ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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ミオDEの新の姿に押されるあなたとリグロスグリーン。
そして、一瞬の隙が出来たリグロスグリーンに、ミオDEの強烈な一撃が放たれたその時、新たな助っ人が現れた。
助っ人の助言で、共にミオDEにお札を貼ったあなたは、凄まじい光に包まれた。
果たして決着の行方は?


第32話 【ゲーマーズ】戦決着 次なる世界へ

「大丈夫かい?」

「え、フブキちゃん…」

倒れていた俺の上半身を支えるようにフブキちゃんが覗き込んでいた。

「は、はい、なんとか」

俺は体を起こして自分を見た後、辺りを見る。

自分はフル解放の状態は解けて、普段の格好になっている。

らでんちゃんも変身が解けた状態で横になっていた。

「大丈夫だよ。

少し気を失ってるだけ」

フブキちゃんはそう言ってからある場所を見る。

俺はほっと胸を撫で下ろし、フブキちゃんが見ている方を見る。

そこには下を俯いてダランと手を伸ばし、少し空中に浮くミオDEがいた。

「どうなったんですか?」

「分からない。

あの札にはミオの大神の力がかなり込められてたから」

フブキちゃんも静かに見守る。

ミオDEはゆっくりと顔をあげた。

その目は先程のような血走った目ではなく、優しさを感じられる目だった。

空中を滑るようにゆっくりと近づいてくるミオDE。

そして、俺達から少し離れた場所で止まった。

「ありがとうございます」

そう、静かだが、凛とした声でミオDEはこちらに向かって言った。

『え?』

俺とフブキちゃんはきょとんとした顔でミオDEを見た。

「大神の力を受けることで、私の中にあった負の力が完全に消え去りました。

今の私はフェンリルの化身ではなく、大口真神の化身へと転神できました」

「大口真神?」

「なるほど…」

意味が分かってない俺に対して、フブキちゃんは頷く。

「意味が分かったんですか?」

「なんとなくね。

フェンリルって神様を飲み込むほど大きな口を持った狼だったんだよ。

そして、大口真神って言うのは大きな口をしている狼って意味がある」

「あ!」

「そう、2つの狼は全く別の神のお話に出てくるんだけど、共通点があるんだ」

「なるほど、それが今回、大神の力の影響で」

「そういう事だろうねぇ」

「じゃ、もう戦わなくていいのか?」

俺はミオDEに聞く。

「はい、私に戦う意思はありません。

なので、核である魔集石もお返しします」

「あ、ありがとう」

俺はほっとする。

「ただ、その前に迷惑をかけたお礼として、1つあなたに加護を授けようと思います」

「加護?」

「はい、核を渡してしまえば、私は消えてしまいます。

その前に…」

そう言ってミオDEは俺に両手を向ける。

そして、何かを唱えた。

暖かい何かに包まれる感じがした。

「これは?」

俺は両手を広げて見た。

「大口真神の加護の1つ、【道を極める】力を付与しました」

「【道を極める】…」

「はい、必ずそれがあなたの力になりましょう。

では」

ミオDEがフブキちゃんを見る。

お互いに頷いた。

ミオDEが消えていく。

「私が消えた後の核はあなたに託します。

他のDE達が私のようになるとは思いません。

厳しい戦いになるでしょう。

しかし、あなたにはたくさんの仲間がいるという事を心に思い、信じてください」

そして、ミオDEは静かに光の粒子となって空に上がっていった。

フブキちゃんが消えたミオDEの足元に落ちた魔集石を拾い上げる。

「はい、これ」

振り向いたフブキちゃんが俺に魔集石を渡してきた。

「ありがとうございます」

「ううん、こっちこそ、この世界の為に来てくれてありがとうね」

フブキちゃんも消えかけてる。

「え?フブキちゃん?」

「緊急召喚みたいなものだからね。

もう、戻らないと。

ここから先は、そっちで寝てる彼女が付き添ってくれるよ」

フブキちゃんはらでんちゃんを指差した。

静かに胸を上下させて寝ているらでんちゃん。

「これから大変な事が続くかもしれないけど、少しずつこっちも持ち返してるから。

だから、必ず手助けに行く。

だから、負けないで」

ぐっと握り拳を作りフブキちゃんは微笑んだ。

「はい」

俺もぐっと握り拳を作り、フブキちゃんの拳に合わす。

フブキちゃんはそれを見るとにこっと微笑んで、消えていった。

残される俺とらでんちゃん。

俺はフブキちゃんから受け取った魔集石を見る。

(確か、Aちゃんが鬼切丸に魔集石を回収する機能を付与してくれたって言ってたな)

俺は魔集石を鬼切丸に近付けた。

すると魔集石が細かく震えだして、そのまま鬼切丸の頭に付いているペンダント部分に吸い込まれた。

『魔集石を回収しました。

アップデートを開始します』

突然機械音声が頭の中に響いて、鬼切丸が強い光を一瞬放った後、また元に戻った。

(これでアップデートが終わったのか?)

「ん、んぁ」

「らでんちゃん?」

俺はらでんちゃんの方を見た。

ゆっくりと起き上がるらでんちゃん。

「あ、あれ?

もしかしてもう終わっちゃいましたか?」

俺はらでんちゃんの側に駆け寄る。

「うん、なんとかなったよ」

「そうですか」

らでんちゃんはその場に体を起こし、座り込みふぅっと息を吐く。

「まずは1人目って事ですかね?」

らでんちゃんは俺を見ながら言った。

「そうだね。

あと4人残ってる」

「はは、先は長いですが、休んでもいられませんよね」

らでんちゃんはすっと立ち上がった。

「大丈夫?」

「はい、もちろん。

これでもチートキャラですよ。

少し寝たら体力も満タンです」

らでんちゃんは元気に答えた。

「よかった」

俺は鬼切丸をアイテムボックスにしまった。

「フブキ先輩は?」

「強制召喚扱いだったらしく、元の場所へ」

「そうですか…」

残念そうならでんちゃん。

「後はらでんちゃんと進んでって言ってたよ」

「そうなんですか?

仕方ないですね。

戦力は落ちてしまいましたが、らでんがいれば大丈夫?だと思いますので、先に進みましょう」

「なんで疑問系?」

「ほらほら、そんな小さい事は気にせず行きますよ」

らでんちゃんが俺の背中を押す。

「いや、行くってどこに?」

「それはもちろん【世界の壁】次なる世界【バーチャル】へ」

「いや、ここから【世界の壁】って滅茶苦茶遠いですよ」

「う」

らでんちゃんは俺を押すのを止めた。

「確かにそうですね…

では」

らでんちゃんはそう言って扇を開いてパン!っと軽快な音を立てて閉じた。

するといきなり目の前にサイドカーの付いたバイクが現れる。

「なんか見覚えあるような…」

俺はそのバイクをじっと見た。

「そうだ!

あの時に使ったGMバイクに似てるんだ」

「それはもちろん、あれを元にしてますからね」

そう言ってらでんちゃんはサイドカーにぴょんと乗り込む。

「え?」

「何をぼーっとしてるんですか?

これに乗っていきましょう」

「えっと俺が運転?」

「もちろん、らでんのこの格好で運転できると思います?」

(ま、確かにゴスロリ衣装だしな、今は)

「了解です」

俺はバイクにまたがる。

(感じが本当にGMバイクだな)

「どうですか?

いけそうかな?」

「大丈夫そうです」

俺は感覚を思い出しながら、アクセルを回す。

軽快な音をたててバイクが走り出した。

「これって空飛んだりしますか?」

「いや、バイクは飛ばないでしょ」

当たり前の返事が返ってくる。

「じゃ、しっかりと乗っててくださいね」

「いえーい!」

隣で両手を上げてはしゃぐらでんちゃんを乗せて、俺は目的地である【バーチャル】へと続くゲートがある【世界の壁】へと向かった。

 

「着いた」

「では、ここで一旦休憩にいたしましょう」

【ゲート】の近くにテントを取り出し設置するらでんちゃん。

「休憩ってそんな時間なんて」

俺の言葉に首を横に振る。

「今のキミは、ログアウト出来ない状況になってるんです。

休める時に休まないと体がもたないですよ」

(確かに、頭痛はだいぶ和らいだけど、なくなった訳じゃない)

「なので、寝る事で休んでください。

その間の安全はこのらでんちゃんに任せてくださいな」

「え?

でも、らでんちゃんも休まないと」

俺の言葉に優しく微笑むらでんちゃん。

「お気持ちは嬉しいですが、一応、リアルと違って私はAIですから」

「あ。

うん、そうだね、お言葉に甘えるよ」

「はぁい、そうしてくださいな。

少しだけにはなりますが、お休みください」

らでんちゃんに頭を下げて、俺はテントの中でしばしの休憩をとった。

 

 

「おはようございます」

「あ、おはよう」

らでんちゃんに起こされて目を覚ます。

「だいぶ寝た?」

「いえいえ、1時間程です」

「そっか」

(それでも、頭痛は消えている)

「ありがとう、らでんちゃん。

ゆっくりと休めたよ」

「それはようございました」

俺達はテントを出た後、後片付けをして、【ゲート】の前へと向かった。

「やっぱりここにも門番がいないんだね」

「この世界がそれほどおかしくなってるということでしょう」

「それじゃ」

「はい」

俺達はお互い頷きあって同時に【ゲート】に飛び込んだ。

ガン!

「イタ!」

「へ?」

らでんちゃんが何かにぶつかった音を聞いて、俺は【ゲート】へと飲み込まれた。

 

ちょっとした【ゲート】酔いでくらくらしたが、無事に【バーチャル】に着いたみたいだ。

(らでんちゃんは?)

周りを見渡すがらでんちゃんの姿はない。

すると突然、通知音が鳴った。

(なんだ?)

俺はステータス画面を確認する。

すると、フレンドからの通話がきていた。

(誰だ?)

俺は恐る恐る通話に出る。

「あ、繋がりました?」

「え?

らでんちゃん?」

「はい、そうです」

電話相手はらでんちゃんだった。

「え?

フレンドだったっけ?」

「う、その言葉にらでんには…」

「あ、ごめん、いつフレンド登録したっけと思って」

「あ、それはキミが寝ている時にしました」

(強制的だった)

「それより、すいません。

なんか【ゲート】から弾かれたみたいで」

(確か、何かぶつかる音がしてた)

「大丈夫?」

「はい、ダメージはないんですが、【ゲート】を突破するのに時間がかかりそうです。

すいませんが、先に進んでてもらっていいですか?」

「分かった」

「ただし、DEに会ってもどうにか逃げるか、やり過ごして時間を稼いでください。

決して無理はしないように」

「了解。

らでんちゃんも頑張って」

「はい、任せてください。

では、後で」

「また」

俺はらでんちゃんとの通信を切る。

改めて辺りを見回した。

相変わらずの空。

ただ、景色はあまり変わってない。

荒廃とした建物やリアルでよく見る物が、壊れてあちらこちらに転がっていた。

その壊れた物に植物が覆い被さるように生えている。

(世界から人間が消えたら、こういう景色になるんだろうか)

俺はそんな事を考えながら、町に向かって歩き出す。

(バスは出てないだろうし…)

しばらく歩くと、横たわる自転車があった。

寄って調べて見ると、まだ乗れそうだ。

俺は自転車にまたがる。

そして、俺は【バーチャル】の始まりの街に向かって自転車をこぎ始めた。




ミオDE戦決着です。
フェンリル=大口真神という構図はゲーム内フィクションですのでよろしくお願いします。
ちなみに共通点はあるんだよなぁ~と私は思いました。
ま、【ホロライブワールド】ですので、何でもありと言うことで。
さて、新たな世界でまた1人旅、あなたの行く先に待つ者は?
次回もお楽しみに
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