ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
そこに現れた助っ人鷹嶺ルイ。
あなた達の反撃が今始まろうとしていた。
「さて」
ルイちゃんがちらっとラプラスDEを見る。
「やはり、紛い物の力ですね」
ボソッとルイちゃんが呟く。
「聞こえているぞ!
我輩の力の何処がオリジナルに劣っている!!」
怒り狂った顔のラプラスDEから、凄まじい力が溢れ出す。
「そちらの3体は任せていいですか?」
ルイちゃんがこちらに聞いてくる。
俺はかなたちゃんを見た。
かなたちゃんはこちらを見て頷いた。
かなたちゃんが待っていたのはやはりルイちゃんだ。
「はい、こっちはいけます」
俺はそうルイちゃんに答えた。
他のみんなも同じ気持ちだ。
「なら、お任せします」
ルイちゃんのその言葉と同時に、ルイちゃんが視界から消えた。
「え?」
(でも、この感じは…)
そう、何度も経験している。
「特殊領域?」
「正解」
隣の奏ちゃんが笑顔で言った。
「今回は少し広めな舞台にしてる」
確か、奏ちゃんの特殊領域は歌劇、歌う場所を作り出す。
確かに良く見れば舞台に立っている。
そして、その先にはガイコツスターズがいた。
「それじゃ、ルイちゃんに頼まれたんだ。
やってやる」
ぐっと鬼斬丸を握る。
「いくよ!」
だん!
奏ちゃんが元気良く飛び出す。
一瞬で間合いに入る奏ちゃん。
「!!」
スターズはそんな奏ちゃんに斬りかかる。
目で追うのもやっとの連続攻撃。
しかし、奏ちゃんはそれをまるで踊るように紙一重で避けていく。
そして、スターズのお腹への横一文字をしゃがんで避けた後、そのまま1回転の足払い。
(足払いの威力が強くてスターズが浮いた?)
横に浮いたスターズの胸に立ち上がりながら肘で一撃、そのまま上に打ち上げるような蹴りを放つ奏ちゃん。
スターズは勢い良く上がる。
それを追うように奏ちゃんはジャンプした。
「おりゃぁ!!」
バシィ!
鋭い音が響き、スターズは地面にすごい勢いで打ち落とされた。
スタっと隣に降り立つ奏ちゃん。
「やっちゃた?」
「そう簡単じゃなさそうだよ」
奏ちゃんは構えを解かず、スターズが落ちた方を見る。
ガシャっと音を立てながら立ち上がるスターズ。
(あれだけの攻撃がほぼ効いてない?)
俺も構え直した。
カチャカチャと首を動かすスターズ。
そして、こちらに構える。
明らかにスターズの強さを越えている。
「補助、やれそう?」
「え?
補助?」
「そう、任せたよ」
前傾姿勢になる奏ちゃん。
「リグロスチェンジ リグロスイエロー!」
右手につけているブレスレットが光る。
そして、戦隊ヒーローの姿に変わった。
前に飛び出す奏ちゃん。
その勢いのまま拳を放つ。
それをいつの間にか盾を出現させたスターズが防ぐ。
そして、奏ちゃんとスターズの攻防が始まった。
方や剣を紙一重で避け、方や拳を盾で防ぐ。
それを見て俺は奏ちゃんに言われたことをしなくてはと考える。
補助。
(俺は侍だ。
侍の技に補助的なものはない。
なら、魔法…
俺の覚えている魔法には補助魔法はない。
なら…)
俺は自分の持つ1つの答えに行き着く。
「シオンちゃん、力を」
俺の中に師匠の魔力、そして、魔法の数々が巡る。
俺は鬼斬丸の宝石が付いた柄頭を奏ちゃんに向ける。
「アタックブースト!
シールドアップ!」
2つの魔法を奏ちゃんにかける。
その瞬間、奏ちゃんの一撃がスターズの盾を貫いた。
スターズは一瞬怯んだように見えたが、盾を貫いた奏ちゃんの手を掴み動きを封じたようだ。
そして、鋭い一刀が奏ちゃんを襲う。
しかし、その剣の腹に奏ちゃんは裏拳を放ち破壊した。
剣も盾も失くしたスターズが背後に逃げようとしたが、今度は奏ちゃんがスターズの腕を掴んでいた。
「これでぇ!!」
裏拳を放った拳を握り直し、奏ちゃんの必殺の一撃がスターズの頭蓋骨を破壊した。
「よし」
奏ちゃんは振り返り、俺の方に向かってガッツポーズを取った。
俺はそんな奏ちゃんに…
思い切り鬼斬丸を投げた。
ド!
鬼斬丸は狙いどおりに胸元に刺さる。
「なんで?」
奏ちゃんが不思議そうに言った。
「走って!」
奏ちゃんは俺の言葉と同時にこちらに走る。
俺は詠唱を開始する。
求めるのは師匠の力。
打ち倒すのは胸に鬼斬丸が刺さった顔のないスケルトンスターズ。
そして、放つは紫の雷。
「【ラスト・ジャッチメント】!」
凄まじい紫の雷がスターズに降り注ぐ。
スターズは焼け焦げになり空に消える。
これで決着だ。
「ビックリしたよ」
奏ちゃんが俺の側まで来た。
「ごめん、アイツが立ち上がる未来が見えたから」
そう、俺はシオンちゃん以外にフレアさんの力も借りていた。
だから視えていた。
「ま、何とかなった」
奏ちゃんが笑顔でそう言うと、辺りの景色が変わる。
特殊領域が解除されたようだ。
「そっちも無事だね」
かなたちゃんやトワ様が手を振っている。
みんなも無事のようだ。
「そうだ、ルイちゃんは?」
辺りを見渡すがルイちゃんの姿が見当たらない。
「大丈夫。
もう、出てくるよ」
奏ちゃんが笑顔で教えてくれる。
その言葉どおりにルイちゃんと莉々華ちゃんが現れた。
ルイちゃんは何かを手に持っており、それをじっと見ていたが、こちらに気づいて笑顔を向けてくれた。
それはこの戦いが終わった証しでもあった。
1ヶ所に俺達は集まり、勝利を祝う。
トワ様が隠れ家から持ってきてくれた食材でちょっとした宴を行った。
ルイちゃんが持っていたのは、ラプラスDEが持っていた魔集石だった。
俺はルイちゃんから魔集石を受け取り、鬼斬丸の柄頭に近づけた。
いつもの機械音声が流れた後、魔集石は柄頭の宝石へと吸い込まれた。
「これで後1つ」
次が最後のDEとの戦いになる。
「今は勝利を祝いましょう」
深刻な顔をしていたのか、心配そうにらでんちゃんに言われてしまった。
「そうだね、今は楽しもう」
俺は笑顔でそう答えた。
宴が終わりに差し掛かった時、ルイちゃん、トワ様、かなたちゃんが申し訳なさそうに俺に謝ってきた。
ルイちゃんはラプラスの元に。
トワ様、かなたちゃんは【ふぉーす】にいる残党狩りをしないといけない為、共に行けないとの事だった。
俺は3人に謝ってもらう必要がないことを伝え、必ず最後のDEを倒す事を誓った。
3人も事が終わり次第、助けに駆けつけると約束してくれた。
「では、後は僕たちの出番ですかね」
青くんはそう言って俺の肩を叩く。
【新世代first】のメンバーも笑顔で頷いた。
「頼もしい…かな?」
俺は不安そうに答える。
「ええ、なんで?」
莉々華ちゃんの言葉に俺は「いや、いつも世界を移動する時に何かあるし」と答えた。
「確かに」
らでんちゃんは何故か納得したように頷く。
それを見て、みんなはにこやかに笑った。
「じゃ、気をつけて」
【ファンタジー】の上空に浮島が差し掛かったころ、俺達はトワ様とかなたちゃんに見送られ、浮島の端に立っていた。
ここから落ちれば【ファンタジー】に行ける。
青くんが巨大な鳥を描き、実体化させる。
俺達はその鳥の背に乗った。
「行ってきます」
「がんばれよ~」
かなたちゃんが拳を出す。
俺はその拳に拳を当てた。
「じゃ、行くよ」
青くんの言葉に鳥が羽ばたく。
そして、俺達は【ファンタジー】へと降下した。
鳥は旋回しながら、地面へと向かう。
「最後のDEって誰なんだろうね」
莉々華ちゃんが考えるように言う。
俺はそれを知っていた。
最後の1人は星街すいせいちゃんのDE。
あの最強の歌姫のDEだ。
突然、目の前に画面が現れる。
しかし、その画面はいつもと違っていた。
枠が赤い鳥居のような画面だった。
【助けて、すいちゃんが!】
画面に現れたのはみこちゃんだった。
その顔はすごく焦っていた。
時間は少し遡る。
ここは【ファンタジー】にある平野。
そこで激しい戦いが繰り広げられていた。
「すいちゃん!」
さくらみこの悲痛な叫びが平野に響く。
「くそ!」
すいせいは鋭い一撃を受けて後ろに下がらされた。
放ったのは同じくすいせい。
こちらは中華服を着たすいせいDEだ。
「こんなもの?」
すいせいDEは拳を下ろしてすいせい達を見た。
どちらが優勢かは一目瞭然だった。
すいせいとみこの方はかなり疲弊している。
対照的にすいせいDEはほぼ無傷だ。
「これが【ホロライブワールド】でも最強のmiCometの力?」
すいせいDEは膝をつくすいせいに向かって、冷たい目で見下しながら言った。
「まだ…」
すいせいはゆっくりと立ち上がる。
しかし、その声にはいつもの力が感じられない。
「無理だよ、一旦逃げよう」
みこは声をかけるがすいせいは首を振った。
「これ以上先に、こいつを進めさせられない」
すいせいは背後にある第3の町をちらっと見て言った。
すいせいDEはここまで、数々の建物を壊して進んで来ていた。
miCometの2人はそれをどうにか進ませないように頑張ってきたが、予想以上にすいせいDEは強かった。
「このままじゃ、すいちゃんが」
みこがすいせいの方に向かおうとする。
「来るな!」
すいせいはそれを声を出して止める。
「私が残って時間を稼ぐ。
だから、呼んできて。
もう、そこまで来てるはず」
すいせいは眼前のすいせいDEを睨みながら言った。
「へぇ、救世主様でもくるの?」
すいせいDEはバカにしたように言った。
「でも、1人おいては行けないよ」
みこが泣きそうな声で言った。
「そうだよね。
だから、頼んだ」
そんなみこを見て優しく微笑んだすいせい。
「はあちゃま」
「うん、頼まれた」
「え?」
いつの間にかみこの背後に現れたはあちゃまは、みこの手を取って、背後に扉を出現させる。
「はぁちゃま!?
ダメだよ、行けない」
泣きそうなみこを、はあちゃまは下唇を噛みながら、扉へと引っ張った。
「すぐに戻るから!」
みこの声が木霊する。
そして、2人は扉へと消えた。
「一緒に逃げればよかったのに」
すいせいDEはすいせいを哀れむように見る。
「そうもいかないかな。
それに誰もいない方が、出せる力があるし」
すいせいがそう言ったと同時にその身からどす黒い気が放たれる。
「へぇ、私のオリジナルはなかなか面白いみたいだね」
すいせいDEがニヤリと笑う。
「これからが本番だよ」
すいせいは拳を握り、前に出た。
すいせいDEもそれに答えるように拳を握る。
最強同士の戦いが今始まった。