とある魔眼の殺人貴【凍結中】   作:深淵の守人

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久々の更新です。
プロット読み直してた、あれ?こんなの書いてたっけってなってました。
今にして見れば相当文章グダグダだったりするし。
まぁ、というわけで続きです。
ちょっと短めではありますが。


四話

~四話 直死と魔術~

 

 

 

 

その眼は深い蒼だった。

濁ることの無い深い蒼。

それは綺麗だが、何処かゾッとする何かを秘めている。

 

その眼を見続けていたステイルは、次の瞬間バラバラになっていた。

鮮血と共に腕がとぶ。

胴が音も無く崩れ去る。

首がゴトッと落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たったの一瞬で、〝ステイル〟という形はただの肉片に成り果てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……」

 

―――何だ今のは…

 

ステイルはそう思った。

実際は腕も胴も首も斬られてはいない。

魔術を使われたわけでもない。

学園都市(こっち)にありふれた能力なら有り得るかも知れないが恐らく違う。

 

向けられたのは殺気。

まるで本当に殺された様な幻視をさせる程の濃密な殺気。

必要悪の教会(ネセサリウス)〟の魔術師として幾度かこういう手合いをした事があるが、そのいずれをも上回る。

殺気(そんなもの)をただの学生がここまで放てる筈が無い。

 

「どうした?魔術師」

 

無感情な声が響く。

ハッとして顔を上げると、先程から一歩も動かずに死神は佇んでいる。

なのに、距離がまるで無い様に感じる。

首にナイフをあてられている様に感じる。

 

そう、それはステイル=マグヌスが御坂(七夜)志貴に感じた〝恐怖〟だった。

 

「さぁ、殺し合おう」

 

志貴が駆ける。

 

「く、来るなぁ!!」

 

恐怖に駆られたステイルは叫ぶ。

詠唱と同時に出現した火炎の剣を出鱈目に振るう。

長さ二メートルはあるそれを、志貴は軽く身を捩るだけで避ける。

そして〝死〟を見据え、七ツ夜を通す。

それだけで火炎の剣は形を失う。

 

それは当然の帰結。

この世に形を持って生まれたのならば、全てのものが辿る結末。

 

これが七夜志貴の景色(せかい)の真実。

()を視る〟、彼の眼が宿す力だ。

 

必然ながら、この事象をステイルが理解に及ぶべくも無い。

 

ステイルに焦りが生じ、懐から取り出したコピー用紙を取り出す。

刻まれているのは術式。

 

有りっ丈の術符は空を舞い、そこから出た無数の炎の矢が志貴を襲う。

しかし、それは志貴に危機感を与えられるそれではない。

 

実際、志貴に目掛けて放たれている矢は数本。

ステイルが矢の制御を放棄している為、標的を隔日に狙った物には成りえていない。

だが、それが確実に〝人の命を奪い去る〟業であることに変わりは無い。

 

それでも志貴の表情は変わらない。

相も変わらず無表情で鋭い眼光がただ前を見据えている。

 

志貴にとって炎の矢は脅威には足らない。

魔術(そんなもの)如きでは〝殺人貴〟とまで呼ばれた死神を葬るなどできる筈も無い。

 

何故なら、彼の死神がいた日常(ひび)とは吸血鬼(さいきょう)との殺し合いだからだ。

〝混沌〟ネロ・カオス、〝アカシャの蛇〟ミハイル・ロア・バルダムヨォン、〝タタリ〟、〝黒騎士〟リィゾ=バール・シュトラウト、〝白騎士〟フィナ=ヴラド・スヴェルテン、〝霊長の殺人者〟プライミッツ・マーダー、彼が相手をしていたのはそういった規格外(ばけもの)ばかりだ。

 

それ以外にも無名とは言え、異質の力を宿した無数の死徒、食人鬼(グール)、魔術師もいる。

赤髪の魔術師ステイルはそのいずれにも及ばない。

もし、ステイルが敗北するとすれば、理由は単純に〝相手が悪かった〟だけだ。

 

 

 

 

 

対した志貴は自分を貫くであろう炎の槍だけを視る。

 

―――閃鎖・八点衝

 

〝直死〟で見据えた〝線〟を、腕が霞むほどの乱撃で斬り捌く。

志貴の間合いに入ったそれは、初めから無かったかのように次々と消え失せた。

 

志貴の眼には〝黒い継ぎ接ぎだらけの世界〟が映る。

 

飛んできた最後の炎の矢も七つ夜を掌の上で持ち替え、凪ぐようにして斬る。

死の情報を詰め込んだ線をなぞるだけでありとあらゆる物が死ぬ(消える)

 

だから、この世界は。

 

―――こんなにも、脆い

 

 

 

 

 

上条当麻は目の前に広がる光景に呆然としていた。

 

友人(志貴)が魔術師と名乗った赤い髪の男が一進一退の攻防を繰り広げる。

既にそこは非日常と化していた。

 

「何なんだよ。これ…」

 

 

能面のような無表情で、赤い髪の男を殺さんとばかりに睨みつけている。

 

レベル0だと言う彼は不可解なことが多かった。

と言うのも、当麻の通う学校には噂があった。

 

―――〝原石〟がいるらしい

 

〝原石〟というのは学園都市外部で生まれる天然の能力者のことだ。

何の因果か、その〝原石〟の名前に志貴の名が上がっている。

曖昧な理由だが、身体検査(システムスキャン)の時にいつも倍近くの時間が掛かっているからだとか。

本人に聞いても笑ってはぐらかされ、釈然としなかった。

 

しかし、今確信に至った。

(志貴)は間違いなく能力者だ。

 

見る限りでは自分と同じ能力無効化(スキルキャンセル)、しかし目の前に広がる光景は自分の幻想殺し(イマジンブレイカー)とは全く異なるものだ。

 

手で触れるわけでもなく、ナイフを腕が霞む速さで振りい続ける。

ただそれだけで炎の矢は最初から無かったかのように消え失せる。

常識を無視した空間(せかい)

 

そこにはいつもの穏やかな友人の姿は無かった。

 

 

 

 

「何なんだ、一体…」

 

無数の炎の矢を完全に消し去った目の前の少年(志貴)を見て、ステイルは最早余裕はなかった。

少年は小さく息を吐くと、再びステイルを見据えた。

 

「何をした!」

 

いつもの自分に似つかない憤慨。

その憤慨に、少年は呆れたと呟いた。

 

()()()だけだ。そこに生きている(在る)のだから、殺せるのは道理だろう?」

 

さも当然と言わんばかりに言った少年は言った。

 

―――『殺した』…何かの比喩か?

 

だとしたら、考えられるのは詠唱強制解除(スペルキャンセル)ぐらいだが、魔術を使った痕跡はなく、その手の大魔術は儀式的なモノで触媒も無しにできる筈が無い。

 

しかし、仮にそうだとするのなら―――

 

「―――|世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ《MTWOTFFTOIIGOIIOF》」

 

術式に介入できない大魔術を放つだけのことだ。

紡ぐは炎巨神の詩。

その意味は必滅。

 

顕現せよ(ICR)我が身を喰らいて力と為せ(MMBCP)―――――ッ!!」

 

そこに紅蓮の王が君臨した。

 

 

 

 

 

志貴は咄嗟に身構えた。

目の前の紅蓮はただの炎とは訳が違う。

人型の、それも生き物のように動いている。

 

そして、気がついたときには、既にその巨大な腕が振り下ろされていた。

 

「―――ッ!!」

 

間一髪後ろに跳び抜くと、間髪入れずに紅蓮の巨人に向かって駆ける。

胴に走る黒い線を薙ぐ。

切り裂かれた紅蓮の巨人は霞のように消え失せる。

 

しかし、紅蓮の巨人を抜けた志貴を迎えたのは笑みを浮かべた魔術師だった。

 

背筋を走った悪寒に従い、地に手を着き転がる。

その瞬間、轟音が後ろから響いた。

 

振り返れば、消した(殺した)筈の紅蓮の巨人が拳を叩きつけていた。

紅蓮の巨人が此方を睨む。

 

爪先に力を入れる。

踏み出した一足で天井に跳び、今度は頭上の線を狙い跳ぶ。

 

斬り捨てたと同時に消え去る紅蓮の巨人。

勢いを殺す為に膝を曲げ、手を地面についた。

 

それが致命的なミスになる。

 

再び強い熱気が後ろに現れる。

距離も幾分ない。

今度は振り返る余裕もない。

 

近づいてくる高熱。

轟音が響き、衝撃に押され志貴は吹き飛ばされる。

 

「―――ッ!」

 

その時、レンが飛び出した。

一瞬で飛ばされてくる志貴と手摺の間に入る。

 

当然であるが、レンの小さい体で志貴を受け止めることは叶わない。

志貴とぶつかったレンはそのまま一緒に飛ばされ、手摺に叩きつけられる。

そして、そのままの勢いに押されて二人とも外へと投げ出され、落ちていった。

 

「志貴ィいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

後に響いていたのは、当麻の叫び声だった。




そういえば、この作品のヒロインって結局どうしようかな。
近い内に投票してみようか。
読者様少ないだろうけど。

では次回もお楽しみに。
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