ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~   作:天野空

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グランドジョブの1人目から無事?に魔集石と絆を受け取ったあなたは、次のグランドジョブの元へと向かっていた。
果たして次なるグランドジョブは誰なのだろうか?
そして、その行く手に待ち受ける黒い影。
あなたは無事にグランドジョブにたどり着ける事ができるのか?


第6話 いつとはなしにソレはいる

「ここにいるんだよな?」

「たぶん」

俺は地図を広げて確認する。

肩に乗るセレスも地図を覗き込む。

1人目のグランドジョブである朱雀さんがいるイベントエリアを抜けた後、俺はセレスの提案で【ゲーマーズ】始まりの町に来ていた。

グランドジョブのいる印は、この始まりの町にある。

しかし、始まりの町と言えども広い。

「どこにいるんだ?

それにここに何回も来ているが、そんな話聞いた事もないぞ」

「それはあなたがキーアイテムを持ってなかった為だと思う」

愚痴る俺に肩の上のセレスがほっぺをペチペチしながら言う。

「確かにそうだけど…

はぁ、聞き込みから始めるか」

「お~」

「肩の上で元気ですね、セレスさんは」

俺はまず聞き込みを行った。

聞き込みと言えばもちろん、酒場。

(ちょうど腹も減ってきたしな)

俺は酒場に向かう。

すると道中いい匂いが漂ってきた。

「コロッケが売ってます」

セレスが1つの屋台を指差した。

「へぇ、上手そうな匂いだな。

ちょっと寄っていくか?」

頷くセレス。

俺は屋台へと近づいた。

「へぃ、らっしゃい」

屋台の暖簾をくぐるといい声が響く。

「何にしやすか?」

何か作業をしているのか、亭主はこちらに背を向け座ったままだ。

「えっとコロッケを1つ」

「へぃ、ありがとうございやす。

うちのコロッケはキノココロッケ。

肉もキノコもふんだんに使ってますよ」

ほっかむりを前の方までかぶって、俯いたままコロッケを準備してるので、顔が見えない。

「100Gになりやす」

俺は亭主にお金を渡して、コロッケを受け取った。

半分にして、セレスと食べる。

「うまい。

これうまいよ」

俺は亭主に言った。

セレスも頷いてパクパク食べる。

「そうですか?

それは良かった」

亭主はまた、背中を向けて作業をしている。

「しかし、こんなに上手いのになんで誰も来ないんだ?」

暖簾から大通りを見ると人は行き来しているが、ここに目を向ける人はいない。

「さて、みなさん、見えないんじゃないですかね」

亭主はそうぼつりと呟く。

「いや、こんなに上手い匂いもするし、目立つ色してるよ、この屋台」

そう、緑屋根の昔ながらの引く屋台だが、ドンと置かれているから目立つはず。

「いやぁ、そう言ってもらえると嬉しいです。

また、ご贔屓に」

「ああ、また寄らしてもらうよ」

そう言って俺は暖簾をくぐる。

その時に一瞬、こちらを向く亭主の顔が見えた気がした。

(え?

真っ白?)

「どうかした?」

肩のセレスに聞かれる。

「いや、なんでもない」

「では、酒場に向かおう」

「あ、ああ」

俺は酒場に向かいながら屋台の方を向く。

屋台はゆっくりと動き始めて、俺達とは反対の方へと向かって行った。

 

 

「はい、いらっしゃい。

何名さま?」

酒場について扉をくぐると、元気のいい声が響いた。

「あ、1人で」

「はい、お一人はいりま~す。

じゃ、こちらに、どうぞ」

和風な衣装のウェイトレスさんが、席に案内してくれる。

「ご注文決まったら、そこの鳴り物で呼んでください」

(鳴り物?

あ、ボタンか?

確かに押せば鳴るけど…)

「今日のおすすめは、様々キノコの串焼きだよ」

そう言って黒髪と白髪が混ざった長い髪を振りながら、ウェイトレスさんはどこかに行った。

「なんか独特なウェイトレスさんだな」

俺は机にセレスを置いて、メニューを見る。

「いやぁ、さすがは我らがラミィちゃん。

ここにもあるな」

メニューにあるラミィ水。

最近はどこでも見るなぁ。

ま、販売努力してるのは、配達人ねねちゃんのお陰だけど。

俺は注文が決まったのでボタンを押した。

ジャンジャンジャン

ドンドン

ピィ~ヒャラララ

(いや、一回押しただけで、どんな音が鳴るんだよ。

まじで鳴り物だし)

「はい、お客さん。

本当に押したんだね。

声かけてくれたら良かったのに」

さっきのウェイトレスさんが、笑いながら現れた。

「いや、押せっていいましたよね?」

「あれ?

そうだっけか?

ま、いいや、注文どうぞ」

「え、あ、はい」

俺は呆気にとられながら注文する。

「あれ?

お客さん。

様々キノコの串焼きが頼まれてませんけど?」

「え?」

(それっておすすめなだけでは?)

何故か悲しそうな顔のウェイトレスさん。

「わ、分かりました。

それも一緒に」

「はい、毎度ありがとうございます」

そして、嬉しそうにスキップして去っていくウェイトレスさん。

「えっとNPCだよな?

ウェイトレスさんって」

聞かれたセレスも不思議そうにウェイトレスさんの後ろ姿を見送っていた。

それから、注文した食べ物を食べる。

「あ、ここ個室だから情報聞けないじゃん」

ある程度食ってから気づく俺。

俺はカウンターに座って大将に話を聞く予定だった。

「何してるんだか」

セレスは串焼きをモグモグしながら言う。

そこに通りかかるさっきのウェイトレス。

「あ、すいません」

「はいはい、なんですか?

追加注文ですか?

様々キノコの串焼きですか?」

(いや、どれだけキノコ推しなんだよ)

「いや、ちょっと聞きたい事が…」

そこまで言った俺にウェイトレスさんは手のひらをばっと向ける。

「え?」

「お客さん、いくら私が可愛いからと言っても、電話番号や住所は教えられません。

ご勘弁を」

そう言って去っていくウェイトレスさん。

「…最近のNPCってすごいな」

去り行くウェイトレスさんの後ろ姿を見ながら俺は呟く。

セレスも串焼きをモグモグしながら頷いた。

(まだ、食っとんのかい)

 

それから、何も情報を得られないまま、俺は酒場を出た。

「ど、どうする?」

肩で座りポンポンお腹になっているセレスに聞く。

「ケプッ

もう、食べられません」

「いや、何か食べようって誘ってませんから」

「もし、そこのおにいさん」

突然、道端から声をかけられた。

見るとそこには路上占いがあった。

「俺ですか?」

「そう」

占い師の人が頷く。

フードを深く被っているせいで顔が分からない。

「何か困ってるようだし、なんなら儂が占ってあげようか?」

(かなり、胡散臭いけど、何か情報が得られるなら、それもありか)

俺は警戒しながらも席に座る。

「さて、何が知りたい?」

声はおばあさんのようだ。

「グランドジョブの居場所を」

俺はそう聞いてみた。

「ほう、ほう」

占い師は長い棒を手で混ぜながらぶつぶつ言う。

「あんた。

女難の相が出てるね」

「はい?」

「それもかなり強い」

「そ、そうですか…」

(なんでグランドジョブの事聞いて、女難の相とか言われるんだ?)

「えっと、グランドジョブの居場所を」

「まぁまぁ、そう言わずに」

占い師はガチャガチャ棒を混ぜる。

「いや、少し急いでるんで」

俺は埒が明かないと思って席を立つ。

「おや、どこに行こうというのかな?」

占い師が俯いたまま言った。

「いや、どこにって他で情報収集を…」

そこまで言って俺は周りの景色が変わっているのに気がついた。

「ここは?」

一面壁はなく、ただただどこまでも続く畳。

「ここは私の特殊領域の中でございます」

俺はバックステップをして占い師から距離を取ると同時に鬼切丸を出す。

「何者だ」

すくっと立つ占い師。

そして、横に手を振った。

机はなくなり服も変わる。

黒いゴスロリ衣装?

顔の前に扇子を広げているので、顔が分からない。

「さて、名乗るほどではございませんが、ここは名乗らせていただきましょう。

【ホロライブワールド】に突如召喚されてにっちもさっちもいかない私ですが、心の中にあるのは1つの殺意。

それを求めてあなたの元へ。

新世代firstが1人、儒烏風亭らでん。

ちょいと一席お付き合いいただけますか?」

パンと扇子を閉じた、その先には能面を着けた顔。

「その顔」

俺は思い出す。

確か、コロッケ屋台の亭主の顔。

「それにその髪」

さっきのウェイトレスの髪と同じ。

(でも、どうしてだ顔が思い出せない)

「はい、いろいろと見させていただきました。

観察させていただきました。

なんせ、私の心に密かに住まう大切な相手ですから」

「リスポーンさせるだろ?」

独特な引き笑い。

「はい、もちろん」

そう、らでんは答えた。

(しかし、どこかで聞いた事のある笑いだな)

俺はあるうさぎさんをふと思い出した。

「それで、どうするんだ?」

俺は鬼切丸を構える。

ちらっと肩を見るとそこにセレスがいない。

「あ、あの規格外の方は少し席を外してもらっています。

あくまで、らでんの狙いはあなたですので」

「く」

(ホロメン相手に1人か)

「では、まずは小手調べ」

らでんはそう言って両手に扇子を持つ。

そして、ばっと広げた。

「これでシメなんて言わないでくださいよ」

広げた扇子をこちらに投げる。

回転して飛んでくる扇子はまるで、丸ノコの刃のようだ。

俺は2つの扇子を鬼切丸で斬る。

「おお、さすが」

パチパチと拍手するらでん。

「では、続きまして」

今度は両手の指の間に扇子を挟んでいる。

計8本。

「参ります」

らでんは同時にそれらを投げた。

迫り来る8枚の扇子。

俺は斬ったり、避けたりしてそれらをいなす。

「あっはっはっは。

いいです。

とても、よろしい」

らでんは嬉しそうに能面の裏で笑う。

「こちらからも行く」

俺は紫雷を身に纒い、一気に間合いを詰めたと同時に、鬼切丸を振り下ろす。

ガ!

「こらこら、演者に手を出すのはご法度ですよ」

(扇子で止めた?

だけど)

ピシッ

小さな音が響く。

「な!」

らでんの能面が真っ二つに割れた。

慌てて顔を隠して下がるらでん。

「まさか、今の一撃で?」

「顔を斬るつもりはないけど、素顔は気になってね」

プルプル震えているらでん。

「まさか、まさか。

能面を壊されるなんて」

らでんからの圧が膨れ上がった。

「本気でヤりましょうか!」

「な、なんだ?」

何もなかったこの空間に大小無数の能面が浮かび上がる。

「さぁ、1度リスポーンしてみる?」

ぐわっと口を開ける能面達。

その奥から今にも撃ち出されそうなエネルギーが見える。

(まじか、こんなの避けられないぞ)

俺は辺りを見回すが逃げ道はない。

(万事休すか?)

その時。

ドガァ!

鳴り響く轟音。

「な、なんだ?」

「な、なに?」

俺とらでんが同時に声をあげる。

(向こうの仕業じゃない?)

ドゴン!

またも響く轟音。

そして「ここにいるんでしょ!」と大きな声が、空間に響き渡った。

「この声?」

「わぁぁぁぁぁぁ!」

聞き覚えのある声だ。

空間から能面が消える。

らでんを見るとまだ震えている。

でも、さっきとはなにか違う。

「ま、まさか、なんで?

でも、間違いない?

いや、でも、まだ無理」

何か狼狽えてる?

「きょ、今日のところはこれでお開き。

次は覚えておいてくださいね!」

そう言ってらでんは扇子を閉じてパンと音を鳴らした。

 

 

「やっぱりいた」

「え?」

俺ははっと我にかえって辺りを見回した。

そこは【ゲーマーズ】の始まりの町。

さっきいた大通りだ。

「大丈夫?」

セレスが肩に乗ってきて心配そうに聞いてくる。

「何とか間に合ったみたいね」

そして、目の前には笑顔のアキちゃんがいた。

 

「俺どうなってたんですか?」

茶屋で並んで座るアキちゃんに聞く。

セレスは隣でだんごを食べている。

「近くにちょうど来ていてね。

セレスちゃんから連絡があったの。

キミが危ないって。

それで駆けつけたら、セレスちゃんが大通りの端でうろうろしてたから、事情を聞いて探ってみたってわけ」

「じゃ、アキちゃんは自力であの領域を見つけたんですか?」

「う~ん、そうなるかなぁ?

なんとなく怪しいなってところを、叩いたみただけだけど」

(すごい轟音してましたけど…?)

「助かりました。

ありがとうございます」

俺は頭を下げる。

「別にいいよ。

知らない仲じゃないんだし」

アキちゃんはそう言って微笑む。

「それより、誰に閉じ込められてたの?」

「それが…」

俺はこれまでの経緯をアキちゃんに説明した。

「ええ、またそんな事になってるの?

それに新世代firstまで?

そっかぁ、あれはらでんちゃんの仕業かぁ」

「はい、何故かアキちゃんの声を聞いて、退いてくれました」

「ふふ、そっか」

それを聞いてアキちゃんが笑う。

「じゃ、今からグランドジョブのところに向かいたいんだよね?」

「あ、はい」

「それじゃ、そこまでアキロゼが案内してあげるよ」

「本当ですか?

助かります」

俺は茶屋での勘定を済ませ、肩にお腹ポンポンのセレスを乗せると、アキちゃんと共にグランドジョブの元へと向かった。

 




お待たせしました。
今回はリグロスのAI【新世代first】の1人らでんちゃんの登場です。
ま、実在する方と違うので、しゃべり方や行動が違うのはご了承下さい。(もっと勉強しておきます)
今回は顔見せ程度でしたが、のちのち力を貸してくれるだろうという事で。
それでは、次回もお楽しみに
よかったら感想お待ちしております。
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