ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
あなたはラプラス・ダークネスから聞いた方法を使い、このはを救う事ができた。
しかし、このはの中にいた黒い靄が【ホロライブソード】へと向かうのを確認した。
まだ、全ては終わっていなかった。
『あなたの言っていた黒い靄の正体が分かりました』
「正体?」
俺は画面のAちゃんに聞く。
このはの体を使って、この世界を壊そうとしていたヤツを倒した後、俺はそのこのはが消えた後に残った不気味な靄についてAちゃんに聞いていた。
『結論からいうと、あれはある事件で会社を退職したプログラマーが残した論理爆弾です』
「論理爆弾?」
『はい、ある条件が揃った時に発動するプログラムです。
それもそのプログラムにはAIが搭載されていたようです』
「そんな事が出来るんですか?」
『この【ホロライブワールド】では可能でしょう。
この世界には多くのAIが活動しています』
(確かにそらちゃん以外のホロメンキャラはAIが搭載されている)
「それで他にも何かあったんでしょ?」
そらちゃんがAちゃんに聞く。
『…
こちらとそちらの扉を開ける事が出来ないの』
Aちゃんは悔しそうに言った。
「理由を聞いても?」
俺の言葉に頷くAちゃん。
『現在、その靄が【ホロライブソード】の柄頭にあたる、頂上に存在しているの。
あのプログラムは【ホロライブソード】を使って電子の海へ逃げようとしていたわ』
「電子の海に?」
『ええ、そんな事になればネットワークを通じて、様々な場所に危害が加えられる』
「だから、頂上を封じたんだね」
おかゆちゃんが真剣な顔で言った。
『はい、そのせいでこちらからもそちらからもデータを移動させる事が出来なくなっています』
「どうすればいいんですか?」
俺はAちゃんに聞いた。
『…』
その問いにAちゃんは黙って俯く。
「方法がないわけではないんですよね?」
『はい。
ただ、この方法はかなり危険です。
この世界にいるホロメン達には無理ですし、そらにも無理でしょう』
「俺には可能なんですね」
『…はい。
しかし、あるものを失ってしまいます』
「それは?」
『…あなたのキャラクターデータです』
「!」
それから、俺はAちゃんに詳しい内容を聞いた。
要約すると、【ホロライブソード】の頂上は、リアルと【ホロライブワールド】の境界線で、リアルの俺が留まれる場所ではないという事。
そして、靄と戦う為にキャラデータにAIを入れて、自動で靄を撃退するワクチンのようなものにするという事。
そして、ワクチンとなった俺のキャラデータは【ホロライブワールド】からは完全に消去されるかたちになるそうだ。
『他にもワクチン作り出してその靄に当てる事も出来ますが、多くの難問を突破しなくてはいけません。
何ヵ月、いや、何年かかるか分かりません。
そんな長い時を生身であるあなたやそらに待たせるのは危険なんです』
「分かりました。
そのワクチンにしてください」
俺はそうAちゃんに言った。
『いいんですね』
Aちゃんは静かに聞く。
「ええ、構いません」
俺はそう言って頷いた。
(俺はこの世界が好きだ。
だから、ここに戻ってきた。
悔いはないさ)
『分かりました。
ただ、この世界で得た装備やスキルは持っていけません。
あなたのキャラクター自身が武器となります』
「はい」
俺は鬼斬丸と赤竜の小手、アルティメットフットを外す。
「これをしかるべき場所にお願いします」
3つの装備をAZKi ちゃんに託す。
「うん、必ず」
AZKiちゃんは頷いた。
『【ホロライブソード】に向かう間にワクチンとAIをそのキャラにインストールします。
頂上に着いた時に一瞬リアルとのデータ移動を可能にしてあなたをリアルへ。
そして、キャラクターを黒い靄へとぶつけます』
「分かりました」
俺はそらちゃん達の方を振り返る。
「それじゃ、いつかまた」
そらちゃん達は各々悲しい表情をしながら何度も頷く。
俺は【ホロライブソード】へと振り返った。
これ以上みんなを見ていたら、決心が揺らいでしまう。
俺をゆっくりと【ホロライブソード】に向かって歩きだした。
【ホロライブソード】に近づくにつれ、うっすらと霧が出てきた。
途中、AちゃんからワクチンとAIのインストールを伝えられた。
AIは今までの俺の行動や考えが元になっているようで、ほぼ俺と言ってもいいと言っていた。
俺がリアルに戻る際に代わりに起動するとの事だ。
あと、現在【ホロライブソード】には入れないので、別の方法を用意したとの事だった。
【ホロライブソード】の根本が見えてきた。
根本には白い濃い霧がかかっていてはっきりとは確認できないが…
「ここまで近くに来たプレイヤーは俺ぐらいだろうな」
「ほんとそうですよ、あなたぐらいです」
「え?」
俺の独り言に誰かが突っ込んできた?
俺は声がした方を向く。
そこには【新世代first】の4人が立っていた。
「え?
なんで?」
状況が飲み込めない。
「なんでって、絶対に後で追い付くからって言ってなかった?」
莉々華ちゃんの言葉に奏ちゃんと青くんが頷く。
「えっとはじめちゃんは?」
見当たらないので聞いてみる。
「あ、ばんちょーならもう少し先で待ってますよ」
らでんちゃんは笑顔で答えてくれた。
「短いようで長かったね」
奏ちゃんが俺を見て言った。
「そうだね」
「ま、僕達は異変の為にプレ実装みたいなものだからね」
青くんはあははと笑いながら言う。
「本当に助かったよ。
ありがとうな」
4人は並んでこちらを向いて微笑む。
「もう、会えないのかな」
莉々華ちゃんの言葉に俺は首を横に振る。
「そんな事ないさ。
いつかまた会えるよ、この世界で」
俺ははっきりと伝える。
「じゃ、これは僕からの選別」
ポンと青くんに体を叩かれる。
すると瞬時に青い鎧を装備していた。
「え?」
(これには見覚えある。
前に俺を助けてくれたブルーが装備していたやつだ)
「でも、この世界のものは持っていけないって」
「それはこの世界の一部になってるものでしょ?
奏達はその枠に入らないんだなぁ」
そう言いながら、奏ちゃんは出刃包丁を渡してくる。
「これいいの?」
(奏ちゃんが隠し持ってるやつでは?)
「いいのいいの」
ひらひら手を振り離れる奏ちゃん。
「らでんからはこれですね」
そう言ってらでんちゃんが扇をこちらに振ると、何故か体が軽くなり力がわいてくる。
「ステータスにバフかけときました」
「ありがとう」
「頂で何があるか分からないから」
莉々華ちゃんはそう言って俺に何かを手渡す。
見ると小さなビンが多数あった。
「これは?」
「莉々華の会社で作った小型ポーション一式。
使う時に普通の大きさになるから」
「わかった、助かる」
うんうんと頷く莉々華ちゃん。
「さぁ、先に進んで」
「ばんちょーが待ってますよ」
「また会おう」
「絶対にね」
「ああ、必ず」
俺は4人の言葉を受けて前に進んだ。
どのくらい進んだだろう。
辺りの霧がだいぶ濃くなって来た。
「ん?
あれは?」
その霧の奥で人影が見えた。
そちらに俺はゆっくりと向かう。
「ふふ、よくぞここまでたどり着きましたね」
可愛らしい声が聞こえる。
「ここまでのキミの道のりは誰にも想像できないくらい大変だったのは分かっています」
霧の先に立つ人物の背中で学ランがなびいている。
「ご褒美といってはなんですが」
その人物はゆっくりと振り返る。
学ランに学生帽子。
「はじめのとっておきを見せてやりますよ」
はじめちゃんはにこっと笑う。
「準備はいいですか?」
俺はゆっくりと頷いた。
それを見てはじめちゃんは脚を開き腰を落とす。
「はじめの魂、燃やしてやるぜ~!」
はじめちゃんの体から金色のオーラが吹き上がる。
「はぁぁぁぁぁぁぁ。
轟はじめが究極奥義!
【頂ローーーーーーード!ゴールデン!】」
はじめちゃんが天へと拳を振り上げる。
それと同時に【ホロライブソード】の真横に天へと通じるくらいの光の柱が立った。
「【ホロライブソード】には今は入れません。
だから、この柱に入って頂に向かって走ってください。
この中なら走っても疲れませんよ」
俺ははじめちゃんの方に歩く。
「ありがとう、最後まで迷惑かけるね」
「そう思うなら、今度は謝りに会いに来てください」
「わかった」
俺ははじめちゃんの横を通りすぎる。
ドサッ
「はじめちゃん!?」
「振り向くな!
キミの行く道は前にしかありませんよ」
その言葉に俺は後ろに振り向きたいのをぐっと我慢した。
「行ってくるよ」
「はい」
俺はその返事を聞いて光柱に入った。
(え?
前に道が続いている?)
光の柱の中は光の道が続き、光が渦巻く場所だった。
(いや、違う。
俺は今、地面に背中を向けて立ってるんだ。
だから、ここを走っていけば頂上につく)
俺はそう確信して走り出す。
最後の戦いを始める為に。
「大丈夫?」
「ありがと」
らでんは倒れたはじめに手を貸した。
「いっちゃったんだね」
奏は光の柱を見上げた。
「うん」
立ち上がったはじめも見上げる。
「勝てるかな?」
「それは分からないけど、僕達の力は全て渡したからなぁ」
莉々華の言葉に青が答える。
「大丈夫だよ、彼なら。
絶対にやってくれます」
らでんは光の柱に向かって言った。
「うん、それじゃ、彼が戻ってくるまでには、またこの世界で集まりましょうか」
莉々華は手を差し出す。
「そうだね」
青が手を重ねる。
「ま、仕方ないかぁ」
奏がその上に手を置く。
「もちろんですよ、まだしたいことありますし」
らでんも続いた。
「確かに、今度は勝負したいし」
はじめが最後に手を置いた。
5人はお互いに目を合わす。
『それじゃ、また会おう!』
5人は元気よく手を天にあげる。
そして、光の粒子が天へと登った。
【新世代first】はその役目を終えました。
あなたは彼女達の力を受け取り、頂へと向かいます。
【ホロライブワールド】は果たして元の姿に戻るのか?
長かったあなたの戦いは終わりをむかえようとしています。