ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
そこは【始まりの場所】と呼ばれている場所。
普段は一般のプレーヤーが入る事が出来ない場所だった。
リアルとゲームを繋ぐ場所。
【ホロライブソード】が立つ場所。
プレーヤー達はリアルからこの【ホロライブソード】の中をプレーヤーデータとして通り、この世界【ホロライブワールド】に来ていた。
だから、この場所には普通は誰も入る事はできない…はずだった。
「はぁーーー!」
ザシュ!
鋭い剣の一撃が黒いモンスターを切り裂く。
ここは【ホロライブソード】の根本。
シュっと剣を振り、倒したモンスターが塵になって消えるのを見て、彼女は汗を拭った。
「まさか、ここまで進行してるとは思わなかったね」
先程モンスターを倒した人物、ときのそらは隣に立つAZKiに言った。
「彼やホロメン達が頑張ってくれてるけど、まだ世界にはかなりの影が蠢いてるから…」
「やっぱりコレの正体ってコメント集?」
そらは消えたモンスターについて聞く。
「ううん、それはない。
アレは前の戦いでGMとラプちゃん達が完全に消滅させたから」
コメント集。
インターネットの世界に流れる字の集合体。
それ自体に善悪はないが、時にその言葉は人を救ったり、破滅に導いたりする。
それらが集まり【ホロライブワールド】に影響を与え、幾度となく世界を破滅させようとしたのがそれだった。
「それじゃ、いったいアレはなに?」
そらは少し離れた小高い丘を見る。
そこには無数の黒いモンスターが現れていた。
そらは剣を構える。
その剣は自身を優に越える大剣。
そらは【円卓の騎士】のスキル、Ver.大剣を使っていた。
「たぶん、アレはプレーヤーに倒された後、【大霊園】に戻れず仮の存在を与えられた亡霊だと思う」
AZKiは赤い刀身のレイピアを出現させ装備する。
「2人で戦うの久しぶりだね」
「うん、たまにはいいよね」
2人は頷きあった。
そして、迫り来るモンスターの群れに向かって武器を構えた。
「たぁ!!」
ザシュ
迫り来るモンスターを2体まとめて切り裂くそら。
そして、すぐさま次の相手へと走り出す。
「やぁ!」
モンスターの急所を狙いレイピアを突き刺し、そのまま後ろのモンスター群へと蹴り飛ばす。
「サーチ&ロック」
AZKiの言葉に呼応して、赤いマーカーがモンスター達の胸に張り付いた。
指を拳銃の形にしてモンスターへと向ける。
「GUESS!」
バンと指鉄砲を撃つ仕草をした瞬間、モンスターの胸に風穴が開いて消滅した。
トン
2人の背中が当たる。
かなり倒している筈だが、一向にモンスターが減る気配がない。
「まだ、いける?」
そらは背中越しに聞いた。
「うん。
でも、減らないのは何か他に狙いがあるのかも…」
「他の狙い?」
そらは周辺を見る。
モンスターは自分達を囲むように現れている。
しかし、決して強い敵ではなかった。
そう、簡単に倒せる相手。
その時、そらはある事に気づく。
そらはそちらを見た。
(やっぱり、離れすぎてる)
そらがそれに気づいたのと同じように、AZKiが「あ」っと声を出す。
「陽動?」
そらの言葉に頷くAZKi。
「うん、【ホロライブソード】からかなり離されてる。
それに、地図に別動隊が【ホロライブソード】に向かっているのが表示されてる」
そらはAZKiの地図を見る。
赤いマークがこの場所よりは少ないが、【ホロライブソード】に向かっていた。
「【円卓の騎士】達よ!」
そらは大剣を地面に突き刺し、右手を上げて叫んだ。
空に魔方陣が現れ、11の光の柱が地面へと降り注ぐ。
そこから現れるそらとよく似た装備をした騎士が現れた。
各々武器は違うが、それはそらのスキル【円卓の騎士】達。
「殲滅します!」
そらの号令と共に11人の騎士がモンスターへと突撃した。
「行こう」
「うん」
そらとAZKiは別動隊へと向かい、モンスター達の中に飛び込んだ。
しかし、モンスター達はそら達が倒すよりも沸くスピードが早かった。
「これは異常だよ」
「誰かが設定をいじってる」
そらとAZKiはモンスターを倒しながら、異常に気づく。
普通、モンスターのリポップにはある程度の間隔が決められている。
場所によっては早い場所もあるが、今のモンスターのリポップはさっきまでとは段違いに早かった。
「そらちゃん、間に合わない」
AZKiの言葉にそらは大剣を振り上げる。
「【円卓の騎士ver.大剣 奥義 ラストジャッジメント】!」
振り下ろす大剣は前方のモンスター全てを飲み込む光を放つ。
視界が開く。
遠くにモンスターの一団が見えた。
そらとAZKiはそちらに向かって走る。
しかし、モンスターがすぐに沸いて、2人に襲いかかってきた。
「く」
そらとAZKiは沸くモンスターを倒しながら前へと進むが、倒しながらで速度が落ちる。
一団が【ホロライブソード】に到達する。
「ダメ!」
AZKiの叫びが響く。
そして、【ホロライブソード】にモンスターが到達する。
が、そのモンスター郡に巨大な紫の鉤爪の痕が襲いかかる。
ガァ!?
モンスター郡はその場に立ち止まる。
そして、次々と鉤爪に切り裂かれモンスターが消えていく。
どこから現れるのか分からない攻撃にモンスター達はたじろんだ。
「ふぅ、何とか間に合ったかぁ」
1人の女性が【ホロライブソード】の方から現れて、モンスター郡に向かってゆっくりと歩いていた。
オレンジ色の神気を纏う。
頭の部分は狗のヘルメットのような形をしていた。
「ここから先はいかせないよ」
指鉄砲をモンスターへと向ける。
「バン!」
彼女の言葉と同時にモンスターの背後に現れたブラックホール。
モンスター達は全てそのブラックホールへと吸い込まれ消えた。
「相変わらずだね」
そう言いながら狗神の横に現れる紫の神気を纏う猫神が現れた。
「これでも頑張って単体技を複数技にしたんだよ」
「うんうん、よく頑張ってる」
神気を解いて頭を撫でる猫、猫又おかゆは微笑む。
「むぅ」
こちらも神気を解いて大人しく撫でられる戌、戌神ころねはまんざらでもなさそうだった。
「2人が来てくれたんだ」
「うん、助かったよ」
そらとAZKiはどうにかモンスター郡を抜け、おかゆ達の方へと走った。
これで安心だ。
4人いれば十分にここを守ることができるとそらは思った。
だが、驚異はまだ去ってはいない。
合流した4人を見下ろすようにソレは空に現れた。
見上げる4人。
見知った顔だった。
しかし、4人は安堵することなく武器を構える。
ソレはその姿を見て笑う。
そして、無数の魔法弾を4人へと撃ち込み、戦闘の狼煙を上げた。
あなたが向かうその先で、戦闘は始まっていた。
果たしてあなたは彼女達の戦いに間に合うのか?
生き残ったあなたならそれは分かるはず。
しかし、心の奥底に眠った記憶をあなたはまだ思い出せてはいない。