日付変わってますけど。
~一話 伽藍堂な少年の新たな
死にたかったのに。
どうして。
どうして助けたんだ、キシュアさん、先生。
とある大学の前、肩まである茶色の髪(アホ毛が妙に特徴的だ)の少女が、スキップしながら母親に会う為にその場を訪れていた。
彼女、御坂美琴は仕事で中々会えない母親に、今日は一緒にお弁当を食べよう、と連絡を受けていた。
七歳の彼女としてはまだまだ親に甘えたい年頃で、そんな時間が出来たことに大喜びしているのだ。
ただ、予期せぬ事態が起きた。
「あれ?」
自分より恐らく年上であろう少年が、道端に倒れていたのだ。
考えてもみてほしい。
在り得ない状況、彼女はまだ少女、考えなんて働かない。
どうすれば良いか解らなくなった彼女は―――――
「お母さーーーーんっ!!」
不安に駆られ、泣きながら母親を呼びにいくのだった。
すぐ傍にいた
黒く塗り潰された意識がだんだんと覚醒していく。
重たい目蓋を開け辺りを見回す。
そこは白い壁で囲まれた医務室だった。
だが俺の見る
あらゆる物に『黒い線』が走る。
それらが集まる場所に『黒い点』が見える。
幾度となくこの
これ程まで自分の眼を憎いと思ったことはない。
潰してしまいたいと思ったことはない。
この眼が………彼女を死に追いやったのだ。
自分が憎い。
この眼を、
そして、胸の内をぽっかりと開けられたような喪失感に襲われる。
伽藍堂が心を支配している。
ベッドの上で、ただ無気力に半身だけ起き上がる。
ぼうっと前を見ているしかなかった。
ガラガラっと戸が開く音がして、艶やかな茶色の髪の若い女性が入ってきた。
「あら?起きてたの。一応
私、御坂美鈴は、黒い髪の少年に聞いた。
本当の処、少しだが事情は知れていた。
美琴が泣きながら呼びにきた際、案内された場所に黒猫が少年に寄り添うようにいて、そこには一緒に小さなトランクがあったのだ。
失礼とは思いつつ、身元が解る物を探す為と言い聞かせ中を開かせてもらった。
中には、小さな赤い着物(恐らくは着流しという物)と木箱のような物、値打ちが張りそうな少しの宝石と共に手紙が入っていた。
それには、英語でこう書かれていた。
『これを読んでいる者へ。
近くに少年がいる筈だから、その子を保護してやって欲しい。
彼はすべてを失った身だ。
もしかしたら死のうとするかもしれん。
儂は彼に生きてもらいたい。
何があっても、新たな未来に生きていて欲しい。
それしか、儂が彼にしてやることはなかった。
これを読んでいる者よ、恥を忍んで頼む。
彼を、志貴のことをお願いしたい。
謝礼として少しばかりではあるが宝石を納付してある。
それは自由に使っていい。
志貴が生きる希望を持ってくれることを、心から願っている。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』
文面を見て、キシュアと言う人物がどれ程彼の事を思っているかが伝わってくる物だった。
何があったかは解らないが、
まだ小さいのに可哀想に、と思い医務室に運んだ。
彼の傍にいた黒猫が、心配そうに彼を見つめていたのも印象的だった。
この猫も彼がその何かを失った瞬間を間近で見ていたのかもしれない。
猫の方は放置するわけにもいかないので、今は美琴と一緒にいてもらっている。
かなり賢いようで、ここで待っていて欲しい、と言うと大人しくしていた。
そんな風に思っている人がいるというのに、彼から返ってきた言葉は残酷であった。
「………どうして死なせてくれないんですか」
幾ら何かを失ったとは言え、あまりにも不謹慎だと思った。
そう思った時、小走りで近づき彼の頬を平手打ちしていた。
「貴方、自分が何言ってるか解ってるの!?」
そう怒鳴りつけた。
しかし、次の瞬間固まってしまった。
彼は涙を流していた。
「死にたかった。俺が、俺だけが生き残ったってどうしろって言うんだ。………一緒に死にたかったっ!!」
ただただ、涙を流して震える声でそう小声で叫んだ。
あまりにも弱り切ったその姿に、何も言えなくなった。
だが、何時までもこうしている訳にはいかない。
「何があったのか、聞かせて?話せば、少しは楽になるわ」
私の言葉にしばらく嗚咽を漏らしていた彼は、ゆっくりながらも語り始めた。
彼から聞いた話はあまりにも取り留めのない話だった。
彼は遠野志貴ということ。
本当は十代後半だということ(流石に驚いた)。
これはいい。
後が問題だ。
吸血鬼、魔術、魔法、彼の持つ異能………。
ファンタジーな話だが、ここ学園都市も似たような物か、と軽く流す。
一つの出会いから始まり、色々な出来事があったそうだ。
そして最後にこう告げられた。
「愛していた女の子を、俺が殺しました」
一瞬何を言ったのか解らなかったが、話を聞いていく内にそれはどうしようもなかったことだと言う事だと思った。
それでも彼は後悔していた。
何か他に方法が無かったのか?
もっといい方法が在ったかもしれない。
そんなことばかり言って、彼は涙を流し続けた。
なんて救われないのだろう。
そう思った時、彼を抱きしめていた。
「今は一杯泣きなさい。男の子だからって我慢しなくていいわ。ここには私しかいないから」
そう言うと、彼は容姿相応の子供の様に大声で泣き出した。
暫くして彼は、もう大丈夫です、と小さく言った。
目蓋は赤く腫上がっている彼に、私は一つ提案をした。
「志貴君、私の養子にならない?」
年甲斐もなく女性に抱擁され泣きじゃくっていた俺に、美鈴さんはそう言った。
「でも………」
ここまでしてもらって迷惑ではないか、暗にそういう空白だった。
「私は全然いいわ。だって………」
ひょいっと持ち上げられ、頬を擦り付けられる。
「こんな可愛い息子が出来るんだもの~~♪」
流石に赤面して言う。
「ちょっ、俺何歳か言いましたよね?!」
「別にいいじゃない♪貴方今は子供なんだから。あ、もしかして私に欲情しちゃった?最近の子供はませてるわね~」
などと相手にしてもらえない。
この人、性格的に琥珀さん寄りだ。
「私、これでも子供持ちなのよ。だから結婚は無理ね~」
へぇ~子供持ち………って子供持ち!?
「嘘っ!?めちゃくちゃ若いのに!?」
「あら、ありがとう」
「ああいえ………じゃなくてっ!!」
「それにね、私の子供、美琴って言うんだけどね、私忙しい身だから余り構ってあげられないの。だからしっかりした『お兄ちゃん』がいてくれたら助かるなぁって」
なんて、流し目を送ってくるものだから断りようが無かった。
「それじゃあ、その、よろしくお願いします」
「はい、よく出来ました♪」
ああもう、完全に美鈴さんのペースだ。
そこへ、扉をカリカリッと引っ掻く音がする。
そしてすぐに扉が開く。
扉が開くと同時に、レンが部屋に飛び込んできた。
「あっ、駄目」
と、同時に飛び込んでくる茶色い髪の少女。
レンを捕まえようとして、転んで鼻を赤くして涙目になっている。
レンはベッドに座っている俺の膝に飛び乗ると、こちらをジッと見つめる。
まだ割り切れないけど、レンを不安にさせる訳にはいかない。
「おはよう、レン。心配かけて御免」
そう言うと、彼女は俺の手に擦り寄って鳴いた。
元気出せっという事だろう。
つくづく自分は幸せだな、と思った瞬間だった。
「えっと………」
ああ、忘れてた。
レンをジッと見つめる少女。
その眼は羨望の眼差し。
取り敢えず―――――
「はいっ」
レンを抱かせてあげた。
満面の笑みを浮かべる少女、裏切られたと言わんばかりに視線を向けてくるレン。
御免、レン。
その少女には勝てる気がしなかった。
「紹介するわね。私の愛娘、御坂美琴よ」
やっと解放されたレン戻ってくると、今度は美琴ちゃんが美鈴さんに持ち上げられる。
よく見れば、確かに美鈴さんそっくりだ。
「こんにちわ~」
笑顔で挨拶する美琴ちゃん。
俺も挨拶を返そうとして、美鈴さんに遮られた。
「美琴~、この人はね、今日から貴方のお兄ちゃんになりま~す♪」
なんかもう振り回されっ放しだ。
「そうなんだ~」
畜生、なんだこの置いてきぼり感は。
「はい、自己紹介~」
「自己紹介~」
二人に促される。
休む暇すら与えてもらえないようだ。
「えっと、とお………じゃないか。御坂志貴です、宜しく」
こうして、新たな世界で新たな人生が始まった。
早く戦闘描写書きたい。
一方通行とかガチでやりたい。
美琴のデレもいいかも。
次話も頑張ります