肉魅ちゃんとの食戟から2日経った日曜日、いつもは遅くまで寝ているのだが今日は違った。
ソーマと田所ちゃんには先日の食戟の準備期間中味見とかしてもらったりアドバイスしてもらった礼として、そしてついでに極星寮のみんなに昼飯をご馳走するための下ごしらえをしているのだ。
日頃の感謝を感じてもらえるような料理を作りたいと思っている。
……なんか自分でも今のセリフは寒かったわ。
思ったまま感じたままのことのはずなのになぜか俺がまともなことを考えると気持ち悪く感じてしまう。
けど本当にお世話になってるんだ。
一色先輩やふみ緒さんにはいろいろなことを教えてもらったりしてるし、吉野と榊には癒しをもらってるし、伊武崎にもおいしいチャーシューの作り方とか教えてもらってるし。
丸井とか青木や佐藤も俺に良くしてくれる。
まぁとにかく頑張ろう!!
あっという間に昼御飯の時間だ。
極星寮の皆が食堂に集まってくる。
「腹ペコだよー!ふみ緒さん、お昼なにー?」
吉野カワイ!
「ああ、今日は中條の奴が作ってくれたよ」
ふみ緒さんも若い頃は綺麗だったんだよなぁ……。時の流れって残酷だなぁ。
「なんかムカムカするねえ」
女の感は未だに健在らしい。
「へえリョーマが作ったのか楽しみだな」
「そうだね、ソーマくん」
「ええこの前の食戟のときもすごかったしね」
「うん。リョーマくんならきっと美味しいものを作ってくれるよ」
上からソーマ、田所ちゃん、榊ちゃんに一色ぱいせんだな。
あと先輩さりげなくハードルをあげないでください。
「まぁ、手はこってますけどね。そんな期待するほどの料理じゃないですから」
そういって俺はテーブルに大皿をおく。
感謝の気持ちを表したケーキだ。
もちろんお菓子のケーキじゃないぞ。
「「「おお~」」」
「寿司のケーキたぁまた珍しいもんだな」
「うわ~あたしこんなの食べたことないよ!」
下のセリフは大体吉野だってわかったと思うけど、上のは極星寮に住むモブの青木大吾だ。
ほらあの時々出てる二人組の黒髪の方だ。こう言ったらわかるでしょう。
「…リョーマくん。君はどうしてこんな手のかかる品を作ったんだい?」
一色先輩が聞いてきた。
まぁ聞くだろうな、自分で言うのもなんだがめちゃくちゃ手がこってるからな。
「俺が作った寿司ケーキの周りにある飾り切りしたあるにんじんは一応カーネーションのつもりなんです。カーネーションって花言葉に感謝って意味もあるから……………要するに日頃の感謝ってやつですよ。みんな仲良くしてくれてるし。ぶっちゃけ毎日の生活がこんなに楽しいのはみんなのおかげっすから。まぁソーマと田所ちゃんにはこの前の食戟の時のお礼もかねてですけどね」
頬をかきながらちょっと恥ずかしながらそう言うとみんな黙った。
……なんか喋れよ。すげえ恥ずかしいじゃん。いやマジでやめろなんか言ええ!
「ふっこんなに良い後輩を持てて僕は幸せだよ」
なんで一色先輩は泣いてるんですか……。
そこまでのことですか? あと服を着ろ。
チラッと皆を見てみるとなんか皆も感極まっていた。
……伊武崎は無表情だったが、なんか感動した!みたいな雰囲気を醸し出していた。
いつもがいつもなだけにたまに真面目になったらこれだ。
やっぱり俺はいつものふざけた感じがいいわ。
「寿司と一緒に持ってきた味噌汁冷めちまうから早く食べましょうよ」
飯を食いながら、話題はもうすぐあるという宿泊研修の話になった。
いよいよ来たか……日向子先輩に水原先輩…。
た~んのしみだなぁ~。
学生とは違う大人の色気を是非とも体験してみたい。
それに宿泊行事だ。女子と親密になるイベントは山盛り……これで勝つる!
ニマニマしていると斜め前に座っている田所ちゃんが震えていた。絶望的ぃって感じだ。
「なぁ…田所はなんで震えてるんだ?」
「幸平、それにり、リョーマ…編入生だから二人は知らないだろうけど、この合宿はね高等部に入った生徒に訪れる最初の地獄そのものなのよ…!一年の全生徒が山奥の合宿場で毎日過酷な試練を課され、合格しなければ即退学!」
吉野カワイイよ吉野。
照れながらそれでも俺のことを下の名前で呼ぶ吉野カワイイよ。
「これが遠月の競争教育さ。学園総帥の言うところの『玉』の選抜が始まろうとしているのさ」
続けて一色先輩は、まぁ君たちなら無事に帰ってこられるだろうと信じてるよと言ってくれた。
その言葉で田所ちゃんがちょっと復活していた。
「合宿…か、楽しくなりそうだなリョーマ」
突然隣りに座っていたソーマに話を振られた。
まぁでも確かに…
「そうだな…燃えてきた!」
そして数日後早朝遠月のホテルに到着した俺たち一年生。
ついに合宿が始まる。