ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
そして、その【世界の答え】が世界の脅威となった。
俺はノエルさんの提案で今後の事を大神ミオちゃんのところに相談しに行く。
途中、白上フブキちゃんと出会い、共にミオちゃんのところに向かった俺達。
そして、対策の話の中、聞きなれない【新世代first】という言葉が出てきた。
「新世代first?」
俺はフブキちゃんが言った聞きなれない言葉を繰り返す。
「そう、新世代first」
「確かに…
でも、彼女達はまだデータが揃ってるだけだよ。
いわばまだ作られていないプラモデルみたいな状態」
フブキちゃんにミオちゃんが言う。
「確かにね。
運営もまだまだ実装が先だから、そこまで着手してない」
「だったら…」
「でも、この世界にそういうのが得意なホロメンがいるじゃない?」
フブキちゃんに言われてはっとするミオちゃん。
「いたいた」
『博衣こより』
2人の声がハモる。
「えっと、話についていけないんですが」
「あ、ごめんごめん」
ミオちゃんが俺の方を向く。
「じゃ、説明するね」
フブキちゃんが人差し指を立てて説明し始めた。
「新世代firstについてなんだけど。
キミはリグロスって分かる?」
フブキちゃんの質問に??になる俺。
「はは、相変わらずだねキミは」
フブキちゃんは笑う。
いつの間にか机に移動しているセレスは、小さなため息をつきながら両手を広げて首を横に振っていた。
「ま、詳しい説明は別の機会にキミの友人くんに聞けばいいよ。
簡単に言うと、白上達の後輩にあたる娘達。
あ、ちなみにリアルの方ね。
ただ、いろいろあって7期生って訳じゃないの。
それで、そのリグロス達もこの【ホロライブワールド】に実装する予定なんだけど」
「さっきも言ってたように、まだパーツだけ揃ってる状態なの」
フブキちゃんの後をミオちゃんが引き継ぐ。
「それで、少し荒事になるんだけど、こっちから運営のデータバンクに侵入して、勝手にリグロス達を完成させて、今回の手助けをしてもらおうと思ってる」
(いや、めちゃくちゃ荒事ですよ、ミオちゃん)
「だ、大丈夫なんですか?」
「ま、たぶん、どうにかなるっしょ」
そう答えるフブキちゃんの笑顔は、もう悪ガキそのものだった。
「今回は緊急事態だし、戦力が必要なのは本当だから。
それに彼女達は、最新鋭の方法でデータを取っているからかなりすごい」
「え?
ホロメン達より?」
俺の言葉に頷くミオちゃん。
「ま、戦えばどっちがっていうのはおいといて。
彼女達はリアルのリグロス達から思考データを複製してAI化。
ま、これはうち達も一緒なんだけど。
キャラ製作にはフルスキャンを使用しているの」
「あ、最近導入され始めた?」
「そう、だから、彼女達はほぼリアルと同じと言っても過言ではないわ」
「それにそれに」
ミオちゃんの横からフブキちゃんが身をのり出す。
「彼女達はGM専用装備であるGMブレスレットのようなリグロスブレスレットを装備予定」
「え?え?
GMブレスレット?
リグロスブレスレット?」
「ま、簡単に言うとね。
変身ブレスレットみたいな物よ」
ミオちゃんが笑いながら答える。
「ああ、萌える。
戦隊モノ」
恍惚とした顔のフブキちゃんは置いといて。
「それで、キミにはお使いを頼みたいの」
ミオちゃんは胸元から1枚の手紙を取り出す。
「これを【魔王城】の中のショップにいる、こよちゃんに渡して」
「こよりちゃんにですか?」
俺は手紙を受けとる。
「ええ、詳細はその手紙に書いてるから」
(いつの間に?)
「分かりました」
俺はミオちゃんに頷き、立ち上がる。
セレスはちゃっかり肩に乗っていた。
「また、この世界の命運を託しちゃうね」
ミオちゃんは少し悲しそうな顔で俺を見上げる。
「あまり力になれなくてごめん」
フブキちゃんも微笑んでいるが辛そうだ。
でも。
「今回は初めからみんながいますから」
(そう、俺にはホロメンみんなとの絆がある。
それにセレスもいてくれるし)
肩をチラッと見ると、セレスは胸を張って頷いている。
「だから、大丈夫です」
俺の言葉にミオちゃん、フブキちゃんは頷いた。
「それでは行ってきます」
俺は2人と別れ、次の目的地【魔界】にある【魔王城】へと向かった。
(確か今はholoXの居城なんだよな。
前はちょこ先生が魔王してた)
俺は今【魔王城】の前にいた。
最近は一度行った場所へのワープポータルも充実してきて、【裏世界】にも繋がるようになったのが大きい。
「じゃ、行くか」
「はい」
俺はセレスにそう言った後、【魔王城】へと入った。
こよりちゃんのいるショップまでは、以外に簡単に行ける。
ただ、さすがに【魔王城】
モンスターは出てくる。
俺とセレスは連携しながらモンスター達を倒し、目的地に向かった。
「お、戦士のレベル上がってる」
ショップの前に来て、俺は自分のステータス画面を確認する。
友人と会った後、俺は職業を戦士に変えていた。
「技も覚えているみたいですね」
セレスがステータス画面を指差す。
「【強打】か。
なかなか使えそうだな」
技の説明文を見ながら頷く。
「さ、店に入ろう」
俺はステータス画面を閉じて、ゆっくりとドアを開けた。
カランカランとドアの上に付いている鐘が鳴る。
しかし、カウンターには誰もいない。
(おかしいな。
普通は店番用のこよりちゃんがいるはずなんだけど…)
「ふぁ~」
あくびをしながら、カウンター奥の暖簾からこよりちゃんが出てきた。
(いや、めちゃくちゃ寝起きの服装なんですけど?
服から肩が出てしまってる)
俺はあっけにとられてこよりちゃんを見ていた。
「昨日の夜はちょっと研究に没頭しすぎてしまいましたぁ。
えっと気付けポーション、気付けポーションはっと」
独り言を言いながら、カウンターの棚をごそごそあさるこよりちゃん。
(なんかシャツしか着てないっぽいんですけど?
いいのかこのサービスシーン。
全年齢対象ゲームですよ?)
「あったあった」
こよりちゃんはお目当ての物を見つけたようで、そのポーションを持ってこちらを向いた。
そして、俺と目が合う。
「…」
「…」
「ん?クロニーでも通った?」
セレスがぼぞっと呟いた。
そして。
「うわぁぁぁぁ、きゃぁぁぁぁ~」
店じゅうにこよりちゃんの悲鳴が木霊した。
「な、な、な、な、な、な、なんでいるんですか?
というか、なんで見えて???
店番用のこよりはどこに?」
こよりちゃんは胸を隠しながらその場に座り込んだ。
カウンターの中にいるから今は見えない。
「え、えっと、初めから誰もいなかったよ?」
俺は照れながら答える。
ひょこっとカウンターから顔だけ出すこよりちゃん。
「そ、そうでした。
キミはそれを持っているんでしたね」
こよりちゃんは恨めしそうに俺の胸元、ペンダントを見た。
「はぁ~
気を抜いていたこよりも悪かったですけど。
いたならすぐに声をかけてくださいよ」
「いや、めちゃくちゃ可愛いかったから」
(眼福でした)
ぼっと音が出るように顔を赤くするこよりちゃん。
「もう、いいです。
着替えてきますから、後ろを見ててください」
俺はこよりちゃんに言われた通り後ろを向いた。
トトトと音がして暖簾がすれる音がする。
カウンターの奥に入っていったみたいだ。
そして。
「お待たせしました」
その声に俺は振り返る。
そこにはいつもの白衣を脱いだ服装のこよりちゃんが立っていた。
「それで、【世界の答え】さんが何を求めてこられたんですか?」
なんか言葉にトゲがあるような…
「えっとこれを…」
俺はミオちゃんから受け取った手紙を、こよりちゃんに渡す。
「ん?」
受け取った手紙を読むこよりちゃん。
「はぁ~
相変わらずの厄介事体質ですか…」
「よく言われます」
ため息混じりのこよりちゃんに俺はすまなそうに言う。
「ま、最近退屈でしたから、こより的には嬉しいですけどね」
こよりちゃんがニヤリと笑う。
「では、こちらに」
こよりちゃんは、カウンター奥の暖簾をあげる。
俺はこよりちゃんの後について暖簾の奥へと入っていった。
「ここはプレイヤーが入れる場所じゃないんですよ」
そう言ってこよりちゃんに案内された場所は、部屋じゅうに画面が浮かぶところだった。
「さてと」
真ん中にある席に座る。
「ミオ先輩からのお墨付きですからね。
暴れちゃいますよ」
手元に浮かび上がるキーボード。
「えっと、まじで運営のデータベースに?」
「はい?
もちろんです」
後ろに立つ俺にこよりちゃんはにこやかに笑って答えた。
「悪そうな顔してます」
肩のセレスの言葉に俺は心の中で同意した。
「さささ、マッドサイエンティストこよりちゃんの腕をご覧あれってね」
そして、凄まじい速さでキーボードをうち始めるこよりちゃん。
顔は動かず目だけが様々な画面を見ている。
「す、すげぇ」
「これはムメイもびっくりでしょうね」
俺とセレスは小声で言った。
「はい、侵入っと」
タン!
とキーボードを叩く。
「え?
もう?」
「はい、今からだいたい1時間くらいは見つかりませんよ」
「そ、そうなんだ」
「さてさて、時間がないですし、ここから一気にいきますよ。
でも、5人のデータを組み上げるには、さすがのこよりちゃんでも辛いですねぇ。
というわけで、あれをもらってますし使いましょう」
こよりちゃんがミオちゃんからの手紙を取り出し、中からお札を1枚取り出す。
「それは?」
「あ、これですか?
ミオ先輩特製分身の札です」
俺にそう答えたこよりちゃんが額に札を張ると、いきなりこよりちゃんが5人に増えた。
「うぉ!」
俺は一歩下がる。
「さ、さ、こより達やりますよ」
オリジナル?のこよりちゃんの言葉に「お~」と残り4人が手を上げ、各々椅子を出現させて座る。
「では、リグロス実装計画開始!」
開始の合図と共に5人のこよりちゃんが一斉にキーボードを操作し始めた。
たくさんの画面に数字や文字が川のように流れていく。
その中に一人一人のキャラが表示されている画面があった。
「この5人がリグロス。
新世代firstか…」
それからちょうど1時間。
こよりちゃん達の作業が終わり、こよりちゃんは1人に戻って、カフェモカを飲んでいた。
「ふぅ~
仕事の後の一杯は格別です」
「もう、終わった?」
俺はこよりちゃんに声をかけた。
「もちろんです。
この天才こよりちゃんに不可能はないですよ」
胸をはって答えるこよりちゃん。
「じゃ、これで新たな5人の力を貸してもらいながら旅すればいいのか。
で、どこ?」
俺は辺りを見回した。
「あ…」
こよりちゃんが罰悪そうに声を出す。
「ん?」
「あ、そっかぁ、一緒に旅かぁ…」
「あれ?
こよりさん?」
俺はこよりちゃんを不思議そうに見る。
「えっと、実はですねぇ…」
こよりちゃんは、はははと笑いながら言った。
「はい?
この世界のどこかに転移している?」
「そう、5人ともキャラは完全に出来たんだけど、転移する場所の特定はしてなくて、今頃5人とも別々にこの【ホロライブワールド】にいる、かな」
てへっと舌を出すこよりちゃん。
「な、天才こよりちゃん!?」
「あ~あ~
聞こえません。
天才にもこういう些細な事はあるんですぅ」
耳を押さえて首を振るこよりちゃん。
「はぁ~
そう言う些細な事で失敗するんだよ」
「聞こえてますけど?」
「タイミングいいなぁ!」
耳から手を離してジト目で見てくるこよりちゃん。
「ま、まぁ、やってしまったのは仕方ないよ。
それで、その新世代firstと合流する方法はある?」
「え?
あ、あぁ、その点は大丈夫ですよ。
彼女達にはキラー設定を付属しておきました」
にこにこ笑顔のこよりちゃん。
「キラー設定?」
(イヤな予感しかしないんだけど…)
「はい、彼女達は【世界の答え】すなわちキミを狙うように設定しておきました」
(やっぱりぃ~)
「な、なんでそんな設定を?」
「いやぁ、こより達は元々、キミの敵ですし。
なんか面白いかなと」
「いや、本音出てる。
まじかぁ、俺、新世代firstに狙われるのか?」
「なので、自ずと彼女達はキミの元に現れますよ」
「いや、敵としてじゃん」
「ははは、そこはほら、こより達を篭絡させた手腕でちょちょいと」
「こよりちゃん…」
(はぁ、敵が増えちゃってるよ)
「がんば!」
ぐーと指を立てるこよりちゃん。
(はぁ、前途多難だ)
その後、俺達は店の方へと移動した。
「ちなみにメインストーリーを進めたいんだけど、どうしたらいいか分かる?」
カウンターにいるこよりちゃんに聞いてみる。
「そうですね。
ヤゴー王に会った後ですよね?
それなら、【ホロライブ城】の入り口の騎士さんに声をかけて地図をもらってください。
その後は地図を見て印のある場所に行けばOKです」
「分かった。
ありがとう。
いろいろあったけど助かったよ」
「はい、頑張ってくださいね。
こよりはいつもここにいますので、何かあったら来てください」
こよりちゃんはそう言って手を振る。
俺はこよりちゃんに手を振り返しながら店を出た。
「また、戻らないといけないですね」
「ああ」
肩のセレスにそう返事をして、俺は今一度【ホロライブ城】へと向かうのであった。
【新世代first】の登場となりました。
実際にはまだ出てはきていませんが、のちのち登場するリグロスの皆さんのAI達。
この世界【ホロライブワールド】でどのような登場をするのか、ご期待ください。
そして、次回よりあなたの本格的なメインストーリーが始まります。
次々と出会う【グランドジョブ】はあなたの敵か味方か?
では、次回もお楽しみに