νシン・アスカは伊達じゃない!   作:DestinyImpulse

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 低軌道戦後半。

 果たしてνシン君は鬱展開を変えれるのか?


16. PHASE-16【三日月は煌めいて】

 

 時間は少し戻る。アークエンジェルから出撃したストライクとメビウス・ゼロにどちらの指揮官も驚きを隠せなかった。

 

「な、なぜ出て来たのだ!」

 

「この状況でか!?」

 

 そんな事はお構いなしにスラスターを全開にして重力を振り切り戦場に突入する二機。

 

 

「ようやくお出ましかストライクっ!この傷の礼だぁ!受け取れぇっ!!」

 

「デュエル!装備が!」

 

 探し求めたストライクの登場に笑みを浮かべてイザークは強化されたデュエルを動かす。

 

 

「くっそー!マジでそろそろやばいぜ!」

 

 しかしイザークとディアッカもすでに地球の引力ギリギリの所で戦っており、このままでは地球に落ちてしまう

 

「しつこいんだよ!お前らぁ!」

 

 ムウも此処まで追ってきた事に悪態をつき、全兵装をバスターに向ける。

 

 大気圏突入まで残り五分。

 

 そこでメネラオスから脱出したシンとマユが状況を確認する。

 

〈お兄ちゃん!ストライクが……キラ先輩が居るよ!〉

 

 マユの悲鳴に近い通信にシンは表情を曇らせる。あの謎の感覚が教えてくれたビジョン通りになってしまった。

 

 ストライクは現在、強化されたデュエルと戦闘を行っておりこのままでは大気圏に落ちてしまう。フェイズシフトのストライクなら大丈夫かもしれないがパイロットであるキラまで無事な保証はない。

 

 シンは己の行動を結論づけた。

 

〈……マユ。お前はこのままオーブに降りろ〉

 

それはマユをオーブに下ろしてキラの元に向かう事、おそらくキラはこのまま戦い続けるのだろう。確信はないがそんな気がした。

 

 そんなキラをシンは放っておく事ができなかった。これはシンの我儘、大切な妹まで危険に晒す必要はない。

 

〈父さん達には上手ーー〈いや!私も一緒!〉ーー…マユ〉

 

 しかし妹から来たのは拒否の言葉だった。

 

〈私も…!お兄ちゃんや、キラ先輩と一緒!離れ離れなんて……そんなの嫌!〉

 

 涙を流して明確な拒否をする妹を見て数秒。

 

〈………いいんだな。危険が山ほどあるんだぞ?〉

 

〈……うん!〉

 

 大気圏突入までに残り五分もない。マユに操作を教えているので拒否すれば無理矢理にでも追ってくるだろう。それで危険になるなら認めた方がずっとマシだ。

 

〈………分かった。マユはそのままシャトルをアークエンジェルに乗せてくれ。この状況だ、言い訳なんて幾らでもある!メネラオスの影から出るなよ!〉

 

〈分かった!気をつけてね!〉

 

 メネラオスを盾にする様にアークエンジェルに向かうシャトルを見送ってシンはアストレイを動かす。

 

 一方でメビウス・ゼロとバスターの戦闘のすぐ側を戦艦ガモフが突撃、メネラオスに向かう。

 

〈ガモフ出過ぎだぞ!何をしているゼルマン!〉

 

〈此処まで追い詰め…引く事は…元はと言えば…我ら…足つきを…〉

 

 それはザフトにとっても予期せぬ事であり、アデスからの後退命令を聞き入れない。

 

 もはや死に体のガモフに出来る事は眼前のメネラオスに決死の突撃を敢行することだけだった。

 

「刺し違えるつもりかっ!?避難民のシャトルがあるのだぞ!?」

 

 先程出したシャトルには避難民が乗っており、それを示す信号だって出ている。このタイミングで出したのは隊列を組んだザフト艦隊がもう少しすればメネラオスを射程に捉える故にメネラオスが本格的な戦闘を行う前に戦闘区域から逃す為だ。

 

「……それ程までに敵が憎いか!」

 

 しかし、敵陣に突っ込み特攻を仕掛ける戦艦ガモフがメネラオスを間もなく射程に捉える。

 

 己の命も避難民の命も顧みない行為にハルバートンが激昂する。後ろには先程、脱出させた二機のシャトルがある……避ける訳にはいかなかった。

 

(………ここまでか…!)

 

 戦艦ガモフの主砲が完全に此方に向きハルバートンが迫り来る死に覚悟を決めた瞬間だった。

 

 メネラオスの艦首の横から飛んできた“三つの槍”がガモフの艦首付近に突き刺さり爆破した。

 

 艦首を吹き飛ばされ、特攻した損傷も加わりガモフが爆散する。その様子を唖然と見つめるハルバートンの耳に……

 

〈ご無事ですか?ハルバートン提督?〉

 

「し、シン・アスカ!?」

 

 シンからの通信が聞こえる。メネラオスの艦首の横にはアストレイが佇んでおり、付近のジンをトリケロスのビームライフルで撃ち落としていた。

 

「な、何故出てきたのだ!?」

 

〈あんな血迷ったザフト艦に背中向けて降下できませんよ!安全の為に必要だからです!〉

 

 己が命を投げ捨てる連中だ、自分達や避難民のシャトルが出す信号など認識しないだろう。撃ち落とした方が格段に安全だ。

 

〈それに、提督は言いましたよね?『よい時代が来るまで死ぬなよ!』って、そのよい時代っては提督みたいな“良い大人”が作るモンだと俺は思います!〉

 

「…………生きろと言うのかね?」

 

 ハルバートンの視線を真っ向から受け止めてシンは笑った。

 

〈こんな酷い世界に必要なのは提督やラクスさんみたいに、ナチュラルとかコーディネイターとか関係なく人を見れる良い人だ〉

 

 シンは原作はよく知らないが多分、ラクス・クラインはWのリリーナ・ドーリアンや鉄血のクーデリア・藍那・バーンスタインの様に平和や革命の旗頭になるタイプのヒロインだと察した。

 

 しかし、幾ら彼女がそのカリスマ性を持って叫んでも世界は歌の様には優しくない。故に必要なのだ、彼女とは違う立場の“権力を持つ良い大人”が。

 

〈俺はそろそろ行きます。……お元気で〉

 

 そう言ってシンは通信を切り、アストレイを低軌道の下…デュエルと戦闘を行うストライクに向けた。

 

 

 

「……世界に必要なのは良い人か。……ならば、君も生きねばならんぞ」

 

 その姿を目に焼き付けハルバートンは現存している艦隊に撤退指示を出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「艦長!フェイズスリー、突入限界点まで二分を切ります!融除剤ジェル、展開用意!」

 

「ゼロとストライクを呼び戻せ!」

 

 降下シークエンスはいよいよ佳境を迎えていた。

 ノイマンからの報告に反応し、ナタルが声を上げる。

 

「本艦に近づくシャトルあり!これは……アストレイを乗せた物です!」

 

 そんな時だった。シンとマユ、そしてアストレイを乗せてオーブに降りる筈のシャトルがアークエンジェルの甲板に着艦する。

 

「何ですって!?シャトルと通信を繋げて!」

 

 それに声を荒げたマリューがすぐにシャトルとの通信を命令する。通信モニターに映ったのはマユだった。その姿にブリッジの誰もが絶句する。

 

「マユちゃん!ど、どうして!?オーブに降りる筈じゃ!?」

 

〈あの戦艦の射撃から必死に逃げてきたんですよ!シャトルの信号が出てるのに滅茶苦茶ですよ!?〉

 

 マユの言い分に言葉を詰まらせる。確かにあのガモフはメネラオスを差し違えるつもりで突っ込んでくる。そんな宙域では予定通りの降下も気が気じゃない、アークエンジェルに逃げ込むのは理解できる。

 

 しかしそれは言い訳だとマリューは理解していた。

 

〈それに……キラ先輩達を放っておけませんよ。私もお兄ちゃんも!〉

 

「あぁ…!」

 

 マリューは泣きそうだった。トール達が残ってしまった、それを聞いてこれまで彼等を守る為に残ったキラが自分だけ避難する筈がない。そして出撃するストライクを見てあの兄妹が何もしない筈がない。

 

〈お兄ちゃんはキラ先輩を連れ戻しに行ってます!〉

 

「何ですって!?アストレイの位置は!?」

 

 悲しみに震えていたマリューだったがマユの言葉で現実に引き戻される。そうだ、何故シャトルの操縦をマユが行っている?シンはどうしたのか?

 

 その答えはメネラオスに特攻するガモフをランサーダートで撃沈し、ストライクとデュエルの戦闘に介入しようとしていたアストレイの姿を映すモニターが物語っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「コイツ!」

 

「しつこいよ!!」

 

 打ち込まれるデュエルの斬撃をシールドで受け、ストライクは力一杯押し返す。

 

 跳ね飛ばされながらもデュエルは肩のレールガンを放ちキラは機体を退かせながらもバルカンを撃ち返す。

 

 大気圏を突入してしまい重力の影響は先程よりも重く、機体が重い!

 

 今すぐにでも離脱すべきだ。

 しかしイザークは傷の恨みからか執拗にストライクに追い縋り続ける。

 

 そんなデュエルを退けようとキラはストライクのビームサーベルを抜き放ち……

 

「ッ!」

 

 振り下ろそうとした時、何かを感じ機体を動かす。

 

〈アスランっ!貴様!〉

 

〈落ち着けイザーク!此処のままだと地球に落ちるんだぞっ!?〉

 

〈ちぃっ!〉

 

 ストライクがいた位置を、一条のビームが横切っていった。それはイージスが放ったビームだった。横槍を入れられてたイザークは通信を通して一喝するも、返って来た正論に口を噤まざるを得なかった。

 

〈ニコルだってコイツに苦渋を飲まされた!お前だけじゃない!……此処で落とすぞ!〉

 

〈…………足を引っ張る真似をしたら、承知せんぞ!〉

 

 言い合いながら、ストライクから放たれるビームをそれぞれの方向へと躱す。

 

「……アスラン…!」

 

 迫り来るイージスにキラは苦渋の表情で操縦桿を握る。アスランとは戦いたくない、だけどみんなを守る為には戦わないといけない。そして、アスランを引き受けてくれるシンは居ない。

 

 そんな葛藤の中でキラは振り下ろされるイージスのビームサーベルをシールドで受け止める。動きの止まったストライクに狙いをつけるデュエル。

 

 いつもなら苦労もなく躱せるが今は重力に捕まって動きが鈍い。

 

「くっ…!」

 

 絶対絶命……正にその時だった。

 

 ストライク達の真上から飛んできたビームがデュエルに直撃し吹き飛ばした。

 

「なにぃ!」

 

「…イザーク!…ッ!ぐぁぉ!」

 

 突然の奇襲にアスランの意識がデュエルに向く前にコクピットを強い衝撃が襲う。何者かが、イージスを強襲、大気圏に叩き込んだのだ。

 

 一気に大気圏に落とされたイージスは急増した重力に抗う事はできずに地球に落ちていく。

 

「アスラン!き、貴様ぁ!」

 

「うそ、どうして…!」

 

 

 その存在にイザークは激怒、キラは唖然とする。デュエルを強襲しイージスを地球に叩きつけた存在。

 それはトリケロスを構えてストライクの横に並び立つ黒い機体……アストレイだった。

 

〈先輩、無事ですか!〉

 

「シン…!どうして!?」

 

 どうして此処に?そんなキラの責める様な視線をシンは受け止める。

 

〈それはこっちの台詞ですよ。何で先輩が此処に居るんですか?オーブで再会しようって約束したじゃないですか〉

 

 それに言葉を詰まらせたのはキラだった。確かに自分はシンとマユと約束した。オーブに帰ったら再会しようと…

 

〈ま、どうせトール先輩達がアークエンジェルに残るとか言い出して放っておけなかったんでしょ?〉

 

「そ、それは…!」

 

〈俺も付き合いますよ。言ったでしょ?俺は先輩達を見捨てて素知らぬ顔ができる程……強くないんです〉

 

「シン……!!」

 

 笑みを浮かべるシンにキラも笑みを浮かべていた。シンには此処に居てほしくなかった…!オーブにマユと一緒に戻って欲しかった…!

 

 でも…!来てくれたのが…!助けに来てくれたのが……とても嬉しかった!

 

〈さ、はやく戻りましょう先輩!二機のスラスターを合わせればアークエンジェルに戻れる筈です!〉

 

「うん!」

 

 シンとキラは二機をくっつけてスラスターを全開にして少しずつだがアークエンジェルに向かう。こらならギリギリ着艦できる筈だ。

 

「くっそお!貴様らぁぁぁぁ!!」

 

 しかし、イザークが散々プライドを傷つけられた恨みでデュエルを動かす。

 

 此処から離れようとする二機にライフルを構えた瞬間……射線を一機のシャトルが横切った。

 

「あれは!」

 

「メネラオスのシャトル!」

 

 シャトルが通過したことで、二機を捕捉できなかったデュエルは、何発かビームを放つが、そのどれもがストライクとアストレイに当たる事はなかった。

 

「くっそー…よくも邪魔を…!」

 

 これまでシンによって傷つけられたプライド、キラによってつけられた傷、その憎しみでイザークは事もあろうに通り過ぎたシャトルへ狙いを定めたのだ……避難民を乗せた信号だって出てる筈なのに。

 

「やめてぇぇ!それにはぁぁ!!」

 

 キラが悲鳴を上げて手を伸ばす、今からでは間に合わない……ストライクでは。

 

「逃げ出した腰抜け兵がー!!」

 

 デュエルがシャトルに狙いをつけて引き金を引こうとした瞬間…。

 

「ふざけるなぁぁぁぁ!!」

 

 アストレイがトリケロスのビームサーベルでデュエルのライフルを切り裂いた。

 

 シンは感じていたのだ、脳裏に過ぎる感覚で…イザークに宿る怒りと憎しみを、その矛先がシャトルに向かっていた事を……

 

『お兄ちゃん!』

 

 不意に幼い少女の声を聞いた。モニターを向ければシャトルの窓から此方を見ている少女……エルちゃんが居た。

 

 笑みを浮かべるエルちゃんにシンも頬が緩むが次の瞬間、その子を殺そうとしたイザークに怒りが込み上がる。

 

「アンタは…アンタって人はぁぁぁあ!!」

 

 その怒りはシンのSEED(可能性)を解放させ、シンは“光の無い瞳”でデュエルを睨み、アストレイの拳を叩き込んだ。

 

 しかしこれではもう、アークエンジェルに戻れない。アストレイはデュエルと共に大気圏を落ちていく。

 

「シン!シン!いやぁぁぁ!!」

 

 それを見たキラが悲鳴を上げてストライクをアストレイへと動かすが……アストレイの装甲では大気圏を突入できない事実は変わらない。

 

 つまりこのままシンは……!

 

 その様子はアークエンジェルでも確認できた。

 

「本艦とストライク及びアストレイ!突入角に差異!このままでは降下地点が大きくずれます!」

 

「キラ!シン!戻れないの!?艦に戻って!お願い!」

 

 ミリアリアが必死で呼び掛けを始める。

 

「無理だ…。ストライクの推力では、もう…。アストレイもこのまま燃え尽きる…」

 

 ナタルが沈痛な面持ちで呟く。

 その呟きは艦橋中に響き、やがて沈黙が漂った。

 

 モニターには重力に引かれてデュエルと共に落ちるアストレイとそれを追おうとするストライクが映し出されている。

 

 アークエンジェルとの位置が大きく離れて、ここまででは離れ離れになってしまう!

 

「艦を寄せて!アークエンジェルのスラスターなら、まだ!!」

 

 マリューは迷わなかった。このまま彼等を見捨てるつもりはない。

 

「しかし!それでは艦の降下地点が!」

 

「ストライクを失えば意味がないわ!早く!」

 

 反論を許さぬマリューの言葉にノイマンはアークエンジェルのスラスターを吹かせてストライクとアストレイの元に向かう。

 

「無茶です!ストライクはともかく!アストレイは本艦に着艦する前に燃え尽きます!」

 

 アストレイの装甲では大気圏突破の熱に耐えられずに燃え尽きる。例え残ったとしてもパイロットは無事な筈がない。

 

 技術士官であるマリューはその事を誰よりも分かっている。それでもシンの無事を思わずにはいられなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ……ここまでなのか?

 

 鳴り響く警告音と急激に上昇するコクピット内温度…シンは自分の死をだんだんと悟りだす。

 

 幾ら右腕がフェイズシフト装甲で、トリケロスと左腕のシールドを使ってコクピットのダメージを防いでいても、アストレイの発泡金属では無理だ。

 

 せめて……せめてもう一つ、盾があれば…!

 

 しかしない物を強請った所で無意味だ。

 

(でも……あの子は無事だった)

 

 脳裏に過ぎる少女……エルちゃん。「今まで、守ってくれてありがとう!」…。

 

 自分とキラに笑顔でそう言ってくれたあの子の言葉に自分とキラは救われた気持ちになった…!

 

 自分達のした事には意味があったのだと…!

 

 ハルバートン提督達も撤退を始めシャトルは無事に降下した…。あの子も母親と無事に故郷に帰るのだろう…。

 

(だったら……)

 

 この行動にも意味があったと笑みを浮かべて……瞳を閉じようとした時…脳裏に何かの光景がフラッシュバックする。

 

 

『だったら約束!』

 

『約束?』

 

 それはシャトルに乗る時にキラと交わした約束。同じシャトルに乗れない事を残念がったマユが始めた事…。

 

『うん!無事にオーブに着いたら、また会う約束』

 

 故郷が同じオーブとはいえ、シン達とキラ達が出会ったのはヘリオポリスでだ。故にシンはキラ先輩のオーブでの家は知らないし、キラもシン達の家を知らない。

 

『……そうだね。このままお別れなんてしたくないし、オーブに着いたらまた会おうね!』

 

『うん!お兄ちゃんも分かった!?』

 

『ああ、分かってるよ。それじゃあ先輩、オーブで会いましょう』

 

『うん!』

 

 シャトルに乗り込む時間で一旦別れようとしたシンにキラは笑って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『約束だよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 

 シンの意識が覚醒する。操縦桿を強く握り、モニターを睨め付ける。

 

「……危ねぇ…!走馬灯ってヤツかよ…!そうだな、約束もした…!生き抜くと決めた…!こんな所で終わってたまるか…!!お前はどうだ!?」

 

 

 

「アストレイ!!」

 

 

 

 

 MSが喋る筈もない。それでも、それでも!

 

 シンの言葉と共にアストレイはツインアイを光輝かせる。このまま終わりたくないと、自分はまだ戦えると叫ぶ様に…!

 

「……え?」

 

 その時、シンは何かを聞きモニターを見る。モニターにはアストレイとストライクの下に移動するアークエンジェルが映る。

 

 着艦すればアークエンジェルが熱を防ぎ大気圏を突破できる。しかし、ストライクはともかく、発泡金属のアストレイでは着艦する前に燃え尽きてしまう。

 

 だが、それを可能にする物がアークエンジェルと共にモニターに映っていた。

 

「デュエル…!そうか!」

 

 そこには先程殴り飛ばしたデュエルがすぐ近くにありアレを使えば…!

 

〈シン!〉

 

〈先輩…!?〉

 

 その時、シンを助ける為に無我夢中のキラがストライクを動かしてアストレイに掴まる。接触回線で聞こえてくるキラの叫びにシンは自分が運命の女神にそっぽ向かれていないと笑みを浮かべる。

 

〈先輩!聞こえますか!あのデュエルを盾にすればアークエンジェルに着艦するまでアストレイは保つ筈です。手を貸してください!〉

 

〈シン!…うん!〉

 

聞こえてくるシンの声で生存を確認したキラは安堵すると同時にストライクのスラスターを全開にする。ストライクの助けを借りたアストレイは無事にデュエルを捉え大気圏突入の盾にする。

 

 追加装甲を纏ったデュエルはアストレイを襲う大気圏の熱を受け止め、そこに左腕の盾と右腕のトリケロスを構える。

 

 デュエル、トリケロス、シールド。

 

 この三つの盾が大気圏の超高温度からアストレイを守る。襲いくる超高温を耐えきりなんとかアークエンジェルに着艦するアストレイ。隣にはストライクも居る。

 

〈………先輩。聞こえてます?〉

 

〈……なに?〉

 

 しかし、既にコクピット内の温度は常人では耐えられない程であり、シンとキラも意識が朧げになっていく。そんな中でシンはキラに声をかける。

 

〈…帰ったら……シャワー浴びて……キンキンに冷えた炭酸ジュースが飲みたい…ですね〉

 

〈ふふふ……それ…サイコー〉

 

 

 そんな他愛のない会話で笑い合い、二人はそっと目を閉じた。

 

 

 そんな二人を祝福、あるいは癒す様に地球に降り立ったアークエンジェルの頭上で煌めく三日月の光がアストレイとストライクを照らしていた。





νシン君「お前はどうだ!?アストレイ!!」

アストレイ「死んでたまるか!あそこのデュエルを盾にすればワンチャンいける!壊れてもアイツのパーツ使えば良い!」

デュエル「え!?」


 と言う訳で無事にシャトルやハルバートン提督を生存させたνシン君でした!

 なんか感想でマユちゃんが死ぬかもしれないコメントもありましたが無事ですよ!マユちゃんはνシン君とキラちゃんの支えとして、また二人のイチャラブを揶揄う役目がありますから!


 今回のタイトルに三日月ってありますが、本当は鉄血の19話の様にデュエルを外道サーフィンして大気圏を突破するつもりでしたが、フレームが剥き出しのアストレイだと厳しいと思いました。例え、無事に突破してもフレームが使い物にならなくて戦えなさそうで…

なので、タイトルはその名残でデュエルを盾にしてアークエンジェルに着艦する方針に変えました。

 次回から砂漠編、人気No. 1の彼女が登場しますし、アストレイもパワーアップします!


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