とある魔眼の殺人貴【凍結中】   作:深淵の守人

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かなり久々です。
更新を待っていただいた読者の皆さんには大変申し訳ありませんでした。
今年中に後一話程更新する予定ですが、他の二作品は時系列が複雑でないよう更生が難しかったり、内容自体が考えるのが難しいなどで今年中の更新はしないつもりです。
長々と申し訳ありません。それでは始まります。


三話

~三話 逃れられぬ因果(のろい)禁書目録(インデックス)

 

 

 

 

何時の日か、遠い遠い日の過去(ゆめ)

綺麗な月が瞬く下、静かな森の中に横たわる骸、骸、骸。

赤の海と化し、七夜(オレ)はただ眺めることしか出来ない。

枯れ果てた木に吊るされた(母だったもの)から滑り落ちた七つ夜(かたみ)を拾い上げ、それを見つめる。

死が近づいてくる。

それは人の形をした何か。

気付けばそれは目の前にいて、次の瞬間自分の体には赤い()()が生えていて、そして自分も赤の海に沈む。

そこで途切れて、次は遠野の屋敷にいた。

庭園で遊んでいて、()()が反転して、秋葉を庇って、また殺された。

目まぐるしい加速の後、また映し出された。

俺は公園でアイツを殺した。

その女性と出会ってから、あの短い物語が始まった。

襲い来る死徒を殺し、殺し、殺し………そしてあの日。

何処かの城の玉座で、俺はまた愛していた化生(アイツ)を殺した。

夥しい血が床一面に広がり、彼女の腹に突き立てた七つ夜を中心に彼女の血が服に滲む。

声にならない声をひたすら上げ続ける。

 

それで夢は終わり。

 

 

 

 

俺は何をやっているのだろう。

殺されて、殺されて………殺して、殺して、殺して。

ただそれの繰り返し。

なんて因果だろう。

終わらせても、終わらせても、一向に終わりはこない。

やっと終わらせたかと思えば、大切な物を喪っている。

 

こんな運命を何度呪っただろう。

でも、どんなに手を伸ばしても、その手が届くことは無い。

あの日々は、もう戻ってこない。

 

 

 

 

それでも俺は生かされた。

今は親も妹も友人もいる。

だから、今度こそ前向きに生きてみたいと思う。

 

もし、先生やキシュアさんに会うことがあったら言いたい言葉がある。

 

 

 

 

『ありがとう』、と。

 

 

 

 

目が覚めて、のそっとベッドから起き上がる。

以前の様な体の貧血は無いけれど、相変わらず朝は弱い。

目を擦りながらカーテンを開け、日差しを受け入れる。

大きく伸びをし、よしっと意気込みを入れる。

さぁ、今日も一日の始まりだ。

 

 

 

 

夏休みに入ったとは言え、記録術(かいはつ)に関しては、ほぼオールレッド(透視能力だけ魔眼を使って(ずるして)カードの線の形を覚えて凌いだ)の俺は指定車補習に引っかかり登校しなければならない。

と言っても、クラスで座学じゃトップだし、その点については問題ないので実質夏休みの自主勉強みたいな物だ。

補習行くだけで留年を回避できるなら儲け物だろう。

「じゃあ、行ってくる。レン、留守番は頼んだよ」

ニャーッと返事する愛猫に、今日はケーキを買ってきてあげようと考えながらも寮を後にした。

隣の当麻の部屋がやたら五月蝿かったが、気にもせず部屋の前を素通りすると学校へ向った。

 

 

 

 

「シスターがベランダにほさってた?」

「そうそう」

「当麻………。もう昼だよ?寝言は寝てからにしなよ」

「だーかーらー!本当なんだってっ!禁書目録(インデックス)とか偽名名乗ってて、銀髪で、針のムシロみたいな修道服着てたはずなんだけど。見なかった?」

「当麻。俺さ、当麻の趣味は共有できないよ?」

「あーもうっ!!何なんだこの堂々巡りは!!」

いや、シスターが部屋から出ていったんだけど、何て聞いてきたから、何でシスター?、って聞いたらこのやり取りになったんだけど。

「んで、何でそのシスターが気になるの?当麻ってそういう趣味?」

「ちげぇーって。ちょっと訳ありなんだよ」

「ああ。またか。懲りないね、不幸体質なのに厄介ごとに突っ込んでいくなんて」

「避けれたなら避けたよ。でもさ、起きたら部屋のベランダにほさってて『ご飯くれると嬉しいかも』なんて言われてみろ。回避不能だろうが」

「そんな在り得ないシチュエーションになったこと無いから解るかよ」

此処まで来るとマニアック通り過ぎてるだろうし。

「レンが見てたら教えるよ。少なくとも俺は見てない」

「そっか………」

ちょっと落ち込んだように当麻は言う。

「どうかしたのか?」

「いやさ、そいつ別れる前に『俺が何とかする』って言ったら、『一緒に地獄に落ちてくれる?』なんて返してきたんだ。どうも普通じゃないように思えてさ」

「返事した?」

「する前に何処か行っちまった」

「それで後悔してるわけね。でもさ、見ず知らずの人に『一緒に地獄に落ちれる?』なんて聞かれて、普通『はい』なんて言えないよ?誰もが聖人になれる訳じゃないんだからさ」

「そうなんだけどなぁ」

そう言いながら、当麻はやっぱりその子を心配しているんだろう。

そういう性格は素直に好ましいとは思う。

でも、それが良い事だとは思わない。

彼は自分が傷つく事で誰かが心を傷める事に気付いていない。

言ってしまえば幼稚な正義ごっこだ。

何時だったか出会った錬鉄の魔術師のようで、その危い行動に対しては納得していない。

行動と動機が矛盾しているあの男のよ様な彼の姿は、俺にとって嫌悪の対象だった。

「程々にしとけよ?巻き込まれてからじゃあ如何にもならないんだから」

 

 

 

 

ここでもっとしっかり止めていればよかったのだろうか。

もし、もしも……。

こんなことを考えるのは愛した女(アイツ)が夢に出たからなのだろうか。

『上条当麻』が死ぬのを止められただろうか。

 

 

 

 

補習が終わり、何時ものように二人で駄弁りながら帰る。

途中、美琴に出くわし、当麻と美琴が一戦するかと思いきや当麻の機転で凌いで脱出。

どっちつかずの立場だと居心地悪いからなぁ。

 

 

 

 

そう、こんな風に日常(ふつう)を味わいながら今日も今日と言う日を終えると思っていたんだ。

 

 

 

 

何時ものようにエレベーターで自分の部屋のあるフロアまで上がる。

 

 

 

 

何時も通りの空間、何時も通りの会話、何もかもが平和そのものだったから、忘れていたのかもしれない。

 

 

 

当麻と二人で外の廊下を歩いていた時、それは目に入った。

清掃ロボット(ドラム缶)が三体、当麻の家の前に溜まっている。

二人して、デカイゴミ?、と話してながら近づくと、先に当麻が言っていた容姿と同じ少女が横たわっている。

当麻の呆れ顔を見る限りそうなのだろう。

だが、()()()違った。

 

 

 

 

まるでそれは非日常が日常と化していたあの頃の、張り詰めた空気。

何が……そう思うことすら杞憂だった。

鼻を刺激する臭い。

そう、それは―――

 

 

 

禁書目録(インデックス)!?」

当麻が少女に駆け寄る。

 

 

 

 

―――夥しい鮮血の痕

 

 

 

 

背中を大きく切り裂かれた彼女からは、止め処なく血が流れ出していた。

「誰が一体こんなことを!?」

動揺している当麻は返って来る筈もない問を投げる。

 

しかしその問に、

「うん?僕達『()()()』だけど?」

答える者がいた。

肩まである赤い髪、バーコードのような刺青、黒を基調とした修道服。

異質な雰囲気を放つ男が階段を上ってきた。

同じフロアに立ち、俺達を見据える。

 

―――こいつは、危険だ

 

本能が頭に、手に、脚に、血に、一秒でも早くこいつを殺せと命じている。

未だ衰えることの無い七夜としての本能が、目の前に立つ男が異常だと逸早く理解させた。

懐から自然に七ツ夜を取り出し、構えを取る。

 

「当麻。その子を連れて逃げるんだ」

志貴の声は酷く冷めきっていた。

「に、逃げるったって、アイツが通路塞いでるんじゃ―――」

「隙を見て、わきを抜けるんだ」

当麻の否定的な返答も取り合うつもりは無い。

目の前の男がそう簡単に俺達を見逃すとは思えない。

今だって俺達に殺気が向けられている。

「大体、お前は如何するんだよ!?」

「いいから!もうこれはお前だけの話じゃない。逃げ切れなければここで全員死ぬ」

それだけは絶対にさせない。

もう壊されたくない。

「だけど!」

「駄々をこねるな!そんな余裕―――」

無いんだよ、とその先の言葉を紡ぐ事ができなかった。

 

炎よ(Kenaz)―――

 

迂闊とはこの事だ。

悪寒が前身を走りぬけ、ジリジリと肌を焼くような熱を感じる。

正面に視線を移しす。

それは正しく炎の剣。

可燃物も無いのに空間を焼いているそれは、三メートル間合いがあるにも関わらず熱を伝える。

今度ははっきりと男が口を動かす。

 

「―――巨人に苦痛の贈り物を(Purisaz Naupiz Gebo)

 

男は手にしたそれを振り払うように此方に放った。

 

 

 

 

赤髪の男『ステイル=マグヌス』はひたすらにドライであった。

 

「やり過ぎた、かな」

 

そう思いはするが、既に学園都市の()()()とは話を付けてある。

この際一人か二人消えるぐらいは構わないだろう、と彼は結論した。

先の一撃は摂氏三〇〇〇度の炎の地獄。

人体は二〇〇〇度以上の高熱には耐えられない。

故に、文字通り地面に這い蹲っているだろう。

()()()()()()()に溶けているだろうが。

 

「しかし―――」

これではインデックスを回収できないな、ステイルは思う。

白煙と火炎が邪魔をして進む事が出来ない。

収まるまで待つか、そう思ってステイルはハッとした。

 

―――()()だと!?

 

前方を凝視する。

そう、有り得ないのだ。

普通何かが燃えると、炭化した物質が風に煽られて黒煙が発生する。

しかし、今目の前に広がる光景には()()

加えていえば、肉が()()()臭いすらしない。

 

視界を塞いでいた白煙が晴れてきた。

白煙から出てきたのは、中心が少し抉られた通路を塞ぐほどの氷塊だった。

 

 

 

 

氷塊を唖然と見つめる志貴と当麻の後ろから足音がする。

白銀の長髪を靡かせ、静寂の中をこちらに向ってくる。

黒い貴族の令嬢の様な服から見せている白い肌がその少女の存在を印象付ける。

その少女を見つめる志貴の表情に安堵が浮かぶ。

一人ではこの状況を打開する事は出来なかったかもしれない。

しかし、“アイツ”を喪って長い間を共に歩んできた家族にして相棒は自分の危機を察知してこうして来てくれた。

それが“当たり前だった”あの頃と比べ、“アイツ”を喪って何気ない日常の大切さを知った今では心から嬉しさが込み上げてくる。

そして、志貴は彼女の名を呼んだ。

 

「―――レン」

 

 

 

 

「えっと。知り合いか?」

状況が解らない当麻が志貴に問う。

「ああ、家族だからな」

それだけ言うと、志貴は体勢を立て直す。

「レン。下の階へ道を作ってくれ。その間に俺が時間を稼ぐ。二人を出来るだけ遠くまで逃がしてくれ」

それにレンは首を振る。

「………逃げるなら、志貴も一緒」

「聞き分けてくれ。その子の傷を治療するには時間が必要だ。追っ手がいたら治療する時間が無い。危険なんだ」

未だ鮮血が滴る修道服を着た少女を見て言う。

「………危ないのは志貴も同じ」

しかし、レンはそれも聞き入れない。

志貴が次の言葉を紡ごうとした矢先に後ろで轟音が鳴る。

 

失念していた。

すぐに振り向き七ツ夜を構えた志貴の目には赤髪の男が映る。

 

「話し合いは終わったかい?」

短く放たれた言葉には、暗に逃がす気はない、と含まれている。

 

「レン。仕方が無いから俺は()()()()()()()から逃げようと思うんだけどいいかな?」

その言葉にレンは無表情に首を縦に振った。

 

「ハァ。逃げてくれた方が後ろからやりやすかったんだけどね」

そう言って、赤髪の男は再び同じ詠唱をして火炎の剣を手にした。

 

志貴は七ツ夜を手にしたまま、眼鏡に手を掛けた。

途端に志貴の世界は一変する。

走る黒い線。

死が世界に満ちている。

 

蒼く光る死神の眼をもって赤髪の男を見る。

当然の如く見える男の“死”。

手にした火炎の剣にも同様に“死”が走っている。

振り下ろされる火炎の剣。

しかし志貴には脅威でも何でも無い。

能面の様な無表情で、ただ迫り来る“死”を見つめ“死”をなぞる。

それだけで火炎の剣は音も無く消え去る。

 

「はっ?」

最初に声を漏らしたのは赤髪の男だった。

当然だ。

赤髪の男にとってこの一撃で目の前の少年を灰燼とするはずだったのだ。

それが掠りもせず、ただ一方的に式を解除された。

驚愕しない方がおかしい。

 

「確か魔術師と言ったな」

無機質な声が響く。

 

「出し惜しみはしない方がいい。油断するなら腕一本は持っていかせてもらう。お互い死ぬのは嫌だろう?」

死神の蒼い眼光が魔術師を見据えていた。




最初グダってるし、中途半端で終わるし。
眠気堪えて必死に書いたせいか内容に関しては残念すぎる。
次回、続・戦闘と言ったところでしょうか。
ではお楽しみに
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