~~仙左衛門サイド~~
わしは今、孫娘のえりなが試験をした厨房に来ている。
偶々気が向いたからだ。
いつもはこんなことはしない。ただなんと言えばいいのだろうか、こう虫の知らせのようなものがしたのだ。
玉
これからの料理の覇を刻んでいく才能の塊。
それをなぜか強く感じたのだ。
厨房にはひとつの皿とひとつ椀が並んでいた。
いつもならきちんと片付けておきなさい!と思うのだが、惹かれた。
半分ほど食べられた椀にどうしようもなく惹かれたのだ。
一応言っておくがわしには孫娘の食べ残しを食べる性癖はない。
そして食べた。
その直後にわしは可能性を感じた。
玉
思わず口元が緩んでしまう。
もう一度言っておくが孫娘の食べ残しを食べたからではない。
おもしろい。幸平ソーマ…か。
わしは即座に彼の不合格認定を取り消し合格認定にした。
そして去っていこうとしたとき、わしはあることを思いだし、愕然とした。
孫娘のえりなは神の舌と呼ばれるほどに優れた舌を持っている。
故に一流の料理人であろうともえりなの舌を満足させられる料理人はそうはいない。
はずなのに……
幸平ソーマの隣にある皿の上には何も残っていない。
えりなはこの皿の上にあった料理を食べきっている。
まさか……
まさか中学生がえりなを満足させられるわけがない。この皿の上に何も残っていないのは何かのアクシデントがあったからに違いない。
そう頭では考えているのに、食の魔王としての、料理人としての自分は全く別の答えを出していた。
いる。
えりなをも満足させられる圧倒的な玉がいる。
中條リョーマ
わしは合格の判を押した。力強く。
~~リョーマことオリ主サイド~~
前回あんだけソーマに受かる受かる言ってたけど、確実に落ちましたわ。
もう人生終わりですわ。
というわけで父と母に泣きついています。
「落ちてもうたよ~うわーん」
「そっか~残念やったな~」
「そうやな~まぁ遠月やしな」
なんか軽いな
「ちょっと二人とも軽くない?息子落ち込んでるんだけど。高校どうすんのさ!」
「リョーマが行ってる学校は中高一貫校やからそのまま高校あがれるやん」
「そうそう」
そうでしたわ。
俺は前世でも頭良かったけど今世でもきちんと勉強して日本で二番目に偏差値高い中高一貫校入ってたんだった。
ハーレムを築きたい原作介入したい俺からしたら遠月は入りたくて仕方ないけど、両親からしたら、料理人として大成するもよし、もし無理なら頭いいんだからいい大学入っていいとこに勤めてくれればそれでいいって感じなんだろう。
認識の相違ってやつだな。
「まぁ……それでもお母さんは受かると思ってたけどね~。まさか落ちるとは。遠月ってすごいね~」
「うん、お父さんもそれは思ってたわ。リョーマならいけると思ってたんやけどな。あんなに料理に対して真摯やのにな。けどな、リョーマ。今回は残念やったけど、いつか必ず努力は報われるよ」
「「よくがんばったな」」
う、オリ主涙腺が…両親の感動セリフ1割、ハーレム築けない悲しみ4割、てか入学さえできないと転生した意味なくないか?チキショーって気持ちが5割で崩壊しそうだ。
「親父…お袋……俺っ俺っ…」
「あらあらいつも通りママとパパって呼ばないの?」
「母さんリョーマも大人びたいんだよ」
「っておい!一連の感動シーンの流れを断ち切るのはやめなさい!」
あ、みんな違うよ。オリ主父親と母親のことパパ、ママとか呼んでないからね。
たまにだからね。
そんな頻繁じゃないからね。
引かないでね。
オリ主入学まであと一月半。
次回入学。