは」

律可くんはそう言ってギターを消した。

(たぶん戦闘になるから、収納したのか?)

「なんにせよ、あれは敵なんだな」

ブルーが聞いてくる。

「ああ、アレは倒さないといけない」

俺はブルーに答えた。

「おまえが元【世界の答え】か?」

プロトタイプがこちらに向かって聞いてきた。

声も律可くんそっくりだ。

「そうだったらなんだ?」

俺の答えにプロトタイプがニヤリと笑う。

その顔は律可くんが絶対にしないような邪悪な笑みだった。

「いや、特になにも…

ただ、試運転にはいい相手だと思っただけだ。

今までは意識ある者に取り付いていたが、この何もない器だとこれ程動きやすいとは思わなかった」

赤黒い気がプロトタイプを包む。

(確かにこれまでグランドジョブに取り付いていたけど、その事を知っているのか?)

「さて、それじゃ、試運転に付き合っても…」

ダン!

プロトタイプが言い終わらないうちにブルーが飛び出した。

ギン!

ブルーの一撃をプロトタイプはモーニングスターで受ける。

「話ぐらい聞いてはどうだ!」

そのまま押され、ブルーはバックステップで後ろに下がるが、直ぐに追撃の一撃を放つ。

そのまま、ブルーは無言のまま、連続で斬撃を出し続けた。

プロトタイプはモーニングスターを使い防戦した。

「すごい。

プロトタイプとは言え、相手はチート級なのに1歩もひいてない」

俺は正直に驚いた。

まさか、ホロメン達以外にこんなに強いNPCがいるなんて。

「俺も負けてられないな」

俺は鬼斬丸を構える。

「シオンちゃん」

絆を使ってシオンちゃんから魔力をもらう。

「【紫電・纏】」

俺は紫の雷を身に纏った。

そして、プロトタイプの右に回り込んで突撃した。

「はぁ!!!」

刀を振りかぶりプロトタイプへと振り下ろす。

プロトタイプはそれに気付き、ブルーにモーニングスターで強烈な一撃を放ち、ブルーを吹き飛ばす。

ちらっと見たが、きちんと盾で防御していた。

(なら!)

俺は遠慮なくプロトタイプに打ち込む。

ガキィ!

しかし、その一撃はモーニングスターで防がれる。

だが、想定内。

「いろはちゃん!」

絆の力でいろはちゃんの力の一端を借りる。

「【八葉】!」

侍の上位技。

今の俺にはまだ使えないが、いろはちゃんの補助があればやれる。

プロトタイプは急所をモーニングスターで守りながら、攻撃を受けた。

(そのまま行く!)

俺は畳み掛けるように攻撃を繰り返す。

プロトタイプは防戦一方。

(やれるのか?)

俺の脳裏にそんな期待がよぎった。

しかし、一瞬俺は見た。

プロトタイプがニヤリと笑ったのを。

ガ!

その時だ、

プロトタイプが俺の刀に合わせるように攻撃した。

一瞬、俺は動けなくなった。

目の前で大きく振りかぶられるモーニングスター

そして、容赦ない強烈な一撃が俺に向かって振り下ろされようとしていた。

(くそ、【強打】か)

麻痺した体で俺は覚悟を決める。

視界の端でブルーもまだ片膝を地面につけていた。

(そうか、あの時の一撃も)

ブルーを吹き飛ばした一撃も【強打】なのだと気づく。

振り下ろされるモーニングスター

ドカ!

「うわぁ!」

吹き飛ばされる俺。

俺は目の前を見る。

「大丈夫?」

そこには、俺を吹き飛ばし、代わりにモーニングスターをモーニングスターで受け止める律可くんがいた。

「一端立て直す」

律可くんはそう言って、プロトタイプをモーニングスターで押し退ける。

プロトタイプはそれに合わせて大きくバックジャンプした。

「すまない、動けなかった」

ブルーがこちらに合流。

「いや、たぶん【強打】を打ち込まれたんだろう、俺も動けなかった」

俺はようやく自由に動くようになった体を起こす。

「ようやく慣れてきたよ」

プロトタイプが肩を回している。

「くるぞ、構えろ」

律可くんの言葉に俺達は臨戦態勢をとった。

そんな俺達を見て笑うプロトタイプが、モーニングスターを振り上げる。

そして、横凪をした。

(距離はかなり離れているのに何故?)

そんな俺の答えを嘲るように、モーニングスターはその大きさを変えていった。

「そんなのありか」

「これも俺の持つ力の1つだ」

律可くんは迫りくる巨大なモーニングスターを受け止める。

続いてブルーも盾を構えて、モーニングスターを抑えにかかる。

(俺も見てるだけじゃない)

「ノエルさん」

ノエルさんの力を借りて、俺はモーニングスターを抑えた。

「やるなぁ~」

バカにするような声でプロトタイプが言う。

「なら、これでどうだ?」

ドン!

「くそ」

抑えたモーニングスターから新たな衝撃が体に流れる。

(また、【強打】)

相手はチート級、麻痺に抵抗が出来ない。

そのままの大きさのモーニングスターが振り上げられる。

「潰れろ」

そして、その巨大なモーニングスターが動けない俺達に振り下ろされた。

「く!」

ドガァ!

凄まじい音をあげながら、巨大なモーニングスターは俺の眼前の地面をえぐる。

「すいません」

俺は助けてくれた律可くんにお礼を言った。

「構わないよ。

キミがやられたら一大事だからね」

「ブルーは?」

「たぶん、モーニングスターの向こう側だね。

蹴り飛ばす形になったけど、やられてないはず」

俺はなんとか立ち上がる。

「今から俺がアイツを止める。

その間に2人にはやってほしい事がある」

律可くんはそう言って、ある事を俺に伝えた。

「頼んだ」

律可くんはそれだけ伝えると、プロトタイプの方へと走る。

プロトタイプは律可くんが迫っているのに気づいて応戦する。

俺は、モーニングスターがえぐった地面の向こうに倒れているブルーを見つけ、かけよった。

「大丈夫か?」

「あ、ああ、なんとか」

ブルーは体を起こす。

「直撃は避けれたが、衝撃でこの様だよ」

「ポーション使って」

俺はアイテムボックスからポーションを取り出して渡した。

「助かる」

ポーションを使うブルーに、俺は律可さんから言われた事を伝える。

「なるほどな。

分かった、やってみるよ」

ブルーはそう言って立ち上がる。

俺も刀を持ち、律可さんの方を見る。

実力はほとんど互角。

俺は刀をぎゅっと握りしめ覚悟を決めた。

「用意はいいか?」

「【紫電・纏】

いつでもいける」

シオンちゃんの絆の効果が切れた今、俺は自分で魔法を使う。

「じゃ、いくぞ」

ブルーの合図に頷き、俺達はプロトタイプの左右へと別れて動く。

(しかし、やはりすごい。

今の俺のスピードはチート級のはずだけど、ぶるーはそれに完全についてきている)

俺は反対側へと移動するブルーを見ながら思った。

そして、俺達はほぼ同時に、律可くんの攻撃を受けているプロトタイプへと攻撃した。

ガガ!

俺達の攻撃はプロトタイプへとヒットする。

しかし。

「足りないな」

律可くんの攻撃を受け止めながら、プロトタイプは言った。

俺達の一撃は、プロトタイプの背中から現れた浮遊するシールドに防がれていた。

「甘いな、チートを倒せるのはチートだけだ」

「そうだろうな」

俺はプロトタイプにそう答える。

「だが、おまえの弱点は露出させたぜ」

「!!」

ズガァ!

「な、なに!」

プロトタイプの背中から鋭く尖った木の根が突き刺さった。

俺達はプロトタイプからバックステップで離れる。

「おまえの言った通り、チートからの攻撃だ」

俺の言葉にプロトタイプは後ろを振り返る。

そこには、ポツンと立つセレスがいた。

「くそ、感知出来なかった…」

プロトタイプはそう言うと首がガクッと項垂れて、目から光を失った。

カツン

乾いた音と共にプロトタイプの額から、透明になった魔集石が落ちる。

俺はゆっくりと魔集石に近づいた。

「大丈夫、あの嫌な気配はありません」

肩に乗ってきたセレスが言う。

俺は頷き、魔集石を拾った。

『【魔集石】を手に入れた』

(これで5つ…)

俺は魔集石をアイテムボックスへとしまった。

「やったな」

律可くんが肩をポンと叩く。

「はい、律可くんが教えてくれた弱点のお陰です」

そう、律可くんがあの時に教えてくれたのは、プロトタイプの弱点だった。

律可くんは違うらしいのだが、プロトタイプは背中に稼働する為の電池が内臓されていた。

普段は自動防衛式の浮遊盾で、その部分を覆っているらしいが、俺とブルーの全力攻撃に反応して盾が動いた。

盾がなくなったとしても、チート級の防御力を突破するにはかなりの力が必要だった。

そこで、俺はセレスに頼み、最後の一撃を放ってもらったというわけだ。

「さ、帰ろうか」

「そうですね、ブルーもありがとう」

俺の言葉に頷くブルー

そして、俺達は地上へと戻のだった。




【機械島】の謎。
そして、律可くんからのクエストをクリアしたあなたは、一端地上へと戻ります。
5つの魔集石を集められたあなたは、これから最後の舞台へと進みます。
果たしてあなたに待ち受けているものとは?
次回またお会いしましょう。
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