νシン・アスカは伊達じゃない! 作:DestinyImpulse
今回からはSEEDを語る上で外せない低軌道戦ですが始まります!
漆黒の宇宙の中で幾つものジンが第八艦隊に向けて攻撃を仕掛ける。
彼等の目的はあくまでもアークエンジェル。他に時間はかけてられない。多数のメビウスが行く手を阻むがジンだではなくイージス、ブリッツ、バスター……そして新型の装備、アサルトシュラウドを装備したデュエルが蹂躙する。
その一方でアークエンジェルの更衣室では…ランチでアークエンジェルを出た筈のキラがフレイと対面していた。
何故キラがアークエンジェルに残っているのか、それは学友であるトール達が残ったからだ。聞けば死んだ父の意思を継いで志願したフレイの言葉を聞いて、そのまま軍に志願したらしい。
これ迄、シンやマユは勿論。トール達を守る為に戦っていたキラが素知らぬ顔で居られる訳がなく、ストライクに乗る為に更衣室に来たらフレイが居たのだ。
「ふ、フレイ……どうして…」
「あなた…行っちゃったと思ったから……私…みんな残って戦っているのに……最初に言った私だけ…だから私!私が…」
抱きついてくるフレイに唖然とするキラの視界に開けられたロッカーから見えるパイロットスーツが映る。
「まさか!フレイ!そんなバカな事を!」
フレイがストライクを動かせる筈がない。アレを動かせるのはキラとシンだけだ。
「だって…私…」
「ストライクには私が乗る。フレイの分も戦うから」
戦いから逃れられない苦しさを隠してキラは笑みを浮かべる。そうしてパイロットスーツをロッカーから取り出す。
「……シンの分も私が戦うよ」
シンはマユと共にアストレイを乗せたシャトルに乗ってもうメネラオスに行ってしまった。
(……ごめんね)
オーブに着いたら会うという“約束”を果たせない事に心の中で謝罪する。故に気づかなかった……
「………ふふ」
先程流した涙など知らぬと言わんばりに冷たく笑うフレイに……
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戦況は依然ザフトが優勢で進んでいた。
「アークエンジェルは大事にしまい込む。戦艦とMAでは、もはや我らに勝てぬと知っている。良い将だな。あれを造らせたのも、彼だということだしな。ならばせめて、この戦闘でその説を、証明して差し上げるとしよう」
ヴェサリウスで笑みを浮かべるクルーゼの視線には四機のGによって破壊される四つの戦艦がモニターに映っていた。
「Xナンバー、接近!」
「ビームを使うんだ!落とせ!」
迫るくるG兵器に有効なビーム兵器で対応しようとするが擦りもしない。悪くなる状況にハルバートンの表情が歪む……その時だった。
「アークエンジェルより、リアルタイム回線」
「なんだ?」
オペレーターの言葉に、ハルバートンは当惑した面持ちで通信用の映像モニターに視線を向けた。そこには何かを決心したマリューが映っている。
〈本艦は艦隊を離脱し、直ちに、降下シークエンスに入りたいと思います。許可を!〉
「なんだと?」
驚愕するハルバートンの隣に座っていたホフマンが声を上げた。
「自分達だけ逃げ出そうという気か!」
〈敵の狙いは本艦です!ここで敵の増援でも来たら、このまま艦隊は全滅です!…!〉
マリューの言葉は事実だった。このままでは第八艦隊は全滅する。
〈アラスカは無理ですが、この位置なら、地球軍制空権内へ降りられます!突入限界点まで持ち堪えれば、ジンとザフト艦は振り切れます。閣下!〉
そういうマリューに、爆発する味方艦を見てハルバートン提督は小さく息を吐いた。
「ふん、相変わらず無茶な奴だな。マリュー・ラミアス」
〈部下は、上官に倣うものですから〉
「ふふ、いいだろう。アークエンジェルは直ちに降下準備に入れ。きっちり送ってやる。送り狼は、1機も通さんぞ!」
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アークエンジェルを降ろすべく抵抗を強くする第八艦隊にアスラン達の表情も曇る。討って討っても湧いてくるメビウス、鳴り止まむ砲撃は彼等のメンタルを確実に削っていた。
「出て来いストライク!」
しかしイザークは違う。
前回の戦闘でストライクによって顔面を負傷した雪辱を晴らすべく、無理矢理今回の戦闘に参加したのだ。
アサルトシュラウドでパワーアップしたデュエルで必ずストライクを…いや、ストライクだけではない、あの金ピカも自分の手で落としてやる!
「でないと…でないと傷が疼くだろうが!」
恨みを込めた一撃がまた第八艦隊の船を落とした。
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「降りる!?この状況でか!」
ムウは振り返ってマードックの顔を見た。
激しい戦闘が繰り広げられる中、アークエンジェルは今すぐに地球への降下を開始するという。
「俺に怒鳴ったってしゃあねえでしょ?まっ、このままズルズルいくよりかはいいんじゃねぇんですか?」
「…だがなぁ」
マリューにしては随分と思い切った判断だと、ムウは考える。悪くはないが一つ懸念点が過る。
「ザフト艦とジンは振り切れても、あの四機が問題ですよね」
割り込んで来た声にムウとマードックは反射的に振り返り呆然としていた。
「嬢ちゃん!?」
パイロットスーツを着込んだキラが、いつもと変わらない様子でやって来る。
「ストライクで待機します。まだ第一戦闘配備ですよね」
そう笑ってストライクに乗り込むキラを二人の大人は苦しそうに見ていた。
「あんな若い頃から戦場とか戦争なんかに行かされちまうと、後の人生キツイぜ…」
こりゃ艦長と色々話さないとな…ムウはそう考えて自身もコクピットに乗り込む。
一方のアークエンジェルのブリッジでは大気圏降下の準備が行われていた。
「降下シークエンスチェック終了!システムオールグリーン」
「修正軌道、降下角、6,1、シータ、プラス3!」
「閣下!」
いつでもいけます!そんなマリューの言葉にハルバートンは頷く。
〈うむ。アークエンジェル、降下開始!〉
「降下開始!機関40%。微速前進。4秒後に、姿勢制御」
アークエンジェルは第八艦隊から離れ、徐々に地球へとその艦体を下ろしていく。
〈メネラオスより、各艦コントロール。ハルバートンだ!〉
残存する各艦へ向けて、ハルバートンは声を荒らげた。
〈本艦隊はこれより、降下限界点までの、アークエンジェル援護防衛戦に移行する。厳しい戦闘であるとは思うが、彼の艦は、明日の戦局の為に決して失ってならぬ艦である!〉
絶望的な状況。それでも離れる艦は一つも居ない。誰もがこの戦闘に、ハルバートンの決断に命をかけている。
〈陣形を立て直せ!第八艦隊の意地に懸けて、1機たりとも我らの後ろに敵を通すな!地球軍の底力を見せてやれ!〉
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「足つきが動く!?チィ!ハルバートンめ!艦隊を盾にしてでも足つきを降ろすつもりか!追い込め!降下する前に、なんとしても仕留めるんだ!」
「はっ!」
それを察知したザフトも逃すものかと攻撃を強める。しかし第八艦隊の決死の抵抗は激しくアークエンジェルに近づけない。
「降下シークエンス、フェイズワン…大気圏突入限界点まで7分…」
7分、本来なら短い筈なのに無限に長くなる程の緊張感がアークエンジェルを包み込む。
しかしそれまで何を起きないという奇跡はない。デュエルとバスターが先陣隊列を突破したのだ。
「メネラオスが交戦中!」
続けて状況を告げられる。ハルバートンの身を案じつつも送り出してくれた彼の覚悟を不意にしない為にマリューは歯を食いしばり耐える。
〈艦長、ギリギリまで俺達を出せ!あと何分ある!?〉
その時だった。モニターが開きムウの姿が映る。このまま黙って第八艦隊の全滅を見てられないと言いたげた。
「何をバカな!!………俺、達…?」
ラミアス艦長の声に途中から怪訝な調子が混じる。俺達とはどう言う事か?今、アークエンジェルに居るパイロットはムウだけの筈……まさか…!
〈カタログスペック上では、ストライクは単体でも降下可能です〉
「キラさん!?」
最悪の予想が当たってしまいマリューの声に驚愕が混じる。
マリューだけではない。ここに居るクルー達全員が驚愕した。
「キラさん、貴女どうして…!」
これ以上、コーディネーターであり心優しい彼女を巻き込みたくなかった。
〈このままじゃメネラオスも危ないですよ!艦長!〉
キラの声にマリューは唖然とする。そんなマリューに代わりにナタルがいつもの軍人らしい口調で告げる。
〈分かった!ただし、フェイズスリーまでには戻れ!スペック上は大丈夫でも、やった人間はいないんだ。中がどうなるかは知らないぞ。高度とタイムには常に注意しろ!〉
〈はい!〉
ナタルの忠告に頷きキラは通信を切る。それをマリューは唇を噛み、拳を握り、叫びたい気持ちを抑えていた。
「………ごめんなさい…!」
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「ベルグラーノ、撃沈!」
大気圏ギリギリまでアークエンジェルを護衛する第八艦隊は、執念のごとく迫るザフトのMS群を前に限界が見え始めていた
「限界点まで、あと5分!」
「閣下!これでは本艦も撃沈されます!」
「まだだ!」
アークエンジェルはこの戦争を終わらせるために必要な力を持っている。ならば、今ここで一歩も引く訳にはいかない!
「すぐに避難民のシャトルを脱出させろ!あの兄妹のシャトルもだ!」
しかし自分達、軍人はともかく避難民達を自分達が道連れにする訳にはいかない!
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「ちぃ!ザフトもしつこいんだよ!」
俺達兄妹はアストレイの乗せたシャトルで最終準備を始めていた。現在、アークエンジェルを狙って迫り来るザフトの連中に第八艦隊が必死の抵抗をしている。
しかし、ジンだけならともかく、四機のGが居る現象では…!
「マユ!すぐにでも発進できる様にスタンバイだ!やり方は分かるな?」
〈う、うん。でもお兄ちゃん。本当にアストレイで出るつもりなの?〉
マユはパイロットスーツを来た俺を不安そうに見てる。メネラオスの外にはザフトのMSが居る。そんな状況で出れば最悪、撃ち落とされる。
幾ら民間人が乗ったシャトルを攻撃するのは数少ない戦争のルール違反だとしても、相手はヘリオポリスを崩壊させた連中だ。安心できない。
「念の為だ!危なくなったらすぐ戻る!」
フェイズシフトではないアストレイでは大気圏突入に耐えられない。ヤバくなったらシャトルを盾に降りる。ブリッツの右腕と合わせてコクピットをガードすれば、可能な筈だ。
ぶっ壊れたらザフトのせいにしてエリカさんに言い訳しよう。
そうして避難民を乗せたシャトルと共に俺達はメネラオスから脱出した。
辺りでビーム兵器が飛び交う。一応シャトルには避難民である事を示す信号がでているが…不安だ。
〈マユ!通信はオンにしている。シャトルで分からない事が有ればすぐに………え?〉
アストレイに乗り込み、マユに通信している時……電流が脳裏を過ぎる。
久々の感覚だが、そんな事はどうでもいい…!
「なんで…!」
〈お兄ちゃん…!どうしたの!?〉
俺の様子に違和感を感じたマユが呼び掛けてくるが、悪い、それどころじゃない…!
俺の脳裏に過ぎる光景……それはメネラオスを援護するべく強化されたデュエルと交戦する“ストライク”の姿…
なんで…なんでだよ!
シャトルに乗ったんじゃないのかよ!?
「なんで貴女がそこに居るんだ…!」
ストライクを操れる人はたった一人。それは避難民のシャトルに乗ってる筈の人……オーブに帰ったら、また会う約束をした人…!
「キラ先輩!!」
どうして其処に居るんですか…!
本編で出た約束については次回に持ち越しです。
果たしてνシン君はエリちゃん達を助ける事ができるのか…