ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
そこには懐かしい相手、ロボ子さんが出迎えてくれたのであった。
「ここまでお疲れさま。
りりもご苦労様」
ロボ子さんが笑顔で言った。
「いえ、こちらこそ抜けてすいません」
「ううん、無事に彼を連れてきてくれただけで十分だよ」
ロボ子さんはそう答えて俺の方を向いた。
「それじゃ、疲れてるとこ悪いけど案内するよ」
ロボ子さんと一緒に俺達はエレベーターの前に行く。
「案内ってどこにですか?」
「ん?
【ふぉーす】へのゲートだよ」
「え?」
俺はロボ子さんの返事に驚いた。
「どうして驚くの?
キミの目的はそれじゃないの?
それに今のうちに使わないと、もしかしたら使えなくなるかもしれない」
(ロボ子さんが言っているのは本当の事だろう。
その原因はやはり…)
「あの紫色の巨大な化物ですか?」
「キミも見たんだね。
そう、今のところはボク達で抑え込めているけど、この先は分からない」
「だったら、俺も手伝います。
確かに先に進む事も大事ですが、俺には魔集石を回収する事も大切ですし、それにホロメンみんなも助けたい」
俺は真剣に今の気持ちをロボ子さんに伝える。
「ふふ、ボク達を助けたいか…
やっぱりキミは今も世界の答えなんだね」
「え?
いや、俺はもう…」
優しい笑顔で言うロボ子さんに俺は少し照れてしまった。
「分かった。
それじゃ、手伝ってもらうよ。
キミの言う通り、魔集石も関係している事だから」
着いたエレベーターに俺達は乗り込む。
そして、ロボ子さんが階層のボタンを押した。
ゆっくりと上がり始めるエレベーター
「現在の状況として、紫色の巨大な化物イグジステンスバニッシュエビル(存在を消す悪)通称EVEは…」
「え?
その呼称やばくないですか?」
「え?
そう?」
すごく聞き覚えのある通称に突っ込んでみたが、ロボ子さん的にはそうではないらしい。
「これ考えたの彼女だし」
「彼女?」
ガタン
エレベーターが止まった。
「話の続きは会議室でしようか」
ロボ子さんはエレベーターを降りた後、俺達をある部屋へと連れていった。
ガチャ
部屋に入る。
「今回は、逃げずに来たわね。
キミくん」
出迎えてくれたのは普段の衣装ではなく。
めちゃくちゃ見たことのある某新世紀の女性の方が着ている黒いタイトミニスカートに赤い服を羽織っている船長だった。
「いろいろヤバイって!」
思わず俺は突っ込みをいれてしまった。
「こほん、さて、現在の状況について」
いつの間にか、進行役が船長になってる。
部屋はなぜか薄暗く、なぜかほんのりと光る巨大な四角いテーブルの周りに俺達は集まっていた。
「ロボ子さん、お願いするわ」
「はい」
船長に言われていつの間にか白衣を羽織ったロボ子さんが資料片手に現れた。
(いや、だから、なんなん?)
「現在、EVEは沈黙。
撃退するもその姿は確認できません」
「いつも思うけど、どこから現れてるんだアレ?」
そう言ってテーブルに近づいて姿がはっきり分かったのは白い獅子。
「ぼたんちゃん?」
「よう、元気だったか?」
いつもの調子で俺に挨拶してくれるぼたんちゃん。
「やはり、原因はあの咆哮かな?」
次に現れた元気な少女。
「まつりちゃん?」
「はい、は~い、おひさ」
「でも、あの声はどこかで聞いた事があるぺこ」
続いて現れたのはウサギ耳。
「ぺこらちゃんまで?」
「いたら悪いぺこか?」
「まぁまぁ、仲良くしよう」
最後に現れたのは褐色エルフ。
「フレアさん」
「元気だったかな?
キミくん」
笑顔で答えてくれた。
「ま、自己紹介まではしないけど、現在この中央タワー防衛戦で戦っているのは、莉々華を入れてこのメンバーになってるよ」
莉々華ちゃんが横から教えてくれる。
「銃火器得意そうな面子揃えてみました」
ロボ子さんが笑顔で教えてくれた。
「それはいいんですけど、船長悪のりしすぎじゃないですか?」
「え、だってこの方が雰囲気でると思って」
船長の言葉に苦笑いのフレアさんと、あきれ顔のぺこらちゃん。
「はぁ~
ま、いいですけど。
何となく敵の正体分かってるんじゃないですか?」
俺はここにいるホロメン達に聞いた。
「まぁ…ね」
「長い付き合いぺこだからね」
「そりゃ、あの声だとね」
フレアさん、ぺこらちゃん、船長が答える。
ブゥン
突然机の上にディスプレイが現れる。
『あんな声ださない!』
そこに顔を少し赤らめたるしあちゃんが写っていた。
「なるほど…」
いくらかの状況を聞いて俺は考えた。
そして、結論に至る。
「相手はるしあDEというわけですね」
頷く一同。
「はっきりとは確認できてないけど、謎の雄叫びの後、突然あの紫色の巨大な化物が現れてる」
ロボ子さんが資料を見ながら言った。
(その資料本当にそんな事書いてるのだろうか?)
「攻撃した感じ、あまり手応えがないから。
たぶんあれはエネルギー体で出来てるんだと思う」 「あ、それまつりも感じた」
「でも、攻撃を続ければいつの間にか消えてるのよね」
とフレアさん。
「たぶん、エネルギーが攻撃で拡散してるんだと思います」
俺は考えを言った。
「それじゃ、やることは簡単ぺこね」
「EVEが現れたら、全力攻撃でこれを撃退。
すぐに探索チームを出して、るしあDEを探して討伐する」
船長の言葉にみんなが頷く。
「ただ、探すのが苦労しそう。
今までどこから現れたか分からないし」
莉々華ちゃんが疲れた声で言った。
「その点は大丈夫、そうでしょ、るしあ」
船長がディスプレイに映るるしあに言った。
『任せるのです。
咆哮のサンプルはもらったので、それを解析すれば居場所もすぐに分かります』
「よし、では、以後、本作戦をキンミライ作戦と呼称します」
船長がテーブルを両手で叩く。
『了解!』
るしあちゃんが答える。
「えっと…」
「キミは探索チームをお願い」
ロボ子さんが俺に言う。
ポンと俺の肩に手を置く莉々華ちゃん。
「大丈夫、キミは死なないわ。
莉々華が守るもの」
「あのう…
もう、やめましょうよ」
「命がもったいない?」
俺の言葉にフレアさんが笑顔で付け加えた。
(そういう事じゃないですって!!)
探索チームとして、俺達はビルの1階へと移動していた。
『あはは、ごめんごめん、調子にノリ過ぎてBANくらうとこだった』
ディスプレイに映る普段の海賊服に着替えた船長が謝っている。
(なんで、ゲーム内までBANくらいそうになってるんですか…)
『それより、準備はいい?』
船長が真剣な顔つきに戻って聞いてくる。
「はい」
支給品として、ロボ子さんから、回復アイテムをたくさんもらった。
チームを見る。
莉々華ちゃん、ぺこらちゃん、フレアさんがこちらを見て頷く。
『船長も一緒に行きたかったんだけど、なんせ作戦課長だから』
(引きずってるなぁ)
『サポートはるしあにお任せなのです』
別のディスプレイからるしあちゃんが元気に答える。
「頼りにしてます」
頷くるしあちゃん。
『たぶんだけど、るしあDEには会話は通じないと思う。
完全に暴走してると思うから』
船長の横からロボ子さんが教えてくれる。
『だいたい、アレが現れる時間は決まってるから』
『速攻でやっつける』
『後は頼んだ』
船長、ぼたんちゃん、まつりちゃんが次々に言った。
「分かりました!
任せて…」
くださいと言おうとした時、それを遮るように都市全体に響いた。
「ギャァァァァァァァァァィァェァ!!!!」
『来た!』
『パターン紫、EVEです』
『それでは、これよりキンミライ作戦を開始する。
キミくん、キミの手に未来がかかってる。
がんばって』
「は、はい」
(船長、ロボ子さんまだやってるなぁ~)
そんな事を考えてると背中をポンと叩かれる。
振り向くとそこには少しあきれ顔のぺこらちゃんがいた。
「ま、マリンは楽しんでやってるみたいぺこだから、ロボ子先輩は付き合ってるだけみたいぺこだけど、あんまり気にしない」
「そうだねぇ」
フレアさんも苦笑しながら言う。
「始まったみたいですよ!」
ビルの出入口に外の様子を見に行っている莉々華ちゃんが大声で教えてくれた。
(確かに爆音が響いてる)
俺達3人は頷きあい、出入口に向かった。
外を見れば、多数の銃火器が火を吹きEVEを攻撃している。
確かにその攻撃によってEVEが崩れていってるように見えた。
不意にEVEが大きく口を開く。
「まさか!」
フレアさんの焦るような声。
「耳を塞ぐぺこ!!」
悲鳴に近いぺこらちゃんの声。
俺は慌てて耳を塞いだ。
「ギャァァァァァァァァァィァェァ!!」
先ほど同様の咆哮。
そして、口からレーザーが中央タワーへと放たれた。
ドカァァァァ!!
すさまじい揺れ。
「みんな!!」
俺は攻撃隊のホロメン達を思い叫ぶ。
ザ、ザーザー
ノイズ混じりのディスプレイが開く。
『だ、だいじょ、ぶ。
何とか耐えたから』
途切れ途切れの船長の声。
『あと、す、しで、や、る』
『あと、たの、だ』
ぼたんちゃん、まつりちゃん。
その瞬間、これまでにない凄まじい音が響き、EVEが後方に吹き飛んだ。
EVEの姿が消える。
「るしあちゃん」
『任せるのです』
俺の声にるしあちゃんが勢いよく何かを操作している。
『分かったのです。
居場所は地図に反映させたのです』
「了解。
みんな行こう」
俺の言葉に3人が頷き、俺達は中央タワーから飛び出して、地図のマーカに向かって走り出した。
距離はそう遠くない。
俺達は全力で走る。
そして、俺達はソレを見つけた。
薄いピンクの髪。
黒と白のゴスロリを着た少女が大きな道路の真ん中に立っている。
「るしあDE!!」
俺は叫んだ。
ゆっくりと振り返るその顔はまさしくるしあちゃんそのものだった。
そして、るしあDEはこちらを見る。
その瞳は血のような赤く染り怪しく光っていた。
るしあDE戦開幕です。
あなた達はこの1線を勝利する事が出来たのか?
それとも負けて強制ログアウトをくらって、リアルに戻されたのか。
それは誰にも分からない。
あなただけが知っているはず?
では、また次の記憶で…