ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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これはあなたが【ホロライブ城】で囚われていた頃、【ホロライブソード】で先に起きていた戦いの記憶。



第55話先 【世界の境界線】の先で

そこは【始まりの場所】と呼ばれている場所。

普段は一般のプレーヤーが入る事が出来ない場所だった。

リアルとゲームを繋ぐ場所。

【ホロライブソード】が立つ場所。

プレーヤー達はリアルからこの【ホロライブソード】の中をプレーヤーデータとして通り、この世界【ホロライブワールド】に来ていた。

だから、この場所には普通は誰も入る事はできない…はずだった。

 

「はぁーーー!」

ザシュ!

鋭い剣の一撃が黒いモンスターを切り裂く。

ここは【ホロライブソード】の根本。

シュっと剣を振り、倒したモンスターが塵になって消えるのを見て、彼女は汗を拭った。

「まさか、ここまで進行してるとは思わなかったね」

先程モンスターを倒した人物、ときのそらは隣に立つAZKiに言った。

「彼やホロメン達が頑張ってくれてるけど、まだ世界にはかなりの影が蠢いてるから…」

「やっぱりコレの正体ってコメント集?」

そらは消えたモンスターについて聞く。

「ううん、それはない。

アレは前の戦いでGMとラプちゃん達が完全に消滅させたから」

コメント集。

インターネットの世界に流れる字の集合体。

それ自体に善悪はないが、時にその言葉は人を救ったり、破滅に導いたりする。

それらが集まり【ホロライブワールド】に影響を与え、幾度となく世界を破滅させようとしたのがそれだった。

「それじゃ、いったいアレはなに?」

そらは少し離れた小高い丘を見る。

そこには無数の黒いモンスターが現れていた。

そらは剣を構える。

その剣は自身を優に越える大剣。

そらは【円卓の騎士】のスキル、Ver.大剣を使っていた。

「たぶん、アレはプレーヤーに倒された後、【大霊園】に戻れず仮の存在を与えられた亡霊だと思う」

AZKiは赤い刀身のレイピアを出現させ装備する。

「2人で戦うの久しぶりだね」

「うん、たまにはいいよね」

2人は頷きあった。

そして、迫り来るモンスターの群れに向かって武器を構えた。

 

「たぁ!!」

ザシュ

迫り来るモンスターを2体まとめて切り裂くそら。

そして、すぐさま次の相手へと走り出す。

 

「やぁ!」

モンスターの急所を狙いレイピアを突き刺し、そのまま後ろのモンスター群へと蹴り飛ばす。

「サーチ&ロック」

AZKiの言葉に呼応して、赤いマーカーがモンスター達の胸に張り付いた。

指を拳銃の形にしてモンスターへと向ける。

「GUESS!」

バンと指鉄砲を撃つ仕草をした瞬間、モンスターの胸に風穴が開いて消滅した。

 

トン

2人の背中が当たる。

かなり倒している筈だが、一向にモンスターが減る気配がない。

「まだ、いける?」

そらは背中越しに聞いた。

「うん。

でも、減らないのは何か他に狙いがあるのかも…」

「他の狙い?」

そらは周辺を見る。

モンスターは自分達を囲むように現れている。

しかし、決して強い敵ではなかった。

そう、簡単に倒せる相手。

その時、そらはある事に気づく。

そらはそちらを見た。

(やっぱり、離れすぎてる)

そらがそれに気づいたのと同じように、AZKiが「あ」っと声を出す。

「陽動?」

そらの言葉に頷くAZKi。

「うん、【ホロライブソード】からかなり離されてる。

それに、地図に別動隊が【ホロライブソード】に向かっているのが表示されてる」

そらはAZKiの地図を見る。

赤いマークがこの場所よりは少ないが、【ホロライブソード】に向かっていた。

「【円卓の騎士】達よ!」

そらは大剣を地面に突き刺し、右手を上げて叫んだ。

空に魔方陣が現れ、11の光の柱が地面へと降り注ぐ。

そこから現れるそらとよく似た装備をした騎士が現れた。

各々武器は違うが、それはそらのスキル【円卓の騎士】達。

「殲滅します!」

そらの号令と共に11人の騎士がモンスターへと突撃した。

「行こう」

「うん」

そらとAZKiは別動隊へと向かい、モンスター達の中に飛び込んだ。

しかし、モンスター達はそら達が倒すよりも沸くスピードが早かった。

「これは異常だよ」

「誰かが設定をいじってる」

そらとAZKiはモンスターを倒しながら、異常に気づく。

普通、モンスターのリポップにはある程度の間隔が決められている。

場所によっては早い場所もあるが、今のモンスターのリポップはさっきまでとは段違いに早かった。

「そらちゃん、間に合わない」

AZKiの言葉にそらは大剣を振り上げる。

「【円卓の騎士ver.大剣 奥義 ラストジャッジメント】!」

振り下ろす大剣は前方のモンスター全てを飲み込む光を放つ。

視界が開く。

遠くにモンスターの一団が見えた。

そらとAZKiはそちらに向かって走る。

しかし、モンスターがすぐに沸いて、2人に襲いかかってきた。

「く」

そらとAZKiは沸くモンスターを倒しながら前へと進むが、倒しながらで速度が落ちる。

一団が【ホロライブソード】に到達する。

「ダメ!」

AZKiの叫びが響く。

そして、【ホロライブソード】にモンスターが到達する。

 

が、そのモンスター郡に巨大な紫の鉤爪の痕が襲いかかる。

ガァ!?

モンスター郡はその場に立ち止まる。

そして、次々と鉤爪に切り裂かれモンスターが消えていく。

どこから現れるのか分からない攻撃にモンスター達はたじろんだ。

「ふぅ、何とか間に合ったかぁ」

1人の女性が【ホロライブソード】の方から現れて、モンスター郡に向かってゆっくりと歩いていた。

オレンジ色の神気を纏う。

頭の部分は狗のヘルメットのような形をしていた。

「ここから先はいかせないよ」

指鉄砲をモンスターへと向ける。

「バン!」

彼女の言葉と同時にモンスターの背後に現れたブラックホール。

モンスター達は全てそのブラックホールへと吸い込まれ消えた。

「相変わらずだね」

そう言いながら狗神の横に現れる紫の神気を纏う猫神が現れた。

「これでも頑張って単体技を複数技にしたんだよ」

「うんうん、よく頑張ってる」

神気を解いて頭を撫でる猫、猫又おかゆは微笑む。

「むぅ」

こちらも神気を解いて大人しく撫でられる戌、戌神ころねはまんざらでもなさそうだった。

 

「2人が来てくれたんだ」

「うん、助かったよ」

そらとAZKiはどうにかモンスター郡を抜け、おかゆ達の方へと走った。

これで安心だ。

4人いれば十分にここを守ることができるとそらは思った。

だが、驚異はまだ去ってはいない。

合流した4人を見下ろすようにソレは空に現れた。

見上げる4人。

見知った顔だった。

しかし、4人は安堵することなく武器を構える。

ソレはその姿を見て笑う。

そして、無数の魔法弾を4人へと撃ち込み、戦闘の狼煙を上げた。




あなたが向かうその先で、戦闘は始まっていた。
果たしてあなたは彼女達の戦いに間に合うのか?
生き残ったあなたならそれは分かるはず。
しかし、心の奥底に眠った記憶をあなたはまだ思い出せてはいない。
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