ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版~メインストーリー事変~ 作:天野空
これからも力を貸してくれる事を、儒烏風亭らでんちゃんと約束し、あなたは新たな魔集石の元へ向かうのであった。
「さて、次はどこに行こうか?」
俺は【ゲーマーズ】の茶屋で地図を広げる。
モキュモキュ
隣でせっせと俺が注文した団子を食べるセレス。
(俺のも残しておいてね)
と横目で見ていると、あまりにも食べるペースが早いので、俺はしぶしぶもう2皿注文した。
「転送装置のお陰で、【近未来都市】以外は比較的簡単に行けるけど…」
地図には【近未来都市】にもマークが付いていた。
「1度空に上がってはどうですか?」
両手に団子を持ったセレスがこちらを見上げながら言う。
「空か…」
「上手く行けば、【近未来都市】へ近道出来ます」
「ま、確かにな」
そうセレスと旅をしていた時に、俺は【近未来都市】への近道?として【ふぉーす】のある場所から飛び降りたのだ。
すぐに落下防止用のドローンが助けに来てくれたが、俺はそれを避けて下に落ちた。
普通はそのまま行けば地面にぶつかりリスポーンするのだけど、その時、俺はある天使から【天使の護り羽】をもらっていた。
そのアイテムがあると地面に近づくにつれて、落下スピードが遅くなるというものだった。
「その裏技するなら、また、もらいに行かないとな」
「久しぶりに会いに行くのもいいのでは?」
初めの皿の分を食べて2皿目に手を伸ばしながら、セレスが言う。
「そうだな。
っていうか食べ過ぎじゃない?
セレスってそんな大食いキャラだった?」
「別の世界で存在を維持するには、エネルギーが必要です。
いくら省エネモードのSDキャラといえども、食べなくてはいけないのです」
モキュモキュ
「ほんとかよ」
俺は少し呆れながら団子を口に入れる。
(お、うまい)
「じゃ、食べたら行くか。
空へ」
モキュモキュしながら頷くセレス。
食べるスピードが心なしか早くなった気がするのは、気のせいであってほしい。
怒涛の勢いで消えていく、2皿目の団子を見ながら俺は思った。
さて、このゲームをやっていたら誰も知っている事だが、【ホロライブワールド】の空には、ある世界が存在する。
【ふぉーす】と呼ばれる大小様々な浮遊島で構成されている世界だ。
ゲームを始めた時に、初期出現位置を【ふぉーす】にしてない場合、下の世界から上がるのは、案外後の方になってしまう。
俺は今回、【ゲーマーズ】から上がる為の門がある第2の町とカジノの町の間にある森に来ている。
「こんなところにもゲートがあるですね」
森の入り口で肩の上に座るセレスが不思議そうに言った。
見た目は単なるどこのエリアにありそうな森。
「ああ、友人から聞いたから間違いないはず」
俺は友人に連絡して、【ゲーマーズ】から上へ行くのに一番近いゲートを聞いたのだ。
俺は森へと入る。
奥に向かってしばらく進む。
途中出てくる小鬼のモンスターは、鬼切丸を持っている俺にしたら相手にならない。(鬼系モンスターに特効がある為)
「お、あった」
森の奥に円形の白い石の上に美しい白い門があった。
これが上へと行く為の門。
俺は早速門を押す。
ギギギと音を鳴らしながら門が開いていく。
門の先は虹色の幕のようなものが広がっていた。
「行くよ」
頷くセレス。
俺は勢いよくその幕に飛び込んだ。
「おお~
いつ見ても爽快だなぁ」
後ろには先程と同じ門。
そして、辺りは空だった。
雲が自分の目線辺りを流れている。
どうやらここは小さな浮遊島らしい。
「確か近くに転移板があるはずだけど…」
ゲートの近くには、そこから一番近い大きな島に移動できる転移板がある。
「あれでは?」
セレスが古ぼけた石板を見つけ指差す。
「お、確かに」
近くによると草に覆われているが確かに転移板だ。
俺は転移板に乗る。
次の瞬間。
俺は違う浮遊島にいた。
「えっと?」
ステータス画面の地図で自分の現在位置を確認する。
「第2の町近くか…」
次にキーアイテムの地図を開く。
「メインストーリーは第3の町で起こるみたいなんだよな」
「では、町にある転移板を使った方が早いですね」
「そうだな」
セレスの言う転移板は、他のものと違って、町に行って解放しないと使えないものだ。
ただ、解放さえすればいつでも町を行き来できるのでかなり便利。
ちなみに俺は絆の再集めの時に解放済みだ。
「確か、第3の町には学校があるのでは?」
「うん、翼人種のNPCが多数通う学校だな。
いろいろとイベントやクエストのトリガーになる場所だ」
俺は第2の町に向かう。
街道を進めば敵に会う事もないし、この【ふぉーす】は基本的にダンジョンの中に敵がいる。
すんなりと町に着いた。
「少し買い食いした後、一旦落ちるよ」
俺はセレスに言った。
それから、俺はレストランで食事をした後、宿をとってログアウトした。
明日から、メインストーリーを始めるから長くなりそうだからな。
ログイン。
「おはよう」
セレスはいつの間にか持ってきていたパンを机の上で食べていた。
「朝食?」
頷くセレス。
「じゃ、食べたら行くか」
モキュモキュ。
俺は宿で軽く朝食を食べた後、町の大広場の近くにある転移神殿に入る。
ここが町と町をつなぐ転移板のある場所だ。
俺は第3の町行きの転移板へと並んだ。
(ま、転移は一瞬だけどな)
転移板に乗った瞬間、もう第3の町だ。
(便利以外の何物でもない。
ここの道が開いてなかったら、めちゃくちゃ大変だからなぁ)
ふと、第2の町から第3の町に行く普通のルートを思い出す。
「う」
身震いしてしまう。
「?」
不思議そうに俺を見るセレス。
「なんでもない」
俺は誤魔化しながら転移神殿から出た。
町の風景はそう変わらない、この第3の町は【ふぉーす】の世界にある浮島の中でも1、2を争う程大きく、巨大な湖が存在する。
伝説では、その昔、その湖から巨大なサメの怪物が現れて暴れたと言い伝えられていたりする。
そして、目的の学校は町の奥にある大きな建物だ。
地図を開く。
拡大するとやはりマークは学校の上にある。
「行くか、メインストーリー」
俺は地図を閉じると学校へと向かった。
「さて、どうするかな」
学校の前まで来た俺はどうやって中に入るか迷っていた。
ここはNPCが通う学校っていう設定の為に、用事もなく中に入れば普通に不審者だ。
(こういうところはリアルと変わらないんだよな、このゲーム)
「ん?
あれ、キミは?
やっぱり、久しぶり」
誰かがこちらを見て、校門から走ってくる。
背が小さくて、青白の制服。
頭には手裏剣のような天使の輪。
(ん?
手裏剣のような天使の輪?)
「へい!」
「かなたちゃん!」
俺の目の前に元気一杯で手をあげる天使。
天音かなたちゃんだ。
「何してんの、こんなとこで」
「え、いや、ちょっと用事が」
「ふぅん」
下から覗き込むように見てくるかなたちゃん。
「な、なんですか?
それより、かなたちゃんはどうしてここに?」
「え?」
体勢を戻し、ふふんと鼻で笑った後、威張り顔で左腕に付いているワッペンを引っ張り見せてくる。
「生徒会長?」
「そう、何をかくそう、僕はこの学校の生徒会長なのだよ」
「ま、名ばかりだけどねぇ~」
突然上から声がする。
「な!」
「あ!」
『トワ』「様」
「やぁ、久しぶり」
こちらは黒白の学生服。
「あのねぇ、名ばかりじゃないから」
「そぅ?
なんにも仕事してなくない?」
2人並んだかなトワが言い合う。
「相変わらず仲良いですね」
『な!』
何故か2人同時に指差された。
「なるほどね。
メインストーリーしてるんだ」
「で、やっかい事に巻き込まれてると」
『相変わらずだねぇ』
2人同時に言われてしまった。
「いや、俺そんなにやっかい事に巻き込まれてないですよ」
反論してみる。
『はぁ~』
2人は同時にため息をついた。
(めちゃくちゃ仲良いな!)
「それで、どうやって学校に入ろうかと」
「いや、普通に入れるよ?」
「え?」
かなたちゃんの言葉に驚く。
「いや、だってNPC専用の学校で…」
「そうだけど、キミ。
キーアイテム持ってるんじゃないの?」
「あ、はい、あります」
「なら問題ない」
トワ様に手を引かれ、かなたちゃんに背中を押されながら俺は学校の門へと向かった。
校門にいる警備員の人の目がギロリとこちらに向いた。
「あ、魔集石の浄化の方ですね。
おつかれさまです」
めちゃくちゃ優しい声で、頭を下げられた。
「あ、こちらこそ」
「ほらほら」
「いくよ」
頭を下げる俺を2人は押して校門の中へと押し入れた。
「本当に何もなく入れた」
「だから僕が言ったとおりでしょ」
「ここはイベント専用みたいなところだからね。
さて、問題はここからだけど…」
胸を張って威張るかなたちゃんの横でトワ様がキョロキョロする。
「あ、やっぱり来た。
ま、やっかい事に巻き込まれるのが、キミの特殊能力みたいなものだし」
とんとんとトワ様に肩を叩かれる。
(な、なんだ?)
「やっぱりいた!
なんか懐かしい魔力を感じたと思った」
そう言って走ってくるのは…
「し、師匠?」
そう俺の魔法の師匠、シオンちゃんだった。
ガシッ
唐突に現れたシオンちゃんに手を掴まれる。
そして、俺はシオンちゃんに引っ張られて学校へと連れていかれる。
後ろでかなトワ2人が並んで手を振っていた。
(ああ、もう仲いいな!)
「ちょ、ちょっと、師匠!
止まってください師匠!」
「え?
何?」
校舎に入って廊下を引っ張られ続けて、やっと俺の言葉がシオンちゃんに届く。
「何?じゃなくて、いきなり何なんですか?」
「あ、ごめん」
シオンちゃんが手を離す。
「それに師匠って【学園】に通ってるんじゃないんですか?」
そう、シオンちゃんと初めて出会ったのは【学園】のイベント。
「あ、あれは魔法の練習に行ってるだけで通ってる訳じゃないから」
「そ、そうなんですね。
で、師匠はここに通ってるんですか?」
「そう」
胸を張るシオンちゃん。
確かに薄紫と白の制服着てる。
(ん?
それによく見ると何か背中にのぼり旗、後たすきが…
えっと、何々?
リア充撲滅運動?
し、師匠~)
「えっと、それは」
俺はのぼり旗を指差して聞く。
「あ、これ?
今、キャンペーン期間中」
「いや、キャンペーンって…」
「で、シオンが委員長!」
(確かにたすきにはリア充撲滅委員長って書いてる)
「えっと師匠そんなキャラでは…」
「キミが知ってシオンは、ゲーム内で最強状態のシオンであって、これが本当のシオン」
(うわぁ、知りたくなかったなぁ。
カッコいい師匠のままがよかった)
「というわけで付き合いなさい」
「え?」
「どうせ、暇してるんでしょ」
「ちょ、ちょっと」
シオンちゃんは俺の背中に無理やりのぼり旗を装備させて、また手を引っ張りどこかに向かう。
そして、ある廊下に来た時、シオンちゃんの動きが止まった。
「ほら、あれ見て」
廊下へと続く踊り場の影からこっそりと廊下を覗く。
そこには2人の女子生徒が仲良く話していた。
「えっと、女子生徒が仲良く話してますね」
「は?」
シオンちゃんがこちらを向く。
「何言ってるの。
男女2人でしょ!」
「え?」
もう一度廊下を覗く。
(女子生徒だと思うけど、女子の制服着てるし)
「えっと、女子では?」
「キミねぇ、会う度に見た目だけで判断するなとあれほど言ってるでしょ?」
(あ、ほんの少し、師匠っぽい)
「あれは女子生徒と女子の制服を着た鏡見キラくんよ」
「え?」
「グランドジョブの方ですね」
もう一度覗く俺の肩でセレスがポツリと呟いた。
(ええええぇーーーー!)
大変お待たせしました。
新たな舞台【ふぉーす】の学校編となります。
今回の相手は鏡見キラさん。
さて、彼は何のグランドジョブなのでしょうか?
そして、シオンちゃんの運動は無事に果たす事ができるのか?
次回、第9話 ふたりは◯◯(仮)でお会いしましょう。
え?
題名がぶっとんでないかだって?
気にしない気にしない、なんせ(仮)ですから