「お前マジで落ちたと思ったぞ」
卒業生たちとの顔合わせも終わり、さっそく合宿の一つ目の課題をこなすため、指定された場所にやってきた訳だがさっそく俺は葉山にダメ出しされていた。
ちなみにソーマたちとは違う場所だ。
「……反省はしている」
「一応言っておくが俺はお前のパートナーだがら側にいるのであって今のお前とは本当なら近づきたくもないんだからな」
「……すいませんでした」
一つ目の課題なんだが、ペアでの課題らしくシャペル先生の授業のときに組まされた奴とらしい。
そうでなければ俺がこんな年増のロリコン好きなグチグチ嫌みガングロと一緒にいるわけがない。
つーかこいつは「グボォ」
いきなり葉山に殴られた。
なんだよ俺が何したんだよ!?
「……てゆーか料理人なら手を大事にしろよ」
「手を粗末に扱うことを辞なさい程にお前を殴りたいと思ったからだ」
「なにそれこわい」
その後も二人で話していると、二十代くらいの幸薄そうな人が入ってきた。
原作では深く掘りさげていなかったが、この人も卒業生の人らしい。
「みなさんよろしくお願いいたします。合宿初の課題は、この場にあるもので料理をつくってもらうことです。制限時間は三時間、ではスタートです」
どうやら場所が違っても課題は原作と同じようだ。
今頃ソーマはタクミたちと勝負することになってるんだろうなぁ。
「おい中條、どうするよ?」
「どうするって何を作るのかってことか? なんか皆魚とりにいったし、肉でいいんじゃね?」
他の生徒はみんな慌てて出ていったが俺と葉山は割りと落ち着いていた。まぁ焦ったって何もいいことないからな。
「肉……か、そうだなそうしよう」
「なら行きますか!」
「ああ……それとあんまり俺に近づくなよ」
「……はい」
それにしても……肉いないな……。
探し続けて早一時間。肉なんて見つかっちゃいない。
見つかったのは俺の足元で俺を見上げているラブリーなウサギちゃんだけだ。目の下に黒いなきぼくろのような模様があるのがチャーミングだ。
なんでか知らないがさっき会ってからずっと俺についてくるのだ。いや、カワイイからいいんだけどね。
俺は女の子も好きだけど動物も好きだから。
極星寮なら飼えるよな……もって帰ろうかな。
そんなことを考えていると葉山がやって来た。
「おお、中條。肉見つけたみたいだな」
開口一番俺の足元をみながら葉山はそんなことを言ってきた。やめろ、必死に俺が目を背けていたのに!
「いや! 違うぞ葉山! こいつは肉じゃないぞ! 絶対にダメだぞ!」
「そんなこと言っても時間もねえだろ」
そう言われて足元のウサギを見てみると目が合って、なんだか「わたしをたべちゃうの? いいよたべていいよ」みたいなことを訴えかけるかのように腹を見せるように寝ころぶ。
こんなことされたら、食べれません。
「わかった、じゃあ俺が見つけるからだからこの子だけは勘弁してつかあさい。こいつは俺がもってかえる」
絶対にこいつを極星寮にもってかえって飼おうと決意した俺は葉山にお願いする。
「……いや、そんなに必死になられたら困るんだが。わかったわかった、じゃあ違うの探しに行くぞ」
「おうよ!」
その後で葉山と俺は肉を求めて林を駆け巡った。
ウサギとは途中ではぐれたがまた後で会えるだろう。
そして
「うん。中條、葉山ペア合格だね」
「「ありがとうございました」」
なんとかその後鳥を見つけて香辛料たっぷりの美味しそうに焼いたチキンを作って俺たちは合格したのだった。
ちなみに所要時間は二時間半だ。
「ふぅ疲れたな」
「お前のせいで散々林の中走らされたからな。あのウサギでも良かったのによ」
「ばっか、お前、あんなラブリーちゃんを食材にするとかふざけてんのか?」
「馬鹿はお前だろうが………あ」
「なんだよ葉山、そんなまの抜けた声だすなんてお前らしくないぞ」
そう言いながら葉山が見ている方向を見る。
「ら、ら、ラブリーちゃーん!!?」
そこにいたのは捌かれてもう死んでいるさっきのウサギの顔だった。
なきぼくろといった特徴があったためすぐにわかる。
「まぁドンマイ」
落ち込む俺を慰める葉山。
けどこいつを捌いた奴の顔ぐらいは見ときたい。というより文句一言ぐらいは言いたい。
「おい!! お前らだよな? このウサギ捌いたの」
そう言って俺はこちらに背を向けて立っている男の肩をつかむ。
「ん、そうっすけど……」
だるそうにしながらこちらを振り向いた男、死んだ魚の目をするこいつは……
「どうしたのかしら? 中條くん」
背後からそう声をかけられ振り返る。
白く透き通るような肌に端正な顔立ち、それに美乳。
こいつらはまさか……
「薙切アリス、それに黒木場リョウ……」
だからなんでフルネームなんだよ、とそんな葉山の声がした。