ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
目指すは【ふぉーす】へと繋がるゲートのある【近未来都市】
あなたは無事に【ふぉーす】へのゲートを見つける事が出来るのか?
あれからどのくらい砂漠を走ったのだろうか?
俺はようやく目的地の【近未来都市】がある場所についた。
【近未来都市】はお猪口のような形の巨大な岩の上にある。
そこに上がるには下からエレベーターで上がるしかないのだが、今のこの世界でエレベーターは機能しているかどうかは怪しかった。
俺はエレベーターへと向かう。
乗ってきたバイクは俺が降りると同時に虚空に消えた。
エレベーターのところについた。
「やっぱりな」
メインのエレベーターである車が乗り入れ出来る、大きめの物は何者かによって破壊されていた。
「確か前に来た時にまつりちゃんに教えてもらったよな」
俺は少し裏手側に回る。
すると小さく目立たないところに、1人用のエレベーターがあった。
「これか」
俺は横に付いているボタンを押す。
ガタンと音が鳴ってエレベーターが降りてくる音がした。
「よし、これは生きてる」
ゆっくりとエレベーターが到着する。
俺は鬼斬丸を装備する。
もし、何かが突然現れたら対処できるようにだ。
ドアが開く。
しかし、中には何もいなかった。
注意しながら中を確認するが大丈夫のようだ。
俺は中に乗り込み、上へ向かうボタンを押した。
ドアが締まり、エレベーターは上へと向かった。
チン
エレベーターがついてドアが開く。
俺がエレベーターを降りると、エレベーターはブゥンという音と共に沈黙した。
(エレベーターが使えたのはこれが最後って事か)
これが意図的なのか偶然なのかは分からないが、俺は【近未来都市】へと着くことができた。
(次は【ふぉーす】に上がる為の手段を探さないと)
俺は静まり返る機械都市へと向かった。
「ここもか」
前に来た時は、都市に入った瞬間に足元に円形のボードが出現して、自分の望む場所へ自動で行く事ができたが、今はそれが出現しない。
(そして、街を歩く人もいない)
プレイヤーはまだしもやはりNPCもいない。
俺は慎重に街を歩く。
(情報がないのが辛いな)
「聞いとけばよかった」
俺は【バーチャル】で共に戦ったホロメン達を思い出す。
ふぅと息を吐いて俺は外に設置されている椅子に座った。
(らでんちゃん達の合流を待った方がいいか)
俺はそう思いながら街を見る。
ふと、視界の端に何かが動いたような気がした。
(え?
誰かいるのか?)
俺はすぐに立ち上がりそっちに向かう。
一応、鬼斬丸は装備している。
路地裏に入ったように見えたソレを確認する為に、ゆっくりと近づいた。
そっと路地裏を覗く。
やはり何かが動いている。
薄暗い路地裏だったが、暗さに目が慣れてきた。
思っていたより小さい?
俺はその動くものを見た。
猫だ。
(この機械ばかりの世界に猫?)
俺は不思議に思ったが、自分以外の動くものにほっとしてしまった。
俺はいつの間にか路地に入っていた。
「迷い猫か?」
俺はその猫に語りかける。
返事をするわけないのに。
ガチャガチャガチャ
猫が動く度に金属音が鳴る。
(なんだ?)
そっと近づいた瞬間。
猫の顔だけが180度回った。
ニヤリと笑う猫。
いや、その顔は人間だ。
「見たな」
その人面猫は確かにそう言った。
俺は後退りしたが、びっくりして足を絡ませ転けてしまった。
人面猫はこちらに体を向け、顔も向けた。
ガシャガシャ
ゆっくりと歩く音が機械音だ。
よく見るとその人の顔も半分崩れ、中からコードや機械部分が見える。
「もっとアップデートを…
もっと部品を集めないと…
戻れない、戻りたい…
俺は人間なんだ…」
人面猫はそう言いながら、ゆっくりと近づいてくる。
俺は突然の恐怖に体が固まっていた。
目の前にまで来たそれの顔が巨大に膨れ上がる。
開いた大きな口は俺を簡単に飲み込めそうだ。
「いただきます」
「う、うわぁ!!」
「何やってんの!」
背後から声がして、俺は強引に引っ張られる。
ガチンと足先で人面猫が歯を合わす。
(危ない、喰われるところだった)
「ほら、立って!」
俺はその声に正気に戻り立てる。
声の人物を見る。
「莉々華ちゃん?」
「はい、そうですよ。
かわいい!
ポジティブ!
ジーニアス!
一条莉々華だよ~って呑気に挨拶してる場合じゃない。
逃げるよ」
莉々華ちゃんは俺の手を掴んで走り出す。
「ちょ、ちょっと」
俺は手をひかれながら路地を抜けた。
ちらっと背後を見ると路地からあの人面猫の顔だけがこちらを覗きニヤリと笑っていた。
「はぁはぁはぁ」
「はぁはぁ」
どれだけ走ったのか、俺達はさっきの場所からだいぶ離れた場所にいた。
「つ、疲れたぁ」
莉々華ちゃんがその場に座る。
「あ、ありがとう」
俺は莉々華ちゃんにお礼を言った。
「ほんと、探すの苦労したよ。
らでんちゃんから連絡あって、キミがここに来てるから探してって言われてさ」
「らでんちゃんが?
それより2人は無事なんですか?」
俺を先に行かせる為に残ってくれたんだ。
「当たり前でしょ。
莉々華達をなめないように」
そう言って立ち上がる。
「2人は無事でこっちに向かってるって。
ただ、キングワームが思ったより発生してるから、撃退しながら来てるから少し時間がかかるそうよ」
「そうですか」
俺は安堵する。
「それより、何なんですかさっきの」
俺は人面猫について聞いてみる。
「あれはこの都市に住むNPCの成れの果て。
星持ちのモンスターが出現して、NPCを襲った後、NPCが変容してああなったの。
自分が元に戻る為にパーツを集めてる。
共食いしてね。
そんな事しても戻れないのにね」
莉々華ちゃんは悲しい顔をする。
「早く元に戻さないと」
俺はぐっと拳を握る。
「莉々華ちゃん、【ふぉーす】へとゲートがある場所は知ってる?」
「もちろん、でも今はちょっと無理かな」
「え?」
その言葉を聞くと同時に
「ギャァァァァァ!!」っと巨大な声が都市全体に響いた。
「な、なんだ」
「無理な原因がお出ましだよ」
莉々華ちゃんが見る方を俺も見た。
「な、なんだあれ」
そこには今にも中央タワーを押し倒そうとする、紫色の巨大な化物が姿を現していた。
【近未来都市】編の記憶がスタートです。
あなたはあの時、莉々華ちゃんと出会い共に戦いました。
さて、紫色の巨大な化物の正体は?
そして、あなたはその怪物を倒せたのでしょうか?
それはまた次の記憶で。