ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
このはが言うようにあなたは消えゆく【ホロライブワールド】を黙って見守ることしか出来ないのだろうか?
それとも、新しい道を進む事になるのだろうか?
何度見ても、あなたの目の前に現れるのは、赤いメッセージだった。
『現在緊急メンテナンスの為、【ホロライブワールド】をプレイする事はできません』
その文字が変わることはなかった。
あなたは携帯を見る。
攻略サイトにアクセスしたり、公式ページにアクセスしたが、何も進展はなかった。
急なログアウト。
緊急メンテナンス。
このゲームをしている全ての人が混乱していた。
SMSでは、様々な考察が飛び交い、公式への誹謗中傷が書かれている。
あなたは携帯を置いて、寝転がる。
いくらゲームの中でホロメンと絆を深めても、現実に戻ればこんなものだ。
何も出来ない。
何も情報がこない。
所詮ゲームだったのだろうか?
あなたはそんな事を感じながら天井を見ていた。
どのくらいそうしていたのだろうか?
静かだった。
何も音が聞こえない。
現実世界はここまで静かだったのだろうか?
外を見たあなたはいつの間にか夜になっている事に気がついた。
カレンダーを見る。
幸いあなたは明日と明後日は休みだった。
何をするのかあなたは考える。
休みといえば、【ホロライブワールド】だった。
たくさんのゲーム仲間。
ホロメンとの冒険。
セレスに世界を見せる約束。
あなたはたくさんの時間をこのゲームで過ごしていた。
それがなくなる。
あなたにとって人生の一部になっていたゲームが終わる。
あなたの胸にすごい喪失感があった。
慌ててヘッドギアを付ける。
しかし、何度やってもあなたの目の前に現れるのは、赤いメッセージ。
力なくあなたはその場に座り込み、ヘッドギアを外した。
これで本当に終わってしまうのか?
ゲームなのだから運営がどうにかしてくれる。
そう、あなたは思いたかった。
しかし、今まで冒険してきたあの世界は、もう別の世界と言っていいほどだった。
運営を越える何かがあの世界にはあった。
だったら、あの世界は本当に終わってしまうのか。
あなたはいつしか涙を流し、そのまま暗闇に包まれていった。
ピピピピピ
いつの間にか寝ていたあなたを、アラームのような音が起こした。
あなたは携帯を見る。
しかし、その画面は真っ暗だった。
何の音だろうか?
あなたは周囲を見渡した。
ヘッドギアのサイドランプが光っている。
あなたは慌ててヘッドギアを被った。
ゲーム選択画面であなたは、画面端にメールのようなマークがあるのに気がついた。
あなたはそのメールのマークを選択する。
するとメールが開いた。
そこには辿々しい日本語の文章が表示された。
『あなたの力が必要。
まだ、あの世界入れない。
だから、あなた、こちらから行く。
ゲームの中の彼女が用意した。
だから、あなたは行って。
そして、私達を助けて』
そう書かれたメッセージの後に、あるゲームのリンクが張られていた。
あなたはそのメッセージが誰からなのか分からなかった。
しかし、あなたは迷わずそのリンクを選択する。
そして、あなたの目の前にゲームの開始画面が始まった。
ゲームの名前は【ホロライブワールドEN】
セレス達ホロライブENがいる【ホロライブワールド】だった。
「ついたのか?」
俺は辺りを見回した。
そこは荒れた広野の真ん中だった。
「すまないな、こんなところが始めてのログイン場所で」
「え?」
背後の声に俺は振り返る。
そこには【偽会】が立っていた。
いや、本物の【議会】か?
「前の時は、我々の偽物が迷惑をかけたな」
5人の真ん中に立つハコス・ベールズが腕組みしながら言った。
「いえ、案外楽しかったですから」
俺は5人を見てそう答える。
「ふ、じゃ、またやってみるか?
本物の私達と」
ハコスの隣に立つオーロ・クロニーが言う。
「やめときますよ。
やるならもう決着ついてるじゃないですか、あなた達が本気を出せば」
俺は苦笑した。
「確かにね」
「さすがは元【世界の答え】」
七詩ムメイ、九十九佐命は微笑み合いながら言った。
すっと5人の中の1人が前に出る。
「セレス…」
俺は彼女との旅を思い出した。
「あの子に変わってお礼を言います。
ありがとう。
彼女は私自身ではないけど、あの子の楽しい気持ちや嬉しい気持ちは、私に伝わっていました」
「セレスは、【偽会】のセレスはどうなりました?」
俺はセレスに、あの時俺を庇ってくれた【偽会】のセレスの事について聞いた。
「あの子は無事です。
今はあの世界からこちらに戻っていますが、大丈夫」
「そうですか」
「おい、そろそろ行かないとだろ」
ハコスが真剣な表情で言う。
「はい」
俺は自分が何をする為にここに来たのかを、自分の中で再確認する。
「ムメイがおまえのキャラデータを再構築している。
向こうに行ったら、元の体になっているからな」
ハコスに言われ俺は今の自分の姿を見る。
(確かに、今の姿はゲーム初期のデフォルトキャラだな)
ブゥン
クロニーが空間にワープホールを作り出した。
「ここに入れば、あの世界に行ける」
ぶっきらぼうにクロニーが言った。
「本当はダメなんだけどね、ワールド移動は」
佐命は笑いながらそう言うと、俺に何かを渡してきた。
「これは?」
くれたのは5つの宝玉。
「これからの戦いはあなたが思っている以上のものになるでしょう。
なので微力ですが、私達の力をあなたに渡します」
セレスがそう言って俺の手をとる。
「必ず無事で」
俺はセレスに頷く。
そして、4人の【議会】にも頷いた。
「いってきます」
俺はワープホールの前で5人に言った。
「はい」
「ばいばい~」
「ふん、負けるなよ」
「またいつかね」
「ここまでしてやったんだ、何がなんでも勝て」
それぞれの言葉を胸に、俺は5人に手を振りながらワープホールに入った。
行く先がどうなっているのか分からない。
でも、
(その世界を俺は必ず元に戻してみせる)
そう心に誓った。
あなたがワープホールに入った後、5人はそのワープホールを見ていた。
「いいのか?
本当の事を伝えなくて」
ハコスはセレスに言った。
「ええ、今、真実を伝えたら、あの子の意思と彼の心に揺らぎができてしまう」
セレスはうつむきながら言った。
ハコスが言ったのは、【偽会】のセレスの事だ。
このはがあなたを強制ログアウトした後、【ホロライブワールド】を改竄しようとした時、自らの存在、超AIの力を全て使ってこのはの動きを封じた。
そのせいで現在【偽会】のセレスは、活動を停止していた。
【偽会】のセレスの動きを感知できる【議会】のセレスが、なんとか基本キャラデータは自分の中に呼び寄せ保管している。
ブゥン
クロニーがワープホールを閉じる。
「現在の状況は?」
クロニーがムメイに聞いた。
「はっきりとは分からないけど、かなり侵食されてる。
このはではなくて、彼女が作り出したホロメンDEによってね」
「ディープエビルか。
実在してはならない負の存在を【魔集石】で作るとはな」
「もう、あっちに行ってプチっとしてきたい」
「おいおい、世界が違う意味で終わるだろ」
頬を膨らませて言う佐命にハコスが言った。
「今はヤツに頼るしかない。
【ホロライブワールド】は【世界の答え】としてではなく只のプレイヤーに今回は委ねられたんだ」
ハコスの言葉に頷き合う4人。
そして、破滅に向かう【ホロライブワールド】へと思いを向けた。