ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
俺はその対策を大神ミオちゃんと白上フブキちゃんに相談する。
2人の提案でリグロスと呼ばれる5人のホロメンを、運営にあるデータをこちらで構築して、この【ホロライブワールド】に早期実装する事になった。
そこで、俺はそれが出来るホロメン博衣こよりちゃんの元に向かった。
無事にリグロスを、実装できたが転移場所が別々で、なぜかキラー対象が俺に設定されていた(こよりちゃんのいたずら)
こよりちゃんが言うには、リグロスに会った時に説得してくれという事だった。
一応、お礼を言って俺はメインストーリーを進めるべく、今一度【ホロライブ城】に戻るのであった。
「着いた」
「案外早かったですね」
「ま、転送装置使ったらね」
肩にちょこんと座るセレスと話ながら、俺は【ホロライブ城】に向かう。
ちなみにセレスはこの世界のホロメンじゃないが、イベントキャラ扱いなので、俺とパーティーを組んでいるプレイヤーか、ホロメン以外には見えない。
なので、今俺は他人から見ると独り言をぶつぶつ言いながら歩いているプレイヤーとなっている。
(ま、いいんだけどね…)
「さて、今度は間違わないぞ」
俺は【ホロライブ城】へと続く橋の近くまで来た。
その橋の入り口には2人の騎士。
(よし!)
俺は気合いを入れて騎士に話しかけた。
「こんにちは」
「はい、こんにちは」
普通に返された。
(あれ?)
「あのう…」
「ここから進むと【ホロライブ城】に行く事ができるよ」
(あれぇ?)
チラッと肩を見るとやはり人形と化しているセレス。
(セ、セレスさ~ん)
「え、えっと…」
「【ホロライブ城】にはこの世界の王がいらっしゃるぞ」
普通にNPCらしく話しかけたら、話し出す騎士。
(ま、それが役割だもんね)
「ってどうしたらいいんだ~!」
「我が王様に挨拶をしてくるといい」
完全に話が噛み合ってない騎士と俺。
そこに…
「あれ?
戻ってきたの?」
「え?」
困っているところ現れた我らが女神ノエルさんが、橋をこちらに歩いてきていた。
「そっか、そういう事になってたんだね」
俺はノエルさんと城の方に歩きながら、相談した事や新世代firstの話を伝えた。
「ふふ」
突然笑うノエルさん。
「ど、どうしたんですか?」
「ううん。
本当にキミって厄介事を引き寄せる体質だなって思って」
「なんでですかねぇ」
ため息をつく俺にノエルさんは、また微笑む。
「あ、それでここに戻ってきた理由なんですが…」
「うん、察しはついてる。
メインストーリーを進める為だよね?」
「あ、はい」
「実は私も気になって、キミに連絡をいれようとしてたところ」
「そうだったんですね。
それで、こよりちゃんに聞いたんですが、やっぱり話す相手間違ってました」
遠慮がちに聞く俺にノエルさんは笑顔で頷いた。
(ああ、やっぱり~)
「メインストーリーを進める為に必要なアイテムをくれるのは、ヤゴー王の間の扉のところにいた騎士さんだよ」
(あ、そういえばいた)
「本当はヤゴー王が、もらうように言ってくれるんだけど、今回変な事になっちゃったから」
「確かに…」
そして、俺達はヤゴー王の間の前に来た。
「どちらでもいいから話しかけてみて」
ノエルさんに言われて俺は右側に立つ騎士に話しかける。
「あ、ヤゴー王から渡すように言われております」
そう言って騎士は俺に1枚の地図をくれた。
「魔集石の邪気祓い上手く行くように願っております」
騎士はそう言って礼をする。
(う~ん、ちょっと俺は違うんだけどな)
騎士はあくまで普通のメインストーリー通りに話してくれている。
「がんばります」
俺はそう言って騎士から離れ、ノエルさんのところに戻る。
「受け取ったね。
それがメインストーリーを進める為に、出会わなければいけないグランドジョブのいる場所を示した地図だよ」
俺はさっそく地図を広げた。
地図はこの【ホロライブワールド】全域の地図だった。
印は【バーチャル】に2つ。
【ゲーマーズ】に2つ。
【ファンタジー】に1つ。
【ふぉーす】に1つあった。
(しかし…)
「俺もいろいろと世界を回りましたけど、この場所って確か侵入できない場所だったような」
確か、印の場所は入ることの出来ない森や、開かないゲート、何もない山がある場所だ。
「それはもちろん、キーアイテムを持ってないからだよ」
ノエルさんは微笑む。
「この地図がキーアイテムで、それを持って印の場所に行けば、自ずと道は開かれる、だね」
そう言ってウインクするノエルさん。
「なるほど、この場所自体がイベントエリアなんですね」
イベントエリアは基本、イベントを受けている自分とパーティーメンバーだけしか入れない。
(だから俺は入った事なかったんだ)
「案内してくれて、ありがとうございました」
俺はノエルさん頭を下げる。
「うん、気を付けて」
「はい」
それから、俺はノエルさんと別れて、【ホロライブ城】から出た。
「さて、どこから行くか」
地図を広げてもう一度見る。
「ここはどうですか?」
肩のセレスが地図の上に降りて、ある印を指差す。
「【ゲーマーズ】のなになに?幻刀境?
どうしてここに?」
「ここだと、転送装置で【ゲーマーズ】第2の町に移動した後、馬車に乗れば比較的早く行く事ができます」
「なるほどな。
分かった。
じゃ、まずはこの幻刀境を目指そう」
「お~」
肩に戻ったセレスは元気よく手をあげた。
それから、俺はセレスが提案した通りに道を進んだ。
転送装置で【ゲーマーズ】第2の町へ。
乗り合い馬車に乗り込み、目的地付近の馬車乗り場で降りた。
「ここからは歩きだな」
「はい」
俺の言葉に頷くセレス。
もちろん肩に乗っている。
(たまには自分で歩きませんか?)
「私はキミの【眷属】なので」
「心の声に反応したあげく、都合のいい時だけ、【眷属】にならないでね、セレスさん?」
「…」
(人形のフリがめちゃくちゃ上手くなってきたな)
俺はふぅとため息を1つした後、地図の場所に向かった。
目の前には森が広がっている。
「ここだよな?」
俺は地図を広げて確認する。
地図の印はこの森を指していた。
(確か前に入った時はただ迷っただけだったんだけど…)
俺はそんな事を考えながら森の中へと足を踏み入れた。
森は静かだった。
普通はモンスターが出るはずだけど、この森には気配すらない。
どんどん奥へと進んでいくと、森から出て道が続いていた。
「イベントエリアに入りましたね」
肩のセレスが教えてくれる。
「了解」
(ここからイベントだ。
何が起きるか分からないな)
俺は用心しながら道を歩いていく。
しばらく行くと前を、頭に笠を被った浪人風の服装の人が歩いていた。
(NPCか?)
その背後からでもかなり強者の圧を感じる。
「かなりの強敵ですね」
「ああ、もしかしたらグランドジョブか?」
セレスとひそひそ話しながら、俺は少しその侍から距離を取りながら追い越した。
もちろん、何があってもいいように鬼切丸はすぐにアイテムボックスから出せるようにしている。
(何もなかった、只のNPCか?)
「ん?
あれ、もしかして?
あのう、そこの方」
いきなり後ろから声をかけられた。
さっきのNPCだ。
俺は鬼切丸を握り、振り返った。
「あ、やっぱり。
キミ殿ではござらんか」
そう言ってNPCが笠を取るとそこには「いろはちゃん?」
「お久しぶりでござる」
にこやかに笑ういろはちゃんがいた。
「なるほど、そんな事が…
大変でござるな、キミ殿は」
簡単に状況説明をすると、いろはちゃんがそう言って頷いていた。
「それより、いろはちゃんこそ、どうしてここに?」
(そうだ、ここは俺のイベントエリアのはず。
それなのになぜいろはちゃんが?)
「あ、かざまはチャキ丸のメンテナンスでござる。
幻刀境の里には有名な刀鍛冶のおじいさんがいるでござるから」
そう言っていろはちゃんは背中にあるチャキ丸の柄をトントンと叩いた。
「じゃ、行く場所は同じですね」
「そうでござる」
俺の言葉に頷くいろはちゃん。
こうして、俺はいろはちゃんと共に、幻刀境の里に向かうのだった。
道中、いろはちゃんに聞くと、メインストーリーのグランドジョブもその近くに住んでいるようだ。
俺達が無事に里に着いたのは夕方だった。
「では、かざまはおじいさんのところに行くでござるよ」
「あ、俺も一緒にいいですか?」
「ん?」
「いや、有名な刀鍛冶なんて興味ありまくりです」
「いいでごさるよ」
いろはちゃんは笑顔でそう答えて、俺を刀鍛冶に連れていってくれた。
村外れにある一軒家の前でおじいさんが草抜きをしていた。
「おじいさん!」
いろはちゃんが声をかけると、おじいさんはゆっくりと立ち上がりこちらを見た。
「おぉ、いろはじゃないか。
なんだぁ?
いつもみたいにじっちゃんって呼んでくれんのか?」
「な、今はそれはいいの」
おじいさんに言われて慌てて両手を振るいろはちゃん。
「ん?
なんだぁ?
男連れとはとうとういろはにも春が来たか?」
おじいさんはこちらも見て笑う。
「な、ち、違うよ。
そんなんじゃないって。
ほら、早く中入ろう」
「おいおい、わしはまだ草抜きが…」
いろはちゃんはおじいさんの背を押して家に入る。
俺も後からついて家に入った。
「ま、なんもないが好きなところに座ってくれ」
おじいさんは部屋にどかっと座る。
「失礼します」
俺も部屋にあがって座った。
昔ながらの日本家屋のような部屋だった。
「お茶を入れてくるでござる」
いろはちゃんはそう言って自分の家のようにどこかに行ってしまった。
「はは、慣れたもんだろ」
おじいさんはいろはちゃんを見送って笑った。
「さて、あんたプレイヤーさんだろ?」
「は、はい」
おじいさんに言われて返事をする。
「ここはプレイヤーが訪れる事の出来ない場所の1つだ。
それをあんたは訪れている。
ただ者じゃないな」
おじいさんは真剣な顔でこちらを見ている。
「いえ、俺は普通のプレイヤーです。
ただ、少し巡り合わせが良かったんです」
俺もおじいさんを見ながらそう答えた。
「ふ、ふははは。
そうか、巡り合わせか。
いや、それは大事だ。
生きていくにはな。
気に入ったおまえさんも、ここが刀鍛冶だと知って来てるんだろ?」
俺は頷く。
「なら、武器を見せてみな」
俺はアイテムボックスから、鬼切丸を出しておじいさんに見せた。
おじいさんは鬼切丸をあらゆる角度から眺め、そして、ゆっくりと置く。
ふぅ~と息を吐いておじいさんはこちらを見た。
「しかし、どえらいもの持ってるな」
「そ、そうでしょうか?」
(ま、付属がいろいろ付いてるからなぁ)
「本当に何者だおまえさん。
少しの巡り合わせで、こんな国宝級の大物なんて持てないぞ。
しかしなぁ…」
おじいさんはもう一度鬼切丸を手に持つ。
「あまりにも加護が付きすぎて、大元の武器が耐えられなくなっとる」
「え?」
「元の鬼切丸、解放はされとるが、この刀元々こんなに加護を付与できるようになっておらん。
単体で強い刀だからな」
「じゃ、もしこのまま使えば」
「うむ、たぶん武器崩壊が起きて使えなくなるだろうな」
「そ、そうですか…」
(初期から使っていた武器。
愛着もかなりあるけど…)
「どうにかできませんか?」
ダメ元で聞いてみる。
「そうだな」
おじいさんは少し考えてから、俺の胸元を見た。
「ソレをわしに預けんか?」
「え?」
俺は【魔乃ペンダント】を取り出す。
「これですか?」
「そうだ。
それともう1つあるアイテムを使えば」
「お待たせしましたでござる。
あ、じっちゃん。
お団子あったから持ってきたよ。
あ!」
俺の顔を見て、はっとするいろはちゃん。
「いつも通りでいいですよ」
俺はそう言って笑う。
「そうじゃ、いろは。
例の物、持ってきてくれたか?」
「え?
あ、持ってきたけど何に使うでござるか?
もらうの苦労したし」
座ってお茶とだんごを食べているいろはちゃんは、胸元から小さな袋を取り出し、おじいさんに渡す。
「なんですか?」
俺はいろはちゃんに聞いた。
「あれは総帥の角の削り粉でござる」
「え?
ラプちゃんの?」
「よし、どうだ?
おまえさんのそのペンダントとこの粉があれば、この刀を生まれ変わらせる事が出来るぞ」
(確かに壊れるよりいいけど、このペンダントは…)
「少し確認をとってもいいですか?」
「うむ、分かった」
俺は席を立って部屋から出る。
「セレス。
アロエちゃんに連絡とる事って出来たりする?」
肩にいるセレスに聞いてみる。
「分かった」
(あ、出来るの?)
セレスは頷き杖のようなものを出現させて振る。
杖から光が放たれた。
すると何かが目の前に転移してくる。
『呼んだか?』
目の前に現れたのは、体が半透明のアロエちゃん。
ある事故で実体のデータが失われたが、今はこの状態で存在し続けられている。
「来てくれたんだ」
『うむ。
なんか話がしたいとの事だったからな。
直接来た』
「ありがとう。
それで相談だけど…」
それから俺は部屋に戻る。
アロエちゃんに相談すると、すぐにOKしてくれた。
自分はもう大丈夫だから、俺の為になるなら使ってもいいと言ってくれた。
「お願いします」
俺はおじいさんに鬼切丸と【魔乃ペンダント】を託した。
「おう、任せろ。
今から作業するからな。
今日はここに泊まっていくといい。
いろはも今日は泊まるんだろ?」
「え?
あ、そのつもりでござるが、キミ殿も?」
「よ、よろしくお願いします」
「あ、いや、こちらこそ」
お互いに頭を下げる。
「おいおい、新婚じゃぁねえんだ」
『な!』
おじいさんが大きな声で笑う。
俺といろはちゃんは恥ずかしくなって俯いた。
それから、俺はおじいさんの工房を見学させてもらったり、いろはちゃんと晩御飯の用意をしたり、部屋の掃除をして過ごした。
(お風呂イベントやむふふなイベントはありません。
あくまで全年齢作品です。
はぁ~)
そして、俺は1度ログアウトさせてもらう事にした。
そして、次の日。
長期休みの俺は今日も【ホロライブワールド】にログインした。
「あ、おかえりなさいでござる」
布団で目を覚ました俺に、ちょうど朝御飯を運んでいるいろはちゃんが声をかけてくれた。
「はい、ただいまです」
(いろはちゃんにおかえりを言ってもらえるなんて嬉しいな)
そんな事を考えていると、ほっぺたをペチペチされる。
「ごめん、セレスもただいま」
俺の言葉に肩のセレスも満足そうに頷いた。
それからおじいさんといろはちゃんと一緒に朝御飯をいただく。
「食べたら庭に出てくれるか?」
おじいさんに言われて俺は頷いた。
庭は案外広く、1体の木人が置かれていた。
「これが、おまえさんの新たな刀。
名は【魔乃鬼切丸】じゃ」
俺は新しくなった鬼切丸を受けとる。
外見で変わったのは、柄の頭の部分にペンダントに付いていた宝石が填まっているのと、刃文に光を当てて見ると紫かかってる感じがする。
「ふふ、分かったみたいじゃな。
おまえさんから預かったペンダントは頭に、いろはから受け取った粉は、刃の部分に使っとる。
これで、元の刀よりかなり強度が上がると同時に、そのペンダントの力によって、絆を紡いだ相手の力を借りれるようになるじゃろう」
「す、すごい」
(確かに、武器の説明文にも書いたある)
「ま、切れ味を試してみぃ」
「は、はい」
俺は鬼切丸を構えて木人の前に立つ。
振りかぶりすっと振り下ろした。
木人は音もなく2つに切れ倒れた。
「すごい」
(切った時の感触がないくらいに斬れた。
それにクリティカル表示が出てる?)
「やりましたな、キミ殿」
いろはちゃんが拍手をして喜んでくれる。
「うむ、上出来じゃ」
おじいさんも満足そうに頷いた。
「ありがとうございました」
俺はおじいさんにお礼を言った。
「また、来るね」
いろはちゃんもチャキ丸をメンテナンスしてもらったようで、俺についてきてくれるらしい。
「おう、またおいで」
おじいさんと別れて、俺達はメインストーリーを進める為に、グランドジョブの元に向かった。
おじいさんの家からまた少し奥に進んでところに竹林があった。
「この奥でござる」
いろはちゃんに連れられて俺は竹林の奥へと進む。
しばらくすると目の前が広がり、1件の家があった。
藁葺き屋根の趣のある家。
俺はいろはちゃんと門をくぐった。
「たぶん、今頃なら裏庭で日向ぼっこでもされていると思いますよ」
いろはちゃんは微笑みながら言った。
俺は裏庭へと回る。
裏庭には鶏がトコトコ歩いていた。
ふと縁側を見ると誰かが寝そべっていた。
「ん?
誰だ?」
その人物が起き上がり、縁側に座ってこちらを見た。
(男性?)
白髪で朱色の着物を羽織った男性は、刀を自分に立て掛けるようにしている。
あくびをしながらこちらを見る男性に、いろはちゃんは手を上げた。
「ご無沙汰してます、朱雀先輩」
「だから、前から言ってるけど、俺はもうここで隠居してるんだから先輩呼びは止めてくれ」
朱雀と呼ばれたその男性は苦笑いしながら答えた。
お待たせしました。
今回はメインストーリーのキーアイテム。
これから過熱する?戦いの為にあなたの武器の強化。
そして、ついに現れたグランドジョブ。
さて、グランドジョブの正体はあなたの予想通りだったでしょうか?
では、次回もお楽しみに