νシン・アスカは伊達じゃない! 作:DestinyImpulse
今回で人気No. 1のあの人が登場します!
なんだコイツ?
目の前のでギャアギャアと騒ぐ少女を前に俺はそう思わずにはいられなかった。
あのゾイド擬き……バクゥとか言うザフトのMS部隊を退けた後、アークエンジェルに戦闘中にザフト部隊に奇襲を仕掛けたレジスタンス達がコンタクトを取りに来た。
【明けの砂漠】とか言う集団のリーダーと思わしきガタイのいい男性とマリューさんとムウのおっさんが対面する。
第八艦隊は全滅したんじゃなかったっけ?とかふざけた事を抜かすクソガキに粛正パンチをしてやろうか、と考えもしたが概ね事は進み、話をする事になった。
一応、警戒の為にアストレイをストライクの隣に置いていた俺も先輩と共にコクピットから降りてマリューさん達に近づく。MSのパイロットが俺と先輩の様な子供と知り騒つくレジスタンス達の中で一人の少女が俺達……と言うよりキラ先輩に駆け寄ってくる。
「お前…!」
? キラ先輩の知り合いか?マリューさんも向こうのリーダーも同じ事を思ったのか驚いている。しかし、アスランの様な友達と言う訳ではないらしい。キラ先輩も見覚えがあるのかマジマジと顔を見つめている。
「お前…お前が何故あんなものに乗っている!?」
しかし次の瞬間、怒りの表情を浮かべた少女が突然キラ先輩を引っ叩こうとしたので慌てて振り翳した手を掴む。
「ちょ!?いきなり先輩に何すんだアンタ!?」
出会い頭に相手を引っ叩こうとするとか、どんな暴れ馬だよ!?
「…君、あの時モルゲンレーテに居た?」
その時、じっと少女を見ていたキラ先輩が何かを思い出したのか少女に語りかける。モルゲンレーテに居た?……じゃあのヘリオポリスに居たのか、それが何で砂漠のレジスタンスに?
「ええい!離せこのバカっ!」
しかし相手は先輩の言葉に返す事なく俺が掴んだ腕を振り払う様に暴れる。近くに居ると殴られそうなので突き放す様に少女を解放して先輩の前に立つ。
すると少女は標的を今度は俺に変えたのか、もの凄い剣幕で詰め寄ってくる。
「お前もだ!!何故お前がP01に乗っている!?サハク家の人間か!?」
P01?アストレイの事か?それにサハク家ってオーブの五大氏族の一角で大西洋連邦にモルゲンレーテを売り込んだ連中ってマリューさんが言ってたな。
「黙ってないで答えろ!!」
何も言い返さない俺に痺れを切らして少女が殴りかかってくるので拳を受け止め彼女を観察する。
髪は首の下まで伸ばした金髪で顔立ちも美少女と呼べるモノだろう………と言うかキラ先輩に何処か似てるのは俺の気のせいか?
「カガリ!」
流石に目に余るのだろう、レジスタンスのリーダーに咎められて少女…カガリは此方を睨めつけレジスタンスの方に戻っていく。
「シン、大丈夫?」
「ええ……何なんだあの人?」
まるで嵐の様な出来事に俺も先輩もただ唖然として首を傾げていた。
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同時刻、ザフト軍・ジブラルタル基地では低軌道の戦闘で深追いし過ぎて母艦に戻れず地球に落ちたディアッカと、シンに地球に落とされたアスランが通信室で隊長であるクルーゼの通信を聞いていた。
〈両名とも無事にジブラルタルに入ったと聞き、安堵している〉
「…死にそうになりましたけどね」
ディアッカが苦笑いを浮かべる。フェイズシフト装甲のG兵器だから九死に一生を得た。しかし、コクピットの中は高温でコーディネイターでなければ死んでいた程だ。生きた心地がしないのも突然だろう。
〈行方不明のイザークの捜索も引き続き行われる。何か分かればすぐに連絡が来る筈だ〉
しかし、アストレイやストライクと共に落ちたデュエル、イザークの行方が分かっていない。現在、アークエンジェルに捕えられていると知らぬ二人は苦痛の表情を浮かべる。
〈残念ながら足つきとMSを仕留める事はできなかったが、君達が不本意とはいえ共に降りたのは幸いかもしれん。足つきは今後、地球駐留部隊の標的となるだろうが、君達も暫くの間ジブラルタルに留まり共に奴等を追ってくれ。……無論、機会があれは討ってくれて構わんよ〉
そうして通信が終わり画面が真っ黒に染まったのを見てディアッカはやってられないと言わんばかりの態度で苦笑いを浮かべる。
「宇宙には戻ってくるなって事?俺達に駐留軍と一緒に足つき探しに地べたを這いずり回れと言うのかよ?」
ディアッカも、彼とともに地球に降り立ったアスランも、宇宙軍のエースパイロットだ。そもそもクルーゼ隊に所属することができるのは、それだけの技量に裏打ちされていなければならず自負とエリート意識の強い彼らだけに戦闘中とはいえ自らの過失で地上へ落下したという事実に釈然としない思いをしていた。
それに、なんといってもMS戦の華は宇宙だ、とディアッカは思いこんでいる。無理もない。彼はコーディネイター第二世代で、宇宙生まれの宇宙育ちだ。生まれたときから宇宙にいる彼らにとって、この地球上にいる方がよほど不自然なのだ。
そうディアッカは後ろに居るアスランに問いかけるが、どうせ「それが本部からの命令ならしょうがないだろ」とか優等生の言葉が飛んでくると期待してなかった。
「……機会があれば?」
「? アスラン?」
しかし、アスランは自分の声に返す事なく低い声で口を開く。思えば地球に来てからアスランはずっと何処か上の空だった。
「討つさ…必ずな…!」
「…お前…!」
その目はストライクに傷をつけられて怨み浸透のイザークと何処か似た目で、彼は食いしばった歯の隙間からうめいた。
ディアッカは今まで見た事のないアスランの表情に何も言えずにいた…ここに居ない誰かを睨んでいる様なその顔に…
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あれから数時間後、話し合いをする為に彼ら、【明けの砂漠】の本拠地へ到着すると、マリューさんとナタルさん、それにムウのおっさんの三人は、明けの砂漠のリーダーであるサイーブさんと共に、本拠地である洞窟の奥へと案内されていった。
俺達も黙って待ってる訳にはいかず、他のクルー達と共に、アークエンジェルを隠蔽する迷彩ネットをかける作業を命じられた。
「どうにか終わりそうですね…」
「うん。ストライクがあったからね。」
作業が終わりアークエンジェルが見渡せる丘に止められたストライクの下で俺達は一息ついていた。
「アストレイの調子はどう?」
「そう酷くはないですよ。数日後には終わるってマードックさんが言ってました。……後で手伝いに来いともね」
アストレイはあの後、改修作業が開始され現在は使用できない。フレームの修理と脚部の移植が主な内容だ。やっぱり脚部は損傷が酷く少なくともアークエンジェル内では修復できない。故に鹵獲したデュエルの脚部を移植する事になった。
そうなるとフェイズシフト装甲が増えて電力消費が激しくなり機体重量が増えてアストレイの強みでもあった機動性が落ちるのだが、どうやら“解決策”があるらしい。
「おいっ!」
そんな時に一人の少女が坂道を上がってきた。
「……アンタは」
それは先程、俺達に詰め寄ってきた金髪の少女…カガリさんだ。あの後、先輩に聞いたのだが、ヘリオポリスで、先輩がストライクを見つけるきっかけになった少女でありカトウ教授の客人として研究室に居たらしい。
彼女は居心地悪そうに視線を彷徨わせてから口を開いた。
「さっきは…悪かったな。殴るつもりはなかった……訳でもないが…あれは…弾みだ。許せ…」
……なんだそりゃ?まるで謝っているようには思えない態度で謝罪してくるカガリさんは、先輩から視線を外してソッポを向きながら頬を掻く。呆れている俺の隣でキョトンと眺めていた先輩が、不意に笑みを溢した。
「な、何がおかしい!」
「いや…なにがって…」
心外そうにキラ先輩を睨むカガリと、その視線を受けながらも笑いを止める事が出来ないキラ先輩。
…………なんだろうな、こうして見ていると二人が姉妹に見える。
しばらくするとカガリさんは安心したように目を細めた。
「…ずっと気になっていた。あれから、お前はどうしたんだろうとずっと気になっていた。それがまさか、こんなものに乗って現れるとはな。おまけに今は地球軍か!」
しかし再び怒りに声を荒げるカガリさん。この人、カルシウムが足りてないんじゃないのか?胸だって先輩の半分もないし。
「…色々あったんだ。色々ね」
「…」
先輩をきつく睨むカガリさんだったが、先輩の声から何かを感じ取ったのか、吊り上がった目尻が下がり、彼女から醸し出ていた怒りの気配が収まっていく。
「お前にも聞きたい事がある!」
「?」
かと思えば、次はカガリさんの視線がこちらに向けられる。……アストレイの事か。
「……アンタが言うP01……アストレイはヘリオポリスの地下で見つけたんだ。其所で如何にも貴族って感じの男…多分アンタが言うサハク家の人間に襲われて、どうにかしてアストレイに逃げ込んでヘリオポリスの崩壊に巻き込まれて……まぁ、色々とあったんですよ」
「……ッ!」
俺の言葉に嘘がないと感じたカガリさんは苦しそうに顔を俯かせる。拳を固く握り震えていた。
……と言うか出会い頭の印象で混乱していたけど、この人、モルゲンレーテで見た気がする。
確かエリカさんによく怒鳴って……まさか…!
でも、ストライクを見た時に『お父様の裏切り者ー!』とか叫んでいたってキラ先輩が言ってたし…
何よりアストレイの事を知っていた……可能性はあるな。となると近くの岩陰に隠れてこっちを見てるムキムキの人は護衛か?
……後で話しかけてーー「……シン。顔を見過ぎだよ」ーー……先輩?
ふと声をかけられて視線を移せば、キラ先輩が何故か不機嫌そうな顔で俺を見ていた。
記憶と一致してるか確かめる為にカガリさんの顔をマジマジと見ていたけど、いつ迄も出会ったばかりの女性の顔を見るのが失礼だから注意したのか?
それにしては何か違う気がするが?
「…………シンは金髪が好きなのかな?」
「? 先輩何か言いましたか?」
「ッ!な、何でもないよ!」
先輩が自分の髪を弄りながら何かを言った気がして聞いてみたら、なんか怒鳴られた。心なしが頬が若干、赤い気がする。
訳が分からず視線を移すと……
「……へぇ」
何故がニヤニヤしたカガリさんが居た。
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「そらぁザフトの勢力圏と言ったって、こんな土地だ。砂漠中に軍隊が居るわけじゃぁねぇがな。だが、3日前にビクトリア宇宙港が落とされちまってからこっち、奴等の勢いは強い」
「ビクトリアが?」
「3日前?」
「あらー」
地球軍の重要拠点の一つが落とされた事を聞き頭を抱えたくなる三人を見てサイーブはなんとも無いような様子でコーヒーに口をつけた。
「頑張ってた南部統一機構も、遂に地球軍に見捨てられちまったんだ。ラインは日に日に変わっていくぜ?」
「そんな中で頑張るねぇ、あんたらは」
ムウの嫌味にも似た言葉に、サイーブの表情に影がさした。
「……俺達から見りゃぁ、ザフトも、地球軍も、同じだ。どっちも支配し、奪いにやって来るだけだ……あの船は、大気圏内ではどうなんだ?」
しかしすぐ気を取り直したように言うサイーブに、ナタルが姿勢を正して答えた。
「そう高度は取れない。低空での移動になる」
「じゃあ山脈が越えられねぇってんなら、あとはジブラルタルを突破するか…」
イベリア半島ジブラルタルのザフトの軍事基地の一つであり、地上侵攻の橋頭堡としてザフトの重要拠点となっている。
「この戦力で?無茶言うなよ」
向こうは豊富な資源とMSに対して、こちらはスカイグラスパーとストライクとアストレイだ。戦う前から結果は火を見るよりも明らかだ。
「となると残された道は、頑張って紅海へ抜けて、インド洋から太平洋へ出るっきゃねぇな」
「太平洋…ですか」
「補給路の確保無しに、一気にいける距離ではありませんね」
「大洋州連合は完全にザフトの勢力圏だろ?赤道連合はまだ中立か?」
太平洋に出てからのことを考え始めるマリューたちに、サイーブは困ったように顔をしかめながら話を引き戻した。
「おいおい、気が早ぇな。もうそんなとこの心配か?バナディーヤにはレセップスが居るんだぜ?」
レセップス。それはここの支配者であり【砂漠の虎】と恐れられるアンドリュー・バルトフェルドの母艦であり、この砂漠を出る為には彼との一戦は避けられない。
「あ…頑張って抜けてって、そういうこと?」
引きつった笑顔を浮かべるムウに、サイーブは無表情で頷いた。
キラちゃん「………シンは金髪が好きなのかな?」
ス○ラ「…ガタ!」
レ○「落ち着け、俺達の出番はまだ先だ」
と言う訳で人気No. 1のカガリ様の登場です!
νシン君は面識はありませんが、遠目で見た事があるので正体に気づきました!